2010.02.15


2010年215日号

リンナイがハイブリッド給湯器を発売 エコジョーズと電気式HPを組み合わせ
 リンナイは、ガスと電気を熱源とするハイブリッド型の家庭用給湯器を開発したと発表した。ガス高効率給湯器「エコジョーズ」と、電気式ヒートポンプを組み合わせた世界初のシステムで、4月2日に発売される。CO2排出量は通常のエコジョーズと比べて約20%、自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器「エコキュート」460Lタイプより約30%削減でき、現在の高効率給湯器の中で、最も高い削減量を実現した。
 ハイブリッド給湯器は、給湯など少量のお湯が必要な際は、ヒートポンプにより50Lの小型タンクで沸かしておいたお湯を使い、風呂などで大量のお湯が必要な場合はエコジョーズを併用するというように、使用状況に応じて熱源を切り替え、効率的に運転できるのが特徴。
 湯切れの心配がなく、エコジョーズによる暖房機能も標準搭載しており、床暖房や浴室暖房などにも利用できる。年間の給湯のランニングコストはエコジョーズの約半分で、導入コストは約7年で償却できるという。
 05年から開発を始め、ガスと電気の長所を補完しあうことで極めて高いレベルで環境性・省エネ性を実現した給湯器を開発した。ヒートポンプユニットはシャープからOEMで調達する。
 価格はタンクと熱源機が一体となったタイプが75万6千円、セパレートタイプが73万5千円。戸建て住宅を対象に初年度で1万台、5年後に単年度で10万台の販売を目指す。


エネルギー基本計画見直し作業始まる 新たな総合エネルギー産業の姿を描く
 経済産業省は、3年ごとに見直すことになっているエネルギー基本計画について、新たに委員会を設置して検討作業を開始した。昨年の政権交代もあり従来のエネルギー政策が踏襲されないため、25%削減の中期目標や新成長戦略を反映させて全く新たな基本計画として策定する。
 25%削減を可能にする国内のエネルギー需給のあり方、資源確保の観点から原子力・再生可能エネルギーの拡大のロードマップを盛り込むことや、新たなエネルギー産業構造のあり方などを示し、エネルギー産業を中心とした今後の日本経済の成長に向けた姿を描き出す。
 設置された委員会は総合資源エネルギー調査会基本計画委員会(委員長・黒田昌裕東北公益文科大学学長)で総合部会の下に設けた。基本法に基づく現行計画が07年3月の策定で見直し時期にあたっていることから、新政権が掲げる地球温暖化防止の中期目標である25%削減や昨年暮れにまとめた新成長戦略を取り込んで見直し、2030年を見通す形で目標や必要な対策などを示す。
 委員会の構成も、関連産業界からの委員は皆無で、大学の研究者や団体などの専門委員を委嘱し、業界からはヒアリングの形で意見を聞く。関連業界からのヒアリングやパブリックコメント、各省協議などを行った上で6月を目途に委員会でとりまとめる。
 新計画は温暖化対策を前提として経済と環境、セキュリティーを3要素を両立させることを前提として、日本型のエネルギーシステムや事業を海外展開することや規制緩和を行い、コージェネ、再生可能エネルギーの拡大など電力、ガス、石油といったエネルギー間の垣根を超える新たなエネルギー産業構造のあり方を示すなど新たな視点が盛り込まれる。
 2月9日に開かれた初会合では省側が用意した論点案に対して、25%削減ありきでは対応が厳しく、原子力の拡大・稼働率の向上、再生可能エネルギーの拡大、化石燃料の抑制・高度利用など可能な対策は極めて限られること。20年までに目標を達成することは極めて困難で相当の規制強化策を用意する必要があるのではないかという意見が複数の委員から述べられた。


バイオマスも基本計画を策定へ バイオマスニッポン総合戦略を格上げ
 農林水産省は、バイオマス基本法に基づくバイオマス活用推進基本計画の策定に向けて、専門家会議(座長・迫田章義東京大学生産技術研究所教授)を設置し、第1回の会合を開いた。
 専門家会議は昨年制定された基本法に基づいて、政策目標となる基本計画を検討する。基本計画は、これまで国内のバイオマスの利活用策として位置づけられてきたバイオマスニッポン総合戦略に代わる国の新たな政策展開の基本方針となる。
 基本計画では、国が達成すべき目標、政府が講ずべき施策、必要な技術開発事項などバイオマス活用に必要な事項を総合的に、また達成目標をロードマップ化するなどして計画の進捗状況が検証できるようにする。
 バイオマスニッポンとの関係については総合戦略を基本計画に格上げする形で引き継ぎ、バイオマスタウンなど成果を上げつつある施策については継続する。また推進計画の指標となる数値目標も盛り込む方向で、バイオマスの種類別あるいは利用別、また地球温暖化目標との関連させる指標など具体的な内容について方向性を出し具体的に検討することにした。


温暖化対策基本法の素案を説明 環境省が地球環境部会で
 環境省は、2月10日中央環境審議会地球環境部会を開催し、地球温暖化対策に関する基本法案の素案の概要を示して、意見を聞いた。
 基本法は関係閣僚会議でとりまとめた上で、政府案として今通常国会に来月早々にも提出される。部会に示されたのは、環境省がまとめた素案の概要。25%の削減中期目標を法案の中に明示するのかどうかなど、省庁間にはまだ異論が残されている。
 示された法案の概要では、2020年までに90年比でCO2排出量を25%削減するという中期目標や50年までに80%削減するという長期目標値が盛り込まれているほか、再生可能エネルギーの導入量を20年までに最終エネルギー消費量の20%程度とするなどの目標値が盛り込まれている。
 基本的施策としては、「地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画」を策定するものとして、@キャップ&トレード方式による国内排出量取引制度の導入A温暖化対策税の11年度からの導入B全量買い取り方式の固定価格買取制度の創設などを具体的に示す。また、省エネの促進など「国民が日々の生活の中で取り組むべきこと」や、温暖化防止に役立つ事業の創出などの「ものづくり」、公共交通機関の整備などによる「地域づくり」なども盛り込まれている。


その他の主な記事
・エネルギー基本計画の意見を募集
・太陽光サーチャージ初年度はゼロ円
・東京都が電気事業者の排出係数を公表
・JVETS第3期を報告 CO2取引価格は約800円
・三洋ホームズ、G電力を活用したリフォームローン
・10年度エコポイント等モデル事業公募
・09年度優秀省エネ機器表彰式 日機連
・ENEX2010、環境エネルギー機器に高い関心
・東ガスが低温未利用エネ利用のジェネリンクを共同開発
・東ガスがマンション用・業務用太陽熱給湯器を発売
・ゴミ焼却炉の廃熱で熱電発電、昭和電工が実証へ
・Jパワーの地熱発電所が増出力
・東京ガスがZEB実証へ自社ビルを改修
・コスモ石油がエコパワーを買収
・NEDOがPEFC技術開発で募集
・NEDOが蓄電技術でワークショップを開催
・中国の植林事業参加者を募集
・水素貯蔵でフォーラムとセミナー
・低炭素地域まちづくりモデル地域を公募
・10年度エコポイント等モデル事業公募
・LPG国際セミナー2010開催迫る
・3市町がバイオマスタウン構想、225市町村に   etc.


<インタビュー>
・COP15と中国の温室効果ガス削減
(明日香 壽川・東北大学教授)
昨年末のCOP15で、最も存在感を示した感のある中国。会議直前に削減目標を発表したが、法的拘束力ある目標や、国連に登録するプロジェクト以外の国内措置のMRV(温室効果ガスの測定/報告/検証)を拒否、先進国に温暖化の責任を強く求め、先進国との溝は埋まらなかった。今後、中国との温暖化交渉をどのように進めればいいのか、中国の温暖化政策に詳しい東北大学の明日香教授に話をうかがった。

燃料電池新聞の主な記事
・FC EXPO2010が開幕へ 3月3日から5日までビッグサイトで
・ホンダが米国に水素ステーションを建設 太陽光発電でで電解水素
・富士経済が燃料電池システムの市場動向調査
・海外ニュース
 -GMがPHEV用のリチウムイオン電池パックの製造を開始
 -ノキアがバイオ電池をつかった携帯電話を開発
 -カナダのハイドロジェニックス社が次世代月面移動車の電源開発契約を締結
 -豪とフィリピンの通信大手が基地局に燃料電池バックアップ電源設置を検討
 -米国学術研究会議(NRC)、PHEVの普及は2030年以降という報告書を発表
 -米アルミフューエルパワー社、2010年からアルミ粉を使う水素製造装置の販売を開始
 -カナダのバラード社がダイムラーAG社へ燃料電池自動車、燃料電池バス向けスタックを供給
 -デンマーク高度技術振興財団が補聴器用のマイクロ燃料電池の開発プロジェクトを開始
 -米ロサンゼルス市、ビジョンインダストリーズ社と燃料電池ターミナルトラックの導入で交渉
 -シンガポール政府とロールスロイス社の産業用SOFC開発計画が頓挫
 -米UTCパワー社が燃料電池バス向けスタックで5000時間の耐久性を確保
 -米アイダテック社、2009年に燃料電池バックアップ電源を445システム出荷
 -カナダのバラード社がオランダAPTS社から燃料電池バス向け駆動ユニットを受注
 -シンガポールのホライゾン社、パーソナル水素ステーション「HydoFillTM」を発表
 -米ヴァイレクス社、燃料電池メーカーから空気供給システムを350台分受注
 -中国BYDが2010年末に電気自動車の販売を開始
 -米サンハイドロ社が米東海岸沿いに11箇所の水電解式水素ステーション建設を計画
 -米プラグパワー社の2009年実績と10年の業績見通しを発表
 -豪CFC社が独のエネルギー会社EWEに3台の家庭用燃料電池を納入
・燃料電池フラッシュニュース
 -長野県テクノ財団が間伐材から水素を取り出すシステムの開発計画
 -日立製作所など、PHEV向けに容量25Ahのリチウムイオン電池を開発
 -マツダが水素ハイブリッド自動車「プレマシー・ハイドロジェンREハイブリッド」を岩谷産業に納入
 -シムドライブによるEV試作車開発に三菱自動車自など34企業・自治体が参加
 -新日本石油、業務用SOFC燃料電池の実用化を計画
 -NEDO、「燃料電池・水素技術に関する米国動向調査(2009年度)」報告書を発表
 -岡崎製作所、家庭用燃料電池の改質器用マイクロヒーターを量産
 -日産自動車、全国旅館生活衛生同業組合連合会とEV充電インフラ整備で連携
 -アストモスエネルギーが寒冷地仕様の「エネファーム」のモニター運転を開始
 -トヨタ、燃料電池自動車の2015年の少量生産を表明
 -スズキがGMと進めてきたHEV、FCVの共同開発を終結
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会「第130回定例研究会」2月24日(水)13時〜18時 横浜国立大学教育文化ホール大集会室
 概要=「再生可能エネルギーを用いた水素エネルギーシステム開発」、「グリーン水素への展望」(横浜国立大学 太田健一郎氏)、「風力発電の現状」(足利工業大学 牛山泉氏)、「国際的な水素エネルギーシステムの経済性について」(エネルギー総合工学研究所 渡部朝史氏)などの講演   etc.

シリーズ連載
・世界を読む(18)<米国の上院議員補欠選挙>
・カーボン・マネジメント入門(25)
 =国内クレジット制度を使い易く=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・新刊紹介:「スマートグリッド入門 次世代エネルギービジネス」
 (福井エドワード著 アスキー・メディアワークス)


コラム
・発電論評<エネルギー基本計画の見直しにあたって>
・ちょっと一休<さすがだった寺島実郎氏の講演>
・青空<風力発電に期待する>
・ちょっと一言<スマートグリッドとグーグル無料の仮説>


エネルギー基本計画の見直しにあたって【発電論評】

 エネルギー基本計画の見直しが始まった。3年前に作られた現行計画が3年ごとの見直しの時期に当たっている。この3年間、国内のエネルギー関連事業を取り巻く環境は激変しており見直しするにはふさわしい時期だといえる。京都議定書の約束期間が始まり、低炭素エネルギーへの転換が余儀なくされる時代になったこと。また、石油価格の暴騰があり、エネルギーの高価格時代が訪れたこと。何よりも政権交代があった。
 激変する環境を背景にエネルギーの基本計画が見直される。最大の関心は新政権のもとで初めてエネルギー政策が具体的に示されるものになるということだ。CO2排出量25%削減の中期目標を達成するための具体的な政策の提案。環境・エネルギー分野を今後の日本経済の発展の中核産業として育成することを謳った「新成長戦略」を具現化するためのエネルギー産業のあり方も示されることになる。
 基本計画では低炭素エネルギーの拡大とエネルギーの低炭素利用の拡大、そして安定供給の確保が克服すべき3つの要素と考えられる。
 低炭素エネルギーの拡大を支える具体的な政策として考えられているのは、温暖化対策税(環境税)と国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの全量買取制度の導入だ。いずれもが化石エネルギーの使用量を抑制し再生可能エネルギーの拡大に経済的なインセンティブを与えるという考え方に基づくものである。再生可能エネルギーの位置づけは、新政権の中では唯一のエネルギー政策といえなくもないが、これが新基本計画の目玉となることは明白。どこまで目標値が具体的に盛り込まれるのかに注目が集まる。
 また一方で、環境エネルギー分野を日本の成長産業に育てるという方針の下、エネルギー産業のあり方を抜本的に見直す方向も示されている。
 電力、石油、ガスといったエネルギー源ごとのタテ割りに分割されている状態を「エネルギー産業」としてひとくくりにして、エネルギー間の垣根を取り除き「総合エネルギー産業」へと競争力のある産業形態に転換を図り海外展開も視野に入れるというものだ。
 再生可能エネルギーの拡大や化石エネルギーの効率利用、産業構造の転換。こうした課題を解決する最大の課題は、需要家の選択肢を増やすという意味で市場の自由化をどこまで可能にするかという視点が欠かせないのではないか。新規に事業参入しても自由に需要家に販売できないという電力の非自由化市場が、再生可能エネルギーの流通に大きな阻害要因として立ちはだかっている。低炭素エネルギーの供給拡大が見通せるような新たなエネルギー基本計画が待たれている。