2010年225日号

環境エネ製品の開発促進で低炭素投資法制定へ
 経済産業省は、エネルギー・環境分野で新産業を育成するための支援措置を講ずることを目的に法律案をまとめた。今国会での成立を目指す。
 法案は「エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(低炭素投資促進法案)」。
 昨年12月に閣議決定された「新成長戦略(基本方針)」を早期に具体化することを目指して、電気自動車や蓄電池、太陽光パネルなどの環境・エネルギー製品を開発・製造する事業者に対して日本政策金融公庫を通じて長期・低利の資金供給を行うことや、中小企業がリース制度を活用した省エネ設備や円ベルギー機器の導入を容易に行えるようにするため、新たなリース保険制度を創設してリース料の未回収リスクを低減する。
 開発期間が長期間にわたることが多い環境・エネルギー関連製品の開発を、低利・長期の融資制度を設けることで資金面から担保できるように支援する。
 新設するリース保険制度は、初期投資コストが資金面で調達することが難しい中小企業などにリースを活用して設備投資が行いやすくなる環境を整備することが目的。中小企業に対してリース方式で低炭素型のエネルギー機器を導入することは有効な手段であると考えられているが、金融危機後に金融市場では余震条件が厳格化していることもあり、信用力の少ない中小企業にとってはリース利用がやりにくい状況になっている。
 こうしたことを回避するために、リース料の回収が不可能になるなどの場合に未回収のリース料の一部を保険によって支払える制度を創設する。


太陽光発電を「環境施設」に位置づけ 工場立地法改正へ
 経済産業省は、工場への太陽光発電の導入をやりやすくすることを目的に、工場立地法の規制緩和を検討していたが、2月23日に第3回の検討小委員会を開いて太陽光発電を敷地面積の25%以上の設置が必要な「環境施設」として位置づけることで、導入促進に向けた環境整備を行うことにした。小委員会の報告書をパブリックコメントし、新年度早々にも基準を改正する。
 大規模工場に太陽光発電を導入する場合、電力事業用以外の自家発はその他設備と分類されている。これを一定面積の確保が義務化されている緑地や環境施設に位置づけることで、太陽光発電導入の動機付けにしようという規制改革が要望されていた。また、年末に政府がまとめた緊急経済対策でも緑地面積のの一部として太陽光発電を位置づけ、年度内に措置することを求められていた。
 経産省ではこれを受けて小委員会を設置して基準緩和の方針をまとめた。太陽光発電は「環境施設」として、一部緑地との重複を認めることや、屋上緑化と同様に生産施設の屋上や壁面に設置した場合、生産施設と環境施設のダブルカウントを認めることなどを決めた。環境施設は工場立地法で、緑地や地域の生活環境の保持に寄与する施設で、噴水や池、運動施設、広場、共用文化施設などがこれにあたるとされている。


IRENAの紹介など エネ研が再生可能エネセミナー
 日本エネルギー経済研究所は2月18日に、「再生可能エネルギーをめぐる国際機関の戦略と日本の役割」をテーマにエネルギーセミナーを開催した。セミナーは、再生可能エネルギーの国際的な普及活動を行うIRENA(国際再生可能エネルギー機関)のエレン・ペロス暫定事務局長の特別講演が行われたほか、途上国への再生可能エネルギーの拡大を目的とする「世界銀行の新エネルギー戦略」、アジア開発銀行の「再生可能エネルギー促進計画」の紹介などの講演が行われた。
 IRENAは、昨年1月に発足した国際機関で、太陽光発電や風力発電、バイオマス燃料などの再生可能エネルギーを地球規模で 拡大することを目的としており、先進国と途上国がともに参加する新たな形の国際機関として注目されている。142カ国とEUが加盟を表明しているが、正式な発足には25カ国の批准が必要で今年中の正式な発足に向けて活動を行っている。日本は昨年加盟済み。エネ研では、事務局員の派遣を決めるなど緊密な協力を行っており、資源エネルギー庁とともに再生可能エネルギーの国際展開にIRENAを通じて積極的に参画していく方針を掲げている。


非白金触媒のPEFCを公開へ 住友商事
 住友商事は、非白金触媒を使用するPEFC(固体高分子形燃料電池)を3月3日から東京ビッグサイトで開催される「FC EXPO2010」で公開する。英国のベンチャー企業であるACALエネルギー社が開発した燃料電池モジュールの試作機の「FC ENRINE」。1kWから100kWまでの市場をターゲットに2年以内に実用化を見込んでいるという。
 従来のPEFCでは、高分子膜の正極・負極の両極に白金触媒が使われており、PEFCのコストダウンにとって災害の生涯とされている。試作機では、正局側に白金触媒を使用せずより安価な化合物で代替し、負極側でも従来型に比べて白金の使用量を最大90%削減することに成功した。また、熱や水分の制御も簡略化できるため、システムコストの大幅な削減や 耐久性の向上も期待できるという。
 ACALエネルギー社は住友商事によると、英国の技術戦略委員会などから支援を受け、独自の特許技術によるPEFCの実用化開発を進めているという。


その他の主な記事
・環境アセス見直しへ答申
・国内クレジット71件を追加
・1月電力需要はまだ低水準
・産業競争力部会を新設
・大和ハウスがスマートハウスの実証試験
・ライオンズマンション駐車場に充電装置
・中部電力の初めての風力発電所が運開
・柏崎市でEV充電サービスの実証事業
・日立がカナダの電力会社にCCS技術を提供
・東芝がインドでも合弁会社
・明電舎が太陽光発電用の高効率パワコンを開発
・東ガス、冷温水同時供給HPを開発
・アジアバイオマスで報告会
・大規模太陽光などで3月のJPIセミナー
・東ガスのSOFCなどでSSKセミナー
・スマートコミュニティアライアンス募集
・11月のRPS認定設備風力は220万kWに  etc.


シリーズ連載
・日本版グリーンニューディールを考えるF
 =エネルギー技術の海外展開を=
 (井熊 均・日本総合研究所 創発戦略センター所長)
・カーボン・マネジメント入門(26)
 =都のクレジット価格は1万5千円?=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・新刊紹介:「異業種競争戦略−ビジネスモデルの破壊と創造」
 (内田和成著 日本経済新聞社)



コラム
・発電論評<電源種別ごとの電力を販売する>
・ちょっと一休<ハンギョレ新聞記者の話を聞く>
・青空<極めて個人的なことで恐縮だが>
・霞ヶ関から<環境・経済の政治主導の省庁間対立>


電源種別ごとの電力を販売する【発電論評】

 再生可能エネルギーの拡大に向けて環境整備が急ピッチで始まっている。技術的な受け入れとしてはスマートグリッド、制度的な受け入れとしては全量固定価格買取制度というところだろうか。
 スマートグリッドについては、実現にはまだまだ相当の期間と技術開発が必要で、現実的に進めようとすれば、いわゆるマイクログリッドをスマート化し、スマート化したマイクログリッドを有機的につなぎ合わせて広域ネットワークを作るという方向に行くことになるのだろう。
 いずれにしても余剰電力はためることになる。効率よく電力を保存するためには水素と蓄電池が必要アイテムとして考えられている。
 もう一方の全量固定価格買取制度はというと、制度の設計によって評価は大きく異なってしまう。高額な買取価格は確かに導入意欲をかき立てることになるだろうが、投機的な行動も可能にしてしまう。そして高額な電気料金を需要家が負担しなければならなくなる。かといって買い取り価格が低額では、導入の動機付けにはインパクト不足ということになる。
 固定価格買取制度は、欧州での成功例が評価基準となって、RPS制度だけでは再生可能エネルギーの拡大が思うように進まない日本でも制度設計が始められたものである。
 しかし、負担は電力料金に跳ね返る。電力料金を値上げせざるを得ない電力会社も導入には消極的だ。何よりも実際にコスト負担をすることになる需要家の不満が大きい。全種全量買取制度の詳細な内容はまだ明らかになっていないが、負担の限界は当然考慮されなければならないということだ。
 結局は、料金を支払う側が納得できる制度とできるかどうかということにつきるが、それならば、買取義務制度ではなく、電源別に料金をつけて売るという方法もあるのではないか。例えば、太陽光電力は1kWh30円。風力は20円、というように電源種別ごとにメニュー化にして需要家が選択購入できるようにする。もちろん電源ごとに販売できる量は異なるので、需要家も希望どおりの電力が購入できるとは限らない。売り切れた場合や、天気の都合で発電できなかった場合は、その他の電力で補完するという条件にする。これは、請求書に電源種別ごとの電力供給明細をつけるだけですぐにでも実行可能な案だ。また、複数の電力会社から電力を購入できるようにして、風力発電の電力を供給してくれる電力会社と太陽光発電の電力会社、原子力の電力を少しずつセットにして購入することもできるようにすると、電源開発に特化する発電会社の販路も広がり、需要家が求める市場として再生可能エネルギーの拡大が期待できるのではないか。