20010年65日号

3万kW級高効率GTを開発 川崎重工が発電効率40%超
 川崎重工は、3万kW級の発電用新型ガスタービンL30Aを開発したと発表した。発電効率は40%以上と同クラスのガスタービンでは世界最高レベルの発電光を達成、また、コンバインドサイクルでの発電効率は50%以上、コージェネレーションで排熱利用する場合の総合効率は80%以上を可能とするなど高性能の新型ガスタービンとして開発された。同社の常用タイプのガスタービンラインアップでは最大出力機種となる。7月から試運転を開始する。
 開発したL30Aは、川崎重工が独自に開発し長年培ってきた産業用ガスタービンの開発技術と航空機用ジェットエンジンの高度な要素技術を結集して開発した。従来機種である1千〜2千kW級M1A、6千〜8千kW級のM7A、1万8千kW級のL20Aに続く分散型発電・コージェネレーション用ガスタービンの最上位機種となる。
 L30Aは、圧縮機の高圧力化を図ったことや、新開発の耐熱材料の採用、冷却技術の改良などにより、40%を超える世界最高レベルの発電効率を達成したほか、独自開発のドライ低エミッション燃焼器の採用によりNOXの排出量が15ppm以下に抑えられるなど、高い環境性能も同時に実現している。
 同機を搭載したコージェネレーションシステムをダイセル化学工業の姫路製作所で12年度から実証運転を行うことにしている。この実証運転を通じてL30Aの耐久性と信頼性を確認し、国内外、特に電力需要が急速に増加しているアジアや中東を始め、環境規制が強化されるなど、新たなエネルギーネットワーク需要が見込める欧州や米州など、海外市場を中心に積極的な販売活動を展開して行く。


大阪ガスがスマートエネルギーで推進室を設置
 大阪ガスは、スマートエネルギーハウスの開発を加速化するため、社内に専門組織として「スマートエネルギーハウス推進室」を発足させた。今年度中に実験住宅を使った実証試験を開始する計画を立てており、その推進母体となる。
 大阪ガスが考えるスマートエネルギーハウスは、家庭用燃料電池と太陽光発電を組み合わせたW発電に、さらに蓄電池を組み合わせて、家庭内で電気と熱の最適利用を目指すというもの。蓄電池を加えることで、太陽光発電の出力変動や燃料電池の運転時の余剰電力の発生などを吸収できるようにして、家庭内でのエネルギーの需給を安定的に制御する。また、蓄電した電力は家庭外へも売電することも可能になる。
 推進室は副社長を委員長として建築・電気・環境分野の社外有識者による助言組織も設置して、要素技術の提供を受ける他企業との連携も図りながら技術開発を推進していく。
 実験住宅を使った実証試験では、燃料電池(SOFC)と太陽光発電、リチウムイオン蓄電池、電気自動車用充電設備に加えて、住宅内のエネルギー機器を一元管理できる統合コントローラーや床暖房、デシカント空調設備をスマートエネルギーハウス用の設備として設置、3電池の最適制御技術や消費機器の自動制御などの技術評価や導入効果の検証などを中心に行う。また、実際の居住環境下でも環境性やランニングコストなどの検証も行っていく。実証試験は13年度末まで実施して、15年には実用レベルまでの技術開発を完了させる計画。


省エネ、新エネ大賞など廃止と判定 経産省などが「事業仕分け」
 行政刷新会議の事業仕分けの第2弾が5月20日から25日までの4日間行われ、エネルギー関係では省エネ大賞、新エネ大賞の廃止や、電気工事士講習制度については、講習センターでの実施を認めないなどの判定が行われた。また、事業の実施主体である経済産業省でも、所管する事業について予算管理・効率化の観点から所管事業の「仕分け」を26日から28日までの3日間行い、地域新エネ補助事業や燃料電池補助などについて廃止や抜本的見直しとする判定を行った。
【経産省の仕分したエネルギー関連の主な事業】
・国際石炭利用対策事業  廃止
 中国、インド等のアジア地域への日本のクリーン・コール・テクノロジー(CCT)の導入・普及を図るため、実現可能性調査やモデル事業を実施しする。NEDO交付金事業。
・地域新エネルギー・省エネルギービジョン策定等事業  廃止
 地方公共団体等が、新エネルギーの導入・省エネルギー導入の基本方針となる「ビジョン」の策定を支援。また、非営利団体等による、新エネ・省エネの普及活動を支援。NEDO交付金事業。
・クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(天然ガス自動車(車体)とLPガス自動車(車体) 廃止)(燃料供給設備 廃止)(クリーンディーゼル自動車(車体) 抜本的改善)
 天然ガス自動車、ハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車、LPガス自動車の導入及び燃料供給設備を設置する者に対して、導入に必要な費用の一部を補助。
・燃料電池システム等実証研究 (抜本的改善 民間負担を求める。実施体制の見直し)
 燃料電池自動車や水素ステーションを実際の使用条件で運用し、技術課題を明らかにするとともに、基準・標準化に必要なデータの取得を行う。実証研究に対する経費を全額補助。
・中小水力・地熱発電開発費等補助金 廃止を含む抜本的改善
 初期投資が大きく開発が進まない水力・地熱発電の調査費や建設費の補助を行う。
・高効率厨房機器普及促進事業費補助金   廃止
 LPガスを利用したトップランナー基準に適合している高効率厨房機器の導入費用を補助。
・構造改善円滑化事業費(石油) 廃止を含む抜本改善
 石油販売業者の事業多角化や異業種との連携等の取組を支援し、石油販売業の経営構造を改善する。石油販売業者等による共同事業を補助。災害時に緊急車両等へ燃料供給ができる発電設備等を設置するガソリンスタンドに補助。


経産省でも排出量取引制度を検討へ
 経済産業省は、国内排出量取引制度や温暖化対策の政策手法などについて検討するWGを設置する。産業構造審議会の地球環境小委員会のもとで、温暖化対策基本法案で導入されることになっている国内排出量取引制度や温暖化対策の政策手法について検討を行う。
 国内排出量取引制度については、環境省でも小委員会を設置して制度の具体化に向けた議論を行っている。経産省では、環境省の議論と併行して独自に制度について対案をまとめる方向で検討する。温暖化対策基本法は、内閣の交代があり、今国会情勢が混沌としている中で、廃案になることも予想される状況となっている。


その他の主な記事
・経産省が産業技術政策で報告書
・太陽光発電抑制など検討へ次世代送配電検討会が初会合
・スマートメーター検討会が初会合
・東ガスが熊谷プロジェクトを公開
・サイサンが北海道にも営業基盤
・ジェトロで豪州投資セミナー
・LPガス消費者相談マニュアルを発行
・IBMのエネ管理など紹介
・パナソニックがグループで太陽光市場に本格参入
・京セラがタイに太陽光6千kWを納入
・三菱化学がリチウム電池の生産能力を増強
・三菱化学が中国にリチウム工場
・三菱自動車がアイルランドに実証用EV
・産総研らが熱電発電モジュールを開発
・新日石が太陽光施工研修所を開設
・新日石らがバイオジェット燃料を開発へ
・太陽光設置工事の簡素化を実現 テクノマテリアル
・東北大が触媒の貴金属使用量を極小に
・日立と大崎電気工業がスマグリで提携
・JFEエンジ、超急速充電器を開発
・環境&エネルギーでSSKセミナー
・慶応大で環境エネシンポ
・環境省がカーボンオフセットモデルを募集
・30日からビッグサイトで国際バイオ展
・エネ研が夏期大学
・J−VER対象3プロを追加
・環境省がJ−VERで全国説明会  etc.


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--G エコ産業がリーディングカンパニーに=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・<新>環境自動車と蓄電池開発 そのE
 =社会生活を変化させる環境自動車=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士



コラム
発電論評<スマート化の近道はマイクログリッド>
・プリズム<電力業界のスマートメーター導入の思惑>
・ちょっと一休<日本記者クラブの3健人を囲む会>
・青空<政権交代>


スマート化の近道はマイクログリッド【発電論評】

 エネルギー需要が減少している。原因は国内経済の停滞だけに求められるのではなく、省エネ製品の普及や省CO2活動の取り組みが静かな広がりを見せていて、こうした省エネ活動の影響も見逃せないということだろう。
 「エコ」の追求はスマートな生き方とほとんど同義語で語られるようになった。新築ビルの建設計画でも、まず太陽光発電は標準的に採用されるようになっていると聞く。自動車もハイブリッド車の販売比率が増えている。昨年度の最多販売車種はプリウスだった。さらに次世代自動車として電気自動車への期待も高まっている。現状では、まだほとんど普及していない電気自動車だが、充電器の販売や設置の話題が紙面に登場する機会も増えてきている。補助金も含めると個人でも手の届く価格帯で販売される体制が整ってきているということもあるのかどうか。電気自動車は普及に向けた体制が整いつつあるといえそうだ。
 さて、エネルギーである。石油から電気にエネルギー源が移りつつある自動車に見られるように、エネルギー需要全体が低迷するなかで、電気エネルギーは新たな利用領域が広がろうとしている。
 しかも、こうした新たな電力需要は、よりクリーンな電気が求められているのであり、化石燃料を大量に使用する系統電力がそのクリーン度を問われる局面も増えてきている。走行中にCO2を排出しないというクリーンさを売り物にする電気自動車の電気が石炭から作られているということになると、石油から電気に変える意味がなくなってしまうからである。
 そうしてみると、電力ネットワークの限界が見えてくる。原子力に大規模水力、火力などを組み合わせた現在の国内の系統電力は、電力需要の減少傾向が続くなかで、新たな設備更新の期待は困難で、電源構成の大胆な変更は期待できそうもない。
 そうしたなかで、より低炭素な電力を利用したいという社会的な要望に対応できるのは、オンサイト型電源ということになるのではないか。太陽光発電などの再生可能エネルギーと燃料電池などの低炭素エネルギーシステムを組み合わせることで、それが実現できる。電気自動車の充電器の電源は太陽光発電と蓄電池によることにすれば、究極のエコカーの走行も可能になる。コージェネシステムを中核におけば地域単位のマイクログリッドで低炭素ネットワークが構築できる。この場合、重要なのは、既にある現状の技術やシステムを組み合わせることで実現できてしまうということだ。
 大規模なネットワークをスマート化するよりもマイクログリッドをつなぎ合わせて広域化していく方が、低炭素電力の拡大には近道なのではないか。