2010.07.15


2010年715日号

浄化センターに25kWのバイオガスコージェネ16台を納入 ヤンマーエネルギー
 ヤンマーエネルギーシステムは、佐賀市の下水浄化センター用のバイオガスコージェネシステムを受注したと発表した。下水浄化センターで発生する未利用の消化ガス(バイオガス)でガスエンジンコージェネを運転し、発電と同時に排熱を有効活用することで、CO2の排出抑制とセンターで利用するエネルギーコストを削減する。
 導入するガスエンジンコージェネは、25kWのバイオガス仕様マイクロコージェネを、16台設置し、400kWの発電と熱供給を行う。年間の発電量は、補機で使用する分を除いて約317万7千kW時を想定。これは、同センターで1年間に使用する電力量のほぼ半分をまかなうことができ、電力料金が約3400万円削減できる。さらに、排熱を利用することで消化槽の加温用ボイラーの運転費用も約500万円低減できる。CO2排出量は年間約117トンの削減が期待できる。工事期間は6月25日から来年3月15日まで。契約金額は約2億9千万円。
 佐賀市は昨年12月に同事業の参画社を募集し、1月にヤンマーを含む3者からの提案を設置コスト、維持管理コスト、年間発電量などを総合的に審査してヤンマーの提案を最優秀者として選定していた。「事業費の55%を国からの交付金でまかなうため、実際に市が負担する費用は5.8年で回収できる」(佐賀市)。
 同センターでは、発生する消化ガスの2割程度を消化槽の加温ボイラーの燃料として利用していたが、残りの80%分は焼却して大気中に捨てていた。余剰ガスは1日平均で約4800立方m発生しており、この未利用の余剰分の有効活用を検討していた。
 ヤンマーは、98年から都市ガス・LPガス仕様のマイクロコージェネを市場投入しており、現在では5〜35kWでの4機種を、バイオガス仕様で25kW機を販売しており、累計販売台数は4500台を超えている。


環境省がCO2排出規制枠に製品貢献分を反映へ、制度化を検討
 環境省は、制度の検討を進めている国内排出量取引制度で企業の排出枠を設定する場合に、企業が実際に排出するCO2だけでなく、企業が製造する省エネ製品などが流通・利用されることによるCO2削減効果も排出枠の算定に反映させるという方針を明らかにした。
 7月9日に開催された、中央環境審議会の国内排出量取引制度小委員会の席で、南川大臣官房審議官が「重要なことは全体でどれだけ削減できるか」であり、「一部で削減効果のダブルカウントがあってもやむを得ない」と述べ、製造する製品の省エネ・省CO2効果も企業の排出枠の設定に反映させることで、企業側の理解を引き出す方向で制度設計を進めることを求めた。
 環境省は、国内排出量取引制度では、政府与党の25%削減を前提に、排出総量を規制するキャップ&トレード型の制度設計を進めており、規制される産業界側の反発が大きかった。ただ、製品のライフサイクル全体でのCO2削減効果をどのように算定するのかについては難しい問題もあり、今後の議論の行方が注目される。


科学技術アクションプランでも低炭素エネシステムを重要施策に
 総合科学技術会議は、政府が先月まとめた「新成長戦略」で重要課題として位置づけられているグリーンイノベーションとライフイノベーションを推進する内容の「11年度科学・技術重要施策アクションプラン」をまとめ発表した。グリーンイノベーションでは、燃料電池やリチウムイオン電池、太陽光発電、スマートグリッド、木質バイオマスの開発などを特に取り組むべき課題として取り上げ、関係省庁が連携して重点的に取り組む。
 グリーンイノベーションでは、低炭素・自然共生・循環型社会の実現を目指し、エネルギーの供給側と需要側、また制度やインフラ整備の観点から、エネルギー供給面では「再生可能エネルギーへの転換」と「エネルギー供給・利用の低炭素化」、需要面では「省エネ」、制度・インフラの充実では「インフラのグリーン化」を主要課題として設定。@太陽光発電の飛躍的な性能向上と低コスト化の研究開発A木質系バイオマス利用技術の研究開発B蓄電池・燃料電池の飛躍的な性能向上と低コスト化の研究開発C情報通信技術の活用による低炭素化D地球観測情報を活用した社会インフラのグリーン化の5つの施策パッケージとして展開する。


エネサーブ、多機能次世代型の大型リチウムイオン電池システムを販売
 エネサーブは、エリーパワーと共同開発した多機能次世代型の大型リチウムイオン電池システムのレンタル販売を開始した。システムは50kW時のリチウムイオン電池を搭載、インバーター、システム制御盤と組み合わせて電源装置として使用する。半導体製造工場やイベント会場での無停電電源装置(UPS)、災害時や停電時の非常用電源などの用途を想定している。蓄電池による電源装置なので急激な付加変動に対応でき、また、太陽光発電などの出力変動の大きい電源の出力安定化や電気自動車の充電装置用の電源などとして幅広い用途が期待できる。
 販売はレンタル方式で行い、24時間の遠隔監視を行うことで高信頼性のシステム運用を行うことができる。月額のレンタル費用は20万円から30万円程度となる見込み。複数の蓄電池を組み合わせることで多様な出力規模の電源装置として展開できる。


その他の主な記事
・風力発電協会が国内導入量を予測
・九州電力が風力の応募状況を発表
・中国電力が分散型電源の遮断システムを実証試験
・太陽光発電協会が無料の工事講習会
・科学技術アクションプランを発表
・東芝がリチウム電池を量産へ
・パナソニックがリ電池と太陽光の組み合わせを実証
・カワサキプラントがドイツから排熱発電を受注
・明電舎が東京電力からメガソーラーを受注
・日立と三菱2社が水力発電事業を統合
・東京ガスが集合住宅用のエコジョーズを発売
・農水省が太陽光補助を追加募集
・三洋電機が太陽光の論文を募集
・革新的太陽光追加公募、日欧で集光型太陽光を開発
・省エネ革新技術2次募集で説明会
・大連の環境パークが日本で誘致説明会
・エコプロダクツの募集を開始
・NEDOが新エネ成果報告会を予定
・コベネフィットモデル事業で1件採択
・サスティナブル都市開発モデル公募
・第1回エコオフィスEXPOを開催
・排ガス対策原動機と建機、低騒音建機    etc.


<インタビュー>
・都市ガス会社トップクラスに聞く 新時代の経営戦略
(京葉ガス 取締役企画部長 羽生弘氏)
京葉ガスは、市川市など千葉県北西部を供給区域とし、需要家件数では日本で第5位の中堅都市ガス会社。需要家の97%が一般家庭だが、このことは、需要家に一番近いところで仕事をしている都市ガス会社ということもできる。地方都市ガス会社が、低炭素時代を迎えるエネルギー競争が激化する中で、どのような将来像を描いているのか。今回は京葉ガスの経営戦略を中心に、取締役企画部長の羽生氏に話をうかがった。



燃料電池新聞の主な記事
・燃料電池自動車の開発の現状
・NEDOが燃料電池・水素で研究成果成果報告シンポ
・海外ニュース
 -シンガポール初の燃料電池バス、ユース五輪会場で参加者を送迎
 -米New Havenの複合ビル、400kW級PAFC燃料電池コージェネを導入
 -米エナーフューエル社、燃料電池を利用したEVのレンジエクステンダーを開発
 -ワルチラが自動車運搬船の補助電源としてWFC20を納入
 -英リバーシンプル社、英国の2都市で2人乗り燃料電池自動車の走行実証試験を計画
 -米クリーンエッジパワー社、韓国LSIS社に5kW級燃料電池CHPを800台供給
 -英インテリジェントエナジー社など、ロンドン市役所で開発中の燃料電池タクシーを公開
 -現代・起亜自動車、2012年に燃料電池自動車の少量生産開始
 -米MTI社、マイクロ燃料電池の消費者向けフィールドテストを開始
 -米パーデュー大学、アンモニアボランから水素を低温で取りだす熱水分解技術を開発
 -英イリカ社、台湾の工業技術研究院と共同で非白金系触媒の量産開始
 -デンマークサーエナジー社、英マイクロキャブ社にFCV用の3kW高温型燃料電池システムを供給
 -英パイクリサーチ、燃料電池自動車の販売台数は2020年で67万台と予測
 -ホライズン社、手のひらサイズの燃料電池「ミニパック」の仕様を公開
 -欧州委員会の水素・燃料電池JU、総額8910万ユーロ(98億円)規模の企画提案を募集
 -独ヘリオセントリス社、燃料電池とLIBを組合わせるエネルギー管理システムを開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -太陽ステンレススプリング、PEFC用金属セパレータの受託加工事業を開始
 -エルピーガス協会、「エネファーム1販売店1台運動」の実施で「エネファーム」2万7000台購入を計画
 -富士通など、ENEOSセルテックの「エネファーム」統合生産管理システムを開発
 -新日本石油、岐阜県の商業施設に「環境対応マルチエネルギーシステム」を試験導入
 -日産、EV用リチウムイオン電池の生産能力を年9万台にアップ
 -新出光、大牟田市にバイオマス水素製造プラントを建設
 -大阪ガス、「スマートエネルギーハウス」実用化へ実証試験
 -東芝、三菱自動車とリチウムイオン電池を共同開発
 -トヨタ、昭和シェルなど、FTCと水素化バイオディーゼルとの混合液体燃料のHEVバス実証運行開始
 -大阪ガス、FCコージェネの早期普及に向け「家庭用コージェネレーションシステム開発部」を発足      etc.

・燃料電池インフォメーション
 ■燃料電池開発情報センター(FCDIC)「第24回燃料電池セミナー 今着目されている小型燃料電池のこれから」8月25日(水)10時〜16時30分 タワーホール船堀(東京都江戸川区) マイクロおよびポータブル燃料電池の研究開発動向」、「携帯情報端末の進化とマイクロ燃料電池」、「小型ポータブル燃料電池用材料の開発」、「ポータブルFC電源の開発状況と商用化の展望」、「小型燃料電池向け電極触媒の高活性化」など講演

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(34)
 =日本の省エネ技術は認められるか=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(23)
 <米国の気候変動法案の構図>


コラム
・発電論評<排出量取引制度と環境省の新たな提案>
・ちょっと一休<朝日新聞の仲間と石巻漁港へ>
・青空<長雨には参った!>
・ちょっと一言<インターフォン会社のスマートグリッド>


排出量取引制度と環境省の新たな提案【発電論評】

 参議院選挙が終わり、国会に再び「ねじれ」状態が戻ってきた。その影響もあり、前国会で廃案となった温暖化対策基本法案の成立が困難になったと伝えられている。
 廃案となった基本法案は、25%削減という中期目標の達成を前提として環境税や国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の導入を国内対策を進める3つの柱として盛り込んでいたが、法案の行方がにわかにわかりにくくなってしまったことで、制度設計の方向にも大きな変更が求められる事になりそうだ。
 国内排出量取引制度については、環境省はこれまでの方針を転換して、企業などの排出規制に直接の排出量だけでなく、製造する製品が使用されることで削減できる間接的な削減効果も反映できるようにするという方針を打ち出した。それによって省エネ・省CO2製品への転換が進み、結果的に全体としてのCO2削減が進むという企業側の要望を取り入れることにした。  
 排出量の総量にキャップがかけられてしまうと、製品の生産量が増えればそれに比例して排出量も増えてしまうため排出枠が守れなくなり、外部クレジットを購入するなどしてコストをかけて対策を進めなければならないことになる。つまり総量規制は企業の成長にペナルティーを与えるという制度になりかねないとした強い反対意見に対する一つの緩和措置として認めようというものだ。
 省エネ・省CO2効果がある製品を使用するユーザーの削減分も、製造した企業の削減分として一部を認めようというのが今回の提案であり、これまでの排出量取引制度の議論を根本的に変えるものとして注目されている。
 そもそも排出量取引制度は、自社で目標以上に削減できた排出量をクレジット化して売却したり、逆に自社の削減量が目標に届かなかった場合にクレジットを購入して補填することを認め、全体の削減効果を押し上げていくというものである。しかしながら、クレジットにCDMクレジットなどを認めると、国内での削減には結びつかないということも懸念されている。
 そうした中で製品のライフサイクルによる削減効果をクレジットとして、製造した企業に認めることはおもしろい試みと言えるのではないか。
 それによって、製品の省エネ・省CO2度が競われ、結果的に社会全体の削減に効果が上がるのであれば、斬新な削減クレジットになるといえる。製品が使用される削減量をどのようにカウントするのかなど、実際の制度化には難しい問題が多くあるが、環境と経済成長を両立させるという基本に立ち帰って、実のある制度設計の議論となることを望みたい。