20010年75日号

再生可能エネ、PPSにも買い取り義務
 経済産業省は、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の導入を決めているが、詳細な制度設計の議論を2つのWGを設置して開始している。
 6月30日には、「次世代送配電システム制度検討会」の第2WG(座長・金本良嗣東京大学大学院教授)の第1回会の会合を開き、再生可能エネルギー電力の買い取り義務者や電気料金に上乗せされるコストの計算方法などについて議論した。
 会合では、買い取りを行うことが義務づけられる者として、これまで電力会社だけを想定して制度設計が進められていたものを、PPSも加える方向で議論が進められた。買い取り義務を電力会社だけに限定した場合、原子力発電や大規模水力などの大規模なCO2ゼロ電源を持たないPPSにとって、再生可能エネルギー電源が実質的に電力会社に囲い込まれることになってしまい、再生可能エネルギーからの電力調達が実質的に閉ざされることになるとして見直しを要望していた。
 同日の議論では、PPSも買い取り義務者とすることや、固定価格買取制度で決められる「基準価格」以外の取引が行えるようにする方向性が示され、原則的に合意された。
 基準価格外の取引による再生可能電源のコスト回収については買取制度による固定価格分だけを認めることにする。基準価格を超える部分は買い取った電力会社やPPS自らが電気料金に上乗せするなどして独自にコスト回収する。
 また、買い取った再生可能電源の「環境価値」の配分についても議論され、負担に応じて配分するという原則が示された。


中長期ロードマップで「真水」15%も検討
 環境省の中長期ロードマップ小委員会(委員長・西岡秀三国立環境研究所特別客員研究員)は6月30日に都内で会合を開き、論点整理を行った。
 小委員会では冒頭、南川大臣官房長が「国内対策(真水)と海外クレジット調達分の内訳については、これまで外交交渉の問題などもあり必ずしも明確にしていなかったが、国内で15%、海外分が10%のケースなどについても内部での検討は行っている」として、今後は真水15%など複数のケースについても小委員会で具体的な議論を進めることを提案、国内対策の内訳についても複数案を検討していくことにした。
 現在示されているロードマップ案は25%削減の中期目標の達成を前提に、必要な対策を積み上げる形で示されているが、25%のうち国内削減分と海外クレジットなど依存する内訳が明確でないことや、再生可能エネルギーの導入見積もりの根拠が必ずしも明確でないなどの点で批判されることが多かった。


大阪ガスが家庭用コージェネ・燃料電池拡大へ専門組織
 大阪ガスは、家庭用燃料電池の普及を加速化させることを目的に、リビング事業部に「家庭用コージェネレーションシステム開発部」を設置した。家庭用燃料電池の開発から販売・メンテナンスまでを一元化して取り組み、技術開発から商品化まで一貫して迅速に行える体制を整える。
 昨年6月から販売を開始している「エネファーム」の累計販売台数は今年5月末までに1860台と、家庭用のエネルギーシステムとしては高額であるが、好調な販売実績を上げている。大阪ガスでは、エネファームと太陽光発電を組み合わせた「W発電」の採用件数の増加もあり、家庭部門でのCO2削減に貢献できるエネルギーシステムとして販売を強化していく方針で、普及拡大に向け専門組織を立ち上げることにした。次世代型燃料電池として期待されるSOFCの技術開発の取り組みや、ガスエンジンコージェネシステムもあわせて家庭用コージェネの技術開発から製品販売、メンテナンスまでを一元化した体制で総合的に取り組み、コストダウンを加速化させていく。


NEDOが太陽光「世界一」奪還でプロジェクトを始動
 NEDOは、太陽光発電「世界一」奪還プロジェクトを始動させる。太陽光発電は世界市場の急拡大で各国の開発競争が激化しており、市場規模では欧州に、生産量では中国・台湾など新興国メーカーなどに日本は押され気味。こうした現状をうち破り次世代型の高性能太陽電池の開発を加速化させオールジャパンで世界競争にうち勝っていくことを目指して、研究開発が必要な七つの分野で委託先などを決め研究開発体制を整えることにした。
 世界一奪還を目指す「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」の委託先として採択されたのは21件のテーマで、20年に現状の20倍の太陽光発電の国内導入を実現するという政府の導入目標の達成や、国内の太陽光発電産業の育成強化を目的とした研究開発テーマで、新材料の開発などを5年計画で実施する。


その他の主な記事
・環境省の排出量取引の検討状況
・スマートメーター検討会が第2回の会合
・政策手法WGで排出量取引を議論
・再生可能エネ世界フェアが横浜で開幕
・京セラが太陽光の顧客管理システムを構築
・パナソニック電工が産業用太陽光に注力
・大阪ガスが、家庭用コージェネの専門組織
・京セラがトヨタのプレジャーボートに太陽電池を供給
・三菱電機が太陽電池モジュールを大型化、設置工事が簡略に
・ユアサらがリチウム電池の再利用モデルを事業化へ
・東洋紡が太陽電池のバックシート用フィルムを販売
・フジプレアムが太陽電池の軽量化に成功
・EVEX&CSF2010開催
・NEDOが太陽光研究開発委託先決定
・NEDOが地熱調査を委託
・スマートエナジーが国内クレジットで養成講座
・エネ研が環境・エネ講座
・NEDOが次世代型HP開発で9件を採択
・NEDOが使用合理化の補助先217件を発表  etc.

<インタビュー・エネルギー基本計画改定のポイント>
・海外でも競争に勝てる産業体質に
(経済産業省 大臣官房総括審議官 上田隆之氏)
 2030年までのエネルギー政策の方向性を示す次期「エネルギー基本計画」が6月18日に閣議決定された。低炭素社会に向けて太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大や原発の増設、エネルギー安定供給の確保といった内容が並ぶが、政府の真の狙いはどこにあるのだろうか。低炭素高度利用を掲げエネルギー産業構造転換を迫る。こうした点について、経済産業省総括審議官の上田隆之氏に話をうかがった。

<インタビュー・スマートエネ時代の企業戦略>
・グリーン電子部品で低炭素社会に貢献
(アルプス・グリーンデバイス社長 藤井康裕氏)
 今年5月、電子部品メーカーのアルプス電気は産業革新機構とともに、環境の時代に向けた新会社、アルプス・グリーンデバイスを設立した。低炭素社会の構築に向けて、電気自動車や再生可能エネルギー発電システム、スマートグリッド関連機器などさまざまな技術開発が進められている。だが、それを支えるのは高効率な電子部品デバイスだ。新会社の戦略について、藤井康裕社長に語ってもらった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--H 環境エネルギーの課題を産業化する=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・<新>「新成長戦略」と分散型エネルギー その@
 =「産業構造ビジョン」に見る日本産業のあり方=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士



コラム
発電論評<太陽光発電の出力抑制の疑問>
・プリズム<厳しさ増す政府の補助金交付姿勢>
・ちょっと一休<新装なった小学校の校舎を見学>
・青空<サッカーW杯、ベスト8ならず>


太陽光発電の出力抑制の疑問【発電論評】

 再生可能エネルギー電源からの固定価格買取制度によって太陽光発電の大量導入が目指されている。発電した電力を国が決めた高額の基準価格で電力会社に買い取らせ、電気料金に上乗せしてコスト回収する。導入費用が10年程度で回収できることが価格設定の目安とされている。
 これまで、再生可能エネルギー促進の手段としては導入補助やRPS法などによっていたが、力不足で国際的にも遅れているのが現状。そうした遅れを解消するために考えられたのが今回の固定価格買取制度である。先行して実績を上げた欧州を見習って制度の導入が目指されている。
 その制度設計議論の中で、ゴールデンウィークや年末年始など電力需要が少ない時期には大量の電力を受け入れるのが困難なので、太陽光発電の発電を抑制するという方向が固まりつつある。「電気が余っているので引き取っても処分に困るので引き取れません」という理屈だが、これは買い取る側の一方的な言い分であり、制度の趣旨をゆがめてしまうことになるのではないか。全量買い取りといいながら、都合によって引き取らない時期や期間を認めてしまうということは、ゴールデンウィークや年末年始というごく限られた期間にとどまらず、供給が需要を上回る恐れがある日や時間帯には、電力会社の買取義務をはずすという制度に変質してしまうことにつながりかねない。
 国内の風力発電はRPS法の下でも、電力系統に受け入れる余力がないということを理由に系統連系を制限されてきたという現状がある。系統連系の要望の全てを満たすことができないため、風力発電の連系は抽選によって決められることが多い。このことが、日本の風力発電の開発が進まない最大の障害となっていることはよく知られていることであるが、今回の太陽光発電の出力抑制の議論もこれとよく似た図式であるといえる。
 太陽光や風力などは、資源の乏しい日本にとってはCO2を発生せず、燃料費もかからないという貴重な国産のエネルギー資源である。そうした貴重な国産資源をいかに無駄なく最優先で使い切るためにはどうするべきかを考えるということが本来の制度導入の趣旨であるはずで、「余るから捨てる」というのは短絡過ぎる議論だといえるのではないか。
 例えば買い取った電力の売買を認めれば、安く買って蓄電して置き、ピーク時に高く売るという新たな電力ビジネスが生まれる可能性だって考えられる。貴重な再生可能エネルギー電力をいかにして有効に活用するという観点からの制度設計の議論を望みたい。