2009年825日号

常用自家発はさらに減少 ガスコージェネも減少
 08年度の国内の常用自家発の導入状況は、市場の大幅な縮小傾向に歯止めがかからない状況となっている。燃料の高騰問題を背景に大幅な減退傾向が続いているが、比較的底堅く、市場の下支え役を担っていたガスコージェネも減少、全体では、設備容量で40.3%減の17万5790.6kWにとどまっている。
 08年度の常用自家発電設備の国内導入状況を日本内燃力発電設備協会(竹野正二会長)が、メーカーを対象に納入実績をアンケート調査した。
 前年度、ほぼ市場を失った状態だったディーゼル発電は2万3672.0kWと、底這い状態が続いている。ディーゼルは工場等など導入施設の大半が発電専用設備で、コージェネは病院での導入例が一例報告されているだけ。
 ガスタービンは前年度比32.4%減の6万9590.0kWで、施設数も6件だけにとどまった。工場等で5件の導入例がある他は病院施設で1件1200kWの導入があった。ガスタービンは工場等向け5件の全てがコージェネだが病院の1件は発電専用設備だった。
 ガスエンジンは、53.3%減の8万2528.6kWとさらに半減した。工場等向けのほか、病院、福祉施設、集会場、旅館ホテルなど広範囲の施設で減少傾向が見られる。一方で店舗類、官公庁施設などではマイクロコージェネを中心に導入量が回復傾向にある。
 地球温暖化問題を背景に化石燃料の中では唯一拡大に期待がかかるガスコージェネもユーザーの燃料転換意欲はあるものの供給力不安や石油価格に連動する形での燃料費の上昇などがあり、コージェネの拡大には結びつかない状況が続いている。
 特に減少が目立っている施設は工場等や病院、福祉施設、事務所ビルなど。店舗類では、100kW未満の小容量設備を中心に導入量が増えている。
 容量クラス別には、全クラスで前年度の実績を下回るという結果となっている。


エネルギー予算は10.2%増 経産省が22年度概算要求
 経済産業省は8月20日、2010年度予算の概算要求を発表した。
 この内、エネルギー対策特別会計(経産省分)では、09年度当初予算比10.2%増の7756億円を要求。「低炭素社会の実現」と「資源・エネルギーの安定的な供給確保」を政策目標の両輪として地球温暖化対策、エネルギーの安全保障、経済成長の一体的解決に加速的に取り組む。
 低炭素社会の実現に向けては20年までにCO2を15%削減、50年には少なくとも半減するため、太陽光発電の積極的な導入や電気自動車の普及支援、省エネの実施といった施策を強力に進める。
 特に太陽光発電については、20年頃に現状の20倍程度の導入が目標とされており、08年度補正予算で復活した「住宅用太陽光発電設置に対する補助金」は、09年度当初予算(別に09年度補正270億円あり)と同額の201億円を要求。さらに「次世代太陽光発電の技術開発」では新規に73億円計上した。
 また、電気自動車など「クリーンエネルギー自動車の導入促進」では、09年度比で2倍以上となる108億円を盛り込んだ。この内「電気自動車とプラグインハイブリッド車及び急速充電設備設置のための補助金」として90億円を充てる計画だ。
 09年度から本格販売が始まった「家庭用燃料電池の導入補助金」については、09年度の61億円(09年度補正42億円を合わせると103億円)の約2倍となる103億円を計上、家庭用燃料電池の普及を継続して進める。
 一方、天然ガスを高度利用するためのエネルギーシステムの構築に向けて、コージェネや燃料電池、大陽光、太陽熱などを組み合わせてIT技術で最適制御を行う「再生エネルギー活用型コージェネ運転最適化の実証事業」として新規に10億円を要求。
 スマートグリッド関連でも、電圧制御システムを実証する「次世代スマート送配電技術事業」に4億円、「スマートメーターの大規模実証」に7億円(09年度補正で8億円)、蓄電池や太陽光、電気自動車と組み合わせる「蓄電複合システム化技術開発」に30億円をいずれも新規要求している。


小型発電設備の規制緩和へ WGが初会合
 原子力安全・保安院は小水力や小型汽力といった小型発電設備に対する安全規制の緩和に向けた検討を行うためWGでの検討を開始した。
 水道施設やビル冷却系統、あるいは農業用水路の落差などを利用した未利用落差発電、また工場の生産プロセスで発生する余剰蒸気の熱・圧力を使った汽力発電の電気事業法上における保安規制の緩和を目指す。
 未利用落差発電は国内で約65万kWが包蔵するとされているが、これまでに開発されているのは約31万kW。残る34万kW分を可能な限り利用できるようにするのが狙い。
 水力発電所は、10kW以上の施設は事業用電気工作物としての規制がかかるが、これを太陽光や風力といった他の新エネルギー同様、20kW以上とし、それ以下は一般用電気工作物扱いとする。工事計画書の届け出についても500kW以上とする。ダム水路主任技術者の選任の緩和も目指す。
 一方、小型汽力発電については、ボイラー・タービン主任技術者の選任が不要とされている、マイクロガスタービンの規制基準と同程度の保安規制を探っていく。12月にも報告書をまとめる。


太陽光発電の国内出荷量が1.8倍に 3年半ぶり
 太陽光発電協会は8月20日、09年度第1四半期(4〜6月)の太陽電池の総出荷量が、発電能力ベースで前年同期比9.9%増の28万4632kWになったと発表した。
 08年度の第2四半期が約30万kW、第3四半期が約31万kWと高水準で推移していたが、第4四半期は約24万kWまで落ち込んでいた。
 また総出荷量の内、国内出荷量は前年同期比1.8倍の8万3260kWとなった。国内出荷量は9割以上となる7万6972kWが住宅用で、これも同1.8倍。四半期としては、05年度第2四半期(7万549kW)以来、ほぼ3年半振りに過去最高を更新した。
 今回の住宅用出荷量は、平均的な住宅が3kWシステムを設置するとして約2万5千軒分に相当する。政府が今年から補助金を復活させたことと、各自治体が独自の補助制度を新設、あるいは拡充したことが集荷量増に貢献した。今年中に余剰電力買い取り価格が約2倍になることへの期待もあるだけに、住宅用を含めた国内出荷量は今後さらに増加しそうだ。
 一方、海外出荷量は前年同期比5.6%減の20万1372kW。米国向けが同8.7%減の3万2474kW、欧州向けが同5.3%減の14万2440kWと欧米市場が低調だった。海外では大型発電所の建設が進展していないことや、海外メーカーが在庫処分のため低価格攻勢を強めていることが響いた。


洋上風力実証試験を本格化 NEDOが委託先決める
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、沖合いに建設される洋上風力発電構想の具体化に乗り出す。8月17日、東京電力や電源開発(Jパワー)ら5社・団体に委託し、洋上風況観測システムの実証を開始すると発表した。
 東電と東京大学は千葉県銚子市に、またJパワーは伊藤忠テクノソリューションズらと福岡県北九州市の沖合いにそれぞれ風況観測タワーを建設し、気象特性の把握や、システム設置による環境影響などを5年間かけて調査する。
 洋上風力発電については、これまでにも企業や地方自治体などが中心となって、海岸線沿いに建設されてきた事例はあるが、今回のように風速が強い沖合いで建設されるプロジェクトは初めてとなる。


その他の主な記事
・セクター別ベンチマーク業種拡大へ
・電気事業分科会が2次報告
・国内クレジットに4プロジェクトを追加承認
・防災用自家発も減少
・コージェネ・ガスコージェネも減少
・改正温対法説明会、9月に追加開催
・産総研がリチウム電池正極材で新材料
・東京電力が洋上風力の実証研究に参加
・NTTファシリティーズがソーラーUFOで大阪城掘の水浄化
・石油元売りなど相次いでEVインフラを実証へ
・昭和シェルと日産が太陽光発電で急速充電装置開発へ
・カネカが太陽光関連部材事業を強化
・三井ホームと東ガスが創エネリフォームを定額で
・東芝が中部電力からメガソーラーを受注
・京セラが郵便局でも大陽光発電を販売
・排出権エキスパート養成セミナーを開催
・新エネ大賞の募集開始
・バイオマス利活用講座の参加者募集
・09年度第2回中小水力研修会開催へ
・GT定期講演会、山口で開催
・JHIF第13回会議案内
・グリーンエネルギーで環境政策セミナー  etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・国際環境ソリューションズ 代表取締役社長 前川統一郎 氏
 =国際航業グループが取り組むメガソーラー事業=
 宮崎県でメガソーラー事業として「宮崎ソーラーウェイ」が立ち上がる。電力会社以外が事業主体となるメガソーラーは、まだまだわが国ではほとんど例がない。だが、再生可能エネルギーは地域のエネルギーであり、その意味では、本来あるべきメガソーラーに最も近い事業と言えそうだ。この事業に取り組む国際環境ソリューションズの前川社長に、構想や今後の取り組みなどを語ってもらった。

シリーズ連載
・日本版グリーンニューディールを考える@
 =世界的なインフラの大転換に=
 (井熊 均・日本総合研究所 創発戦略センター所長)
・カーボン・マネジメント入門O
 「排出量取引は世界標準になりえるか」
 (大串卓矢・スマートエナジー 代表取締役社長)
・新刊紹介:「データから読み解くエネルギー問題」
  <松井賢一著 エネルギーフォーラム>


コラム
・発電論評<車が電気で走る時代の温暖化対策>
・プリズム<平時には強いが有事には弱い原子力発電>
・ちょっと一休<人生二元論を実践している蓮井昌雄さん>
・青空<公共事業のあるべき姿>


車が電気で走る時代の温暖化対策【発電論評】

 自動車が電気で走る時代に着実に移り変わろうとしているようだ。最近のニュースでは、石油会社と自動車会社が共同で充電装置の開発を行うというものがあった。電源には太陽光発電を使う。太陽光発電とリチウムイオンバッテリーを組み合わせた急速充電装置を開発するというものだった。太陽光で発電した電気を貯めておき、必要な時に自動車に充電する。発電するのは昼間だけだが、バッテリーがあるので車への充電は夜間にも出来る。
 太陽光を使うので、CO2フリーの発電が出来る。その電気で走る車もCO2を出さない。究極のエコカーというわけだ。
 太陽光で不足する電気をどのように補うかで、CO2排出量が異なってくるが、より低炭素な電源を選択することが課題として残されているいえようか。
 系統電力を補完に使うというのが最も現実的な対応だが、コージェネや燃料電池を使った自家発電というのも有力な選択肢だ。
 太陽光発電や燃料電池など小型で家庭用の発電設備が自家発として普及するにつけ、発電することが特別なことではなくなっていく。「電気は電力会社から購入する」という常識が、次第に弱まりつつあるということだ。発電機があれば、電気は簡単に創れる。CO2がゼロの電気を使いたいが、電力会社が売ってくれないという悩みも、太陽光発電などが使えるようになると解消されていく。電気の品質の一つとしてCO2係数が契約条件の中に入ってくる時代も遠からずやってくるのではないか。
 最近、選挙の季節ということもあってか、高速道路無料化の是非を問う議論が散見された。その多くは、無料化によって自動車の走行量が増え地球温暖化防止に逆行するというものだったように思う。しかし、自動車の走行量が増えても、電気自動車などの低炭素自動車が増えるのであればCO2が増えることはなく、無料化是非の議論から温暖化問題を解放することができる。
 目指すべきは、税や課徴金をかけることで自動車の走行量をコントロールするということではなくて、走行時にCO2を排出しない自動車をいかに普及させるのかということ。そのためには、先ほどの、太陽光発電による充電装置などのインフラ整備を進めることも必要だし、何よりも、電気自動車自体のコストダウンと性能向上に向けた技術開発が待たれているということになる。
 自動車だけでなく、最近のバッテリーを始め充電インフラの整備に向けた取組が質量ともに加速化してきている状況を見るにつけ、自動車が電気で走ることが普通の時代は、そう遠くないのではないかと思われてしまうのだが、そうなれば、自動車は温暖化対策をいち早く卒業してしまうことになる。