2009年115日号

九州電力が太陽光発電でオンサイトエネルギーサービスを事業化
 九州電力は、九州地区での太陽光発電の普及拡大を目指す一環として、太陽光発電を採用したオンサイト発電事業を展開すると発表した。ビルや工場などに大規模な太陽光発電を設置して、発電した電気を提供する形でオンサイト発電サービス事業を展開する。100%出資の事業会社「キューデン・エコソル」(本社・福岡市 資本金4億9500万円)を年内に設立し事業構築する。
 事業会社ではオンサイトエネルギーサービスのほか、太陽光発電の設計、施工、維持管理までの一連の業務をワンストップサービスで提供するシステムインテグレーション事業も行い、太陽光発電のシステム販売から発電サービスまで太陽光発電を利用した総合的なサービスを事業化していく。
 標準モデルとしては100kW程度の太陽光発電システムをビルや向上などに設置し、発電した電力をユーザーに供給することを考えている。電力の販売価格は事業開始当初は1kWh当たり50円程度が見込まれ通常の電力料金に比べてかなり割高となるが、CO2削減など太陽光発電に理解のあるユーザー向けに導入を提案する。太陽光発電システムの調達コストが大量購入や生産量の増加に合わせて今後大幅に削減されていく見通しもあり、電力料金も当初の50円程度から順次引き下げが可能になるとみている。
 太陽電池やその他周辺機器については外部調達しシステム設計から施工、運転保守管理までを一括してキューデン・エコソルが行う。九州電力では、太陽光発電を九州地区で2017年までに100万kWの導入を目指す計画を立てており、太陽光発電の拡大の有力な事業に育てていく考えだ。


再生可能エネ全量買い取り制度導入へプロジェクトチーム
 経済産業省は、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入に向けて有識者5人による検討プロジェクトを立ち上げると発表した。全量買い取り制度については民主党が総選挙時のマニフェストに早期の導入を明記しており、その実現に向けて買い取り価格や買い取り費用の負担方法など、制度の詳細について検討を行うことにした。事務局は資源エネルギー庁省エネ新エネ部。政務3役が参加し主に増子副大臣と近藤政務官が担当する。
 プロジェクトチームは、関係者からのヒアリングや、コスト試算、海外調査等を行い、年度末の10年3月を目途に制度オプションを提案することを目指す。
 検討課題としては@買い取り対象A買い取り価格・買い取り期間B買い取り費用の負担のあり方D電力系統安定化対策D他国の再生可能エネルギー導入推進制度の動向などが想定されている。
【プロジェクトチームの有識者メンバー】柏木孝夫東京工業大学統合研究院教授 金本良嗣東京大学大学院教授 山内弘隆一橋大学大学院教授 山地憲治東京大学大学院教授 横山明彦東京大学大学院教授。


三洋電機がエネルギーソリューションを事業化へ
 三洋電機は、太陽電池や2次電池、業務用の省エネ機器などを組み合わせた融合システムで、工場や学校、店舗などでCO2の削減やランニングコストの削減を提案するエネルギーソリューション事業に参入すると発表した。
 太陽電池で発電した電力や安価な深夜電力などを2次電池に蓄電しておき、電力を効率よく利用することで省CO2やエネルギーコストの低減などを提案する。
 三洋電機では早期の収益事業化を目指して、大容量・高電圧のリチウムイオン電池の開発や他社とのコラボレーション化などの検討を進め、来年春から本格的な事業展開を行う。今後、大幅な市場拡大が確実な太陽電池や2次電池事業で競争力を持った事業展開を図り、工場や高層ビルなどの大規模システムをはじめ、店舗や学校、住宅などの中小規模のものまで幅広い事業展開を図ることで15年度には事業規模を1千億円にまで拡大することを目指している。


シャープが変換効率35.8%の太陽電池を開発
 シャープは、インジウムやガリウムなど複数元素を化合した「化合物3接合型」の太陽電池で世界最高変換効率35.8%を達成したと発表した。
 現在主流となっているシリコン系太陽電池より高い変換効率が期待できる化合物太陽電池は主に人工衛星などに使われているが、シャープでは化合物太陽電池を3層に積み重ねることでさらに高効率化を図った。積み重ねた3層のボトム層をゲルマニウムから発生する電流を効率よく利用できるインジウムガリウムヒ素とすることで、従来品では31.5%だった変換効率を35.8%まで高めることができた。
 今回の達成はNEDOの「革新的太陽光発電技術研究開発」の一環として取り組む中で達成した。


その他の主な記事
・環境省が環境税導入を要望、経産省も検討項目に
・08年度エネルギー起源CO2は6.7%減に
・09年度ガスの記念日式典
・グリーンデバイス展を開催
・CDPジャパン500開く
・茨城県次世代エネルギーモニターツアーに参加
・東芝がモバイル電源用の燃料電池を発売
・三菱フォークリフトを排出権でオフセット
・アルテックが太陽電池の膜圧測定装置を輸入販売
・IHIがリチウムイオン電池事業に参入
・東芝がリチウム電池で新工場
・日本触媒がグリセリンからアクリル酸を製造
・新日石が国産ETBEの製造体制を整備
・農水省がバイオ燃料製造で3件を認定
・NEDOがエネ合理化交付先2次決定
・都留市が小水力発電でG電力証書販売
・カーボン・オフセット認証6件決まる
・エネ合理化交付先2次決定
・電機工業会が新エネ講演会、11月26日に
・2次電池と燃料電池の技術開発ロードマップに関する調査委託先募集
・革新的太陽光技術開発追加は産総研に
・愛知県が太陽光のグリーン電力シンポ
・エネルギー高度利用シンポ  etc.

<特集>
・環境モデル都市における都市環境インフラの実践
 (都市環境エネルギー協会シンポジウム)
 10月14日に東京・青山で開催された都市環境エネルギー協会が主催する「都市環境エネルギーシンポジウム」の模様を特集。地域冷暖房施設の普及・拡大を目指す同協会が毎年、この時期に行っている定例のシンポジウムで16回目となる今回は「環境モデル都市における都市環境インフラの実践」--低炭素型都市づくりの計画調査から実践事業化の時代へ--がテーマ。シンポジウムでは、内閣官房に設置された「環境モデル都市・低炭素社会づくり分科会」の座長を務める村上周三・建築研究所理事長が、都市主導の低炭素化への取り組みや、環境モデル都市プロジェクトの概要などを説明。また、早稲田大学の佐々木葉・創造理工学部教授が、都市景観から見たまちづくりについて講演。その後、尾島理事長をコーディネーターに、行政側から国土交通省の望月明彦・市街地整備課長、内閣官房の河本光明・参事官、環境省の土居健太郎・大気生活環境室長の3氏が、また、環境モデル都市に選定された自治体を代表して、北九州市の筒井豊彦・建築都市局計画部長、飯田市の粂原和代・産業経済部長の2氏がパネラーとして参加。環境モデル都市の実際の取り組み事例や、今後の展開などについて語り合った。

シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革 @=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・公共施設の新エネ・省エネモデルプラン
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長
 =第8回 太陽光発電の設置プラン=
・新刊紹介:「グリーン・ニューディールで始まるインフラ大転換」
 (井熊均編著 日韓工業新聞社)


コラム
発電論評<ハイブリッド化で蘇るオンサイト発電>
・プリズム<風雲急を告げる太陽光発電時代>
・ちょっと一休<鈴木さんのかっぽれを楽しむ>
・青空<10年度予算に望むこと>


ハイブリッド化で蘇るオンサイト発電【発電論評】

 自動車の燃費向上や環境対策ですっかり有名になったハイブリッド技術。エンジンとバッテリーを併用して効率よくエネルギーを作り出す。
 エネルギーの世界でも古くからハイブリッド技術は活用されてきているが、それをハイブリッド技術として括るという概念がなかった。例えば、電力グリッドそのものも原子力や火力、水力、その他新エネルギーといった多様なエネルギー源を持っていることを考えればハイブリッド電力だということもできる。コンバインド発電でも原動機と蒸気タービンと異なる駆動源を使うことを考えれば、これもハイブリッドだといえるだろう。
 ハイブリッド技術というものは、決して目新しいものではないのだが使い方のノウハウが進化した結果、思わぬ効果を発揮し始めたということになるということなのだろう。
 その背景にあるのは、やはり地球温暖化問題の顕在化であり、低炭素社会へ向かうのだという社会的な意志の方向付けにあるということは間違いないと思われる。
 少し前にはオンサイト発電サービス事業がもてはやされた。発電手段を持たない需要家に、発電機も発電ノウハウも設備の維持管理もワンストップサービスで提供し安価な電力を供給するというものだった。石油価格の高騰で今ではすっかり見られなくなってしまったのだが、安価な電力に替わって低CO2電力サービスとして蘇ろうとする動きが見え始めてきた。
 九州電力が発表した太陽光発電によるオンサイト発電サービスはまさにその先駆けとなるものとして注目される。発電設備の購入や運転管理などの専門知識のない需要家にオンサイトサービスによって太陽光電力を提供するというものだ。太陽光発電の導入時の煩雑な手続きや導入後の維持管理などの負担をなくして太陽光発電料金としてコスト化してしまう。当初は1kWh当たり50円程度の料金が見込まれるというが、使用する電力の一部を太陽光電力とすることでその分が省CO2化できる。
 九州電力のスキームは業務用や産業用のオンサイト太陽光発電サービスに止まるが、燃料電池やコージェネレーションを加えたハイブリッド電源によるオンサイト発電サービスの展開も考えられる。家庭用などの非自由化部門では発電した電力を全量買い取り、低炭素電力として転売したり、業務用や産業用部門ではバイオ燃料も加えたコージェネでハイブリッド電源化し、低炭素なエネルギーサービス事業として展開する。
 再生可能エネルギーとのハイブリッド化によって、新たなオンサイトエネルギーサービスの可能性が広がろうとしていると言えるのではないか。