2010.01.15


2010年115日号

仕分けで減額、10年度エネルギー予算案
 民主党連立政権下で初めてとなる2010年度の政府予算案が12月25日、閣議決定された。
 この内、エネルギー対策特別会計(経済産業省分)は、09年度当初予算比1.4%減とほぼ前年度並みの6938億円を確保した。また10月の概算要求額と比べても、総額で93億円の削減(1.3%減)と、低炭素社会を実現していくため、特に温暖化対策を中心に手厚い予算措置が講じられている。
 ただ、行政刷新会議の「事業仕分け」において、見直しを求められていた「住宅用太陽光発電導入補助」や「高効率給湯器導入補助」「民生用燃料電池導入補助」などの補助金事業は、概ね事業仕分けの結果通りとなった。
 「予算計上見送り」とされていた住宅用太陽光導入補助は、4月以降すぐに全量買い取り制度に移行するのは困難として再度検討することを前提に、15万世帯分となる401億円が認められた。
 また「廃止」とされたエコキュートやエコジョーズなど高効率給湯器導入補助は、10年度中に廃止するものの9月まで6か月間の周知期間を設け、その間の駆け込み需要に対応するため87億円を、「3分の1程度の縮減」とされた家庭用燃料電池エネファームの導入補助では、1件当たりの補助額を上限130万円に引き下げることにし、68億円を確保した。
 一方、スマートグリッドの実証を行う「低炭素社会実現プロジェクト」は「予算計上見送り」とされていたものの、グリッドの基盤となる関連システムの開発に特化した新事業に組み替えることで、新規に11億円の予算措置が講じられた。
 さらに、事業仕分けで「3分の1程度の縮減」とされた省エネ設備の導入補助となる「エネルギー使用合理化事業」は、先進性の高い省エネ設備への補助事業へ移行することで270億円を確保する一方、中小企業などがリース取引によって省エネ設備を導入する現状を踏まえ、これを支援する「リース保険制度」を創設するため、新規に80億円の予算が付いた。
 また、20年までに新車の半分を次世代自動車とするための電気自動車やプラグインハイブリッド車、充電設備整備に対する補助金は、09年度予算比5倍増となる124億円が盛り込まれている。


オフセット値も反映した電力排出係数を公表
 温帯法に基づく、電気事業者別のCO2排出係数(08年度実績値)が12月28日付で公表された。08年度分からデフォルト値を上回る電力事業者の排出係数も公表の対象となっているほか、CDMクレジットなどでCO2排出量をオフセットした「調整後の排出係数」も公表された。公表された排出係数は、省エネ法や温対法に基づく届け出などで、外部から購入した電力のCO2排出量の算定に使用される値。
 実排出係数は、一般電気事業者では関西電力の0.355から沖縄電力の0.946kg/kWhまで3倍近くのばらつきが見られた。PPS(特定規模電気事業者)では、日本風力開発の0.0から昭和シェル石油の0.809までこちらも大きなばらつきが見られる。日本風力開発は風力発電の事業者であり、自社の風力発電の電力を販売するため排出係数はゼロ。各電力会社の平均値で実排出係数の代わりに使用できるデフォルト値(代替値)は、前年度より0.006増えて0.561となった。
 また、電力会社が購入した京都メカニズムに基づくCDMクレジットなどでオフセットした調整後の排出係数も今回から初めて公表された。調整後の排出係数は温対法の基準が改正されたことで、購入した電力の排出量の算定に使用できることになったため、今回から公表の対象となった。
 クレジットによる調整を行ったのは、北海道電力と沖縄電力を除く8電力会社と、PPSでは、丸紅の合計9社。係数の調整率の最も大きいのは東北電力で実排出係数0.469から0.340へと27.5%の削減率。次いで中国電力も0.674から0.501へと25.7%の削減。東京電力も0.418から0.332へと20%を超える大幅な削減調整を行っている。


政府が新成長戦略で基本方針、環境エネが中心に
 政府は、暮れの12月30日に新成長戦略の基本方針「輝きのある日本へ」を閣議決定し公表した。
 基本方針では環境エネルギー分野で20年までに「新規市場50兆円超」をめざすほか、「新規雇用140万人」「日本の技術で世界の温室効果ガス排出削減13億トン以上」などを掲げ、環境エネルギー分野を成長戦略の最重要に据えて、日本経済再生に向けた新たな成長産業として位置づけた。基本方針に沿って6月頃に正式な成長戦略がまとめられる。
 基本方針は@グリーンイノベーションによる環境・エネルギー大国Aライフ・イノベーションによる健康大国Bアジア経済戦略C観光立国・地域活性化D化学技術立国E雇用・人材戦略の6分野を成長戦略の基本方針として取り上げた。
 トップ項目として最重要課題に位置づけられたグリーン・イノベーションでは、「新規市場50兆円」や140万人の雇用」「世界のCO2削減量13億トン以上」という20年までの目標達成のための主な施策として、電力の固定価格買取制度の拡充等による再生可能エネルギーの普及やエコ住宅、ヒートポンプの普及による住宅・オフィスのゼロエミッション化の推進、また、蓄電池や次世代自動車の普及、火力発電所の効率化など革新的技術開発を前倒しして進めることや税制をグリーン化して総合的な政策をパッケージ化して集中的な投資事業を展開し、世界一の「環境・エネルギー大国」を目指す方針を掲げた。
 戦略に掲げた目標達成に向けて、10年度には太陽光発電の拡大のため工場緑地面積の一部を太陽光で利用できるようにするほか固定価格買取制度の拡充、スマートグリッドの実証、鳩山イニシアティブの実行などを具体化するほか、4年間を集中アクションプラン期間として太陽光発電・蓄電池の高効率化・低コスト化や自然公園法の改正など再生可能エネルギー拡充の基盤整備を図るほか、日本型スマートグリッドと次世代送配電ネットワークの構築の具体化やスマートコミュニティの全国展開などに集中的に取り組むことをロードマップ化する。


国交省と経産省が温暖化とエネルギー施策で連携案
 経済産業省と 国土交通省は、地球温暖化対策とエネルギー関連施策について連携を強化することで合意、具体的な対策について担当部局間での検討結果を中間とりまとめとして公表した。
 自動車交通、物流、民生、建設、エコタウン・スマートコミュニティなどの6部門について必要な短期的な取り組みと長期的な取り組みをそれぞれまとめた。
 自動車交通部門では、エコカーの補助金や燃費基準の策定をはじめ、充電施設の拡充へ補助金の確保などインフラ整備を連携して進めていく。
 エコタウン・スマートコミュニティ部門では、エネルギーの面的利用促進で連携し、支援制度の拡充など具体的な推進施策を検討するほか、下水道のバイオガスの活用技術の実用化や導管利用、下水熱を活用した次世代型ヒートポンプの実用化の加速などを連携して行う。
 建設部門では、ハイブリッド建設機械の燃費基準の策定や導入促進補助時金・税制などの支援策、公共工事への導入促進策などを検討することにしている。


出光興産が二又風力に資本参加
 出光興産は、日本風力開発が青森県で蓄電池併設型の風力発電事業として運営している二又風力開発に資本参加し、共同事業化すると発表した。
 昨年3月に共同事業化について協定書を締結していた。出光興産が二又風力の第三者割当増資を引き受ける形で40%の株式を取得する。出光興産は発電する電力の環境価値を初年度は40%、2年目以降は全量を引き取りCO2ゼロのグリーン電力として販売する。
 出光は今年4月から新丸ビルにCO2ゼロのグリーン電力の販売を行うことにしており、そのための販売用電力として利用する。
 出光興産と日本風力開発は、今後もさらに共同して、蓄電池併設型の風力発電事業を活用したCO2ゼロ電力の供給拡大を進める方向で、今後とも協議を進めていくとしている。
 二又風力は5万1千kW(1500kW×34基)の発電設備容量で、出力安定用に3万4千kWの蓄電池を併設している。


その他の主な記事
・環境省の新年度予算
・東ガス、岡本副社長が社長に昇格
・富士経済が電力エネルギー市場をレポート
・川重がイタリアにガスタービンを納入
・大京がスマートハウスを実証へ
・中部電力が下水汚泥からバイオマス燃料を製造
・帝国データバンクが太陽光への企業参入状況を調査
・電源開発が丸紅からウインドファームを譲り受け
・電源開発が木質ペレット会社を設立
・東レが東燃と合弁で電池用フィルム事業を拡大
・豊田自動織機、ソーラー充電ステーションを開発
・有機資源協会が国内視察会
・スマートエナジーが削減エキスパート
・ZEBシンポを開催
・大阪府が家庭用太陽光の証書化を支援
・国内クレジット計画案87件も
・アイミーブやエネファームなど、新エネ大賞決まる
・大阪地区でコージェネセミナー
・9月のRPS認定設備状況
・排ガス対策原動機と建機、低騒音建機   etc.

新年特集第2集
<年頭所感>
・経済産業大臣・資源エネルギー庁長官・石油連盟会長
<特集>
・新春特集「暖かい家庭をつくる、ガスビジネスルネッサンス」
(内藤弘康・リンナイ取締役社長・久徳博文・日本ガス協会常務理事)
近年、家庭用ガス機器の技術革新には目を見張るものがある。給湯という分野に限っても「エコジョーズ」(潜熱回収型給湯器)から「エコウィル」(家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステム)、そして昨年は「エネファーム」(家庭用燃料電池)が満を持して登場した。しかし、イノベーションはこうしたCO2排出削減技術だけではない。ガスならではの快適な生活を提供する商品の充実もまた、ガスの温もりを多くの人に届けている。例えば温水による暖房、とりわけ床暖房が人に優しい暖房として、高い評価を受けている。あるいは、浴室暖房は高齢者の浴室での事故を防ぐという点でも注目されている。まさにガスだからこその、暖かい暮らしが実現されている。これからも、CO2排出削減という流れは変わらないだろう。これまで以上にお客様の視点に立ち「どれだけたくさんガスを使うか」ではなく、「どれだけ満足してもらえるか」というのが、エネルギービジネスの方向となっていくし、さらなるイノベーションも期待されている。こうした家庭用分野におけるスマートなエネルギーのサービス提供について機器メーカー、および都市ガス事業者のそれぞれの視点から話をうかがった。

燃料電池新聞の主な記事
・大阪ガスの普及戦略
・パナソニックDMFC
・2010年の燃料電池展望
・海外ニュース
 -実証から市場導入段階に移行 欧州の燃料電池バス
 -韓国に水素ステーションを建設 米エア・リキッド
 -20年まではHV開発に注力 現代・起亜自動車
 -EVとFCVを市場投入へ メルセデス・ベンツ
 -10年後半からPHEVの本格生産を開始 GM
 -燃料電池遊覧船「ネモ H2」 アムステルダムで
 -ミラノ自動車ショーでFC自転車などを発表 英アクタ社
 -下水処理場に燃料電池発電設備を増設 カリフォルニア州
 -欧州市場に燃料電池ミニバスを納入 ハイドロジェニックス
 -FCV「307CC」を開発 PSAプジョーC
 -EV・HEV開発にシフト BMW
 -PEFCのカーボン支持体を開発 PNNLら
 -アイスランドに10台のFCVを納入 フォード
 -水素を貯蔵できるメタルハイドライドを開発 南フロリダ大学
・燃料電池フラッシュニュース
 -樹皮から水素を取り出す技術を開発 東北大グループ
 -エネファーム生産台数、計画の2倍に パナソニック
 -マツダ、水素ロータリーエンジン車を納車 山口県に
 -スマートハウスの実証実験を開始 大ガスと積水
 -PHEVの市場導入を開始  トヨタ自動車
 -CO2選択透過膜の実用化を推進 住商とRER
 -家庭用SOFCシステムの実証運転を開始 東京ガスら
 -NEDO実証に大ガスらも参加 SOFCで
 -レアアースを使用しないHV用モーターを開発 東京理科大学
 -「補助電極」を設けたSOFCセルを開発 日立製作所
 -グリーンファーストモデルが好調 積水ハウス
 -SOFC電解質の生産能力を拡大 日本触媒
・燃料電池インフォメーション
 ■産業技術総合研究所 水素材料先端科学研究センター他「水素先端世界フォーラム2010」
  2月3日(木)〜4日(金)グランドハイアット福岡(福岡市博多区)、九州大学伊都キャンパス(福岡市西区)
  概要:水素社会の実現に向けた日米欧の水素関係機関や研究者による水素戦略、研究動向、最新成果などをテーマとした講演会   etc.

シリーズ連載
・世界を読む(17)<混乱と失望のCOP15>
・<新>環境自動車と蓄電池開発その@
 〜自動車販売の現状と環境に与えるインパクト〜
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士


コラム
・発電論評<エネルギーのスマート化でメーカーもハイブリッドに>
・ちょっと一休<大井町で名井さんの激励会>
・青空<賀詞交歓会の風景>


エネルギーのスマート化でメーカーもハイブリッドに【発電論評】

 2010年の年が明けた。静かな幕開けとなった今年だが、先行きの不透明感はぬぐえない。新年のエネルギー市場はどのような展開を見せるのか。
 いうまでもなく地球温暖化は日本1国だけで解決できる問題ではない。世界最大の排出国である米国と中国は両国で世界の半分近くのCO2を排出している。中国の高度経済成長はまだ当分続くので、やがて米中で世界の半分のCO2排出量を占めることになる。
 COP15がしまりのない結末で幕を閉じたにもかかわらず、低炭素化に向かう流れは変わらない。合意には至らなかったもののCO2削減は地球的規模の問題だという認識は世界中、とりわけ主要排出国の中では共有できている。再生可能エネルギーの拡大も世界共通の課題として認識されている。削減義務を負うことに消極的な中国や米国でもエネルギーのグリーン化には積極的に取り組む姿勢を見せている。今やCO2排出量が世界一になってしまった中国においても太陽光発電や風力発電を国産技術として展開、製品輸出までも積極的に行い始めている。
 こうした中で、年末に日本政府は新成長戦略の基本方針を公表、「環境大国」を目指し環境エネルギー産業を成長分野のトップに位置づけた。日本のこの分野での先進技術を官民協力の下で世界に打って出るという意気込みはよいのだが、中国製の太陽光パネルや風力発電にコスト的に勝てる見込みがあるのだろうか。燃料電池しかり、蓄電池しかり、電気自動車しかり、新幹線技術もしかりなのである。
 こうした環境エネルギー分野で米・中・欧に対する日本の技術的インセンティブはどのくらい残されているのか一度きちんと分析してみる必要があるのではないか。技術の先進性よりも製品の信頼性と低コスト化が何よりも重要なのだというのはこの間の日本経済の衰退ぶりを見れば明らかであると思うのだが。
 ともあれ、新年はあけた。そしてなによりも低炭素社会である。日本製であろうが外国製であろうが安価でよいものが市場を制するというのは必然である。エネルギー供給はますますスマート化する。再生可能エネルギーと蓄電池、そしてコージェネレーションをスマート化して組み合わせるハイブリッドエネルギーシステムをどのようにして安価で信頼性のあるシステムとして市場に提供できるのかが問われている。
 メーカーにしても1社単独でできるものは限られている。それよりも得意な製品を持ち寄りあって、システムの製造から運用まで行う「メーカーのハイブリッド化」が必要な時代になっているといえるのではないか。それを先んじて実現したものが市場を制することになるのだろう。