20010年45日号

エネ基本計画の骨子案を提示 経産省が意見公募へ
 エネルギー基本計画の見直しを行っている総合資源エネルギー調査会の基本計画委員会(委員長・黒田昌裕東北公益文科大学学長)は新たな基本計画の骨子案をまとめた。
 骨子案は、関係業界・企業や学識経験者などから6回のヒアリングと一般からの意見公募の結果などを反映してとりまとめた。経産省は骨子案を公表してあらためて意見を公募するとともに関係業界や学資者などから意見を聞き、政府がまとめる成長戦略と足並みをそろえる形で6月頃を目途に基本計画をとりまとめることにしている。
 新たな基本計画は、エネルギー安全保障の確保、エネルギー供給構造、エネルギー需要構造、次世代エネルギー・社会システムの構築、エネルギー技術開発、エネルギー産業の国際展開、エネルギーを機軸とした成長戦略、エネルギー政策の政策手法、エネルギー産業構造、エネルギー基本政策の目標の10項目について定める。
 エネルギーの安全保障の確保については、@原子力や自主開発資源等を含めた自給率の向上A省エネルギーBエネルギー源の多様化と供給源の多様化Cサプライチェーンの維持・強化D緊急対応力の確保の5項目をあげ、原子力や日本企業などが自主開発する海外資源も含めたものを「自主エネルギー比率」として新たな自給率の指標とすることにして、現在18%程度のものを70%程度にまで高めることを掲げる。自主開発エネルギーとして、石油のほか天然ガスや石炭の化石燃料を輸入量の50%以上を自主開発資源とすることを目指す。
 また、原子力については、8基の増設と設備利用率の約85%を確保することなどを目指す。
 再生可能エネルギーの拡大については、固定価格買取制度を中心に導入支援に向けての施策体系を整備し、大量導入を可能とするネットワークのスマート化などの系統強化や地域単位で最適なエネルギー供給を行うなど新たなエネルギー産業構造の創出を目指す。


東京都が事業所の排出量規制を開始 11年度からは排出量取引も
 東京都は、新年度から都内の大規模事業所に対するCO2の排出規制を開始した。20年に00年比でCO2排出量を25%削減するという都の自主目標達成に向けて原油換算で年間1500kL以上を使用する約1300の都内の事業所を対象にCO2の総排出量を規制する。大規模事業所や百貨店などの対象となる業務施設には、10〜14年度の第1期の5年間で基準として算定された過去3年間の平均排出量から8%、工場や上下水道などの産業施設は6%の削減義務を課す。削減義務の達成にはグリーン電力や排出量取引などが利用できる。また、優れた削減実績を上げた事業所は「トップレベル事業所」として削減義務の緩和措置などを設ける。
 排出量取引は11年度から導入される。利用できるクレジットは、義務量を超えて削減した「余剰枠」や、削減義務のない中小企業が行った「中小クレジット」、都外の事業者が実施した「都外クレジット」、グリーン電力などの「再生可能エネルギークレジット」の4種類。11年度からは国の排出量取引制度の導入も検討されており、国に対して先行するとの制度との整合性や自治体との連携でより実効性の高い制度設計となるよう求めていく。


東京ガスがスマートネットワークの取り組みを本格化 田町と西新宿で
 東京ガスと子会社のエネルギーアドバンス(ENAC)は「スマート・エネルギーネットワーク」の実現に向けた取り組みを、今年度から本格化させる。
 現在、JR田町駅東口北地区再開発への導入に向けた基本設計を進めるとともに、新宿西口地区の既存地域冷暖房施設の同ネットワークへの更新などの検討を進めている。
 同ネットワークは、燃料電池やコージェネ技術を活用し電気、熱、再生可能エネルギーなどによるエネルギーインフラの全体最適を目指すもの。
 4月から、地域冷暖房施設などにも一定量の温室効果ガス削減を求める改正・東京都環境確保条例に基づく「削減義務の開始」が始まったことで、大幅な省エネ・省CO2が図れる同ネットワークの具体化を急ぐことにした。
 東ガスは、4月5日付けで総合企画部内に「スマートエネルギーネットワーク推進室」を立ち上げており、同部エネルギー・技術グループの笹山晋一マネージャーが室長を兼務し、8人体制で同ネットワークの実現に向けた企画立案・実証事業などをサポートする。
 推進室は東ガスや東京電力、新日本石油、三菱商事が参加し、次世代エネルギー基盤の確立を目指す東京工業大学の「AESプロジェクト」との連携も図り、得られた知見を同ネットワークへに取り込んでいくことも狙っている。
 田町駅東口のプロジェクトは、1日付けで就任した岡本毅社長が、来年にも東京都港区と共同で同ネットワーク事業に乗り出す考えを明らかにしており現在、第1期の詳細設計に入っている。
 また新宿西口地区では、さらに大がかりなプロジェクトが検討されている。ENACが保有する2つの地冷施設の更新に併せ、他の複数の地冷施設も取り込んで西口地区一帯を同ネットワーク化する構想だ。実現すれば世界最大級の規模となる。


家庭用太陽光を一括して削減事業化 ミサワホームが国内クレジット制度で
 ミサワホームは、販売した太陽光発電付き住宅のグリーン電力価値分を政府が実施している「国内クレジット制度」で活用し、複数の住宅の太陽光発電分を一括してクレジット化する事業を始める。一括する削減価値は随時追加することが可能で、家庭用などの小口の削減分も一括することで大規模なクレジットに拡大していける道が開けた。
 太陽光発電付き住宅を購入したユーザーを対象に、太陽光発電の自家消費分の環境価値をとりまとめてクレジット化する。制度の趣旨に賛同するユーザーを対象に「ECOになる家の会」を発足し、九日邸の排出削減量を一括してとりまとめクレジット化する。これまでクレジット事業として認定された場合ユーザーを追加する場合は新たな認証手続きが必要で、手続きや費用面で事業遂行に支障があったが、3月26日に開かれた国内クレジット認証委員会で会員を追加しても「新たな事業認証手続きの必要をなくす」というミサワホームの提案が{プログラム型排出削減事業」として認められ、事業の実施に見通しが立った。
 ミサワホームでは当初10軒程度のユーザー数でスタートし、1年以内には300軒程度まで拡大していく。創出したクレジットは「ECOの会」からミサワホームが買い取ったり他事業者へ排出権取引で販売したりする。販売利益は植林事業などの環境・社会貢献活動に利用する。
 ミサワホームでは、家庭部門でのCO2削減活動が活発化できる有効な手段として、今後は太陽光発電以外の応用も考えていく。


その他の主な記事
・都が再可エネ地域間連携を北海道東北で拡大
・公取委が排出量取引制度化で課題を整理
・09年度の政府のクレジット購入量は9600万トン
・中長期ロードマップで環境省が試案を発表
・エネ庁に再生可能エネ推進室設置
・経産省が石油製品の需要予測を公表
・北海道七飯町など31市町村がバイオマスタウン公表
・エナジーグリーンが東京都排出量取引に参入
・双日子会社とSエナジーが国内取引市場開設
・第11回国内クレジット委で削減事業など66件を認証
・家庭用太陽熱リースの環境省が補助
・NEDOにスマートコミュニティ企業連合
・リチウムイオン電池の実用化助成先決まる
・ジャパンエナジーがバイオガソリン販売を拡大
・トヨタタービンが太陽光の表示システムを共同開発
・三菱と関西電力が充電インフラの利便性を調査
・色素増感型の市場をテクノアソシが分析
・新日石の扇島風力が運開
・ホンダが小型ガスエンジン発電機発売
・アルプス電気が環境対応型製品開発
・リチウムイオン実用化へ4件の助成先決まる
・大ガス、エネファーム販売で1300台を突破
・NEDOが次世代太陽光技術開発を募集
・民生用コージェネなど高効率エネシステムを募集 NEDO
・ゼロエミ石炭火力で委託先を募集 NEDO
・都が6月にICAP国際会議  etc.


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革-- E 「第3次産業革命」が競うもの=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・<新>環境自動車と蓄電池開発 そのC
 =自動車をエネルギーバッファへ=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士



コラム
発電論評<CO2削減に生グリーン電力への期待>
・プリズム<横浜スマートシティプロジェクト>
・ちょっと一休<楽しかった西安の旅>
・青空<桜の季節に経済を、は無粋なり>


CO2削減に生グリーン電力への期待【発電論評】

 東京都の大規模事業所に対するCO2の排出規制が4月1日から始まった。原油換算で年間1500kL以上の温室効果ガスを排出する1332の事業所が対象で、オフィスビルなどの業務用施設には8%、工場などの産業用施設には6%の排出削減義務が課される。期間は14年度までの5年間を第1期間として、19年度までの次期5年間にはさらに厳しい削減義務を課し、20年度に都内の排出量を00年度比で25%削減するという都の削減目標の達成が目指される。
 削減義務の達成には排出量取引や都外の再生可能エネルギーの利用も推奨されている。再生可能エネルギーの利用には、従来からあるグリーン電力証書に加え、グリーン熱証書や「生グリーン電力」の利用も対象になる。
 「生グリーン電力」は実際に発電した再生可能エネルギーの電力を電力会社の電力ネットワークを利用して送電、需要家に直接届けるというものだ。グリーン電力証書は再生可能エネルギーで発電したグリーン電力のうち、発電者が自家消費した分だけを証書化して流通させるという仕組みになってしまっているため、電力の供給側と需要側がグリーン電力と通常電力を交換するということになってしまう。このため、日本全体で見た場合には削減効果は期待できないことになりかねないのに対して、生グリーン電力の方は、実際に発電した電力を送電して需要家が直接利用できるため、実際の削減効果が期待できるとことになる。
 生グリーン電力の利用は、CO2の削減を目的としたケースとしては初めて青森県の風力発電によるグリーン電力を、東京のオフィスビルで利用することが発表されて話題となったばかり。都はこうした取り組みを拡大するため、北海道と東北4県と再生可能エネルギー利用の地域間連携協定を結んで、北海道・東北地域での生グリーン電力の供給拡大と都内事業所での生グリーン電力の利用拡大を結びつけて行く積極的な取り組みを開始した。グリーン電力の供給拡大を求める取り組みとして期待したい。
 しかしながら、グリーン電力の送電には、電力ネットワークを利用することになるが、送電量や料金制度など、現在の託送制度には電力ネットワークを容易には利用できない様々な制約が残されている。
 CO2削減にグリーン電力拡大する仕組みとして、現在、国は全量買取の制度化を準備中だが、利用拡大には系統対策が必要だということで蓄電池の導入などの対策が具体化されている。その検討に中にも、グリーン電力を流通しやすくするという観点から、グリーン電力を優先的にかつ低料金で送電(託送)できる仕組みづくりも対象に加えるてみつことも必要なのではないかと指摘したい。