20010年95

エネ特会は9.2%増 経産省が23年度概算要求
 経済産業省は、2011年度予算の概算要求を発表。エネルギー対策特別会計(経産省分)では、10年度予算比9.2%増(642億円)の7580億円を要求した。
 特に、低炭素社会への構造転換や革新的エネルギー技術の開発、環境・エネルギー分野の国際展開など、温暖化対策につながる施策を重点的に進めることにしており、増額要求した642億円の内、622億円をこれらにあてる。
 シーリングにより、エネ特会全体で10%減額させたものの、同額(581億円)を「元気な日本復活特別枠」で要望。また税制改正では、中長期的な温暖化対策として、石油石炭税の組み替え・増税を掲げた。
 重点分野の内、低炭素社会への構造転換に向けた新エネ・省エネの推進と、エネルギーの高度利用では同376億円増の2639億円を要求。目玉施策の一つとして、低炭素型産業の立地促進に向けた補助金制度を創設するため300億円を計上した。
 電気自動車などの導入補助金は、10年度の2倍以上となる304億円に増額、住宅用太陽光発電の導入補助金も429億円、家庭用燃料電池の補助金も91億円の増額要求となった。
 また、全力買取制度の対象とならない熱について、設備導入補助金制度を創設するため12億円を要求。逆に、産業用や民生用の高効率給湯器などに対する新エネ導入補助金は、制度導入をにらんで昨年度の344億円から130億円に減額、新規分は廃止する。
 さらに、次世代エネルギー・社会システムを実現するため、横浜市など国内4地域で実施されるスマートコミュニティー実証事業に182億円、4地域以外でも同様の事業を行うために40億円を計上している。


環境省のエネ特会は456億
 環境省の概算要求は総額で2176億円。このうち、エネルギー対策特別会計繰り入れ分が420億円となり、剰余金36億円とあわせて456億円(10年度予算比18%増)を要求した。
 低炭素社会づくりを迅速に進めるため、新規施策として、家庭や中小企業が高効率給湯器などを導入する際のリース支援(エコリース)として40億円、家庭での省エネ促進に20億円を計上したほか、先進的熱供給システムや、低炭素型交通システムを取り入れた「チャレンジ25地域づくり」事業として50億円を、いずれも成長分野に重点配分する「元気な日本復活特別枠」で要求している。
 また新規施策としては、16年度の実用化を目指した浮体式洋上風力発電の実証事業に15億円、家庭用太陽熱利用システムを普及させるためのリース支援として15億円、オフセット・クレジット(J−VER)制度利用者への支援で3億円、小沢大臣の試案として示された地球温暖化対策「中長期ロードマップ」を精緻化するために2億円を盛り込んだ。
 エコリース支援は、家庭向けでは高効率給湯器、電気自動車、太陽光パネル(既築住宅のみ)が、中小企業向けでは高効率ボイラー、高効率ヒートポンプ給湯・空調などが対象となっている。金利分として機器価格の3%を助成する。


太陽光発電協会が2010年度第1四半期の太陽電池の出荷統計を発表
 太陽光発電協会は、太陽電池の10年度第1四半期の出荷量をまとめた。総出荷量は55万3717kWで前年同期比で94.5%増とほぼ倍増となった。国内出荷が137.6%増と、余剰電力買い取り制度や国や自治体での導入支援などの政策の後押しを受けて大幅な拡大傾向が継続している。輸出は、35万5889kWで、76.7%増だった。調査対象は、今回分から4社増え26社になった。
 輸出の内訳は、米国向けが6万8305kW(110.3%増)、欧州向けが25万6003kW(79.7%増)、その他地域が3万1581kW(19.4%増)となっている。
 用途別にみた国内出荷量では家庭用が90.5%と大半を占めており、出荷量は17万9009kW。その他(公的施設用、産業・事業用、その他)が1万7773kW。家庭用の伸び率は132.6%増、産業・事業用その他が251.1%増と、ともに高い伸びを示している。民生・電力応用商品は1046kWで14.7%減と出荷量が減少している。
 国内出荷量のうち、国内生産分は16万8928kW、輸入品が2万8900kWで、輸入品のシェアは14.6%となるなど、価格の安さを武器にした輸入品のシェアが急拡大している。
 太陽電池の種類別では、Si単結晶が34.8%、Si多結晶が51.2%。Si薄膜が11.5%、その他が2.5%となっており、価格の安いSi多結晶の太陽電池が半数以上を占めている。輸入品については、ほぼ全量が単結晶と多結晶の結晶系の太陽電池。


国内排出量取引で3つのオプション案示す 環境省が原単位規制も
 環境省は、8月31日に中央環境審議会・国内排出量取引制度小委員会(委員長・植田和弘京都大学大学院教授)の第11回の会合を開き、制度のオプション案について検討を開始した。
 同日の会合では、事務局側がこれまでの検討結果を下敷きとして、議論の集約が困難で一定の結論が得られない事項について3つのオプション案を示して議論した。
オプション案は、意見が分かれている電力の取り扱いについて、需要側で排出規制を行う間接方式とするのか発電段階で排出規制を行う直接方式とするのか、また、排出枠の設定方法として、オークション方式による有償割り当てとするか無償割り当てとするか、また排出枠は総量方式で規制するのか原単位方式で規制するのかについて、A、B、Cの3つのオプション案として示された。
 A案として示されたのは、電力については直接方式として排出枠は有償で総量規制のキャップをかけるもの。B案として示されたのは電力については間接方式として無償割当で総量規制のキャップをかけ、さらに電力の原単位規制をプラスするというもの。C案は、電力については間接方式として排出枠は総量ではなく原単位方式で規制するというもの。
 その他については共通事項として、対象期間については、20年を目標に5年ごとの2期間に分けて段階的に規制し、対象ガスはCO2とする。排出規制については大規模排出源を対象に産業部門、業務部門、エネルギー転換部門の3部門とする。また、排出枠の総量は、25%削減の中期目標のうち、国内削減分として15%、20%、25%の3ケースについて中長期ロードマップの検討結果を踏まえて設定することなどが提案された。
 また、オフセットクレジットやCDMクレジットなども利用できるようにすることも盛り込まれている。
 同日の会合では、産業界側の委員から、排出量取引制度による削減効果に疑問があり、制度の導入の是非についてのそもそもの議論が不足している旨の意見が述べられ、次回会合で引き続き議論を継続することにした。


その他の主な記事
・温暖化対策税の骨子まとめる
・排出量取引で3つのオプション案
・検討タスクフォースが見解
・国交省がPFIで提案募集
・7月の電力需要は6.4%増
・国交省が低炭素都市作りでガイドライン
・NEIFが定例会議
・明電舎が中国の太陽光認証を取得
・JFEエンジニアが集光型太陽こをを開発
・住友商事もシェールガス開発に参画
・ユーラスがノルウェーでウィンドファーム
・京セラが立てソーラーに太陽電池を供給
・三菱商事がカナダのシェールガス開発に参画
・住友商事が中国で新エネ開発事業を拡大
・伊藤忠と大ガスがエネルギー管理サービスで提携
・安川電機が太陽光向けパワコンを発売
・北陸電力がリチウムイオン電池の実証を開始
・昭和シェルの雪国メガソーラーが運用開始
・EV・PHVタウンで2次募集
・温泉コージェネ導入補助で2次募集
・経産省が温暖化対策2国間技術で公募
・新エネ財団が九州でセミナー
・エネ使用合理化シンポ開催
・サステイナブル都市再開発3件採択
・第56回バイオマスサロン  etc.

<インタビュー>
・小水力発電の開発に向けた課題と政策
(全国小水力利用推進協議会 事務局長 中島大氏)
 日本は国土のほとんどが山岳地帯で、かつ雨が多いという気候条件にある。豊富な河川水は、再生可能エネルギーの中でも、とりわけ水力発電の開発に適しているといえる。事実、自然環境への負荷が少ない小水力発電の開発に強い関心を持つ地方は少なくない。だが、現実には開発がさほど進んでいるという印象はない。小水力発電の開発はなぜ進まないのか。全国小水力利用推進協議会事務局長の中島氏に話をうかがった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革-- J かつてあった「低炭素『型』社会」=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・「新成長戦略」と分散型エネルギー そのB
 =EV・PHVタウン構想に見る次世代自動車の位置づけ=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士



コラム
発電論評<再生可能エネルギー電力の有効な使い方>
・プリズム<注目されるガスインフラ整備の行方>
・ちょっと一休<日比谷公園にある自由の鐘の修復再生運動>
・青空<めっきりテレビを見なくなった


再生可能エネルギー電力の有効な使い方【発電論評】

 太陽光発電設備などの小規模分散型の電源を受け入れるため、電力ネットワークのスマート化の実証試験が開始されている。需要側の情報を的確に管理することで、効率的なネットワークの運用を図ろうというものだ。
 政府は、太陽光発電の20倍計画をはじめ、20年までに再生可能エネルギーを1次エネルギーの10%するという計画を打ち出している。
 そのためには、電力ネットワークに大量の再生可エネルギー電源を受け入れる必要がある。そのために、スマートメーターを入れて、家庭など需要側の最先端に大量に設置される太陽光発電などからの逆潮電力の発生に対応しようとしている。
 電力会社側の懸念は、太陽光発電が大量に導入されれば電力需要の少ない時期に大量の余剰電力が低圧の配電系統で発生してしまうことのようである。5月のゴールデンウィークや年末年始などの電力不需要期には現実的に発生してしまう恐れがあるという。
 そのための対策として、電力需要の見える化を可能にする制御機器のカレンダー機能を活かして、余剰電力の発生が予想される時期には、あらかじめ発電量を抑制するようにしておくことが真剣に検討されている。しかし、これでは、せっかく導入した太陽光発電の電力は無駄に捨てられてしまうことになる。
 余剰電力の発生は今でも起きている。深夜の電力不需要時間帯には原子力発電の余剰電力が発生するためその対策として揚水発電などが置かれている。
 太陽光発電の場合は、余剰電力の発生が1年のうちのごく短期間に限られるため、揚水発電は効率的とは言えない。現実的な対策として有効なのは最近技術開発によってコストダウンが著しい蓄電池を整備することになるのだが、コストアップにつながるとして電力側は消極的な姿勢を見せている。
 というわけで、特定期間の発電抑制、つまり系統連系を遮断するということになるのだが、それはあまりに短絡過ぎると言えるのではないか。
 発電しても電力会社が引き取れない電気を蓄電池を整備して引き取るという事業者を育成するとか、石油の国家備蓄の制度を参考にして、必要な蓄電池を国や公的機関が整備するという選択肢もあるのではないか。また、太陽光発電に蓄電池を併設する場合は手厚い補助をするというのでもよい。蓄電池が需要側で整備されれば、余剰電力の発生もなくなり、買取コストがその分減ることにもなり、電気料金への上乗せ分もその分引き下げられることにもなる。
 再生可能エネルギーの大量導入の受け入れは既存の電力ネットワークに頼るだけではなく、地産地消型の低コストで効果的な方法がまだまだ考えられるのではないか。