2010年625日号

経済産業省がエネルギー革新技術計画を策定へ
 経済産業省は、新たに策定されたエネルギー基本計画や新成長戦略で、今後、日本が環境エネルギー大国を目指してエネルギーの低炭素化を図る道筋を明らかにするために「新たなエネルギー革新技術のロードマップの策定」が求められているとして、再生可能エネルギーに関する技術開発や技術の国際展開などを盛り込んだ「新たなエネルギー革新技術計画」を策定することにした。7月に中間取りまとめ、12月末をメドに最終的な計画として策定する。
 革新技術計画には、長期的なCO2の大幅な削減とともに今後さらに飛躍的な性能向上が期待できるものとして21の技術分野を抽出、重点的かつ計画的に技術開発を推進する必要があるものとしてロードマップ化する。太陽光発電やCO2回収貯留技術(CCS)、原子力発電などを「引き続き重点的に取り組むべき技術」として掲げるほか、日本国内では思うように普及がはかどっていないが世界的には大幅な拡大が続いている風力発電についても新たな革新技術として必要な対策をロードマップとして示す。また、開発を加速化させる必要があるとの観点から、「革新的製鉄プロセス」や「次世代高効率照明」などをあげ、技術開発を前倒しすることや新たな要素を盛り込んだ革新技術開発計画とする。さらに、「エネルギー技術の世界規模での普及を推進」する事を目的に、開発した革新技術やシステムの国際展開に必要な支援のあり方についても検討する。


政府が新成長戦略、環境エネルギーなど7分野で
 政府は、6月18日、新成長戦略を閣議決定した。昨年末に発表した基本方針にそってロードマップを含めた実行計画として取りまとめた。
 新成長戦略では環境・エネルギー、健康、アジア経済、観光立国・地域活性化、科学・技術・情報通信、金融など7つの戦略分野を次世代の成長分野としてとらえ、21の国家プロジェクトで約300の施策を展開、2020年度まで平均で2%以上の経済成長が目指される。
 環境エネルギー分野での戦略としては、「固定価格買取制度」の導入による再生可能エネルギーの急拡大と、「環境未来都市」構想、森林・林業再生プランの3つを成長戦略の柱として位置づけた。
 固定価格買取制度では、対象をこれまでの太陽光発電から風力、中小水力、地熱、バイオマス発電に拡大し全量買取方式を軸にした政策パッケージとして展開する。具体的には、スマートグリッドの導入や系統運用ルールの策定、系統連系量の拡大などを通じて電力システムの高度化を図るほか、風力発電・地熱発電の建設の迅速化。また、漁業協同組合との連携などを進め、洋上風力開発の推進の道を開く。導入資金の円滑化を図るためリスクマネーの補完や地域の事業・便益につながるファイナンスの仕組みの強化なども打ち出している。
 バイオマスの促進については木質バイオマスの熱利用、空気熱利用、地中熱・太陽熱の温水利用等の普及を推進。こうした施策を総合的に展開することで20年までに再生可能エネルギー関連市場を10兆円規模にまで拡大することが目指される。
 環境未来都市構想では、スマートグリッド、再生可能エネルギー、次世代自動車を組み合わせた都市のエネルギーマネジメントシステムの構築や、事業再編や関連産業の育成、再生可能エネルギーの総合的な利用拡大などの施策を、環境モデル都市等から厳選された戦略的都市・地域に集中投入する。このために必要な法整備を図り、次世代社会システム、設備補助等関連予算を集中し、規制改革、税制のグリーン化等の制度改革を含め徹底的な支援を行う。


事業者別の10年度RPS義務量を発表
 資源エネルギー庁は、10年度の電力事業者ごとのRPS電力の義務量(基準利用量)を発表した。
 義務量の合計は110億1469万5千kWhで、前年度に比べて15億7346万8千kWh増えている。
 対象となる電力事業者は53社となり、そのうち義務量があるのは36社。PPSは38社で、そのうち義務量があるのは20社となった。
 義務量が最も多いのは東京電力の35億3010万9千kWhで、10電力の中で最も少ないのは沖縄電力の9422万7千kWh。PPSの中で最も義務量の多いのはエネットの1億508万7千kWh。10年度から新たに義務量が発生したのは、泉北天然ガス発電、やまがたグリーンパワー、出光グリーンパワー、東京エコサービス、G-Power、プレミアムグリーンパワーの7社。


東京ガスグループが「ソーラークーリング」を販売、エネルギーサービスも
 東京ガスとエネルギーアドバンスは、8月から東京ガス管内の事務所ビルや学校、病院など向けに、業務用の太陽熱を利用した空調システム「ソーラークーリングシステム」の販売を開始する。また、導入初期費用が不要となるエネルギーサービスとしても普及を図っていく。
 ソーラークーリングは、ガス3社が共同開発したソーラー吸収冷温水機と太陽熱集熱器を組み合わせたシステムで冷房し、冬季は暖房熱交換機により暖房にも使用できる。東京ガスとエネルギーアドバンスは、太陽熱を効率よく集熱できる真空ガラス管形の集熱器と独自に開発した制御盤を組み合わせて、放熱ロスの要因となる蓄熱タンクを使用しない高効率のシステムを開発した。
 冷房時のエネルギーの20%を太陽熱で賄うことができ、また、周辺機器や施工、制御方法などの標準化によって設置工事費も低減した。
 エネルギーアドバンスは機器の販売だけでなくユーザーが導入費用を負担しなくてもよいソーラークーリングシステムを利用したエネルギーサービス用システムとしても利用し、普及に弾みをつけていく。


その他の主な記事
・エネ基本計画も閣議決定
・エネルギー革新技術の重点分野
・経産省が技術戦略マップを公表
・エネルギー白書を公表
・APECエネルギー相会合が「福井宣言」
・スマートフォーラムが10の論点
・環境と金融で報告書
・環境配慮契約の実施状況をアンケート調査
・温対法で届け出、大規模事業所の排出量を集計
・日立マクセルがリチウム電池を量産へ
・三洋電機が国内の太陽光発電の製造能力を増強
・三菱重工業が中国からガスタービンを受注
・産総研が太陽光発電の画期的な制御技術を開発
・STマイクロが発電効率の高いIC
・ソニーが新型リチウム電池
・伊藤忠のグループ会社が太陽光発電の専門工事会社を設立
・新日鉄が製鉄所内の副生ガス発電設備を増強
・大日本スクリーンが世界初の膜圧測定装置
・丸紅が小水力発電事業を展開へ
・ガス3社らがソーラー空調機を共同開発
・パナソニックエコがディーゼル排ガス処理で新触媒
・3月末のRPS設備の認定状況
・地域新エネ・省エネビジョンを選定
・燃料電池実用化開発補助案件を決定
・NEDOが地熱補助先を選定
・NEDOが燃料電池成果報告会
・温暖化対策技術移転で委託先を募集
・新エネパーク計画を募集
・日米スマートグリッド実証の委託先決まる
・10年度RPS義務量決まる
・省エネ革新技術開発決まる
・SSK、7月の環境エネセミナー
・7月のJPIセミナー  etc.


<インタビュー・ クラスター型グリッドを提唱>
・蓄電池とルーターでつなぐECOネットワーク
(早稲田大学理工学術院環境総合研究センター教授 横山隆一氏、センター客員教授 小柳薫氏、VPEC代表取締役社長 永田敏氏)
 日本版スマートグリッドとして期待されているのは、再生可能エネルギーの大量導入を可能にする技術だ。しかし、出力変動の大きい風力や太陽光を配電系統に直接つなぐと、電力品質への影響への懸念がある。また、個別に蓄電池を設置していては、コストがかかりすぎる。そこで、需要家を小さなクラスター(群)にまとめて電力を供給するというのが、横山教授らが提案する「クラスター拡張型グリッド」であり、VPECが提案する「ECOネットワークプロジェクト」である。クラスター型が実現するECOネットワークについて3氏にお伺いした。



シリーズ連載
・日本版グリーンニューディールを考えるJ
 =新成長戦略にみる「環境未来都市構想」=
 (井熊 均・日本総合研究所 創発戦略センター所長)
・カーボン・マネジメント入門(33)
 =後世に付けを回さないために=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)




コラム
・発電論評<再生可能エネ拡大へ必要な産業政策を>
・ちょっと一休<日比谷高校ラグビー部の復活は?>
・青空<参院選は投票に行くの?>
・霞ヶ関から<問題山積の温暖化対策基本法案>


再生可能エネ拡大へ必要な産業政策を【発電論評】

 今後のエネルギー政策の方向性を示す重要な報告書やレポートが相次いで発表されている。6月18日には新成長戦略とエネルギー基本計画がそれぞれ閣議決定され公表された。どちらもエネルギーの低炭素化を主眼として、それを軸にした新たな成長産業の育成を掲げている。
 エネルギーの低炭素化は、まさに世界中に突きつけられた大きな課題であり、CO2を排出しないという意味で再生可能エネルギーと原子力発電を拡大するというのも共通するシナリオである。
 簡単にいえば、世界中で化石エネルギーから再生可能エネルギーへの転換が目指されており、天然自然に存在する太陽エネルギーや風や大気熱などの空気エネルギー、川や海流などの水のエネルギーを効率よく活用するための技術開発をどのようにしてリードするのかが国の雌雄を決することになるといっても言い過ぎではないという状況だ。
 では再生可能エネルギーの拡大に向けた具体的な政策は? といえば、日本国内では目新しいものとしては固定価格買取制度の導入が目指されているだけだというのが現状だといえる。買取制度だけではたして大丈夫なのかという疑問がぬぐえない。再生可能エネルギーの中で、唯一具体的な導入目標が掲げられている太陽光発電の20倍という目標にしても、取り付ける住宅やビル、工場などが対応できなければまさに絵に描いた餅になる。
 また、新成長戦略には風力発電の洋上展開も盛り込まれている。漁業権と連携して導入を促進すると謳われてはいるが、洋上風力については開発適地の調査さえもまだ始まっていない。それに、日本国内に建設されている大型の風車のほとんどは外国製の輸入風車なのだが、風力発電を成長産業として位置づけるのであれば、産業政策としての風力開発も同時に始められなければならないのではないか。
 再生可能エネルギーの拡大に向けて、具体的な政策課題として実証事業が開始されているスマートエネルギーの実証事業にしても、結局、実証されるのはスマートメーターにどのような機能を乗せるのかということと、系統の安定化に必要な課題の抽出ということにとどまってしまうのではないか。
 本当に必要な実証は、低炭素エネルギーシステムの拡大のためにネットワークをスマート化することで、効率的なグリッドの機能や運営の方法を検証するということにあると思うのだが、電力需要の少ない連休中にどのようにして太陽光発電の出力抑制をするかということが具体的な検討課題のトップにあげられている現状を見ると、再生可能エネルギーの拡大を本気で考えているのかと、疑問を感じざるを得ないのだ。