2010年725日号

川崎重工、バイオマスガス化GT発電の実証事業を完了
 川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、高知県仁淀川町で取り組んでいたバイオガス発電の実証試験を完了したと発表した。
 仁淀川町がNEDOから「バイオマスエネルギー地域システム化実験事業」として委託を受けた事業で、自社開発した木質バイオマスガス化発電システムとペレット製造設備を使って、木質バイオマスによる小規模分散型としては世界で初めてとなる流動層ガス化・ガスタービン発電設備や、ペレット製造設備など実験事業の中核となるプラントを設置し、低カロリーガス燃焼技術を採用した独自のシステムで3年間にわたりプラントの実証運転を行った。
 安定して150kWの発電運転を行うとともに、年間約600トンのペレットを製造、周辺の4施設に安定供給した。バイオマス利用によるCO2削減効果は年間約800トンが確認できている。
 実証試験では、約650度Cで木質バイオマスを熱分解してガス化、タール成分を含む生成ガスをそのままガスタービン燃料として使用し発電運転を行った。従来は、処理が困難とされ、除去または分解の工程が必要だったタール成分も、ガスタービンの燃料として利用できるシステムであるため、同規模の燃料を直接燃焼し蒸気タービンで発電する方式に比べると約3倍の高効率の発電が行える。ガス化燃料の原料には林地残材の破砕物を利用した。
 NEDOの委託事業としての実証試験は終了したが、仁淀川町は、実験終了後もバイオガス発電とペレット製造設備の運用を継続していく。


国内初の本格的な洋上風力が運開 風車は富士重工業・日立製
 富士重工業と日立製作所は、共同開発した2千kWの大型風力発電システム7基を、茨城県内で風力発電事業を展開しているウィンド・パワー・いばらき(小松崎衛社長・本社 水戸市)が建設する国内初の港湾外洋上風力発電施設となる「ウィンド・パワー・かすみ風力発電所」に納入、本格的な稼働を開始したと発表した。
 ウィンド・パワー・かすみ発電所は、鹿島湾に面した洋上約50m沖合の海上に約2kmにわたって2千kWの大型風車7基(合計1万4千kW)を直線上に配置した洋上ウィンドファーム。富士重工業と日立製作所が共同開発した2千kW機は、風下側で風車が回転するダウンウィンド方式を採用した風車で、台風などの突風に対しても構造部への負担が少ないなどの特徴がある日本向きの風車として開発されたもの。2千kW級の大型風力発電システムでダウンウィンド方式を採用したのはこの共同開発機が世界でも初めてだという。富士重工業がナセル・ブレードとタワーなどの風車本体を製造し、日立が営業・パワーコンディショナーなどの製造と据え付け工事を担当した。
 ウィンド・パワー・かすみは、港湾外の外海に設置された国内で初めての風力発電施設となる。日本の風力発電所は、これまでに約220万kWの風力発電が導入されているが、ほとんどが風況のよい陸上の山間部などに建設されており、海上での導入例はほとんどない。この鹿島での洋上ウィンドファームの建設は、国内での本格的な洋上風力開発の先駆けとなるものとして期待される。


09年度RPS義務履行状況、RPS発電量は9億5千万kWh増加
 資源エネルギー庁は、09年度のRPS法の義務履行状況をまとめ、全ての対象となる電気事業者が義務量を達成したと発表した。対象となった電気事業者は電力会社10社、特定電気事業者5社、特定規模電気事業者27社、合計42社。義務量の総量は91億7007万kWhだった。
 電気事業者のうちの21社と発電事業者のうちの12社は余剰分を翌年度にバンキングした。バンキング量は電気事業者が63億1572万2千kWh、発電事業者が9千万9千kWh、合計64億573万1千kWh。
 09年度中に供給されたRPS電力の総量は88億7316万2050kWhで、前年度より約9億5500万kWh程増加した。このうち、11月から始まった太陽光発電の買取制度によって義務量の対象外となったカントリ太陽光の電力量は2億6482万3231kWhだった。


東京都の排出量、08年度は2.4%減
 東京都環境局は、08年度の都における温室効果ガス排出量(速報)をまとめ公表した。温室効果ガス排出量は6万6200トン/CO2で前年度比2.4%減。2000年度比では7.1%の増加となった。原子力発電の長期停止の影響を除いた場合(電力の排出係数を01年度に固定して算出)では、前年度比で1.2%の減、00年度比では6.5%の減となる。
 CO2排出量の部門別の推移をみると、業務部門の伸びが大きく、00年度比で10.3%の増となった。エネルギー消費量は、前年度比で2.5%の減、00年度比では7.3%の減となった。


その他の主な記事
・東北大と東北電力が海藻から高効率エタノール製造技術を開発
・明電舎がタイのマイクログリッド実証プラントを受注
・三菱重工がブルガリアの風力クレジットを日本に移転
・GSユアサが中容量のUPSを開発
・沖電線が低損失電線を開発
・日産が充電器設置工事もワンストップサービスで
・ホンダが電気自動車を開発へ、次世代モビリティーの実証も
・ブリジストンが太陽光発電用封止膜の生産設備を増強
・中国のスマートグリッドプロを2件受注
・豊田織機が秋に新型充電スタンド
・GSユアサが中容量のUPS4機種
・NEDOが省エネ設備導入補助で説明会
・バイオマスタウンアドバイザー養成研修で受講生を募集
・環境省が政策評価で意見を募集
・EHP補助で第3期の募集を開始
・ヒートポンプ蓄熱フェア開催へ
・国交省がクリーンエネルギPFI事業を提案募集
・省エネ革新技術で2次募集
・スマグリとEVの展示会を開催
・4月末のRPS認定設備
・GEがスマートグリッドの研究テーマを公募
・環境技術の海外移転など8月のSSKセミナー
・スマートコミュニティなどで8月のJPIセミナー  etc.


<インタビュー・ 地方ガス会社の戦略>
・東ガス時代の経験活かし、高いオール電化率にストップ
(千葉ガス社長 田辺勇治氏)
 地方ガス会社の低炭素エネルギー時代へ向かう事業戦略を聞くシリーズ。今回は、千葉瓦斯。日本の玄関口であり今後、発着枠の拡大が期待されている成田空港に都市ガスを供給しているのが千葉ガスである。需要開拓とインフラ整備を両輪に、事業展開を進める都市ガス事業者の田辺勇治新社長から出たのは、積極的な営業戦略を中心に会社を引っ張っていこうという強い思いだ。



シリーズ連載
・日本版グリーンニューディールを考えるK
 =環境世界市場へ挑む条件は集中投資とシステムとスピード感=
 (井熊 均・日本総合研究所 創発戦略センター所長)
・カーボン・マネジメント入門(35)
 =太陽光発電の普及で起きる配電網の変化=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)




コラム
・発電論評<スマートグリッドとマイクログリッド>
・ちょっと一休<石巻のおいしかった魚>
・青空<暑いのなんのって!>
・霞ヶ関から<環境省の幹部人事>


スマートグリッドとマイクログリッド【発電論評】

 最近のエネルギー関連の話題といえばスマートグリッドばかりという様相だが、その中心は、双方向通信機能を持つスマートメーターを需要側に設置してエネルギー需給の最適化を図るという、スマートメータの話に偏りがちになっている。
 スマートメーターを入れることで需要側の情報をリアルタイムに入手し、需給の無駄をなくすという考えだ。また、スマートメーターを設置することでリアルタイムの個々の需要情報が入手できるようになり、検針や計量も遠隔監視で自動化できるようになる。これらはいずれもが、電力事業者側にたった見方であり、系統をスマート化する本質的なものとは言えない。
 系統をスマート化するという考えは、出力の不安定な再生可能エネルギーを大量に受け入れるために、需要側に設置されることが多い太陽光発電などの小規模分散型電源のリアルタイムの発電情報が必要だという考え方であったはず。需要側からも逆潮流があり、供給と需要がリアルタイムで入れ替わることもある全く新しいネットワークが必要になるということで、「次世代型ネットワーク」と冠される所以がここにある。
 これまでの電力供給の常識は、遠隔地の原子力発電所や水力発電所、火力発電所などで発電された電力を消費地である都市まで送電して使うというものであり、需要側が発電所を持ち、系統側へ送電するということは考えられていなかった。
 電力系統のスマート化によってもたらされるメリットは、分散型の小規模な低炭素電源を大量に受け入れても安定的なネットワーク運営が可能になるという事であり、現状の電力系統を補完・補強することに主眼が置かれるべきではないだろう。
 太陽光発電は日本では住宅用を中心に普及が進んでいる。今後も住宅用太陽光は普及の中心として位置づけられている。電力会社の危惧は、家庭につながる低圧の配電網はもともと逆潮電流の存在を前提としたものではないため大量の逆潮電流は受容しきれない恐れがあるということで、太陽光発電の発電規制を求める事態になっている。
 既存のネットワークの運用の中に大量の計画外電力の受け入れを強制するので、こうした問題が顕在化してしまうのであり、例えば、小規模分散型の電源を集めて地産地消型の地域のマイクログリッドを構成し余剰電力を地域間で相互融通するという仕組みがあれば、こうした問題は避けられるのではないか。既存の電力ネットワークとは少し異質な地域のネットワークを既存の電力系統とは別に作るという発想である。
 次世代型のネットワークの形成は、既存のネットワークの延長線上にはないと思うのだがどうだろう。