2010.05.15


2010年515日号

極東ロシアに30基のGTコージェネ、双日が川重製を受注
 双日は、ロシア極東地区のパイプライン沿いの市町村にガスタービンコージェネレーションシステムを導入するプロジェクトを受注した。
 2012年に開通が予定されているサハリンからウラジオストク市までを結ぶ全長約1800kmのパイプライン沿いの市町村に産業用ガスタービンで国内トップシェアである川崎重工業製の高効率ガスタービンコージェネレーションシステムを導入する。電力と温水を供給するプロジェクトで、今回受注したのはその第1期分。
 ロシア極東地域では、現在、約5千カ所で石炭焚きのボイラーが稼働しているが、設備の老朽化とCO2削減を目的に最新型のガスタービンコージェネに置き換える。15年までに30基のガスタービン及び付帯設備を納入するもので、受注金額は総額約200億円となる見込み。パイロットプラントとして今年8月に1500kW、3千kW、7千kWのガスタービンコージェネレーションシステムを建設し、11年末までに稼働させる。
 双日と川崎重工業はウラジオストク市で開催されることになっているAPECサミット会場向けにコージェネレーションシステムを受注しており、その実績が評価されたことが今回の受注につながった。川崎重工業の小型ガスタービン発電設備は世界でもトップシェアの実績を持っており、燃料も天然ガスと石油の両方に対応できるなどの特徴や信頼性の高さなどが評価されている。
 ロシアは世界最大の天然ガス生産国でもあり、双日と川崎重工は、今後もロシア国内での環境配慮型の高効率のガスタービンコージェネレーションシステムとしてプロジェクト開発に注力していく。


温暖化対策で技術開発戦略 環境省が裁可エネなど重点に
 環境省は、温暖化対策の中期目標である25%削減に向けて必要となる環境関連の技術開発の方向性について、新たな推進戦略をまとめた。今後5年間で取り組むべき環境技術の研究・開発テーマを4つの領域と全領域共通テーマ、領域横断テーマの6つに分類して重点的に取り組むべき課題を抽出した。
 エネルギーに関するテーマとしてあげられているのは、領域横断グループでは、廃棄物発電や熱回収の高効率化、廃棄物系バイオマスの利活用、再生可能エネルギー技術の開発など。太陽光発電やLEDなどの温暖化対策製品からレアメタルを回収する技術なども研究課題として取り上げられている。
 個別領域分野として取り上げられている脱温暖化対策技術のうち、エネルギー需要分野での低炭素化技術として、ゼロエネルギービル(ZEB)やゼロエネルギーハウス(ZEH)に関する技術開発や環境対応車の低コスト化など普及拡大対策技術。エネルギー供給分野では、再生可能エネルギー利用の低コスト化や化石燃料の高度利用技術。また、スマートグリッドの整備につながる次世代送配電ネットワークシステムの研究やCCSを社会的な受容性を高める研究開発などを取り上げている。
 推進戦略は、低炭素化に向かうために必要であるという視点で、今後5年間程度の範囲内での重点課題を戦略として示すもの。取りまとめられた戦略案は、総合政策部会に答申され、今後の環境政策として具体化、来年度以降、予算化の上、具体的な政策展開が行われることになる。


富士電機が低温バイナリー発電システムを販売へ
 富士電機システムズは、150度C以下の低温の地熱で発電できる地熱バイナリー発電設備の販売を開始した。
 発電出力2千kWのシステムで、低沸点媒体(ノルマルペンタン)を使用することで、従来は使用できなかった100〜150度C程度の蒸気や熱水、高温岩体などの地熱をエネルギー転換する。これまでは発電利用後に地中に戻していた低温熱水を使って発電できるため既設の発電所の出力増加用としても利用できる。また、地熱のほかにも太陽熱を利用して加熱した油などの媒体を熱源とした熱発電機としても利用できる。システムは、冷却水を必要としない空気冷却方式を採用しており、冷却水の確保が困難な場所でも設置できる。
 東南アジアや豪州、中南米を中心に年間16万kW以上の市場が期待できるなど地熱エネルギーの未開発地域や再生可能エネルギーとして今後国内市場でも地熱開発の拡大が期待できるところから、富士電機グループ全体の戦略商品として市場に提案していく。


清水建設が本社ビルでマイクログリッドを実証導入 オフィスビルでは国内初
 清水建設は、東京・京橋の本社ビルに太陽光発電と蓄電池設備によるマイクログリッドを導入する。昼間の商用電力をピークカットし、契約電力の低減と自然エネルギーの活用によりCO2の削減を目指す。
 外壁に約2千平方mの太陽光発電パネルを設置して年間8万4千kWhを発電する。発電した電力は150kWhの蓄電池システムで出力変動を調整、商用電力と併用することでビル内の電力を賄う。太陽光電力が不足する場合は、深夜電力で蓄電した電力を放電し必要電力を供給、また、停電時に非常用発電機が稼働するまでの間も無瞬電で電力を供給する機能も付加している。
 システムの導入により商用電力の3%削減とCO2排出量が年間約30トン期待できる。また、契約電力も約70kW低減できる。本社ビルには、輻射空調システムやLED照明システムなどの最先端省エネ設備も導入される。


その他の主な記事
・環境省が中長期ロードマップの検証開始
・排出量取引制度の検討も 環境省が小委で
・環境省のロードマップを経産省の外郭団体が批判
・北海道電力が風力連系を追加発表
・NEDOがラオスでマイクログリッド
・つくば市でのグリーン交通実証開始へ
・双日がサウジでIPP事業に参画
・東芝が中国で揚水発電を受注
・日立が分離のいらないCCS技術を開発
・大和証券がエコロジーボンドを販売
・セントラル硝子が太陽光用ガラス事業に参入
・京セラが四国電力にメガソーラーを供給
・環境省が環境税関係で2件の調査業務を募集
・6月5日に京都で産学連携会議
・新エネ財団が中小水力実務者講習会
・バイオマスタウンに11地区を追加
・環境省がゴミ発の補助先を募集
・中小企業の共同研究を支援経産省
・7月に横浜でクリーン発電スマグリと環境自動車展
・スマートコミュニティで日米セミナー
・エコオフィス・エコ工場EXPO7月開催    etc.


<インタビュー・エネファームのキーテクノロジー、白金触媒>
・燃料電池用触媒の60%以上を供給する田中貴金属
(田中貴金属工業・技術開発部門FC触媒開発部 副部長 小椋文昭氏)
固体高分子形やリン酸型など多くの燃料電池に不可欠な白金触媒。燃料電池の技術的な最大の課題とされる劣化やコスト削減には、触媒技術の開発が鍵を握っている。白金材料の供給者として、その先端にいるのが田中貴金属グループ。白金材の供給や触媒技術の最新動向などについて伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・経済産業省と環境省が環境自動車戦略を発表
・世界最大の自動車展、北京自動車ショーレポート
・独製のクリーンエネルギー教材実験ツールを販売 エクセル社
・ハイエッジ社がEVの市場調査レポート
・海外ニュース
 -欧州委員会のプロジェクトで2人乗り燃料電池飛行機の試験開始
 -米GMがシボレーボルトの試作を終了
 -燃料電池リーチトラックを開発 独スチール社
 -BMWが燃料電池ハイブリッドシステムなどを公開
 -家庭用燃料電池、欧州規格を取得 豪CFC社
 -米環境保護局がEVにインセンティブ付与へ
 -浦項市にMCFC製造工場を建設 韓ポスコパワー
 -オーストリアでSOFC量産プラントを計画 プランゼー社
 -米マサチューセッツ工科大が太陽光による水分解・保存技術を開発
 -低価格高耐久燃料電池スタックを開発 米ヌベラ社
 -EVに内蔵する燃料電池コージェネを公開 独SFCとESG
 -燃料電池と蓄電池内蔵のオフグリッドパッケージ電源を発表 独SFC社
 -英国の調査会社が定置用燃料電池の市場予測を発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -メタルセパレーターを開発 日金工西部支部
 -静岡ガスが三島市に国内初の低炭素型タウン
 -日産・ルノーとダイムラーが次世代小型車で提携
 -日本触媒が長期計画、燃料電池材料メーカーの地位獲得
 -燃料電池車向け水素拠点を移転 昭和シェルら
 -3週間で3754台の予約台数を達成 日産「リーフ」
 -高圧水素ガス用ホースを開発 岩谷瓦斯と横浜ゴム
 -新日石がLPガス仕様エネファームを拡販
 -バッテリー交換ステーションの実証開始 米ベタープレイス
・燃料電池インフォメーション
 ■日本真空協会・日本表面科学会「第69回新電池構想部会」7月9日(金) 13時 〜 17時10分 神戸大学百年記念館 六甲ホール(神戸市灘区) 水素自動車普及に関連する技術開発、社会インフラ整備、材料研究、法整備の現状を講演

シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革-- F EUの「市長誓約」による削減活動=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・環境自動車と蓄電池開発 そのD
 =車載用リチウムイオン電池の発展とビジネス展望=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士


コラム
・発電論評<再可エネによるエネルギーサービス>
・ちょっと一休<西安で餃子料理>
・青空<人材と人財・考>
・プリズム<スマート化で再燃するか、電力改革>


再可エネによるエネルギーサービス【発電論評】

 エネルギーサービスの新たな形態として太陽光発電のオンサイト発電サービスがある。太陽光発電を設置して、燃料電池やコージェネをプラスし電気や熱を供給、余剰電力は売電する。
 設備リースや発電サービスなどの形態をとることで、導入の最大のネックであるイニシャルコストを不要にして、コストはサービス料金として回収する。設備のメンテナンスは事業者が行い、サービス料金に含まれるので、ユーザーは安心してエネルギーの供給サービスが受けられる。電気料金が安くなり、さらに低炭素という付加価値も加えられるのであるから大いに広がることを期待したい。
 ではどのような事業者が、そうしたオンサイトエネルギーサービスを開始する可能性があるのかというと、電力供給や設備の維持管理能力という点で電力会社やガス会社などのエネルギー事業者がまず候補になる。また、設備を販売し設置工事を行う販売事業者、住宅・建設事業者、不動産、デベロッパーなど幅広い業種からの参画が考えられる。もちろん、かつて発電サービスを行っていたオンサイト発電サービス会社やESCO事業者も忘れるわけにはいかない。
 既に事業を始めた電力会社や住宅メーカー、太陽光発電の販売事業者なども出てきている。太陽光発電によるオンサイトエネルギーサービスが従来のサービスと異なる点は、従来のサービスでは、もっぱら経済性がメリットとしてあげられていたものが、低炭素のエネルギーが利用できるということが付加される。現在でもグリーン電力証書などとして販売できる市場があるが、さらに排出規制によって、CO2に経済的価値が付加されれば、メリットが増すことになる。
 また、検討されている再生可能エネルギーの固定価格買取制度が実現すれば、外部に電力販売が行えるようになり、その分をユーザーに還元することもできる。このあたりは買取制度が具体的にどのような料金や期間で制度設計されるかということに左右されることになるが、複数の余剰電力をまとめたり、買取期間が終了した電力を順次買い取ったり、連系手続きなど初期投資不要な低コストの電力を販売用に加えることもできる。さらに、オンサイトエネルギーサービスの市場が整備されていくことによって、排出規制の対象とならない中小規模の事業所をエネルギーサービスの市場へ取り込むことも期待できる。 
 再生可能エネルギーの拡大は固定価格買取制度に期待が集まっているが、エネルギーサービス事業を育成し、電力会社の負担を軽減する形で加速度的な普及を目指すということも現実的かつ有効な手段として考えられるのではないか。