2010.08.15


2010年815日号

非化石エネ利用の判断基準策定へ 経産省
 経済産業省は、化石燃料の高度利用を目的として昨年、制定・施行した「エネルギー供給構造高度化法」に基づく電力、ガス、石油各業界の判断基準について小委員会での検討作業を開始した。
 今年6月に策定された「エネルギー基本計画」に沿って、電力、都市ガス、石油のエネルギー供給事業者に、一定量以上の非化石エネルギーの利用を義務づけるための判断基準を策定する。
 高度化法は化石エネルギーの高効率利用の促進と非化石エネルギーの導入を2つの柱として、供給するエネルギーの低炭素利用を誘導的に規制していくことになっている。8月12日に開かれた小委員会での関連業界からのヒアリングでは、原子力の稼働率の向上や、固定価格買い取り制度の導入などによる再生可能エネルギーの拡大などによるゼロエミッション電源の拡大を中心に対応すること、ガス事業についてはバイオガスの導管受け入れや、オンサイトでの活用促進、石油についてはバイオ燃料の拡大の方向性などが示された。
 経産省では、ヒアリング結果などを踏まえて、次回の会合で基本方針と判断基準案を示して議論する。


低炭素ガス事業でコージェネ活用策など、WGで検討へ
 経済産業省は、低炭素社会のガス事業のあり方に関する検討会(座長・柏木孝夫東京工業大学統合研究院教授)の第2回目の会合で、大口需要家の天然ガス利用による低炭素化の取り組みの現状などについてヒアリング。天然ガスへの燃料転換の課題などについて議論した。
 同日の会合では、天然ガス導管が未整備なため、燃料転換を図るには技術的な課題やコスト負担が大きいこと、また、石油連動型のコスト構造であり燃料費が高いことなどの課題があるが、天然ガスへの燃料転換やコージェネの導入などによるCO2削減効果が大きいことなどの報告が行われた。
 検討会では、燃料転換の促進とコージェネの利用促進をテーマに検討を行うWGと導管網の拡充などインフラ整備に向けた対策を検討するWGを設置して検討を行い、年度末をメドにとりまとめを行う。
 コージェネの利用推進についての具体的な検討課題としては、@熱利用や面的利用の拡大の可能性について、導入コストの低減や系統電力とのコスト比較、熱主運転を行うための課題、スマートコミュニティでのコージェネの位置づけ。また、熱量やCO2削減の計測方法などについて検討、支援策や制度改正の必要性などが話し合われる。


スマグリ実証4地域、マスタープランを公表
 経済産業省はスマートグリッドなどを導入して高効率で低炭素型の社会システムを構築することを目指す「次世代エネルギー・社会システム実証」について、具体的な実証モデルを盛り込んだマスタープランを公表した。
 実証事業を行うのは、横浜市、豊田市、けいはんな学研都市(京都市)、北九州市の4地域で、応募のあった全国20地区の中から今年4月に4地域を選定し、地域からの提案内容をもとに詳細な実証事業について検討していた。
 実証地域では、マスタープランに基づいて今後5年間かけて、電気の有効利用や熱、未利用エネルギーを加えたエネルギーの面的利用、また、電気自動車を大量導入して展開する次世代型の交通システムやライフスタイルの変革などを複合的に組み合わせた「スマートコミュニティ」の実証を行うことになる。


有機排水からエネルギー回収 大阪ガスらが新技術実証へ
 大阪ガスは月島環境エンジニアリングと共同で、半導体工場や化学工場などで発生し処理が困難だった有機排水について、触媒による高速処理技術を開発。パイロットプラントを設置して実証試験を開始すると発表した。両社は低コストで低炭素な「エネルギー創出型廃水処理プロセス」として2012年の商品化を目指すとしている。
 化学工場などで発生する有機廃水は、重油などによる燃焼処理がとられているが、燃料コストがかかることや、大量のCO2が発生するなどの問題があった。開発した処理方法は、ニッケルを特殊処理した触媒に高温・高圧の廃水を通過させるだけで廃水中の有機物が高速で分解処理できるというもの。重油などを燃焼させる従来の処理方法に比べてCO2排出量が約110%削減でき、廃水処理コストも約40%削減できる。


その他の主な記事
・環境省が温暖化などで政策提言
・低炭素投資促進法を施行
・RPS取引価格は0.3円高
・環境金融で行動原則策定へ
・環境省がヒートアイランド対策支援先を決定
・環境省がJVER支援先を選定
・カーボン・オフセットモデル10者決まる
・エネソル&蓄熱フェア開催
・クリエイティブシティ建設へモデル地域
・三菱電機が新型太陽電池10月から
・ホンダソルテックが太陽電池で新商品
・太陽熱利用システム付きマンションを販売
・西日本環境エネルギーがインドでバイオマス発電事業
・中部電力のメガソーラーが着工
・JCBとオリックスが電力販売で提携
・JXと三井丸紅がLPガス事業統合
・農水省がバイオ燃料製造支援で2次公募
・9月にカーボン・オフセットEXPO
・冷凍空調学会がコージェネ技術セミナー
・バイオエタノール製造実証委託先決まる
・GT学会が教育シンポ
・バイオマス利活用講座を計画
・次世代風力発電の故障・事故対策調査委託先を公募
・CDM/JI調査シンポ2010を東京と大阪で開催
・PVJapan 2011は幕張で開催    etc.


<夏期特集>
・スマートエネルギー時代のガス事業の役割
 世界初の家庭用燃料電池として注目を集めるエネファーム。しかし、エネファームだけでなくエコジョーズやガスコンロなどの厨房機器、ミストサウナ、ガス温水床暖房と、家庭用のガス機器は進化をとげている。オール電化に対抗する、こうした最新のガス機器の情報はキチンと顧客に伝わっているのだろうか。低炭素社会を支えるエネルギー源として、天然ガスには新たな役割が期待されている。スマートエネルギーネットワークが目指される中、ガス事業がどのような方向を目指すのか。家庭用を中心に、都市ガス事業の取り組みについて東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス3社に話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池市場
・NEDOが燃料電池・水素でロードマップ
・海外ニュース
 -米UTCパワー社の燃料電池バス用スタックが7000時間の耐久性を実証
 -中国、燃料電池バックアップ電源の技術標準案をまとめる
 -欧州ブレンナー高速道路に再生可能エネルギーを利用した水素ステーションを建設
 -欧州連合による燃料電池自動車の走行実証プロジェクト、2011年からノルウェーでスタート
 -米プラグパワー社、加バラード社からの燃料電池スタックの供給契約を延長
 -U.S.Foodservice社、食品配送拠点に40台のパレットジャッキを導入
 -デンマークIRD社、ミニCHPの開発資金をEUなどから調達
 -米GM、PHV「シボレーボルト」のLIB、8年間または10万マイルを保証
 -シンガポールホライズン社、2010年末から携帯燃料電池「ミニパック」の販売開始
 -独SFC社が社名変更、オフグリッドアプリケーション開発にシフト
 -米バーバンクバス社、バーバンクで燃料電池PHVバスの実証走行を開始
・燃料電池フラッシュニュース
 -物質・材料研究機構、植物の光合成に匹敵する高効率の光触媒「リン酸銀」を発見
 -九州大学、水素で金属材料の強度が向上するという水素脆化の常識を覆す新発見
 -高山市、「乗鞍スカイライン」でFCVとEVの高所耐久性や燃費性能を調べる実証実験
 -パナソニック、太陽光発電と蓄電システムを組み合わせた実証試験開始
 -同志社大と関西電力、アンモニアを燃料とするSOFCの基礎技術を開発
 -物質・材料研究機構、大きさが揃った金属ナノ粒子を合成する手法を世界ではじめて確立
 -トヨタ自動車と米テスラ、RAV4をベースとしたEV試作車を開発
 -名古屋大学、世界最高の水素透過性能をもつニオブ系合金膜を開発
 -伊藤忠商事、ノルウェーのシンク社と資本・業務提携
 -太陽光発電協会、2009年度の太陽電池の出荷量を発表      etc.

・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会「第132回定例研究会」 9月10日(金)13時〜17時30分 東京大学医学部 鉄門記念講堂(東京都文京区) WHEC概要と水素利用技術の動向 軽油を用いた内燃機関用小型水素製造器の開発 醗酵法水素 ブンゼン反応 水素貯蔵全般+窒化ホウ素吸蔵材 MH−NH3システムによる高圧水素製造 千代田化工の水素サプライチェーン構想への取組み JXの水素エネルギー社会実現への取組み 都市ガスからのCO2回収を伴う水素製造とクリーン・グリーン水素利用

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(36)
 =「GDM」は受け入れられるのか=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(24)
 <振り出しに戻った気候変動国際交渉>


コラム
・発電論評<再評価進むガスコージェネ>
・ちょっと一休<早すぎたラガーマンの死>
・青空<インフラは人体の下半身なのだ>
・ちょっと一言<電力会社のスマート戦略の限界>


再評価が進むガスコージェネ【発電論評】

 低炭素社会に必要な化石燃料として天然ガスが位置づけられている。化石燃料の中では低炭素であることと、石油に比べると今後とも引き続き安定供給の可能性が高いということがその理由である。
 そうした背景から、早速検討が開始されているのが、低炭素時代のガス利用のあり方。経産省が検討の場として設置した検討会では、ガス導管のインフラ整備とコージェネレーションの拡大という2つのテーマが掲げられている。
 高度利用の方向は、再生可能エネルギーとの組み合わせと、高効率に使い尽くすということの2点に収束される。そしてそれを可能にする現実的なシステム技術がコージェネレーションということになる。
 コージェネの導入量は約900万kW程度で、その約半分はガスコージェネである。
 コージェネシステムの発電効率は燃料電池にしてもエンジンコージェネにしても40%〜50%程度で、石炭火力や石油火力と変わりはしないが、熱供給用の熱源が必要なくなり、省エネになる。そのためコージェネの熱効率は80%から90%となり、極めて高い効率で無駄のないエネルギー利用ができる。まさにエネルギーを使い尽くすことができるのである。
 しかしながら、コージェネにも弱点がある。それは、熱と電気の需要量が常に一定ではないため、余った熱や電気は使われないままに捨てらてしまうこと。そのためカタログ通りの熱効率で運用することが難しい。これではせっかくのコージェネの高効率性が無駄になってしまう。また、設備費や燃料費も導入メリットを出すことを難しくさせるという問題もある。
 コージェネの拡大を目指すのであれば、こうしたことが解決されなければならない。拡大にはコージェネを使い易くするための工夫が必要なのである。
 発生した熱と電気エネルギーを無駄なく使うための工夫としては、まず、蓄熱と蓄電技術が必要だ。貯めることによってより無駄のないエネルギー利用が実現できる。また、運用コストの低減をどう実現するかも課題。しかし、蓄電については、自動車用の蓄電池の開発競争が急ピッチに進み、大幅なコスト低減にメドがつきそうになってきた。
 制度的な課題は、系統連系だろう。連系がコスト的にもやりやすくなると、現在は、ほとんどが自家利用に限られているコージェネ電力が、コージェネを使ったエネルギーサービス事業として展開できる道が開ける。これに、再生可能エネルギーを組み合わせることで、より低炭素なエネルギーシステムとすることもできる。
 コージェネによって可能になる新たなエネルギーサービス。その実現に向けた取り組みに期待したい。