2009.09.15


2009年915日号

08年度国内排出量取引の成果を発表、取り引き価格は800円 環境省
 環境省は、同省が制度化している自主参加型国内排出量取引制度(J−VETS)の実績と取り引き結果をまとめ発表した。
 今回発表されたのは08年度に削減目標を設定し取り組んだ第3期分で、削減できたCO2排出量は38万2625トン、また排出量の取り引き件数は23件だった。削減目標を持って参加した事業者は61社で、排出量の取り引きだけを目的に参加した事業者が24社あった。61社は04年度から06年度までの自社の排出量の実績の平均を基準として08年度に1年間の削減事業に取り組んだ。その結果、基準量の23%に相当する38万トン余りのCO2排出量を削減、61社の合計で想定(約束)した13万6410トンの2倍以上の削減ができた。
 また、削減量が未達だった事業者は排出量取り引きを利用、約束した削減量を全社が達成した。取り引きは、削減事業終了後、今年4月から8月末まで実施、取り引きされた排出量は、合計23件、3万4227トンだった。これは、削減量全体の約8.9%に相当する。取り引きの平均価格は1トンあたり約800円。取り引きされた排出枠は、第1期と第2期のバンキング分も含まれている。


九州電力がグループ会社から急速充電器を販売
 九州電力はグループ会社のキューキから急速充電器の販売を開始したと発表した。九州電力が開発した急速充電器で、三菱自動車が販売するアイ・ミーブに充電する場合、約30分で約80%の充電が出来る。交流100Vの電源からフル充電するには14時間程度かかる。急速充電器は経産省の補助対象となっており、申請すると本体価格の半額を上限に補助金が交付される。
 出力は30kWタイプと50kWタイプの2種類があり、30kWタイプには直流電源と充電スタンドが一体型のものがある。充電スタンドを2台設置すれば同時に2台の車に充電できるタイプや、離島や沿岸部での設置に適した耐塩タイプもある。IDカードなどによる個人認証機能を標準装備している。
 価格は300万円から980万円まで。2タイプ7機種。


昭和シェルが宮崎に太陽光の第3工場を建設 年産100万kW体制に
 昭和シェル石油と子会社の昭和シェルソーラーは、CIS太陽電池の第3工場を建設すると発表した。第3工場は日立プラズマディスプレイの宮崎工場を購入し、約1千億円を投資して年産90万kWの生産規模の工場として建設する。
 昭和シェルソーラーでは、既に宮崎県内に年産2万kWの第1工場と年産6万kWの第2工場が稼働中で、第3工場の建設で生産能力は約100万kWになる。
CIS太陽電池はシリコンを使用しない次世代型の太陽電池で、薄膜系太陽電池の中でも変換効率が最高レベルにあることや、従来型の結晶系太陽電池と比較しても原材料の使用量が少なく生産プロセスも約半分で、低コスト化が可能であるなど今後の需要拡大が期待できることや、製造時に鉛やカドミウムなどの物質を使用せず、環境性に優れており、同社では今後の需要拡大に対応して生産力を増強する。


ホンダが、カセットガスを使用する小型発電機を販売
 ホンダは、家庭用のカセットガス燃料を使用するマイクロ発電機を来春から発売すると発表した。
 定格出力が900VAのガスエンジン発電機で、アウトドアでいつでも手軽に電気が使える「どこでもコンセント」をコンセプトに開発した。家電製品や電動工具、ガーデニング機器など、レジャー用や停電時のバックアップ用電源として、主に一般家庭向けに販売していく。
 家庭用カセットガス燃料を使用する同社のガスパワーシリーズの第2弾で、先行商品のガスパワー耕うん機は、一般家庭を中心に野菜作りやガーデニング愛好家などに約半年で6千台の販売実績があるという。


その他の主な記事
・本紙がスマートグリッドセミナーを開催
・民主党新政権で中期目標は25%削減に
・東京スカイツリーの地中熱利用システムを公開
・環境省がコンパクトシティモデルを公募
・矢野経済が家庭用エネを市場予測
・ネクストエナジーがエコポイントでグリーン電力証書
・大日本印刷が低価格の太陽電池用バックシートを開発
・日本総研が電気自動車のシェアリングモデル事業を実施
・日本風力開発と日立が風力関連で事業協力
・東北電力と北芝が環境調和型変圧器を開発
・東邦ガスも太陽熱空調を実証へ
・地域新エネなどで補助募集
・国内クレジット向け中小企業の設備導入補助募集
・NEDO、自立型FC検討をENEOSセルテックで
・NEDOが直交併用住宅で20%の省エネを実証
・10月14日に都市環境エネシンポ
・日冷学会がコージェネ技術セミナー   etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・日本エネルギー経済研究所 電力・ガス・石炭グループリーダー 小笠原潤一氏
 =スマートグリッドとは何か=
 次世代の電力ネットワークとして注目が高まっているスマートグリッド。しかしスマートグリッドとは何か、明確な定義がまだ無いのが現状。エネルギーの需給双方からのコントロールを可能とすることで低炭素社会を支えるインフラとしての期待が高まっているスマートグリッドは、欧米では、その技術開発や実証研究が進められ、わが国でも政府や電力会社による実証試験が始まろうとしている。日本エネルギー経済研究所の小笠原氏に、スマートグリッドの可能性や進むべき方向性などを話してもらった。

燃料電池新聞の主な記事
・日・米・欧・韓で2015年から燃料電池自動車の量産を開始
・産総研が低温作動型のSOFCを開発
・経済産業省が水素利用実証でプロジェクトを始動へ
・メルセデスが燃料電池車開発計画を発表
・海外ニュース
 -米・フル・サイクル・エナジー社がプラチナコートカーボンナノチューブ電極を採用した燃料電池を開発
 -加・ハイドロジェニックス社が米社の短距離トラック向けに燃料電池スタックを供給
 -英ACAL エナジー社が白金フリーのカソード触媒で燃料電池コストの40%削減に成功
 -米国で路面電車に燃料電池が採用される可能性
 -韓国で世界初のバイオガスを利用した水素ステーションを開発
 -ロス・アラモス国立研究所が水素貯蔵材料であるアンモニアボランの再利用方法を開発
 -英技術戦略委員会が燃料電池・水素技術プロジェクトに900万ポンド(約14億円)を投資と発表
 -米カミンズ社が7〜10年以内に100kW級定置形SOFCを商品化へ
 -韓国政府が家庭用燃料電池の普及で2010年に販売価格の80%を助成開始
 -米プラグパワー社が物流大手に燃料電池ユニット136台を納入
 -米CaFCPが燃料電池車の初期商用化段階のロードマップを公開
 -米エアガス社とヌヴェラ社が北米物流機器市場に対する水素発生装置販売で協業
 -GM、2012年までに新型燃料電池車を市場投入か
 -英アクタ社が水素製造コストの安価な水電解技術による水素製造装置を開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -アルテックが米ソノテック社の電極スプレーコーティング装置の取り扱いを開始
 -東京ガスと三井ホームが住宅リフォームで「エネファーム」を標準仕様に
 -山梨大学で「燃料電池ナノ材料研究センター」が8月25日に開所
 -関西電力が2020年度までに電気給湯器の利用世帯数を1.7倍とする計画
 -トナミ運輸が燃料電池軽トラックを試走
 -日本ユニシス、日本電気、新日本石油の3社がガソリンスタンドなどでの充電サービス実証事業を共同受託
 -クラレが燃料電池用電解質膜の事業化を目指す
 -大阪ガス、京セラ、トヨタなどが開発中のSOFC発電ユニットの薄型化に成功
 -島津製作所が燃料電池の反応酸素濃度の測定装置を開発
 -村田製作所が100℃の低温で作動する水素検知用の接触燃焼式ガスセンサを開発
 -ホンダが燃料電池車「FCXクラリティ」を民間企業2社に納車
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会「第129回定例研究会」
 9月17日(木) 東京工業大学蔵前会館1階 くらまえホール
 ■日本機械学会 第303回講習会『新エネルギーシステムのフロンティア技術を学ぶ』
 9月17日(木)〜18日(金) 大阪科学技術センター(大阪市西区)
 ■高分子学会 第4回超分子研究会講座 超小型軽量燃料電池の最先端技術
 9月29日(火) 慶応義塾大学理工学部(横浜市港北区)
 ■電気化学会 第38回未踏科学を探る会『燃料電池触媒の次世代を担うサイエンス』
 10月2日(金) 東京理科大学森戸記念館(東京都新宿区)
 ■高分子学会 2009年度燃料電池材料研究会講座
 10月16日(金) 化学会館7階ホール(東京都千代田区)

シリーズ連載
・世界を読む(13)<見直し必至の中期目標>
・インサイト(安全・安心の実現に向けて)
・カーボン・マネジメント入門P
 「排出量取引の省エネ計算」
 大串卓矢/日本スマートエナジー代表取締役社長
・キーパーソン(資源エネルギー庁 電力・ガス事業部長 横尾英博氏)


コラム
・発電論評<再生可能エネルギーとネットワークの拡大>
・プリズム<民主党新政権の温暖化対策に暗雲>
・ちょっと一休<孔健さんから論語で同じ話を聞く>
・青空<いよいよ新・連立政権がスタート>


再生可能エネルギーとネットワークの拡大【発電論評】

 低炭素社会へ向かうためには再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーの拡大と、それを補完する化石エネルギーの高効率利用が必要になる。
 再生可能エネルギーの主流は風力や太陽光といった自然エネルギーだが、これらのエネルギーは電気に変えることでエネルギーとして利用できる。発電した電気を無駄なく利用するためにはネットワーク利用や蓄電をすることで、利用効率を飛躍的に高めることができる。
 再生可能エネルギーの最大の欠点である天候に左右されることを補うために、必要な時に取り出して使える蓄電技術に期待が集まっている。エネルギーを貯める手段としては水素も有力だ。例えば最近、洋上風力の本格的な開発が始まろうとしているが、発電の現場が陸から離れれば離れるほど、電気の運搬手段が問題となる。電気のまま運べない場合でも水素にして運べば、CO2を発生しない低炭素燃料として利用できる。洋上風力だけでなく海流発電や潮流発電など、これまで未開発だった海洋の再生可能エネルギー開発も始まっており、低炭素水素製造法としての期待も高まりつつある。
 作り出した電気を効率的に使うためには、ネットワーク利用も有力な手段になる。余剰電力を極力発生させない手段として近隣や広域的に電力を相互融通するという考え方であり、ネットワーク化することでそれが可能になる。
 電力ネットワークというと電力会社が独占的に運営しているものしか我が国には存在しないのでなじみが薄いが、再生可能エネルギーの高率利用を可能にするエネルギーの運搬手段として、プライベートなものや公的なネットワークをもっと整備していくという考え方も検討されるべきではないか。
 次世代ネットワークとして最近注目が高まっているものにスマートグリッドがある。スマートグリッドは簡単に言ってしまうと電気の供給側と需要側が双方向で情報を受発信できるというもの。需要側が必要としている電力をリアルタイムで把握することで、高効率で無駄のない電力供給が可能になる。ITCや蓄電技術の開発が進むことで、スマートグリッドの普及が現実的なものとして考えられるようになっている。
 こうしたネットワークを電力会社以外の個人や事業者が簡単に利用できるようになると、例えば風力発電や太陽光発電の「産地直送」が可能となる。故郷の風で発電した電気を都会の集合住宅でも利用できるようになると、「我が家の電気は風力発電」と気持ちよくいえたりする。再生可能エネルギーの拡大には、こうした需要家のエネルギー選択の幅を広げるという視点も必要ではないか。