2009年105日号

SOFCの排熱で水素を製造 東工大のPT
 東京工業大学統合研究院のエネルギープロジェクトは9月29日、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の高温排熱を活用した都市ガスの改質装置で、水素を製造することに成功したと発表した。同大学・大岡山キャンパスの東工大蔵前会館に設置した実証試験装置を公開して成果発表を行った。
 実証試験は、同大学が国土交通省の先導技術開発助成事業として東京ガスと共同で07年度から3年間の実施期間で行っている。
 実証試験では、都市ガスを燃料とするSOFCの排熱温度が900度C程度の高温になることを利用して、SOFC排熱を利用する改質装置で都市ガスから水素を製造した。10kWのSOFCの実証機の場合、高純度の水素を毎分6.6NL製造できた。製造した水素は一部をSOFCの燃料として使用するほか、水素をタンクに貯蔵し固体高分子型燃料電池(PEFC)の燃料として使用する。通常の都市ガスを燃料として使用するPEFCに比べて、燃料改質プロセスが省略されるため高効率運転が可能となり、50%以上の発電効率が期待できる。
 PEFCだけを使って都市ガスで発電する場合では、PEFCの反応熱が低いため改質に利用できず燃料の一部を使って改質用の熱を作ることが必要になるが、複合システムとすることで、単独機の場合と比べて極めて高効率のシステムが実現できる。研究チームではこの複合システムを、例えば集合住宅に導入す流場合、大型のSOFCを全体システムとして設置、製造した水素を各戸に設置している小型のPEFCに供給し、発電と給湯を行うなどの利用方法を考えている。また、水素と電気を同時に作ることが出来るため、燃料電池自動車には水素、電気自動車には電気を充電する複合型のエネルギー供給インフラなどの利用法の広がりも期待できるとみている。


SOFCとMGTの複合システムで3000時間運転 三菱重工が実用化へ
 三菱重工業は、SOFCとマイクロガスタービンを組み合わせた出力200kW級のハイブリッド型発電システムで3千時間の運転時間を達成、システムの信頼性と耐久性が実証できたと発表した。NEDOの委託事業として04年度から開発を行っているもので、07年度には発電効率52.1%で229kWの最大出力を達成していた。
 900度C程度の高温で作動するセラミックス製のSOFCの排ガスには未反応燃料が含まれており、この未反応燃料を直接マイクロガスタービンに投入して発電することで、従来の発電システムを大幅に上回る高効率発電が実現できる。三菱重工では、SOFCを将来の有望な発電システムとして位置づけ研究開発を行っており、今回のハイブリッドシステムはトヨタ自動車グループのトヨタタービンアンドシステム製のマイクロガスタービンを使用している。今後は、トヨタ自動車と共同で、業務用・産業用のハイブリッドシステムや事業用発電システムとして実用化開発を進めていく。


グリーン熱証書制度で初めての認定
 東京都は、4月から始めた太陽熱利用機器補助制度で、初の「グリーン熱証書」の認証設備が認定されたと発表した。日本エネルギー経済研究所グリーンエネルギー認証センターで9月15日に設備認定を受けた。認定を受けたのは一般家庭8軒に設置された合計46.47平方mの太陽熱利用システムで、いずれも強制循環式のもの。
 太陽熱利用システムを対象としたグリーン熱証書制度は、都が主導する形で今年3月に制度化されたもので、初めての認定となる。これまでに55件の認定申請が提出されており、順次認定されていく見込み。
 グリーン熱証書制度は、太陽熱利用システムの環境価値を、発生する熱量に応じてグリーン熱証書とするもので、グリーン電力と同様に証書を取引することで環境価値の移転が行える。都では、東京都環境整備公社を通じて太陽熱利用システムの補助制度を設け、補助対象設備の環境価値を熱証書として受け取る仕組みを作った。公社が証書化したグリーン熱は、都が大規模事業者向けに制度化した温室効果ガスの排出量取引の対象とすることを考えている。


エネファームがBL認定を取得
 家庭用燃料電池「エネファーム」がベターリビングの環境の保全に寄与する優良住宅部品(BL−bs)の第1号として認定を受けた。今年3月に認定基準が新たに設けられていたもので、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの4社5形式のエネファームが9月30日に同時に認定を受けた。
 認定にあたっては、エネファームが@総合効率が80%以上と高い省エネルギー性を持つことA使用者が省エネルギー性を意識することができるように発電量等の表示機能があることなどが評価された。燃料電池の認定は、家庭用の固体高分子型燃料電池で都市ガス、LPG、灯油を燃料として使用する10kW未満のシステムを対象としている。


その他の主な記事
・ソーラーエネ利用促進フォーラムが第1回のシンポ
・経産省が税制改正要望を一般公募
・エネ庁に太陽光買い取り制度室を設置
・新日石がSOFCを2011年に市場投入
・ネクスト社がグリーン電力取引市場をオープン化
・パナソニックがリチウムイオン電池をモジュール化
・関西電力がヒートポンプ技術応用で高温熱風装置
・関西電力が三菱3社とEV普及に向け協議会
・甲子園球場にも太陽光発電
・大ガスと丸紅が豪州で風力事業に参画
・東芝がCCS実証プラントを建設、稼働開始
・ひばりが丘団地改修で東ガスがエコモデル
・日本総研がグリーンニューディール開拓で研究会設立
・東邦ガスが技術開発本部を設置
・新潟県が充電設備の導入補助で募集を開始
・新潟県がメガソーラーを昭和シェルに依託
・HOSPEX JAPAN200911月11日から
・09年度ソーラー価値買取2次決まる、3次公募も
・エコ燃料利用促進事業者2次の公募開始
・09年度ビジネスモデルインキュベーター2次決まる
・NEDO新エネセミナーと研修会  etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・GEエナジー 技監 鈴木 浩 氏
 =GEが考えるスマートグリッド=
 環境と想像力を組み合わせた「エコマジネーション」を展開するGEにとっては、スマートグリッドもビジョンを実現する一つ。GEがもつスマートメーター技術は、その多機能性で日本でも注目され始めているという。GEが考えるスマートグリッドについて聞いた。

シリーズ連載
・公共施設の新エネ・省エネモデルプラン
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長
 =第7回 学校施設へのフィードインタリフ適用=


コラム
発電論評<再生可能エネルギーの託送義務を考える>
・プリズム<太陽光拡大にはスマートグリッド推進を>
・ちょっと一休<ヒマラヤ観光の40周年パーティー>
・青空<温室効果ガス25%削減は可能か>


再生可能エネルギーの託送義務を考える【発電論評】

 政府が進める、太陽光発電の大量導入。11月からは固定価格買い取り制度も始まることで、市場がますます活気づいている。
 太陽光発電を大量投入するには電力系統対策が不可欠だとされていて、そのコストを誰が負担するのかなど、今後の課題も多い。
 昼間しか発電できない太陽光電力を無駄なく使い切るには、系統連携して「みんなで利用する」ということがよい方法だといえるが、大量に系統につなげると、数兆円規模の系統強化策が必要と言われ、蓄電設備の整備に加えて、ゴールデンウィークなどの昼間電力の需要が極端に少ない「特定期間」には系統に受け入れない「発電抑制」さえも必要になりかねないという。
 系統が受け入れられないのなら、発電した電力は自力で蓄電して、利用するしかない。幸いなことにそれが可能になるほど蓄電池の低コスト化が期待できそうになっている。
 また、それとは逆の発想もできそうだ。太陽光発電の固定価格買取制度の議論の中で、持ち家でない人は、他人の屋根で発電した太陽光電力を高価格で買い取ることになるのではないかという「不公平」議論があった。そうした疑念に答えるため、「持ち屋根」がなくても太陽光発電を利用できる方策を考えてみるというのもおもしろいのではないか。
 太陽光発電を設置しなくても遠隔地で発電した太陽光電力を、ネットワークを利用して直接自宅まで送電できる仕組みを作るのである。
 その際に問題になりそうなことは、ネットワークが自由に使えないことと送電=託送コストが高額だったりすること。
 まず、ネットワークを自由に使えるようにする。電力自由化が中途半端に終わったためネットワークの管理者は電力会社ままで、ネットワークを使うには大きな制約がある。
 電力会社には電力の供給義務が課せられているが、例えば、それに加えて再生可能エネルギーや熱効率の高いコージェネレーションなどの電源に限定して接続義務を負って貰うというのはどうか。
 再生可能エネルギー電源からの接続要請があった場合は断れないようにする。つまり、再生可能エネルギーなどの電力を優先的に送電する義務をネットワーク管理者に負わせるということだ。
 送電コストの問題は、自由化電力のネットワークコストである託送料金を使う。1kWh3円から5円程度の託送料金を電力料金に上乗せして需要家に負担して貰う。発電事業者に太陽光の電気料金として20円程度支払えば、ほぼ現在の家庭用の電力料金並みで太陽光や再生可能エネルギーの電力が、持ち屋根のない家庭でも使用できることになる。一つのアイデアとして、おもしろいと思うがどうだろう。