2010.09.15


2010年915日号

ガスコージェネ家庭用は伸びも業務・産業用は低調 ガス協会調査で
 日本ガス協会は、09年度の国内の都市ガスコージェネレーションシステムの導入実績(累計設置容量)の調査結果を公表した。
 09年度末の国内の累積設置容量は448.7万kWとなり、単年度の累積増加量は0.2万kWに止まった。その一方で、累積件数は9万6626件となり、19.7%増(1万5898件増)と大幅に増加した。家庭用のガスエンジンコージェネと燃料電池が大幅に増加したことによるもので、家庭用の件数は9万629件となり、前年度末に比べて1万5635件、20.9%増加した。業務用と産業用では、増加件数は263件、4.6%増に止まっており、産業用・業務用部門でのガスコージェネの導入の伸び悩み傾向が顕著になっている。
 都市ガスコージェネの導入実績は、設備容量で、07年度には産業用を中心に1年間で7.7%増、08年度の実績でも6.7%増と約5年間にわたって比較的に高い伸びを続けてきたが、ここに来て急ブレーキがかかってきた。


高度利用法で経産省が判断基準
 経済産業省は、9月13日、総合資源エネルギー調査会総合部会の供給構造高度化小委員会を開催し、電力、ガス、石油の各エネルギー事業者に対して非化石エネルギーの利用などを義務づける基本方針や判断基準、それらを具体的に規制する省令案について、検討し、先頃決まったエネルギー基本計画に沿って、具体的な判断基準が初めて示された。
 義務づけられるのは、電気事業では、原子力の利用拡大と再生可能エネルギー電源の拡大、ガス事業については、バイオガスの利用拡大と化石エネルギーの高度利用としてBOG(ボイルオフガス=LNGタンク外部の熱で自然に気化するガス。LNG輸入量の最大10%程度発生するといわれる)の回収利用。石油についてはバイオエタノールの一定量の利用。利用義務の対象となるのは電力が年間5億kWh以上の供給者。ガスは900億MJ、石油が60万kL以上の事業者など。
 示された判断基準案は、一般電気事業者は20年に非化石電源による発電量を50%以上にすること。また、PPSについては、原子力発電の利用が実質的に閉ざされているとの判断の下で、20年に再生可能エネルギーなどによる非化石電源比率を2%以上とする。
 ガス事業については、バイオガスの利用拡大を義務づけ、15年に「下水処理場等で発生する余剰バイオガスの推定量の80%以上を利用すること」が義務づけられる。また、化石エネルギーの高度利用として、「20年にBOGの利用率を概ね100%とする」こと。石油は、20年に国内のガソリンの3%以上をバイオエタノールを利用することを目標に、17年度に50万kLとし、11年度の21万kLを初年度とする毎年度の具体的な利用目標が定められる。利用するバイオエタノールはLCAの排出量の総量が50%以上ガソリンを上回ることも条件となる。


大阪ガスなど、新型SOFCで家庭用燃料電池を実証へ
 大阪ガスは、京セラ、トヨタ自動車、アイシン精機と共同開発した家庭用固体酸化物形燃料電池コージェネレーションシステム(SOFC)の2010年度型機41台を使用して、大阪ガスの供給エリア内の戸建住宅に設置して実証実験を開始する。排熱利用給湯暖房ユニットについては、大阪ガスが長府製作所と共同開発した。NEDOの実証事業として実施するもので、同時にトヨタ自動車とアイシン精機は、同型機約60台を、NEDOの燃料電池実証研究事業に提供する予定であると発表した。実証研究事業については、北海道ガス、東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、西部ガスの5社が参画して実施されることになっている。
 家庭用SOFCは、コージェネレーションシステムの中でも、発電効率が45%以上と高く、経済性のメリットを充分に発揮できることや、発電ユニットが小型で、排熱利用給湯暖房ユニットもコンパクトに設計できるため、スペースに制約のある戸建住宅や集合住宅にも設置することができる家庭用コージェネレーションシステムとして、実用化に期待が集まっている。


集合住宅でも戸別に太陽光発電導入を実現
 JX日鉱日石エネルギーは、同社の開発した「マンション用戸別太陽光発電システム」が、タカラレーベンの新規分譲マンション「レーベンハイム光が丘公園」(埼玉県和光市・総戸数110戸)に採用されたと発表した。マンションの屋上に1戸あたり210W×6枚、マンション全体で132kWの太陽光パネル(三洋電機製)を敷き詰め、各住戸ごとに太陽光発電の利用を可能にした。各戸ごとに、日鉱日石製のパワーコンディショナーを配置し、戸建ユーザーと同様に電力会社と直接契約して、太陽光発電による余剰電力買取制度を利用することができる。11年6月の完成予定。
 東京電力管内で個別太陽光発電システムが新築分譲マンションに導入されるのは初めてのケースとなる。


その他の主な記事
・次世代ネットワークWGで買取コスト回収など議論
・経産省が国内投資促進プログラム骨子を公表
・リニア宮崎線にメガソーラー
・三菱重工が京都市でEVバスの実証試験
・川崎重工が韓国向けに蒸気タービン発電設備を出荷
・日揮がスペインで太陽熱発電事業に参画
・三菱電機が名古屋市浄水場に太陽光を納入
・韓国向け蒸気タービン発電設備
・NEDOが秋田で新エネセミナー
・ガス協会が事務所を移転
・J−VER温室効果ガス創出支援と計画書支援決まる
・コベネフィットCDMモデル事業2次募集
・温室効果ガス算定説明会    etc.


<特集>
・分散型・新エネルギー市況アンケート調査
 毎年恒例となった分散型・新エネルギー関連の市況について事業者アンケート調査を実施しその調査結果をまとめた。今回の調査は、低炭素社会の構築に向けて、市場環境が大きく変貌を遂げる中で、事業者が向かおうとしている方向を読み取る意図で調査を行った。用意した設問では市場の現状をどう判断しているのか。低炭素化対策として検討されている環境税や排出量取引などの規制についての評価や、今後の市場整備に必要な支援策などについて聞いている。



燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池市場2
・海外ニュース
 -H2 ロジック社、シンク社の燃料電池自動車にスタックを供給
 -米eハイドロジェン社の水素製造モジュール、ロンドン市の水素ステーションに採用
 -米クラウン社、新型燃料電池パレットトラック「PC 4500」シリーズを発売
 -米燃料電池バスの実証試験、耐久性と信頼性でおおきな進歩
 -独ヘリオセントリス社、独FAUN社と共同で燃料電池ハイブリッドゴミ収集車を開発
 -米アルミフューエルパワー社、ポータブル燃料電池の開発を開始
 -ホライゾン社、UAV向け燃料電池システムの出荷を開始
 -豪CFC社、東京ガスに1kW家庭用SOFCコージェネ納入
 -台湾APFCT社、燃料電池マイクロカー10台による走行実証試験を実施
 -米FCE社、養鶏場に1.4MW燃料電池システムを納入
 -独フォルクスワーゲン、新型燃料電池車「ハイパワー」のテスト運転結果を発表
 -ドイツ航空宇宙センター、燃料電池有人飛行機「アンタレス H3」を開発
 -米国のローチェスター空港近くにある水素ステーションで爆発事故が発生
 -米トヨタ自動車販売、2010年秋にコネチカット州域で10台の燃料電池自動車を運行
 -英AFCエナジー社のアルカリ形燃料電池、英B9 コール社が提案したC02回収貯留(CCS)に採用
・燃料電池フラッシュニュース
 -北九州水素タウン、2010年度内に実証開始
 -工学院大学、アンモニアから水素を取り出す装置を開発
 -東京ガス、横浜市で集合住宅版スマートハウスの実証試験を開始
 -荻原製作所、家庭用燃料電池向けの非接触気泡センサを開発
 -高砂熱学工業、水素利用型蓄電池の試作機開発
 -積水ハウス、「エネファーム」搭載住宅、2010年2〜7月で1,100棟強の実績
 -小倉クラッチ、カナダのバラード・パワー・システムズに水素循環ポンプを納入      etc.

・燃料電池インフォメーション
 ■電気化学会「燃料電池研究会第109回セミナー」 10月25日(月)13時30分〜17時 電気化学会会議室(東京都千代田区) ○概要=燃料電池の計測・評価法の進展 1.炭化水素系電解質膜の劣化機構解析―分析からのアプローチ(東レリサーチ 崎山庸子氏) 2.放射光X線吸収分光法による白金系および非白金系電極触媒の解析(日本電気 今井英人氏) 3.軟X線による固体高分子型燃料電池(PEFC)内水分挙動の可視化計測(東京工業大学 津島将司氏) 4.燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)自動車用膜電極接合体(MEA)耐久性評価プロトコルの改訂について(日産自動車 飯山明裕氏)      etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(38)
 =円高と温暖化規制強化=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(25)
 <苦悩する中国のエネルギー資源戦略>
・キーパーソン
 <資源エネルギー庁省エネ・新エネ部長に就任した 安井正也さん>


コラム
・発電論評<実効性のある排出量取引制度に>
・ちょっと一休<監査研究部会長・貫井氏の死去>
・青空<マスコミの異常>
・ちょっと一言<返ってこないことは想定していない「北方領土枠」>


実効性のある排出量取引制度に【発電論評】

 排出量取引制度の評判が良くない。そもそも排出量取引というのは、他人が削減した温室効果ガスの成果を譲り受け、自らの削減分としてカウントできるという仕組みだ。京都議定書で日本などが負った国別の削減義務量を、自国内で削減するよりも、削減技術の乏しい途上国などで効率的なエネルギーシステムを入れることによって得られた削減成果を、排出量をクレジット化して自国の削減量としてカウントできるということから始まった。京都メカニズムと呼ばれる仕組みの中の一つの手段で、削減義務国が削減義務を負わない途上国で実施するCDMと、削減義務を負っている国と共同で実施するJIクレジットがある。クレジット化するには両国政府と国連の承認が必要になる。
 日本は議定書目標の達成のために、国としてCDMやJIクレジットを購入している。また、自主的にCO2排出量の削減に取り組んでいる企業や業界単位でも購入している。
 この削減クレジットを市場で流通させることで、企業に課せられる削減義務量を経済的に達成できるようにしようというのが排出量取引制度で、京都議定書の約束期間が終了する13年以降の新たな温暖化対策として国内制度の導入が検討されている。
 ポスト京都の国際的な枠組みはまだできていない。鳩山前首相が打ち出した25%削減という新たな中期目標は、国際的な枠組みができることが前提条件であり、それはどうやら困難な見通しが日々強まっているのが現状なのだが、そうした中で、進められている国内排出量取引の検討では、個別企業に排出量の上限規制を行うキャップ&トレード型の制度を前提に検討が進められているため、具体化すればするほど反発が強まってきている。排出量を制限されると、増産することが困難になったり、コストアップとなったりで、ただでさえ海外製品とのコスト競争にさらされている企業にとっては国内での事業活動が困難になるという理屈だ。
 国内経済は低迷したままで、製造拠点の海外移転も加速化しているように見える。何よりも、国内景気の低迷で活動量が低下し、エネルギー需要も伸びず、達成が全く困難視されていたマイナス6%目標も、あっさりと達成できそうだという現状を前に、更なる削減努力は目標を失いがちだ。
 本来の排出量取引制度は、排出量を譲り合うことで、最も低コストの削減ができるというものであったはず。市場取引そのものにコストがかかったり、クレジット化には複雑な認証や検証の仕組みがあり、コストや時間がかかりすぎるという批判もある。
 低コストで、簡易な手続きの排出量取引制度が描けるのか、今後の議論に注目が集まるところだ。