20010年35日号

再生可能エネ全量買取で試算公表 太陽光以外は10〜20円
 経済産業省は、省内のプロジェクトチームで検討している再生可能エネルギーの全量買取制度の導入で、制度を導入した場合のコストや予想導入量などについて、3月3日に開いたプロジェクトチームの第3回の会合で試算結果を発表した。
 試算は余剰電力買取制度が先行して開始されている太陽光とそれ以外の再生可能エネルギーとを別にして行っており、太陽光以外では、風力、バイオマス、水力、地熱について試算した。また、太陽光以外の電源は試算の前提を、バイオマスの場合は廃棄物発電を含めず未利用の林地残材に限定、水力については3万kW以下の中小水力としている。
 買い取り価格については、発電コストや欧州などでの買取制度を参考にして10円、15円、20円の3ケース。買い取り期間については10年、15年、20年の3ケースで行った。また、太陽光については買い取り価格は現行制度をベースにして、@現行の買取制度に発電事業目的のものを追加して全量を買い取るA余剰買取と同等のコストメリットがある買い取り価格で全量を買い取るB余剰買取制度と同額で全量買取を行う場合の3ケースについて試算した。
 試算結果では、最も買取費用がかかる20年・20円の場合、太陽光のケースBを加えた制度導入後10年の時点で比較すると、買取費用は1兆1689億円、電力量は505億kWh。最も費用が少なくなる10年・10円・太陽光@のケースでは5291億円・381億kWhと2倍以上の買取費用の差があるとした。
 太陽光の試算では、3つのケースとも導入量にはほとんど差がないものの買取費用はケースによって2倍程度の差が出る。太陽光以外では10円と20円の場合では導入量では4倍程度の差が出るという結果が示されている。
 また、コスト負担の限度額は月額「100」円以下とするものが50%近くで、平均では308円程度だったというアンケート調査の結果も紹介された。


東芝が家庭用太陽光事業に参入
 東芝は、住宅用太陽光発電システム事業に参入すると発表した。モジュールは内製していないため米国のサンパワー社製を採用し、自社のパワーコンディシャナーやカラー表示器などと組み合わせた住宅用太陽光発電システムとして4月1日から販売を開始する。
 採用する太陽電池モジュールは単結晶シリコンで世界最高水準のセル変換効率21.5%で、パワーコンディショナーとの組み合わせた総合発電効率は15.9%と世界最高水準の高効率を実現している。
 国内の太陽光発電市場は、国や自治体の補助制度の拡充や余剰電力の買取制度などの支援措置が整備されたことで市場が急激に拡大している。東芝では、電力・産業用分野で培ってきたシステム技術などを活用して、12年度には国内シェア10%を目指す。
 4月から販売するのは、210Wの太陽電池モジュールに4.0kWと5.5kWのパワーコンディショナーを組み合わせる2タイプ。
 事業参入にあたっては、当初約30人体制でスタートし、12年度には、80人体制規模にまで増強することを予定している。また、施工上の技術水準の確保を図るため、自社工場以内に施工研修センターを新設して10年度中に約3千人の研修を行う。
 東芝では、家庭用の太陽光発電システムは、次世代電力ネットワークとして注目されているスマートグリッドにおいても重要な分散型電源として位置づけられていることから、同社の持つ2次電池やスマートメーターなども含めた将来的なスマートグリッドの事業化についても視野に入れている。


京セラが太陽電池を増産へ 野洲新工場が竣工
 京セラは太陽電池セルの生産を、12年度には09年度生産量の2.5倍となる100万kWにまで拡大する。併せて10年度は60万kW、11年度は80万kWと、向こう2年間の生産量も従来計画からそれぞれ上方修正した。
 セル生産拠点として、滋賀八日市工場に続く新工場が滋賀野洲事業所内に完成、3月2日に行われた新工場竣工式で久芳徹夫社長が明らかにした。
 同社の09年度におけるセル生産量は40万kW。このすべてを八日市工場で生産していたが、今後は40万kWを超える分については新工場で生産する。すでに多結晶シリコン型としては、16.9%と世界最高効率を実現したセルの開発を終えており、6月から新工場で生産を開始する。
 また販売体制についても強化する。国内では独自販売網「京セラソーラーフランチャイズ店」を、現在の87店舗から来年3月までに150店舗へ拡充する。海外においては今春、欧州と米国それぞれで100社規模の販売代理店網を整備する。
 同社は05年から三重県、中国、メキシコ、チェコにモジュール製造工場を構えており、この「世界4極」で生産した太陽電池を世界市場に投入する。


三菱電機が太陽光で新工場 年産60万kW体制目指す
 三菱電機は、中津川製作所飯田工場(長野県)に建設していた太陽電池のセル第2工場が完成し、飯田工場の年間生産能力を10年度中に現在の22万kWから27万kWの増強すると発表した。また、10年度中には単結晶シリコン太陽電池セルの製造も開始するとともに、京都工場に単結晶太陽電池モジュールの生産ラインを新設して、多結晶と単結晶の2つの生産ラインで来用電池の増産を図るっていく。
 固定価格買取制度の導入で国内市場の急拡大が続いていることや、欧州や北米市場も拡大傾向が続いていることなどに対応して生産能力の増強を図った。
 特に、国内市場で設置スペースに制約がある都市部での普及を図るため変換効率の高い単結晶シリコン太陽電池もラインアップに加えて導入拡大を図っていく方針。10年度中には、単結晶モジュールの生産ラインを加えて2系列化した生産ラインとして増強を図り、住宅用パワーコンディショナーの生産能力も1.5倍に増強し、月間6千台とする。さらに、11年以降の早期に年間の太陽電池の生産・販売量を60万kWにまで拡大することも計画している。


三菱重工が英国に洋上風力の開発・製造拠点
 三菱重工業は、英国政府から最大3千万ポンド(約42億円)の補助金を受けて、洋上風力発電の開発に取り組むと発表した。2月25日に英国政府と覚え書きを取り交わした。三菱重工の欧州の原動機事業拠点であるMPSEが500〜7千kW級の実証機の製造や実証試験を行うことなど、3段階で大型の洋上風力発電設備を開発していくことで合意した。
 実証機の製造のほか、英国内に洋上風車の先端技術センターを設置して技術開発を進めることや大型の複合材を使用するタービンブレードの設計・開発、関連生産技術の開発も行う。
 三菱重工では、現地の企業や団体との協力関係を構築するためにも英国内に洋上風力発電の製造工場を建設するなど、英国を洋上風力発電の製造開発拠点とする方向で検討を進めていく。


その他の主な記事
・内外から1300社が出展、FC EXPO2010
・バイオマス白書でWebサイトを開設
・デンヨー、社長に古賀常務
・自由化部門電力販売価格は下落
・LP振興センターがセミナー
・地球温暖化対策基本法案で経済9団体が意見書
・関東地区省エネ大会開く
・国環研が低炭素技術でシンポジウム
・経産省電力入札10年度は丸紅に
・温暖化対策基本法でNPOらが緊急集会
・京セラ、太陽電池セル製造の第2工場が完成
・三菱重工が英国で洋上風力を開発製造
・昭和シェルがSSに充電スタンド
・産総研がフレキシブル太陽光で変換効率を大幅に向上
・中部電力が飯田市にメガソーラー
・四国電力がメガソーラー建設計画を発表
・日立がマクセルを完全子会社化
・豊田通商がJパワーに風力を譲渡
・バイオ燃料は低水準ながら拡大
・三菱電機が太陽光生産ラインを拡大単結晶も
・JVETS第6期参加企業を募集
・省エネ革新技術で公募説明会
・エネ管理特別研修、最終
・3月に第53回バイオマスサロン
・13市町をバイオマスタウン構想に追加  etc.


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革-- D ドイツが目指す「緑の政策」=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・<新>環境自動車と蓄電池開発 そのB
 =国内給電網の可能性展望=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士



コラム
発電論評<3電池が創り出す新たな自家発時代>
・プリズム<高効率ハイブリッド給湯器の落とし穴>
・ちょっと一休<胡口靖夫さんの出版記念会>
・青空<同僚の病気と友人の逝去>


3電池が創り出す新たな自家発時代【発電論評】

 東京ビッグサイトで開催されている3電池展に行ってきた。燃料電池展として始まったこの展示会は回を重ねて6回目。昨年からは2次電池展も加わって、太陽電池との3電池展になった。会場は、広く、人であふれ、出展企業も1千社を超えるなど熱気に満ちていた。来場者も国際展の名にふさわしく外国人が多い。外国企業の出展も年々数を増しているという印象を受けた。
 低炭素時代の幕開けに3電池の存在感が高まっている。燃料電池は水素で発電。CO2を排出しないグリーン電力だ。太陽電池も光エネルギーを電気に変えるもので再生可能エネルギーのエース的存在になってきた。2次電池は電気の充・放電ができる蓄電池だが、電気を貯蔵することで出力の不安定な太陽光や風力などの電力を貯め、必要に応じて電気を取り出すことができる。今や電気エネルギーの流通構造を革命的に変換するアイテムとして太陽電池以上に存在感を増している。
 電気は、発電量と使用量が同じでなければならないというのが常識だとされてきたが、高性能・軽量・低コストのリチウムイオン電池が貯められないはずの電気を貯めて使うという新たな常識に変えようとしている。
 電気エネルギーを創り出す供給側のアイテムは3電池を始めとして革新技術が次々と実用化され、目まぐるしいほどに商品開発が進められているが、電気を使う方の意識はどうなのだろう。電気は電力会社と契約すれば、勝手に送られてきてスイッチのオン・オフだけで使える、まるで空気のような存在感のないものというのが常識になっている。だから、電力の低炭素化といってもそれは電力会社の問題で需要家側はどうすることもできないということになる。
 しかしながら、燃料電池や太陽電池、蓄電池といったアイテムはそうした常識を非常識に変えてしまうだけのパワーを見せ始めている。こうした革新技術革新は、まず事業用や産業用などで採用され、次第に業務用や家庭用に波及していくというのがこれまでの常識であったといえるが、3電池はこうした常識も覆し、家庭用や業務用、自動車用など需要側の分野でまず実用化されたというところからすでに非常識さが始まっている。
 これによって、需要分野で非常識の常識化が始まろうとしている。つまりそれは、電気は自ら発電して使うということが常識になるということだ。考えてみれば熱は燃料を使って炎やお湯を作り出すというのが常識だ。3電池がこれから切り開こうとしている道は、こうした常識を電気にも持ち込むもので、電気は自家発電するという時代の到来を予感させるといったら言い過ぎか。3電池展の会場を巡りながら、そんなことを考えた。