2009.10.15


2009年1015日号

コージェネ排熱を直接投入できる温水ボイラシステムを開発 ヤンマーとガス3社ら
 ヤンマーエネルギーシステムは、小型ガスエンジンコージェネレーションシステム「ジェネライト」の排熱を直接投入・活用できる排熱投入型温水ボイラを共同開発したと発表した。東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、巴商会の4社との共同開発。開発した排熱投入型温水ボイラは「ジェネボ」と名付けられ「ジェネライト」と組み合わせた「ジェネボシステム」として11月から販売を開始する。
 開発したジェネボは、温水供給能力(熱出力)が186kW、372kW、558kWの3機種で、定格発電出力5.0kWと9.9kWのジェネライトと組み合わせる。ジェネボの本体内部には比例燃焼制御が行えるガスバーナーを搭載し、従来の温水ボイラに比べ部分負荷効率を向上させることで、投入する排熱利用と合わせて従来型のガス焚き温水ボイラと比べてエネルギー消費量が約23%、CO2削減量が約26%削減できるなど、環境性や経済性を大幅に向上させることができた。
 これまでガスエンジンコージェネと温水ボイラを組み合わせる場合、熱の利用に応じて熱交換器や制御装置などを設計する必要があったが、ジェネボシステムでは排熱温水の配管を行うだけでよいため、設計・施工が大幅に簡素化できる。ヤンマーエネルギーでは、ジェネボシステムを温水需要の多い福祉施設や温浴施設、ホテル、フィットネスクラブなどに導入提案していく。また、さらに発電規模の大きい25kWと35kWのジェネライトと組み合わせる大型のジェネボの開発も目指す。


廃棄物を瞬間的にバイオガス化する装置 清水建設が開発
 清水建設は、紙ゴミや廃木材などの様々なバイオマス系の廃棄物から短時間でバイオガスを発生させ、効率よく電気や燃料に転換できる次世代エネルギー技術を開発、実証プラントを同社の東京木工場(江東区)に設置し実用化に向けて2年間の実証試験を行うと発表した。NEDOとの共同研究事業として実施する。
 開発した技術は農林水産省の委託研究として開発に取り組んできた基本原理を発展的に応用したもので、瞬間的に熱分解したバイオ系廃棄物のバイオガスを電力とメタノールに転換、さらに排熱も利用するという極めて高効率のハイブリッド型エネルギーシステムとなった。
 チップ化した廃棄物を炉内で900度C程度に加温、一瞬のうちにガス化させエンジンに供給して発電する。発電利用しなかった余剰バイオガスは触媒合成反応でバイオメタノールに変換し、貯蔵する。ガスとメタノールの製造比率は自在に変更でき、メタノールはバイオディーゼル燃料の原料や、燃料電池、ボイラー用燃料となる。加熱用の熱源は別途準備した木質チップを利用する。
 メタノールの合成過程では反応層を多段化し、内部を20気圧以下・210度C程度と、一般的な工業用メタノールの製造法に比べて大幅に率い圧力・温度で合成できる手法を開発、今まで困難だった装置の小型・軽量化も実現できた。実証プラントでは、1時間当たり、30kWの発電量と約12Lのメタノールが回収できる。
 従来のガス化プラントでは付帯設備など複雑な設備構成が必要でプラントの小型化が困難だったが、機器のユニット化により都市再開発プラントの地下スペースなどに設置することも可能で、バイオマス系廃棄物の処理にも極めて有効な活用法が期待できるとして実用化に拍車をかけていく。


環境税の議論を再開 環境省の専門委
 環境省は、グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会(委員長・神野直彦関西学院大学大学院教授)をほぼ1年ぶりに開き、環境税の導入に向けての議論を再開した。
 再開された専門委の会合では、環境税の具体化に向けた論点として、課税対象や税率、排出量取引との役割分担など7項目を取り上げ、委員会で積み上げた議論を政務3役の検討に反映させる。委員会には、小沢鋭仁環境相や田島一成副大臣も出席し、委員会の結論を政策に反映させて政府税制調査会へ環境税の導入を要望していく考えを示した。
 環境税については、環境省では、過去5年間にわたって炭導入を要望してきている。09年度の税制改正要望でも2400円(炭素1トン当たり)の税率で環境税の導入を要望したものの見送られてきた経緯がある。民主党新政権では、選挙マニフェストに温暖化対策税の導入方針が明記されていることもあり、環境省では環境税の導入を要望として進めていく。


公取委が排出量取引制度の検討を開始
 公正取引委員会は、地球温暖化対策の経済的手法として導入に向けた可能性が高まっている国内排出量取引制度について、競争政策上の課題を整理する観点から、排出量取引制度について研究会での議論を開始した。
 排出量取引制度について議論を始めたのは政府規制等と競争政策に関する研究会。9月25日に排出量取引制度をテーマにした第1回の会合を開き、このほど議事内容の概要を公開した。今後政府内で制度創設に向けた具体的な制度設計が開始される前に、「競争政策上の論点等を把握、整理しておく」ことを目的に検討を始めた。論点の中心となるのは排出枠の割当方式で、事業者個々に排出枠を無償で割り当てるグランドファザリング方式や、各産業ごとに標準的な排出枠を決めるベンチマーク方式、事業者が必要な排出枠を有償で購入するオークション方式といった有力とされている3方式について、それぞれの特徴を検討し課題を整理する。今後、2回程度の会合で、年内をメドに報告書を取りまとめる。結果については公表される。


その他の主な記事
・太陽光訪問販売トラブルに注意を呼びかけ
・東工大ASEが国際シンポを開催
・東京都がエコ金融支援制度を創設
・電中研が電力需要の減少を予測
・環境省らが温暖化の影響調査結果を発表
・ラトビアから排出枠を150万トン購入
・石油連盟が国産バイオ燃料を調達
・ENACと三浦が蒸気の省エネで業務提携
・岩谷が燃料電池自転車を開発
・川崎重工がインドネシアのGTコージェネを受注
・三菱重工がフォークリフトをリチウム電池でハイブリッド化
・山洋電気が高効率のPV用インバーターを開発
・富士経済が各種電池の製造装置市場を調査
・新日石とオリックス自動車がEVでカーショアリングを実証研究
・ソニーがワイヤレス給電システムを開発
・国交省が環境ビジネス展開でセミナー
・エネ使用合理化シンポ全国10地区で開催
・NEDO新エネ百選記念セミナー、岩国で
・エナジーグリーンが環境エネルギー政策でセミナー
・カーボンオフセット、東レ子会社が取得
・バイオマスタウン構想に和歌山県北山村を追加
・市民出資による小水力発電事業決まる   etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・民主党衆議院議員 筒井信隆氏
 =日本版のグリーンニューディール政策=
 民主党政権は、2020年の温室効果ガス削減目標を90年比−25%とした。これについては実現を危ぶむ声も大きいが、「日本版グリーン・ニューディール」として、農山漁村における産業の創出を主張している民主党の筒井信隆衆議院議員に、達成に向けて必要になる農業政策などについて聞いた。−25%の内、半分の−12.5%は農山漁村で削減が可能なのだという。

燃料電池新聞の主な記事
・活況を呈する北米の燃料電池フォークリフトの市場
・KDDIが燃料電池内蔵の携帯電話
・米GMが燃料電池車商業化に自信
・新日石がSOFCを11年度に市場投入
・新日石の水素基金が6人の研究者に助成金
・新日石が創エネハウスを一般公開
・海外ニュース
 -燃料電池フォークリフト40台を導入 米コカコーラ
 -30ドルの携帯電話充電器を開発  台湾工業技術研究院
 -PHEV開発でDOEから融資を獲得 米フィスキーオート
 -航空機用燃料電池を実用化 エアバスら
 -DMFC充電器で小売り店と販売提携 米メディス社
 -ドイツ国内で水素インフラの整備を推進 ダイムラーら
 -家庭用SOFC量産実用化へ 英セレスパワー
 -燃料電池フォークなど稼働時間100万時間突破 米プラグパワー
 -燃料電池フォークリフトを共同開発 ダントラックら
 -米国内で燃料電池車100台をリース販売 メルセデスベンツ
 -実証走行試験で100万マイルを達成 GM燃料電池車
・燃料電池フラッシュニュース
 -東工大と東京ガス、マンション用燃料電池の発電効率を50%%にするシステムを開発
 -三菱重工業、SOFC+マイクロガスタービン複合発電システムで3000時間運転を達成
 -サイベックコーポレーションなど、0.1mmのチタンセパレータの実用化に目処
 -東京ガス、「エネファーム」運転データの遠隔管理サービスを開始
 -ホンダ、「FCXクラリティ」がグローブ賞を受賞
 -北九州市の 「北九州水素ステーション」が稼働
 -マツダ、「プレマシー ハイドロジェンREハイブリッド」を広島県と市に納入
 -ミサワホームが発電量や電気・ガス・水道の「エネルギーモニターシステム」を発売
 -GSユアサが電気自動車用リチウムイオン電池の外販を開始
 -矢野経済研究所が2015年度の家庭用燃料電池の市場規模は7万8千台と予測
 -三菱自動車とPSAプジョー・シトロエン社、電気自動車の基本契約を締結
 -京都大と金沢大が100℃以上で作動する無加湿電解質膜を開発
・燃料電池インフォメーション
 ■大阪科学技術センター「燃料電池部会、FCH基盤技術懇談会、講演会〜ここまで来た、
 
SOFC(固体酸化物型燃料電池)コージェネレーションシステム開発の現状」
 10月27日(火) 京都大学桂キャンパス
 ■水素エネルギー協会「2009年特別講演会『社会が水素をどう見ているか』」
 10月30日(金)タワーホール船堀
 ■経済産業省資源エネルギー庁ら「第1回FC EXPOセミナーin福岡」
 10月22日(金)北九州国際会議場
 ■エネルギー・資源学会「09年度エネルギー特別講座『家庭部門における先進的省エネルギー技術』」
 12月1日(火)大阪科学技術センター


シリーズ連載
・世界を読む(14)<コペンハーゲンでの争点>
・カーボン・マネジメント入門R
 「東京都のCO2排出規制」
 大串卓矢/日本スマートエナジー代表取締役社長


コラム
・発電論評<排出量取引への期待と課題>
・プリズム<25%削減の各業界の反応>
・ちょっと一休<徳増さんの追想録>
・青空<特別休暇か有給休暇か>


排出量取引への期待と課題【発電論評】

 新政権の25%削減に向けた具体的な政策や対策は依然として見えてこないが、エネルギー政策の側面からみると現実的な解は、原子力発電と新エネルギーの活用の2つしか考えられそうもない。2020年までにそれ以外に有効そうな新技術開発に期待することは困難だと思われるからである。
 温暖化対策として新たに追加されることが明らかにされている具体的な経済的手法としては、環境税(温暖化対策税)とキャップ&トレード方式の排出量取引制度の導入がある。環境税は化石燃料に課税することで使用量を抑制するというものだが、それによって原子力や新エネルギーなど低炭素エネルギーの利用にどれほどのシフト効果が期待できるのか、その道筋や内容の検討はこれからだ。一方の排出量取り引きにも、規制を受ける産業界から大きな抵抗が示されている。特に、排出枠が有償になるオークション方式が導入された場合、また、取り引きに伴うコスト負担が不明なことや、排出枠購入に伴う製品価格への転嫁が可能なのかどうかなど、制度内容が具体的にならないと準備のしようもない。
 また、排出量取り引きにはさらなる問題もありそうだ。例えば、排出量の算定や検証に多額のコスト負担が予想されること。現在実施されている排出量取り引きの試行制度でも、設備の認定や排出量の確定などに認証機関による検証が必要で、自己認証データは認められない。これに要する直接経費に加え、自社内での事務経費等の負担を考えると結構なコスト負担を覚悟しなければならなくなる。
 こうした排出枠創出のためのコストは、特に中小零細事業者の排出量削減に向けた取り組み意欲を抑制させる方向に向かわせる。大量の排出枠を取り引きすることになる大企業では、相対的に認証費用などのコスト負担感はそれほどでもないといえるのかもしれないが、中小企業などで、少量の排出枠を取り引きしようとする場合には、認証手続きなどのコストの負担が大きく、結果的に取り引きに参加するメリットが得られないという場合が予想され、中小零細の事業者はこの制度の枠外に置かれることになりかねない。
 もともとの排出量取引制度が排出削減義務を負う大企業を対象とするもので、中小の参加は考慮されていないのだとすると、中小事業者などの排出削減努力が評価される場所がないということになってしまう。
 排出削減は、大企業だけが取り組めばよいというものではない。それならば、導入される排出量取引制度は、エネルギー使用量の増減だけで排出枠が生み出せるなど、簡素な手続きで排出削減に取り組み、それが評価できるような制度となることが期待される。