2009.11.15


2009年1115日号

固定価格買取PTが始動 意見公募し年度内に複数試案
 再生可能エネルギーの全量買取制度について検討を行うための資源エネルギー庁のプロジェクトチームが始動、制度設計に向けて具体的な検討を開始した。
 制度の基本的な考え方として@買取対象とする再生可能エネルギーの範囲A買取価格や買取期間B費用負担の方法や水準CRPS制度や他の導入支援策との関係D系統安定化対策とコスト負担のルール化E環境価値の帰属や分配、純国産エネルギーとしての価値などについてを検討課題として、具体的な制度設計の複数のオプションを年度末を目途にとりまとめることにした。検討に当たっては広く国民から意見公募を行うことも決めた。
 買取範囲については、再生可能エネルギーの種類や規模のほか、事業用目的設備の取扱いや既設設備の取り扱い、余剰電力と自家消費電力の買取価格に差を付けるのかなどの是非についても検討する。また、コスト負担については電気料金への上乗せなどの費用負担の具体的な方法の検討のほか地域間格差や都市ガス、石油燃料などエネルギー間の公平性についても検討課題としてあげている。


08年度温室ガス排出量は6.2%減 エネルギー起源CO2が大幅に減少
 環境省は、08年度の温室効果ガス排出量(速報)をまとめ発表した。それによると、温室効果ガスの総排出量は12億8600万トンで、前年度に比べて6.2%減と大幅な減少となった。京都議定書の基準年である90年比でも1.9%増と増加分が大幅に縮小した結果となった。
 特に、エネルギー起源のCO2排出量が昨年秋以降の金融危機による世界的な景気後退の影響を受け、産業部門をはじめとするエネルギー需要が大幅に減少したことを主な要因としてあげている。また、原子力発電が長期停止の影響がなかった98年の稼働実績値である84.2%であると仮定した場合には、90年比ではマイナス3.1%となり森林吸収分やCDMど京都クレジット活用分を加えることで目標達成の6%削減を2.5%下回り、08年度については目標を達成できたことになるとの試算も示した。
 エネルギー起源のCO2排出量は前年度比で6.7%減と大幅な減少となっており特に、産業部門の減少が10.4%減と大幅に減少したほか、運輸部門も4.1%減、業務部門も4.0%減、家庭部門も4.6%減、発電所などのエネルギー転換部門も5.5%減と全部門で4%を越える大幅な減少となっている。運輸部門では自動車からの排出量が減少していること、業務部門や家庭部門では石油製品や電力消費量の減少、エネルギー転換部門でも石油精製や自家発電などにともなう排出量が減少するなど、経済活動の停滞・縮小がみられることが排出量の大幅な減少につながっている。特に、電力消費に比べて石油製品の減少幅が大きくなっている。


太陽熱で熱融通事業 東京ガスが熊谷で実証モデル
 東京ガスは、熊谷市で太陽熱を利用した建物間で熱エネルギーを融通する省CO2推進モデル事業を行うと発表した。熊谷支社の屋上に設置した太陽熱集熱器から得られる余剰熱を、市道を挟んで隣接するホテルに熱供給する。熊谷市と共同のモデル事業として実施するもので、国土交通省の省CO2モデルとして11月5日に採択された。
 余剰熱の搬送は、熱融通導管を新たに敷設して太陽熱の余剰熱を中心に供給する。太陽熱の出力変動を補うため25kWのガスエンジンコージェネを新たに設置するほか、熱融通の動力となるポンプ設備の電源には5kWの太陽光発電を設置して利用する。
 熊谷支社の屋上には集熱量47kWの太陽熱集熱器や太陽熱駆動吸収冷凍機、エコジョーズなどの熱源機器が設置されており、熊谷支社内で冷暖房や給湯に利用されてきた。しかし、空調需要の少ない春季や秋季、休日などには太陽熱の余剰熱が発生しており年間を通じて安定した熱需要のある隣接ホテルへ熱融通することで熱の有効利用を図る面的利用のモデル事業として実施する。年間約11トンの省CO2効果が期待されている。


エコキュートの出荷量が200万台を突破
 電気事業連合会は、家庭用の給湯システムであるエコキュートの累計出荷台数が200万台を突破したと発表した。
 01年の発売開始以来8年間で200万台に到達した。07年9月には100万台を達成しており、その後2年間でさらに100万台の出荷を達成したことになる。200万台の出荷量は、日本冷凍空調工業会、ヒートポンプ・蓄熱センターの調査数値をあわせたもの。10月末の出荷台数は202万7千台になった。
 エコキュートはヒートポンプ技術で消費電力以上の熱エネルギーが利用できるもので、オール電化住宅向けなどで出荷量を伸ばしている。200万台によるCO2削減効果はガス瞬間式、石油瞬間式、電気温水器など従来型の給湯器を使用する場合に比べて年間約140万トンになると試算している。
 今後は、20年度までに累計で1千万台の出荷を目指すとともに、熱需要の多い産業用にもヒートポンプ技術を活用した高効率熱供給システムの商品開発を行っていく。


その他の主な記事
・環境税を導入へ具体案
・8月のRPS認定設備
・25%見直しタスクフォースが中間報告
・排出量取引所創設へ準備会社設立へ
・太陽電池モジュールの成型装置を販売
・鉄道車両向け電力回収システム
・大日本印刷が太陽光製造工程を簡略化
・新エネルギーの市場調査書籍を販売
・川重が神戸製鋼に蒸気タービンを納入
・東京電力が木質バイオマスを混焼発電
・東京電力と山梨県がメガソーラーで基本契約
・建設現場で移動型の太陽光発電システム
・東京工業大学がメタノール合成で新技術
・蓄電池併設風力の補助申請要領を発表 NEDO
・次世代蓄電池評価の委託先を募集 NEDO
・NEDO、地熱開発でオリックスらに委託
・NEDO、超電導の見直しで委託先を募集
・ソーラー環境価値買取2件を採択
・第8回国内クレジットの認証、北電の事業など
・09年度J−VERモデル創出事業5件採択
・省CO2推進モデル事業2次決まる
・第5回ホロニックシンポ、1月に
・GT学会がバイオ燃料をテーマにシンポ   etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・環境省 地球環境審議官 竹本和彦氏
 =COP15・温暖化交渉の行方 =
 来月、デンマークのコペンハーゲンで開催されるCOP15では、ポスト京都の枠組みについての合意が期待されている。しかし、毎月のように作業部会が開催されているが、なお合意への道筋は見えていない。混迷する地球温暖化対策の国際交渉はどのように展開していくのか、その見通しについて、環境省地球環境審議官の竹本氏に話してもらった。

燃料電池新聞の主な記事
・ここまできたSOFCシステム開発
・東京モーターショーの燃料電池
・東芝がモバイル機器充電用の燃料電池を限定販売
・アクアフェアリーとGSユアサが小型燃料電池で協業
・海外ニュース
 -仏で小型EVの量産開始 ダイムラー
 -バックアップ電源向けにMEAを採用 米プラグパワー
 -低温作動SOFC材料を開発 ジョージア州立大
 -独に燃料電池の量産工場建設 豪セラミック社
 -DMFCの電極触媒を高効率化 米MIT
 -水素自動車関連で1億7400万ドルを承認 米DOE予算
 -モバイル燃料電池で出力密度向上 米MTIマイクロ
 -中期戦略などを発表 米プラグパワー社
 -独で欧州最大のEV開発プロジェクト発足 E3Carプロ
 -燃料電池開発の支援を要請 台湾CHEM社など
 -燃料電池移動照明装置を開発 米サンジャ国立研
 -燃料電池バスを米に納入 ベルギーのメーカー
 -韓国と燃料電池のライセンス契約を締結 米フューセル社
 -MEAのテスト生産に成功 KIER
 -コールベットメタン燃料の燃料電池を設置 南アの金属資源会社
 -PEFC開発会社に860万ドルを投資 スウェーデン投資会社
 -カーボンナノチューブで水素貯蔵の可能性を示唆 米マサチューセッツ大
 -冬季五輪にFCV、PHEV3割導入 GMカナダ
・燃料電池フラッシュニュース
 -PEFC搭載の水素自転車を開発 岩谷産業
 -高圧水素中で利用可能なバネ用SUS鋼線 日本精線が開発
 -世界最高効率のパワコン開発 田淵電機
 -東工大、メタノールの新合成技術を開発 実用化に向けて
 -化学原料生成と発電の複合反応システムを開発 PEFC利用で
 -EV用電池の2次利用事業を検討 日産と住友商事
 -家庭用燃料電池導入支援に80億円を要求 経産省概算要求
 -燃料電池向け高分子膜を開発 高温・低加湿で維持
 -ハイブリッド型エコキュートを開発 電中研が着手
・燃料電池インフォメーション
 ■大阪科学技術センター「燃料電池部会、FCH基盤技術懇談会、講演会
 〜ここまで来た、SOFC(固体酸化物型燃料電池)コージェネレーションシステム開発の現状」
 10月27日(火) 京都大学桂キャンパス
 ■日本電機工業会「第57回新エネルギー講演会『低炭素社会実現に向けた切り札! 燃料電池』」
 (11月27日(金) 電機工業会館(東京都千代田区)
 ■電気化学会「第50回電池討論会」
 11月30日(月)〜12月2日(水) 国立京都国際会館(京都市左京区)
 ■日本能率協会・日本膜学会「第26回ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム2009」セッション2
 「地球温暖化防止に貢献する膜技術 II 〜エネルギー創製への挑戦〜」
 11月30日(月) 三田NNホール(東京都港区)
 ■大阪科学技術センター「FCフェスタ2009イン大阪」
 12月9日(水)、10日(木) 大阪国際会議場 〔グランキューブ大阪〕(大阪市北区)

シリーズ連載
・世界を読む(15)<景気と原油価格の危ない関係>
・カーボン・マネジメント入門(21)
 「新政権の環境政策について」
 大串卓矢/日本スマートエナジー代表取締役社長
・新刊紹介
 「最新EAMの基本と仕組みがよーくわかる本」
 EAM研究会著 秀和システム


コラム
・発電論評<再生可能エネルギーの全量買取制度>
・ちょっと一休<留学生の研究発表を講評>
・青空<ポピュリズムを戒める>


再生可能エネルギーの全量買取制度【発電論評】

 太陽光発電に続いて再生可能エネルギー全体に固定価格買取制度を拡大するためプロジェクトチームの議論が開始された。今月から始まった太陽光発電の買取制度は余剰電力に限って電気料金単価のほぼ2倍の48円で電力会社に購入を義務づけている。買取コストは電気料金に上乗せされ全ての需要家で負担するという仕組みだ。
 民主党新政権は再生可能エネルギーの全量買取制度の創設を表明しており、その具体的な制度オプションを提案する有識者5人のプロジェクトチームが設けられた。年度末には、複数の制度オプションが提案されることになる。
 全量買取制度の目的は、低炭素社会の実現のため再生可能エネルギーをエネルギー供給インフラとして整備していくという方向付けにあることは間違いなく、新政権のマニフェストでは2020年に再生可能エネルギーを10%以上とすることも謳われている。
 検討作業は全量買取を目指す以上は事業用電源も含めた再生可能エネルギー電力が対象となるのだろう。
 国内で導入されている再生可能エネルギーによる発電設備は、風力と太陽光とバイオマスが中心で導入設備の95%以上を占めている。太陽光は家庭用の小規模な自家発電設備が大半で、風力やバイオマス発電は発電事業用として設置されているものが多い。風力は大規模ウインドファーム化してきており、バイオマスの大半は廃棄物発電の混焼がほとんど。風力の場合は国内では系統連系など電源立地の制約から新規立地が次第に困難化してきていて、このままではさらなる量的な拡大は難しくなっている。バイオマスの場合は供給量が絶対的に不足していて量的な確保が難しい。その他の再生可能エネルギーで、今後拡大が期待できるのは中小水力や地熱だが、開発も遅れており技術的な課題もまだ多く残されている。
 全量買取制度の導入は、再生可能エネルギーの導入コストが短期間に回収できる仕組みを作ることで新規導入量を飛躍的に増加させるということに目的がある。例えば太陽光発電の場合には余剰電力の発生が期待できなかった大規模な業務用や産業用の自家発電設備の自家消費分も買取対象とすることができれば、こうした用途での大量導入が大いに期待できるだろうし、風力の場合でも地方の工場の敷地内に小型の発電機を複数台導入するなどの新たな利用方法の拡大が期待できることになるかもしれない。バイオマスについても農産廃棄物の資源化など地域の取組を活発化させ、小規模なバイオマス発電の拡大に結びつくことが期待できるかもしれない。
 新制度では、こうした地域や事業所での取組を顕在化させ後押しできるような方向付けを望みたいと思う。