2010年925日号

東京都と埼玉県が排出量取引制度の拡大に向け協定
 東京都と埼玉県は、東京都が先行的に実施しているキャップ&トレード型の排出量取引制度を波及させていくことで協定した。
 東京都は今年4月から「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」を実施しており、来年度以降、対象事業者が義務量を達成する手段として排出量取り引きによって排出枠を売買できる仕組みを導入している。これに続く形で埼玉県では、12年度から「目標設定型排出量取引制度」の導入を決めており、20年度までに県内の温室効果ガスの排出量を05年度比で25%削減することを目標に掲げている。導入する制度はほぼ東京都の制度に見合ったものとなっており、県内約600の対象事業所にオフィスビル等では過去3年間のエネルギー使用量から8%、工場などでは6%の削減義務を課すことになっている。
 東京都と埼玉県は、9月17日付で協定を締結して、削減クレジットを制度内で相互利用できるようにすることや、首都圏の他の自治体への制度の波及に向けて協力して取り組むことにした。また、国に対してキャップ&トレード型の排出量取引制度の早期の導入を働きかけていく。


排出量取引制度の導入に疑問 経産省の政策手法WG
 産業構造審議会の政策手法ワーキンググループ(座長・寺島実郎日本総合研究所理事長)は、これまで検討してきた環境税や排出量取引制度などの温暖化対策に関する複数の政策手法について、国内でのCO2削減コストが高額になる日本ではキャップ&トレード型の排出量取引制度や効率の環境税の導入は削減効果が期待しにくく、製造業の海外移転を加速させる懸念があるとの評価をまとめた。
 省エネ技術や製品が先進国の中でも飛び抜けて普及している日本ではCO2の削減コストが極めて高額となるため、排出量取引制度の有用性は極めて低く、炭素リーケージが現実化することが考えられるが、その場合、排出規制水準の緩い国や地域に生産拠点が移ることになる結果、世界全体ではCO2排出量が増加してしまうという結果を招きかねないと結論づけた。
 環境と経済の両立という、そもそもの温暖化対策の本質に立ち返れば、排出量取引制度や高率の環境税のように、いたずらに企業活動の障害となる規制的手段ではなく 「技術開発や製品普及への支援措置を財源としての環境税と組み合わせていく手法や、それぞれの分野の現状・特性等を踏まえた計画的な削減が可能な規制的・誘導的手法に重点的に取り組んでいく」べきだとしている。


竹中工務店が、制震装置を振動発電の増幅器に活用
 竹中工務店は、振動エネルギーを電力に変える振動発電機の発電量を増加させるシステムを開発した。小さな振動を増幅器で増幅し、発電量が45倍にできることを実験により確認した。
 開発した技術は、建築物の床に制震装置として広く使われているTMD装置を振動増幅器として利用する。建築物の内外で日常的に発生する小さな振動を、おもりとバネを組み合わるTMD装置を増幅器として利用し、振動を制御しながら高効率の発電が行えるというもの。
 建設工事中に発生する振動や建築物内で稼働している設備機器の振動、また、歩行振動や列車の振動など日常的に発生している小さな「環境振動」をエネルギー源として発電できる。
 従来の振動発電は発電量が少ないことや利用できる振動数が極めて限定的であり、震動源の振動数が変化することで発電量が極端に低下してしまうのが欠点だったが、開発した方式ではこうした従来の振動発電機の欠点を大幅に改善できている。
 竹中工務店では、消費電力が数十〜数百mW程度でよい電子機器などの電源として、利用可能性を探っていく。


カワサキプラントが水車一体型の小水力発電を受注
 川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、徳島県の正木ダムの維持放流設備に設置される出力70kWの小水力発電設備を受注したと発表した。
 受注したのは川崎重工業と共同開発した発電機と水車一体型のインライン型小水力発電システムで、水車を外周で支持し、発電機をリング上に配置しているリング水車。従来のシステムに比べて大幅な小型化と低騒音・低振動を実現している。水車の軸受けには潤滑オイルに代わって水を潤滑液として使用し、水質に影響を与えず、オイルの補充や部品交換などのメンテナンスも必要がない。環境やメンテナンス性に特に優れており、ランニングコストが極小の再生可能エネルギーシステムとして運用できる。発電した電力は正木ダムでは所内用の電力として供給される。
 カワサキプラントは、リング水車の小水力発電システムを20kWから500kWまでをラインアップ化しており、ダムの維持放流設備以外の用途でも、浄水場や農業用水、工場などでの需要拡大が期待できると考えている。


その他の主な記事
・低炭素促進法で対象製品を指定
・8月の販売電力量は9.2%増 電事連が速報
・日本風力開発らがCO2ゼロのスマートグリッドを実証
・矢野経済圏が国内太陽光市場を予測
・日本風力開発と酉島製作所が風力メンテで協業
・日清紡グループが国内事業所に太陽光システムを導入
・東京ガスが太陽熱給湯システムで新製品
・川崎重工がインドでGTコージェネを受注
・三菱重工が中国に大型風車を技術供与
・三菱電機が羽田空港の太陽光納入
・HOSPEX2010、11月17日から
・東工大AESが総会
・ECO−MA開く、見える化に関心
・NEDOが10月にグリーンイノベーションで国際フォーラム
・NEDO、中部地区で技術フォーラム
・HOSPEX2010、11月17日から
・環境省と気象庁が温暖化ワークショップ
・温室効果ガス削減支援事業12件決まる
・次世代バイオマス利用開発で2次募集
・温室効果ガス削減ポテンシャル診断会
・地熱発電など、10月のSSKセミナー
・排出権取引など、10月のJPIセミナー  etc.


<インタビュー>
・地熱発電の開発に向けた課題と政策
(日本地熱開発企業協議会事務局長/三菱マテリアル 地熱・電力事業センター副所長 永井保弘氏)
 日本には全国各地に温泉があり、また火山も多い。言わば、地熱資源がたくさんある。しかし新規開発は、およそ10年間も停滞したままだ。わが国に豊富にあるエネルギー資源を活用するには、何が必要か。日本地熱開発企業協議会事務局長の永井保弘氏にお話を聞いた。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 A
 =経済活性化とエネ需要増にはなにが必要か=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(38)
 =全量買取制度の目指すもの=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・キーパーソン
 =温暖化対策基本法の成立目指す=
 (環境省官房長 谷津龍太郎氏)
・新刊紹介:「スマート革命」
 (柏木孝夫著・日経BP社)




コラム
・発電論評<地産地消型のスマートグリッドに期待>
・ちょっと一休<講談、かっぽれ、文楽を楽しむ>
・青空<まだ残暑が厳しいとはいえ>
・霞ヶ関から<「一に雇用、2に雇用」の裏付け>


地産地消型のスマートグリッドに期待【発電論評】

 青森県六ヶ所村で、地産地消型のスマートグリッドの実証試験が始まる。六ヶ所村に3万2850kWの大規模ウィンドファームを持つ日本風力開発とトヨタ自動車、パナソニック電工、日立製作所の4社が共同で実証試験に取り組むという。
 実証試験は、6棟の実証用のスマートハウスを建設し、ウィンドファームから8kmの自営線で電力供給するほか、太陽光発電やグリッド内の電力コントロール用として蓄電池設備も設置される。コントロールセンターでの集中監視や、スマートハウスに設置される3種類のホームエネルギーマネジメントシステムによる需給制御、また、8台のプラグインハイブリッド自動車を導入、自動車への充電を行うことや、スマートメーターを使っての自動検針なども日常環境の中で実証が行われるという。
 スマートグリッドは、国の大規模な実証試験も開始されているが、六ヶ所村での実証試験は電力系統から独立した地域の自然エネルギー起源の電力だけで電力の需給を安定的に行うということが特筆されるべき点である。
 電源は風力と太陽光に限られている。それを蓄電池に蓄電して出力の安定化を図りながら、限られた電力を効率よく利用するためにスマート技術を活用し、必要なときに必要なでけの電力を供給する技術が磨かれる。
 今回の実証試験の計画は決して大規模なものではないが、独立したグリッドを形成し、グリッド内だけで電力需給をバランスさせること。使用する電力は地域内の自然エネルギーに限られ、全量が国産のエネルギーであることなど、まさに、これが目指すべき次世代型のスマートグリッドというべきものではないかと、その先見性に刮目される。
 これを発展させていけば、まさに地産地消型のエネルギー供給網が実現できてしまうのではないか。例えば、電力が不足する場合の補完電力として、系統電力ではなくコージェネレーションシステムを導入して、地域のバイオマス燃料を利用することができれば、もっと大規模で地産地消型で、しかも低炭素型の理想的な地域エネルギーシステムの構築ができる。それでも不足する場合は、天然ガスや石油を補完燃料として利用したり、系統電力を利用してもよい。
 全国に約300カ所あるバイオマスタウン構想を持つ地域などと連携すれば、相当の広がりを持つこともできるのではないか。
 スマートグリッドの実証では、電力ネットワークを使う大規模なものが先行しているが、実はこうした、地産地消型の地域ネットワークを相互に有機的に結びつけていくという方が、よりスマート技術が有効に活用できるといえるのではないか。その広がりを、是非、期待したい。