2009.12.15


2009年1215日号

グリーン電力を直接供給 青森の風力を託送で 出光興産
 出光興産は、青森県で発電した風力発電などのグリーン電力を直接東京・千代田区の「新丸の内ビルディング」に供給する「生グリーン電力供給事業を始めると発表した。グリーン電力証書などのクレジットを使用せず、実際の発電電力を直接ユーザーに届けるもので、新丸ビルを所有する三菱地所と受電契約することを12月9日付けで合意した。
 供給する電力は、日本風力開発が青森県六ヶ所村に設置している二又風力の電力を中心に出光興産が調達する。二又風力の電力を約50%、その他は複数の小水力発電で約40%、バイオマス発電で約10%を充当する。出光興産は事業開始に伴って07年に撤退していたPPS事業に再び参入して、新丸ビル以外でも同様のグリーン電力供給電力事業者として事業拡大を目指す。出光興産では「現在、新丸ビルに供給する電力量の4倍程度のグリーン電力の供給能力がある」としており、事業拡大に積極的な姿勢を見せている。
 グリーン電力を直接供給は託送によって行うため、託送料金やグリーン価値などのプレミアム分が料金に上乗せされることになるが、グリーン電力証書などクレジットの手続きも不要で直接グリーン電力の供給を受けるビル側にもCO2削減効果などのメリットがある。
 出光興産と三菱地所は、東京都がこのほど制度化した「再生可能エネルギー地域間連携」への参加を検討しており、東京都が開始している域簿事業所に対するCO2削減規制やそれに伴う排出量取引制度でのグリーン電力の優遇制度に参加する方向で検討している。
 新丸ビル側はグリーン電力を導入することで現在、年間3万トン程度排出されているCO2のうち約2万トンが削減できると試算している。


排出量取引制度創設で都が提言
 東京都は、国内排出両取引制度の導入について大規模排出事業所などに対して総量削減の義務を講ずることや有効性のある義務違反措置の導入などを盛り込むべきだとする提言を行った。また、取引制度は大規模な発電所や製鉄所などを対象とする国が直接管理する取引制度と地域や自治体が同時に上乗せ規制などが行える地域制度との2本立ての制度とするよう求めた。都の提言によると、2つの制度は相互に連携せず、制度間のクレジットの取引も共通性のあるクレジット以外は取り引きできない。2つの制度を併存させることで地域の実情に見合った温室効果ガスの抑制が図れるとみている。
 提言は「キャップ&トレードの全国導入について」と題するもので、排出量取引によって事業所の原単位改善(効率向上)にとどまらず排出総量の削減に寄与できる制度とすること、自主的でなく義務的な制度とすること、削減義務違反には罰金や課徴金等の実効性のある措置で担保すること、省エネ技術や再生可能エネルギーの導入と計画的な投資を促進し日本経済全体を低炭素型に転換し、持続的な成長を可能とする制度とすることなどを盛り込んだ制度設計を行うよう求めている。
 また、国際的に対応できる制度設計も求めており、国際競争にさらされる産業への配慮措置、国際炭素市場とのリンクが展望できる制度とすることも求めている。


小水力と汽力の小型発電機で規制緩和
 小水力発電など小容量の発電設備の規制緩和について検討している総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会電力安全小委員会の小型発電設備規制検討WG(主査・中条武志中央大学教授)は、小水力発電と気力発電について規制緩和策を報告書にまとめた。小水力発電設備についてはダムや堰のない20kW未満のものを保安規定や主任技術者が必要のない一般用電気工作物とすること、200kW未満の設備についてはダム水路主任技術者や工事計画届けを不要とする。また、小型の気力発電の内300kW未満の設備についてはボイラータービン主任技術者の選任を不要、また工事計画届けも不要とするなどの規制緩和案をまとめた。
 小水力発電については、再生可能エネルギーであり、安全性の高い小型の発電設備については太陽光や風力と同様な規制緩和を求める声が寄せられており、要望に従って従来は10kW未満とされていたものを拡大して20kW未満の設備については規制対象から外すことにした。また、200kW未満の設備については、工事計画の届け出やダム水路主任技術者を不要とした。上下水道施設など落差を利用する水力発電については特に出力制限を設けず工事計画の届け出とダム水路主任技術者を不要とする。


小型風力も買取差額を補填 ゼファーが自社ユーザーを対象に
 小型風力発電機の製造・販売を行っているゼファーは、太陽光発電とのハイブリッド型の同社製の小型風車を設置している個人ユーザーに対して余剰電力の買取差額の補填を行うと発表した。
 11月から始まった太陽光発電からの余剰電力買取制度では、太陽光単独の場合、家庭用のものは48円(1kWhあたり)で買い取られるが、燃料電池やコージェネなど他の自家発との併用設置されているいわゆるダブル発電については通常以上の余剰電力が発生する分を差し引きとして買い取り価格が39円とされている。さらに、ダブル発電でも逆潮防止装置が取り付けられていないものについては、国の余剰電力買取制度の対象とはならないとされており、東京電力など複数の電力会社では自主的な余剰電力買取メニューとして風力とのダブル発電の場合12円で買い取ることとされている。ゼファーでは、小型風力発電を導入している既設のユーザーでは、逆潮防止装置の取り付けのないところが多く、ユーザーの不満が高まっており、この不満を解消するため、同社の風力発電ユーザーに対して買取差額の36円を最長1年間補填することにした。補填期間を最長1年間としたことについて、ゼファーでは「買取制度が見直され新制度(全種全量買取制度)が発足するまで」の機関を想定しているとしている。補填するダブル発電の対象は風力発電機1台に対して太陽光発電の上限出力は3kW。対象機種は同社エアドルフィンGTOとする。
 ゼファーでは、「電力会社から風力発電を撤去すれば48円で余剰電力を買い取れる」といわれたり、「補助金を受け風力発電を設置しているユーザーは撤去すると補助金の返還を求められる」などでユーザーの不満や混乱が生じているとして、早急な制度改善を求めていくとしている。


その他の主な記事
・FIT第3回12月8日MEMO
・エコプロダクツ2009開く
・農研機構がバイオマス研究成果発表会
・08年度大気汚染は改善傾向に 環境省が調査
・URD企業紹介
・興研が受賞記念パーティー
・気候変動テーマに国際シンポ
・バイオマスシンポ開く
・IEAのエネルギーアウトルック2009
・EAMセミナー開く
・伊藤忠が本社ビルに太陽光を導入
・富士経済がグリーンマテリアル市場を予測
・ライフバルでも太陽光発電を販売
・NEDOが大規模太陽光の本格実証を開始
・メガソーラーで東京電力が川崎市と基本契約
・東北電力がハンガリーでバイオマス発電
・東京都が地域連系パートナー制度、参加者を募集
・NEDOがCO2作現事業支援で26件を選定
・環境省が温暖化基本法の意見を募集
・スマグリなどで1月にJPIセミナー
・農水省など3省、生産製造事業計画を認定
・1月27日に第51回バイオマスサロン
・エコ・アクション・ポイントモデル事業(エコノス)
・J−VER対象プロ2種類追加   etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・公明党政務調査会長・衆議院議員 斉藤鉄夫氏
 =COP15と低炭素時代の成長戦略=
 自公連立による旧麻生政権が掲げた温室効果ガスの削減目標は、90年比マイナス8%だった。こうした中にあって閣僚としてただ1人マイナス25%を主張してきたのが、当時の環境大臣・斉藤鉄夫衆議院議員。政権交代によってマイナス25%という目標が再設定されることになったが、現政権は高い目標とは裏腹に、これを実現していく具体的な戦略が描けないでいる。こうした状況について前環境大臣はどのように考えているのだろうか。

燃料電池新聞の主な記事
・NEDOの燃料電池開発の今後(有識者会議レポート)
・富士電機の燃料電池
・家庭用燃料電池の販売状況
・海外ニュース
 -デンマークで列車とEVのカーシェア開始 米ベタープレイスら
 -アイルランドに家庭用燃料電池を供給 英セレス社
 -船舶用燃料電池開発が最終段階に ノルウェーで
 -MEAなどの生産体制を米工場に集約 BASF
 -EV向け2次電池をCEAと開発 ルノー・日産
 -IGCC水素発電実証プラントを建設 米DOEとHECA
 -次世代燃料電池バスをハンブルグ市に投入 ダイムラー
 -燃料電池自動車走行試験を実施 米NRELなど
 -ポータブル水素発生装置を開発 米シグナ社
 -世界初の燃料電池ヘリコプターを開発 米UTRC
 -国際工業博覧会に燃料電池車を展示 中国SAIC
 -家庭用燃料電池の実証試験を開始 韓国ソウル市内で
 -燃料電池UAVの滞空時間記録を延長 米NRL
 -SOFC発電でCO2分離回収システムを提案 米MITでも
・燃料電池フラッシュニュース
 -豪CFC、パロマに家庭用SOFCを納入
 -東北大、樹皮から水素を取り出す技術を開発
 -テック精密、燃料電池の改質部用燃焼器を開発
 -日産、新型リチウムイオン電池を開発
 -諏訪市で燃料電池を利用したメタンガス発電
 -日産自動車、燃料電池車を米コカコーラ社に納車
 -ソニー、自動車用リチウム電池市場に参入検討
 -横浜ゴム、70MPステーション用水素供給ホースを開発
 -大ガス、家庭用SOFCの実証試験を開始
 -FCV、東京から北九州まで走行試験を実施
 -日光市に水素ステーションがオープン
・燃料電池インフォメーション
 ■触媒学会「水素の製造と利用に関する触媒技術シンポジウム」
  12月22日(火) 工学院大学新宿キャンパス
 ■電気化学会「第18回SOFC研究発表会」
  12月17日(木)18日(金) 科学技術館サイエンスホール
 ■電気化学会電気化学セミナー「最先端電池技術―2010」
  1月25日(月)、26日(火) タワーホール船堀   etc.

シリーズ連載
・世界を読む(16)<CO2削減と通貨政策の相関>
・カーボン・マネジメント入門(22)
 「排出量取引と温暖化対策税」
 大串卓矢/日本スマートエナジー代表取締役社長
・新刊紹介
 「図解カーボン・オフセットのしくみ」
  スマートエナジー編 中央経済社


コラム
・発電論評<ようやく始まったグリーン電力の直接販売>
・ちょっと一休<茨城県・五浦であんこ鍋>
・青空<沖縄県民のことが最優先!>


ようやく始まったグリーン電力の直接販売【発電論評】

 青森で発電した風力発電の電気を東京・丸の内のビルで使用する。そんな「グリーン電力販売事業」を出光興産が始めると発表した。青森の風力だけで不足する電力は同社の持つ他の小水力発電やバイオマス発電によってまかなうのだという。
 自ら発電することができず、これまでグリーン電力を利用したくてもできなかった電力需要家にグリーン電力を提供する新たな視点を提案する取り組みとして注目される。
 日本の電力会社は、グリーン電力を販売してくれない。原子力や水力、火力、新エネなどで発電した電力を混ぜてしまって販売するからだ。すべての発電所の発電電力と需要量はリアルタイムで把握できるはずなのに、電源ごとに特定した販売ができないというのはおかしなことだ。八百屋に行って「トマトだけでは売らない。キャベツやキュウリ、玉ネギとのセットで買ってくれ」といわれるようなものではないか。
 電力会社はできないがPPSなら販売できるのなら、現在の自由化制度の枠外でグリーン電力を販売する「グリーン電力PPS」制度でも作り、グリーン電力であれば自由に誰にでも販売できるようにするということも考えてたい。
 太陽光発電や風力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、コストが高いので普及できないといわれている。そこで検討されているのが固定価格買取制度だが、これは「電力会社に高価格で再生可能エネルギーの電力を買い取らせ、国民全体でコスト負担する」というもので、電力の購入側には拒否権がなく、電力の押し売りのような感もある。
 一方で、グリーン電力の直接販売は高くてもいいからグリーン電力を使いたいという需要化と発電事業者とを直接結びつけることで再生可能エネルギー電源が増えていく仕組みとなる。自ら発電することはできないが買えるものなら買いたいという需要は今後さらに多くなると期待できるのではないか。
 似た仕組みとしてグリーン電力証書があるが、証書は発電側が自家消費している電力のグリーン価値を証書購入者が使っている通常の電力と交換するというものであり、需要側が必要とする電力を直接発電し供給するという直接販売は流通するのはグリーン電力だけという違いがある。
 出力の不安定なグリーン電力が直接販売できる安定電力となった背景には蓄電技術などの技術開発の成果がある。今後さらに普及させるには、なぜ今までできなかったのかということを検証し、託送制度やPPS制度などグリーン電力が優先的にネットワークを利用して自由に流通し、買いたいだけのグリーン電力が買えるようになる。そうした取り組みが求められているといえるのではないか。