2010年525日号

太陽光発電の出荷量が2.5倍に
 09年度の太陽光発電の国内出荷状況は、前年度に比べて約2.5倍の62万3千kWと、補助金の復活や固定価格買取制度の導入などの政策の強力な後押しもあって急拡大している。太陽光発電協会が5月18日に09年度の出荷統計をまとめ発表した。
 国内と輸出を合わせた総出荷量は、前年度の約1.5倍の166万8531kWで、このうち輸出が18.3%増の104万5404kW、国内出荷分が62万3127kWと輸出が62.7%を占めているが、前年度の78.9%からは大幅に比率を下げており、国内市場が急拡大していることが見て取れる。
 国内出荷分の内、国外で生産され輸入されたものが7万393kW。輸入は前年度まではほとんど見られなかったもので、拡大する国内市場向けに中国などからの輸入も急増している様子がうかがえる。
 材料別に見ると結晶系が前年度比46.6%増の146万138kW、薄膜が46.8%増の16万5339kW。結晶系の内単結晶が72.6%増の62万6578kW,多結晶が31.7%増の83万3560kWと、まだ多結晶の方が出荷量は多いものの、単結晶が出荷量を大幅に伸ばして急追しているという図式になっている。
 輸出は70%以上が欧州向けだが、伸び率は18.4%で、米国向けの比率が増加している。その他地域では輸出量は低下しており、中国など市場が急増しているアジア向けには市場が獲得できていない様子もうかがえる。
 国内出荷分の用途別では、住宅用が54万3708kWと90%以上を占めており、伸び率も176.1%増とほぼ3倍近くの伸びを示しており、特に既築住宅での設置が進んでいる。
 住宅用以外の産業用や事業用でもほぼ2倍の伸び率を示しており、特に学校などの自治体・公共施設向けの市場の伸び率が高くなっている。


スマートメーター導入などで2つの検討会を設置 経済産業省
 経済産業省は、電力系統における双方通信やスマートメーターの導入などについて、さらなる検討を行うため2つの検討会を立ち上げる。
 次世代エネルギー・社会システム協議会の下に、従来の次世代送配電ネットワーク研究会を発展させる形で「次世代送配電システム制度検討会」(座長・金本良嗣東京大学大学院教授)を、また新たに「スマートメーター制度検討会」(座長・林泰弘早稲田大学大学院教授)を設置する。
 送配電システム検討会は、主として次世代の送配電システムや全量買い取り制度における費用回収スキームについて検討する。具体的には、太陽光発電の出力抑制につながる連系制度の詳細設計を行う。全量買い取りは、これまでに示された4つの買い取りオプションについて、それぞれの課題を深堀りする。5月27日に第1回を開催する。
 またスマートメーター検討会は第1回が26日に開かれる。20年代の早い時期に全需要家への導入が目指されるスマートメーターについて、ガス事業者や電子・電機業界、さらにはグーグルなどIT事業者も参加して、電力会社の責任範囲などについて検討する。
 両検討会とも月1回程度開催し、スマートメーターについては今年度内に結論を出す。


東京ガスと大阪ガスがスマートエネを共同実証
 東京ガスと大阪ガスは、分散型エネルギーシステムに再生可能エネルギーや未利用エネルギーを導入して、エネルギー需給を最適に制御する「スマートエネルギーネットワーク」の実証事業を、共同で開始すると発表した。
 東ガスは、熱需要密度が高いエリアで電力と熱を融通し合うシステムを、大ガスは、需要家に設置した大容量コージェネを中心に熱は各サイトで使い切り、太陽光発電装置やコージェネ電力の広域コミュニティーでの融通を想定したシステムを実証する。
 今後、データの取得・解析やシステムの改良を進め、様々な物件への導入が可能な汎用性のあるモデルを確立する。
 東ガスの実証では、東京ガス千住テクノステーション(東京都荒川区)に設置される高効率コージェネ(370kW、700kW各1台)、太陽熱集熱装置(約300平方m)、太陽光発電装置(約90kW)から供給される電力と熱を、敷地内の複数の建物間で融通するとともに、区道を横断して敷設する熱導管を通じて区立の特別養護老人ホームに熱を供給する。
 大ガスの実証は、既存の地域冷暖房施設である岩崎エネルギーセンター(大阪市)に175kW規模のコージェネを新たに設置、同センターと、加古川市や滋賀県湖南市など4カ所に太陽光発電装置(計180kW)を設置することや5カ所程度のデマンドサイドに大容量コージェネ(各800kW規模)を設置し、電力融通することを想定した遠隔監視制御システムを構築する。また、太陽光発電の出力変動をコージェネで補完することで、太陽光発電装置に併設される蓄電池の設備容量を小さくし、コスト低減によって太陽光発電の導入を促進する。それぞれ30%以上のCO2削減が見込まれている。
 実証事業は経済産業省の「分散型エネルギー複合最適化実証事業」として実施される。


産総研がリチウムと水から電気と水素を安定製造する技術開発に成功
 産業技術総合研究所は、エネルギー技術部門の研究グループが金属リチウムと水を使って水素を製造する技術を開発したと発表した。リチウムを負極、炭素を正極として、有機電解液・固体電解質・水性電解液を混合したハイブリッド電解液を用いることで、水素と電力が同時に製造できる。有機電解液でイオン化されたリチウムが正極側で反応し、水素ガスの発生と放電が起きる現象を利用した。これまで、リチウムと水の化学反応で発電する燃料電池の一種である「リチウム−水電池」のアイデアは知られていたが、同時に副生する水素の利用方法は考慮されていなかった。
 今回の産総研研究グループの開発は、電解液にハイブリッド電解液を用いることで反応が安定的に制御できるようになり、電気と水素を必要なときに必要なだけ製造することが可能になった。また、充電すれば、システム的に再生できるため、太陽光発電や風力発電などの電力や夜間の余剰電力を金属リチウムとしてエネルギー貯蔵しておき、必要に応じて水素と電力を取り出すエネルギー貯蔵システムとしての利用法も考えられる。


その他の主な記事
・09年度の総需要電力量は3.1%減
・環境省自主参加型取引で57参加者決める
・新日石が早稲田大と技術開発で提携
・2月末のRPS認定状況
・三菱電機がスマートグリッドの実証試験を開始
・大阪ガスと京大が技術研究で包括提携
・東京都が急速充電器の補助で募集開始
・東京都が太陽熱システムを減税対象設備に指定
・NEDOが2次電池開発ロードマップ策定
・LPG業界がエネファームを販促へ
・日産自動車がEV用充電器を販売
・竹中が生ゴミからバイオガス
・明電舎がスマグリで新組織
・京セラが太陽光施工者養成施設を拡大
・富士電機がNZで地熱発電
・東電が銚子沖で洋上風力を実証へ NEDOの補助事業
・CO2削減事業を募集
・NEDOがバイオマス実証を募集
・次世代高効率エネ
・蓄電池複合システム募集
・風力発電協会が合併で新事務所
・環境シンポ3地区で開催 環境相
・6月のJPIセミナー  etc.


<インタビュー・太陽光発電施工技術者を育成>
・協同組合が工事専門工を設立
(エコシフト技術工事協同組合・専務理事 金巻勝利氏 太陽光発電工事専門校・企画室室長 松村一博氏)
 太陽光発電の設置工事に関して、施工技術や販売手法の基本を教える「太陽光発電工事専門校」が今年2月に設立された。電気工事や屋根工事など横断的で複数の専門工事に関する技術を必要とする住宅用太陽光発電の施工技術者を育成することが目的。専門工設立の中心となったエコシフト技術工事協同組合の金巻勝利専務理事と専門校の松村一博企画室長に設置の目的や学校、組合の役割などについて伺った。



シリーズ連載
・日本版グリーンニューディールを考えるI
 =グリッド運営者が提供できる付加価値=
 (井熊 均・日本総合研究所 創発戦略センター所長)
・カーボン・マネジメント入門(31)
 =悪戦苦闘するCDMビジネス=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(21)
 <気候変動法案の成立は困難に>



コラム
・発電論評<電気自動車と家庭の省エネ>
・ちょっと一休<幸子さんの結婚式>
・青空<景気回復の話題が増えてきた>
・霞ヶ関から<英国新政権の温暖化対策>


電気自動車と家庭の省エネ【発電論評】

 太陽光発電の09年度の国内出荷量は前年度比2.5倍と市場が急拡大していることが報告された。リーマンショック以来の国内景気の低迷を背景にしながら、太陽光発電の国内市場の突出した拡大ぶりは、補助金の復活や買取制度の導入などの政策支援によるところが大きい。しかしながら、それでも国内の導入量は62万kWだった。62万kWの太陽光発電が1年間に発電できる量は6億kWh余りで、国内の総需要電力の0.06%程度。現在、国内の太陽光発電の導入量の合計は200万kWにようやく迫りつつあるという状況だが、その1年間の合計発電量は20億kWh程度で、総需要電力の0.2%程度に過ぎないということになる。
 現状の20倍という政府が掲げる導入目標を達成するには、年間200万kW以上の太陽光発電を10年間導入し続ける必要があることになるが、補助金と買取制度という誘導策だけでは達成が難しいというのは関係者の多くが認めるところだ。太陽光発電は、国内市場の8割以上が住宅用として設置されている。さらなる大量導入を目指すには非住宅市場の拡大が不可欠になるといえる。
 自動車のCO2対策の切り札として電気自動車への期待が高まっている。走行中にCO2を排出しない「究極のエコカー」だともてはやされている。しかし、充電される電気は系統電力なのだとすると「究極」とはいえないのではないか。ビルや住宅では、CO2対策はひたすら省エネに取り組むことであり、つまり電気の使用量をどれだけ減らせるかということが唯一最大のCO2削減対策であったりする。同じ電気を使いながら、片方では環境対策の切り札だと期待され、もう一方では電気の使用量をいかに減らすかということが対策となるというのはどこかが根本的に間違っているということになりはしないか。
 他のエネルギーから電気に切り替えることがCO2対策になるというなら、省エネ家電などは意味のない商品だということになってしまう。
 化石エネルギーから電気に切り替えることをCO2対策として進めるのであれば、省エネではなく発電の過程でいかにCO2を排出しない方法を講ずる必要があるということだ。
 例えば、電気自動車に充電する電気は、系統からではなく太陽光の電気を使うことにすれば、充電器の近傍には太陽光発電所が置かれることが増えるだろうし、遠くの太陽光発電所から託送された電気によって充電してもよい。こうすることで、ようやく「究極のエコカー」が完結できるということになるし、太陽光発電の非住宅市場の拡大に役立つことにもなる。導入支援だけでなく、発電した電気の使い方を広げるという発想も必要なのではないか。