2009年95日号

長期エネ需給見通し「再計算」の具体的対策を例示
 資源エネルギー庁は、2020年にエネルギー起源のCO2排出量を05年比で16%削減できるとする長期エネルギー需給見通しの再計算後のシナリオを実現する具体的な対策をまとめた。対策は8月25日に開かれた。総合資源エネルギー調査会・需給部会に報告された。
 再計算は、6月に発表された政府の中期目標達成のためのエネルギー政策上の具体的な対策としてまとめられた。その内容は@住宅の省エネ化の推進で約3800万トンA非住宅の建築物の省エネ化で約3800万トンB次世代自動車の導入や燃費の向上などで約2100万トンC省エネ家電の導入で約1700万トンD省エネIT機器の導入で約1500万トンE太陽光発電の大量導入(2020年に現状の20倍)で約1500万トンF高効率給湯器を2800万台導入で約900万トンG製鉄の革新技術の導入で約500万トンH化学工業の革新技術の導入で約400万トンI風力発電の導入量を5倍にすることで約200万トンJバイオマス熱利用、バイオマス・廃棄物発電の推進で約100万トンの削減など11の対策を積み上げ、05年に12億300万トンだったエネルギー起源のCO2排出量を9億8100万トンへ最大16%削減が可能となるシナリオを示した。これらに要する削減コストとして合計で約56兆円が必要だと試算している。


太陽光固定価格買い取りは11月から
 経済産業省は、11月1日から太陽光発電からの余剰電力の買取制度をスタートさせると発表した。
 8月31日付で、買取制度に関する省令・告示等の必要な法整備を行い、11月1日から制度を開始することを明らかにした。
 買取制度は、住宅用と非住宅施設に設置される自家用の太陽光発電の余剰電力を買い取るもので、新設、既設を問わず買い取ることを電力会社に義務づける。
 買取価格は10年度末までは、住宅用が48円(1kWh当たり)。非住宅が24円。11年度以降の新規の買い取り対象となる太陽光発電についてはは、太陽光発電システムの販売価格の動向を見ながら毎年買取価格を引き下げる方向で見直す。買い取り期間は10年間で、初年度の買い取り価格で10年間買い取る。家庭用燃料電池などの自家発電設備を併設する住宅や非住宅施設については自家発による余剰電力の増分を割り引いた価格で買い取る。買い取り価格は住宅用が39円。非住宅が20円。11年度以降は同様に見直す。


水素利用社会実証へモデルプランを採択
 経済産業省は8月28日、09年度補正予算で盛り込まれた「水素利用社会システム構築実証事業」の公募結果として、実証委託先2グループを決めた。同実証事業は水素社会の実現を目的として、水素の製造から輸送、貯蔵、供給までの一貫したシステムを構築する。
 東京ガス、大阪ガス、新日本石油などの都市ガス大手や石油元売りなど計13社が参加する「水素供給・利用技術研究組合」は、福岡県北九州市の製鉄所から出る副生水素を水素ステーションに輸送し、パイプラインで一般家庭約20戸に水素を供給する。また、東京都心と羽田空港・成田空港を結ぶ高速道路を使った燃料電池自動車(FCV)・燃料電池バスの長距離定期運行の実証も行う。 一方、佐賀県地域産業支援センターは、鳥栖市でおがくずなどの木質バイオマスから得られる可燃性ガスを水素源として、製造からFCVへの供給までをオンサイトで行う地産地消型のシステムを構築。また玄海町では、太陽光発電と深夜電力を利用して製造した水素を町内の次世代エネルギーパークにある定置型燃料電池やFCV、燃料電池カートなどに供給する。


ガスコージェネ累積稼働が設備が460万kWに
 日本ガス協会は8月25日、08年度末の都市ガスコージェネレーションの稼働実績をまとめ発表した。全国211の都市ガス事業者を対象に調査した結果をまとめた。
 それによると、都市ガスを燃料とするガスコージェネレーション(スチームタービンを除く、ガスエンジン、ガスタービン、燃料電池システム)の累計設置容量は、460万2千kWとなり、07年度末に比べて29万1千kWの増加となった。また、累計設置件数は8万784件で、1万8528件の増加となった。増加件数の大半は家庭用のもので、ガスエンジンと燃料電池を合わせて31.9%増の1万8124件増加、設備容量では1万8千kWの増加となった。


三菱重工がリチウムイオン電池事業に本格参入へ
 三菱重工業は8月26日、リチウムイオン電池事業に本格参入すると発表した。長崎造船所内に約100億円を投じ、量産化実証工場を建設する。
 今秋着工し10年秋までに完成させる。年間生産能力は6万6千kWh。11年をメドに、さらに本格的な量産工場の着工も計画している。
 電池は九州電力との20年に及ぶ共同研究によって開発。今回、移動体用の中型(定格容量165Wh)と定置用の大型(同350Wh)の2機種を製品化した。
 移動体向けでは、まず自社製ハイブリッドフォークリフトに搭載する。また定置用では、風力発電設備や太陽光発電設備の系統安定化用の蓄電装置として組み込む考え。
 そのほか、九州電力とともに電力会社の非常用電源分野、環境に配慮した独立電源や離島のマイクログリッド用電源市場も視野に入れている。
 同社は新事業の育成に向け10月1日付けで、社長直属の全社横断的組織「リチウム二次電池事業化推進室」を100人規模で立ち上げる。


その他の主な記事
・民主党マニフェストの環境エネルギー関連施策
・新エネ部会が中間報告を正式取りまとめ
・国内初の太陽光発電ファンドを設立
・スパイラックスが蒸気セミナーを開催
・環境省が市民参加型の小水力を募集
・環境省、サステイナブル都市再開発で2件決める
・低炭素テーマにJHIFが第13回会議
・太陽電池など紹介、三菱電機が視察会
・08年度のRPS電力価格調査
・富士経済が太陽光の世界市場を分析調査
・島津製作所が燃料電池反応状態の可視化装置を開発
・川崎重工がポルトガルからGT発電、インドからコンプレッサーモジュールを受注
・京セラが太陽光の販売網を強化
・三菱重工、UAE向け組織を創設
・カセット式電気自動車を走行試験 ベタープレイス
・丸紅が本社ビルにグリーン電力
・中国へビジネス視察ツアーを募集
・NEDOがスマートグリッドでワークショップ
・環境省が見える化モデル事業で募集開始
・LPG振興センターが報告会
・環境省、09年度JーVERモデル事業を募集
・NEDO、バイオマス転換技術で4社を選定
・革新的太陽光技術開発研究拠点を募集
・SSKがスマートグリッドをテーマにセミナー  etc.



シリーズ連載
・公共施設の新エネ・省エネモデルプラン
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長
 =第6回 省エネシステム=

・新刊紹介:「日本版グリーン革命で経済・雇用を立て直す」
 飯田哲也・田中優・筒井信隆・吉田文和著 洋泉社

コラム
発電論評<新政権の始動と新エネルギー政策>
・プリズム<「スマートグリッド」に集まる高い関心>
・ちょっと一休<出版記念会はリクルートのOB会>
・青空<地すべり的な民主党の大勝利>


新政権の始動と新エネルギー政策【発電論評】

 総選挙で政権交代が実現した。民主党の選挙マニフェストを見ると低炭素化に向けてエネルギー政策が一層加速化することが予測できる。現政権との際だった違いは、中期目標として25%削減が明記されていたり、キャップ&トレード方式の排出量取引制度、地球温暖化対策税の検討などが打ち出されている点。何よりも注目されるのは、再生可能エネルギーの拡大政策で、その仕組みとして全量買い取り制度の早期の導入が明示されていることだろう。
 日本では、RPS法による電力会社の一定量の買い取り義務制度を中心として、設備の導入補助と組み合わせることで新エネルギーの導入拡大が図られてきたが、RPS制度は義務量が販売電力量の1%前後と余りにも低い水準に設定され続けたために、新エネルギーの抑制制度ではないかと揶揄されてもきた。
 しかしながら、京都議定書が発行し第1約束期間が始まった昨年あたりから急速な変化がみられ、低炭素社会を目指す政府の行動計画などが発表される中で、促進誘導・支援中心の政策から規制強化・義務づけの拡大へと大きな流れができつつある。今回の政権交代によって、その流れは一層加速化されることになるのだろう。
 11月から制度開始が決まったばかりの太陽光発電の余剰電力買い取り制度だが、マニフェストには再生可能エネルギーの全量買い取り制度の早期導入とある。制度の見直しは、11月にはとても間に合わないので、余剰電力買い取り制度はひとまず、先行的に始まることになるのであろうが、全量買い取り議論がいつから始まるのか、対象エネルギーはどこまで拡大されるのかなど、今後の新エネ市場に与える影響が大きいだけに、議論の行方に注目が集まるところ。
 また、それに伴うコスト負担についても大きな議論を巻き起こすことになりそうだ。太陽光の余剰電力は、結局、電気料金と託送料金に上乗せされ回収されることになっている。しかし、買い取り対象を拡大することで単純に電気料金に上乗せすることではすみそうもない。排出量取引制度でCO2排出を有料化し再生可能エネルギーの流通促進を図ること、グリーン電力証書などを活用し「低炭素価値」の取引市場を整備することなども考えられる。買い取り義務を電力会社ではなく、電力ユーザーに負わせる方法もある。そうなれば再生可能エネルギーやコージェネレーションを活用した自家発電も有力だ。国が買い取り義務を負うという方法も考えられる。その財源は温暖化対策税になるということか。
 いずれにしても、新政権が始動する今月中旬以降、一気に始まりそうな低炭素エネルギー社会の今後の方向性を左右する仕切り直しの議論に注目したい。