2009年125日号

新エネ政策にも厳しい仕分け スマートグリッド実証や太陽光補助など「予算見送り」に
 来年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」は11月27日に2週間にわたった事業仕分けの日程を終え、対象となった新エネや省エネ設備の補助事業などが見直しや予算縮減などと「仕分け」された。省エネ・新エネ導入支援事業は「縮減」、住宅用太陽光の導入補助が「予算計上見送り」、高効率給湯器導入補助事業は「廃止」民生用燃料電池補助事業は「縮減」などいずれも厳しい判断結果が示された。
 経産省が来年度の新規事業として求めたスマートグリッドの実証事業を中心とした「低炭素社会実現プロジェクト」は「予算計上見送り」。このままでは事業実施が困難な状況となった。事業の目的が不明確でモデル事業以降の展開が明らかでないこと民間のコスト負担がなく国費を投入する必然性が乏しいなどの指摘があった。
 省エネ設備の導入支援事業である「エネルギー使用合理化事業」については3分の1程度の「縮減」。自治体や民間企業の新エネ設備の導入支援である「新エネルギー等導入加速化支援」は、予算を半額に縮減とさらに厳しい判断が示された。
 昨年度3年ぶりに復活し、412億円の予算要求で太陽光発電の大量導入の後押しとなっている「住宅用太陽光発電導入補助」は予算見送り。固定価格買取制度にシフトすべきで補助事業は重複するとされた。エコキュートの補助事業である「高効率給湯器導入促進事業」は補助の効果が乏しいとして「廃止」。民生用燃料電池の導入補助も補助額が高額すぎるとして3分の1程度の予算縮減が必要とされた。
 エネルギー関係の独立行政法人として産総研とNEDOへの交付金が仕分け対象となったが、組織の統合も含めて抜本的にあり方自体を問い直すべきだという判断が示された。特に「人件費、間接部門、事務部門の費用が多すぎる」と指摘された。


大阪ガスがエネファームの販売目標を半年で達成
 大阪ガスは、エネファームの販売台数が11月26日に当初目標の1千台を突破したと発表した。6月から販売を開始し、半年で目標を大幅に前倒しして達成した。8月には販売目標を1300台に上方修正しており、その後も販売が順調に伸びている。
 なかでも太陽光発電と組み合わせたダブル発電が好調で1千台のうちの約40%はダブル発電として販売されている。大阪ガスでは11月から太陽光発電の余剰電力買取制度がスタートしたのにあわせてダブル発電との買取差額を補填するポイントキャンペーンを開始しており、さらに販売台数の上積みが期待されている。


風力発電の規制強化 環境アセスや技術基準で
 風力発電に対する規制が強化される。環境省は、先頃まとめた環境アセスの見直しの専門委員会が中間報告でアセス対象に新たに風力発電を加えることを提言。一定規模以上のウィンドファームなどを環境アセスの対象とする方向で、今後アセス基準の検討に入ることにした。風力発電に対して、バードストライクや低周波騒音などの問題が顕在化していることに対応する措置をとる。また、原子力安全・保安院では台風による強風や落雷事故など風力発電の建設後の事故が多発していることに対応して、技術基準の改正を行うことにした。パブリックコメントなどの改正手続きをすでに終えており来年4月から施行することになっている。
 落雷対策としては、風車の翼等に落雷対策措置を講ずることを義務づけることや、強風対策として極値風速や年間平均風速に対応を求める方向で基準化した。また、タワー部分にかかる荷重による引き抜け防止基準なども設けた。高さ20メートル以上の風車は雷対策が必要になる。


その他の主な記事
・温室効果ガス排出抑制指針の検討再開
・固定価格買取プロジェクトがヒアリング
・エネルギー高度利用シンポ開く
・環境省が小型燃焼機器の新ガイドラインを公表
・風力エネルギーシンポジウムを開催
・日本電機工業界が燃料電池で講演会
・日立と東芝がメガソーラーを受注
・エネファームがエコプロダクツ大賞を受賞
・三洋電機が太陽光の販売体制を強化
・東燃と東レがリチウムイオン電池セパレーター膜で合弁
・ジャパンエナジーらが市販灯油でSOFC
・伊藤忠がパーム油残さからバイオマス燃料
・昭和シェルが新潟研と共同でメガソーラーを建設
・ローソンが無料の充電スタンドを設置
・三井住友建設が太陽光マンション
・NEFが中小水力で研修会
・NEDO、木質バイオの現状調査の委託者募集
・環境省が温暖化防止大臣表彰で30件を表彰
・NEDOが蓄電池併設風力を募集
・飯田市など3市町がバイオマスタウン構想
・1月にGTセミナー
・PEARがCOP15テーマにセミナー
・スマートエナジーセミナー
・興研・松本社長が科学技術奨励賞を受賞  etc.

<インタビュー>
・資源エネルギー庁次長 本部氏
 = COP15に向けて =
 コペンハーゲンで、開催されるCOP15では、「ポスト京都」の合意が期待されていた。現時点では完全な合意は難しいものの、政治的な合意文書の作成に向けて国際交渉が続けられている。COP15での交渉の見通しについて、経済産業省・資源エネルギー庁で交渉を担当している本部和彦次長に話をうかがった。

シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革A「環境と政策目的を動じ達成する税制」=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・公共施設の新エネ・省エネモデルプラン
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長
 =最終回 まとめ=



コラム
発電論評<仕分けられた新エネルギー補助>
・プリズム<補助打ち切りでどうなる新エネ普及>
・ちょっと一休<鳩山政権の今後を講演する>
・青空<後世に残る社会資本>


仕分けられた新エネルギー補助【発電論評】

 話題の事業仕分けは、新エネ・省エネ分野にも容赦がなかった。新エネ導入支援や省エネ設備導入支援などは軒並み予算の縮減が求められ、エコキュートの導入補助は「廃止」とさんざんな結果となった。
 仕分け結果を丹念に拾い読むと、補助申請の窓口となる団体などの経費のかけ方に多くの注文が付けられているように見える。補助制度そのものより、補助金の配り方に問題ありということのようだ。エコキュート補助では、補助しなければ普及が見込めないほど製品価格が高額ではなく、補助金を出す意味が薄いという判断。それとの見合いというのではないだろうが、導入コストが高くて補助金効果が相当に見込めると思われるエネファーム補助については、「補助額が高額すぎる」と正反対の判断で3分の1程度の縮減が求められた。
 補助金が打ち切られたことで普及が伸び悩み、ドイツやスペインに普及で後れを取ったと批判され復活したばかりの家庭用太陽光発電補助については、固定価格買取制度が始まれば補助と支援制度が重複するという判断で、こちらは予算計上見送りと、なんだかちぐはぐで腰が定まらないという感想を持つ。
 エネルギー特会を使った次世代エネルギーの研究開発についても基本的に補助率が高すぎるとの見解で、全体的なコスト縮減が求められている。
 産総研とNEDOについても統合も視野に組織の抜本的な見直しが注文づけられた。運営実態のどこに問題があるのかは定かにされていないので、にわかな判断は慎まなければならないが、それによって技術開発の質やスピードが阻害されてしまうことのないような、見直し後の新たな体制や対策が早急に示される必要がある。
新政権発足後に早々と打ち出された25%削減は、新エネや省エネ技術の進歩発展の裏打ちがあってこそ初めて目指せる目標なのではないか。研究開発や導入促進を目指す支援事業を削り、固定価格買取制度と環境税の導入だけでとても達成できるものではないと思われる。
 無駄を省き予算を削ることは一面では正しいが、必要な技術開発や導入促進策は政策の意思として最優先されなければならない。従来型の予算要求であるからという理由で削減や見直しを求めたのであれば、無駄のない新たな体制で次世代型エネルギーの普及を図っていく道筋が示されなければならない。
 一度うち切られた太陽光補助がなぜ復活されなければならなかったのか。2050年に80%の排出削減という長期的な低炭素社会の構築に向けてエネルギーシステムを大胆に切り替えていくために、削減した先の新たなプランの提示が求められているといえる。