2009.08.15


2009年815日号

長期エネ需給見通しを「再計算」 20年にエネ起源CO2を16%減に
 資源エネルギー庁は、昨年5月に公表した長期エネルギー需給見通しの「再計算」を行い、2020年にエネルギー起源のCO2排出量を05年比で16%削減するという新たなシナリオを示した。
 再計算では、実用段階の最先端技術を最大限導入する現行の最大導入ケースに、原油価格の高騰などによる1次エネルギーの抑制効果や太陽光発電の大量導入の推進など、その後の環境変化を反映させて従来より3%上積みして削減、16%減になるというケースを想定した。
 想定したシナリオでは、次世代自動車を加速的に普及させ、新車販売に占めるシェアを20年には50%程度まで高めること、エネルギー供給部門では、風力発電を現状の約5倍の500万kW程度まで増やすこと、小水力発電を1300カ所新設するなど、太陽光の他にも再生可能エネルギーを最大限導入を目指すこと。また、住宅用を中心に太陽光発電を現状の20倍程度まで拡大することや、太陽光と合わせてヒートポンプや燃料電池、家庭用コージェネなどが現状の約40倍程度の2800万台導入されることを前提とした。
 こうした省エネ、省CO2政策を積極的に取り組むことで、20年時点の1次エネルギー供給の姿は、約6.0%削減され、化石エネルギーは16.5%削減される。化石燃料の中では、石炭が13.0%、石油は25.5%と大幅に削減される。
 再計算後の「最大導入ケース」で、2030年を予測すると、エネルギー起源のCO2排出量は27%削減できると予測している。


太陽光買取コスト、当初は800〜900億円に
 資源エネルギー庁は8月6日に第3回の買取制度小委員会を開催し、太陽光発電余剰電力の「買取制度の詳細設計」についてのとりまとめを行った。
 詳細設計の主な内容は、対象とするのは@10kW未満の家庭用A500kW未満の非住宅用を基本とし、B逆潮流監視センサーが設置されていない場合等は対象としないCPPSの需要家の余剰電力も対象とするD買取価格は1kWh当たり、当初、住宅48円、非住宅24円。自家発電設備を併設(W発電)する住宅39円E買取価格は毎年見直し、システム価格の半額程度を目指すF買い取り期間は10年G1月から12月の買取費用を翌年度回収する−など。
 W発電からの買取価格を39円としたことについては、「家庭用燃料電池やエコウィル等、主に想定すべき自家発電設備の「押し上げ率」は、一般的には約10〜25%と考えられていることを勘案」したと、具体的な算定根拠を示した。余剰電力の算出は、実際に系統に逆潮した電力量を全発電量で除した「余剰比率」を適用する。
 また、制度導入当初の買取総額が約800億円から900億円となり、標準家庭の負担額が月額約30円となる。大口需要家の場合は、産業用全体では月額約30億円、業種別では、機械産業が約6億円、鉄鋼産業が約3億円、化学産業が約2.5億円となるなどの試算結果も示した。


豊田通商が風力発電事業をJパワーに譲渡
 豊田通商は、豊田通商が運営している熊本県の一目山風力発電所(8500kW)の事業会社の株式を電源開発(Jパワー)に譲渡したと発表した。
 豊田通商グループの風力発電事業再編の一環として実施したもので、今後、国内の風力発電事業は、グループ会社を通じて展開していく方針。風力発電の機器販売についてはヴェステックジャパンに、風力発電事業についてはユーラスエナジーホールディングスに集中する。
 豊田通商とJパワーは、これまでも、東京湾や愛知県田原市で共同で風力発電事業会社を手がけてきた実績がある。
 Jパワーでは、再生可能エネルギーの一つとして風力発電事業を拡大してきており、これまで、国内12地点 合計25万5880kWを運営しており、今回の譲渡により、稼働中の風力発電設備は、国内13地点、合計26万4380kW。海外1発電所(ポーランド)4万8000kWとなった。
 譲渡された一目山風力発電所は、熊本県小国町に建設され、07年3月に運転開始した1700kW×5基のウィンドファーム。


東京電力と自動車3社が充電インフラを共同整備へ
 東京電力と日産自動車、三菱自動車、富士重工業の自動車3社は、共同で自動車用の充電スタンドなどのインフラ整備を目的とする「急速充電器インフラ協議会(仮称)」を今年度内に設立すると発表した。
 国内での電気自動車の普及に必要不可欠な、急速充電器の普及や充電方式の標準化などについて連携・協力する。電気自動車の販売を開始した三菱自動車、富士重工業と、来年から販売を予定している日産自動車の3社が、東京電力と共同で開発した急速充電方式を普及させるため、充電方式の標準化と規格の統一化を目指して連携して活動することにした。
 8月5日付で準備会を設置して、自動車会社、電力会社のほか、充電器メーカー、充電サービス提供企業などに参加を呼びかけて、年度内に協議会を立ち上げる。


本紙が、分散型・新エネルギー市況をアンケート調査
 本紙は、恒例となった分散型・新エネルギー関連の市場動向について事業者アンケート調査を実施、その調査結果をまとめた。
 今年の調査は、国内のエネルギーを取り巻く環境が、低炭素社会を目指して大きく方向転回する中で、その中心的な役割を担うべく転換を模索しているという業界の傾向が色濃く反映されている結果となった。
 昨年度まで見られた、燃料コストの上昇に歯止めがかからず市場が縮小していくとの予測は減少し、市場が今後拡大していくと予測するものが66.0%と3分の2を占めるなど、再生可能エネルギーと親和性の高い分散型システムとして新たな市場形成を目指す姿勢が強く窺える。
 拡大が期待できる用途や仕向先では、官公庁や公共施設、小規模店舗や家庭用などと見るものが多く、太陽光発電への導入支援の拡大など、低炭素社会実現に向けた政策の後押しに期待する回答が目立っている。
 環境規制が今後ますます強まることが予想される中で、環境税や排出量取引などについて評価を尋ねたが、環境税については73.6%が、「税収を新エネ導入支援などに使うのであれば」という条件付で肯定的に捉える回答をした。一方で排出量取引については評価が分かれ、どちらかといえば評価できるというものが41.5%で最も多かったものの、評価しないや、余り評価しないも合わせると39.6%あるなど、積極的な姿勢は余り感じられないという印象。
 6月に発表された「中期目標」については「評価できる」とする回答が70%を超えており、理解の広がりが見える。


その他の主な記事
・京セラとイオンが太陽光の共同販売で1号店
・政府がCDM14社・団体32案件を承認
・環境省CDM調査23件を発表
・ソニーが新型リチウム電池を発売
・アルテックが太陽光向け米国製スプレー塗装装置を販売
・シードプランニングが太陽光市場を予測
・三菱自動車がE10対応車
・双日と太陽誘電がリチウムキャパシタに出資
・東京電力がセルビアで電力管理で可能性調査
・東芝が新型リチウムイオン蓄電池を拡販へ
・富士経済がオール電化住宅市場を予測
・CDM/JI調査シンポを東京と大阪で開催
・ソーラーエネ利用でシンポを開催
・次世代風力発電故障・事故対策の委託先を募集
・国交省の省CO2モデル4件決まる
・循環型地域支援事業7件決まる
・バイオマスタウン構想6市町村を公表
・小水力発電による市民共同発電委託先決まる
・09年度次世代エネパーク12件決まる   etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・東京工業大学 統合研究院 特任教授 黒川浩助氏
 =長期的な視点で太陽光発電の可能性を評価する=
 太陽光発電に対する世界的な期待が高まっている。しかし、日本は設備容量でも生産量でも海外諸国に追いつかれ、あるいは追い抜かれてしまっている。それは何より産業政策の失敗であり、グリーン・ニューディールへの期待が高まる中、太陽光発電を日本の重要な産業に成長させていくべきだという東京工業大学の黒川教授に、今後の太陽光発電の可能性やあるべき姿などを語ってもらった。

燃料電池新聞の主な記事
・トヨタが2015年にFC車を市場投入
・富士電機がリン酸型の量産体制を確立
・神戸製鋼が燃料改質過程でのCOの完全除去技術を開発
・13社が水素インフラを共同整備へ
・昭和電工が低コストのセパレーター技術を開発
・海外ニュース
 -スエーデンのボルボ・ペンタ社がモーターボート用の改質型燃料電池の製造を開始
 -ブラジルで初めての燃料電池バスの走行試験を開始
 -米FTAがハワイの燃料電池ハイブリッドシャトルバスの実証試験を支援
 -ドイツ航空宇宙センターが燃料電池グライダー「アンタレス」の初飛行に成功
 -スイスのCEAリッテン社が補助動力装置に燃料電池を使ったヨットを開発
 -現代・起亜自動車がエコカー開発に2兆2千億ウォンを投資
 -日産自動車が英国とポルトガルにバッテリー工場を建設、電気自動車も生産
 -ルノーが2010年にパリ近郊で電気自動車100台による走行実験
 -米プラグパワー社が印の無線基地局のバックアップ電源用に燃料電池を納入
 -米学術研究会議が水素燃料電池プロジェクトを総括
 -パリ市、2010年末に電気自動車約4000台の貸出制度を導入
 -米上院が水素・燃料電池関連予算を復活
 -米ネクステックマテリアルズ社、セル面積が最大級の平板形SOFCを開発
 -豪セラミックフューエルセルズ社が仏社と家庭用燃料電池の供給契約を締結
 -英セレスパワー社が09〜10年にかけて家庭用燃料電池の少量生産を開始
 -米国自動車研究評議会が自動車燃料としての水素の重要性を示す公式報告書を発表
 -独SFC社が可搬型燃料電池をダイムラー社に納入
・燃料電池フラッシュニュース
 -住友金属が低コストの金属セパレーター量産技術を確立
 -JFCCが高温水蒸気下で耐久性のある水素透過膜を開発
 -山陽特殊鋼が独自開発したセパレーターが水素ガス使用下でも有効性を確認
 -経済産業省が太陽光発電の余剰電力買取り新制度を発表
 -山梨大がPEFCのセルの厚みを1/4にすることに成功
 -慶応大学がサブナノスケールの白金クラスターで触媒活性を13倍に
 -日産自動車が電気自動車「リーフ」を公開
 -大阪府立大学がエタノール形燃料電池向け触媒を開発
 -ホソカワミクロンなど、白金使用量を従来の1/4に低減した電極用触媒を開発
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会「第129回定例研究会」
  9月17日(木) 東京工業大学蔵前会館1階くらまえホール

シリーズ連載
・世界を読む(12)<スマートグリッドシティに見る、新しい公益事業の姿と課題>
・インサイト(風力発電の現状と将来展望A)
・カーボン・マネジメント入門N
 「国内クレジット制度に期待」
 大串卓矢/日本スマートエナジー代表取締役社長
・キーパーソン(寺坂信昭/原子力安全保安院長)


コラム
・発電論評<低炭素エネルギーの拡大は陸・海の水力に注目>
・プリズム<環境対策から考える「千円乗り放題」>
・ちょっと一休<JCJ省の表彰式に出席する>
・青空<今日は64回目の敗戦記念日である>


低炭素エネルギーの拡大は陸・海の水力に注目【発電論評】

 長期エネルギー需給見通しが「再計算」された。2020年に05年比で日本のCO2排出量を15%削減するという政府の「中期目標」との整合性をもたせてエネルギー政策を進める観点から、「再計算」されたものだ。15%は、長期エネルギー需給見通しで、省エネ投資などを最大限進めた場合の「最大導入ケース」に相当する14%削減に、太陽光発電を現状の20倍にするなどの新たな対策分を加えることで1%上積みしたと説明されている。このため、エネルギー政策の観点から、この15%削減を担保する「見通し」の必要性が出てきたというわけだ。
 「再計算」では、従来の最大導入ケースに、太陽光の20倍や、昨年来の原油価格の急騰と、その後の乱高下などによる石油消費量の減退などの市場環境の変化、また、風力発電を現状の約2.5倍の500万kWとすること、中小水力の開発強化や地熱発電の拡大など、これまで政策的な支援策が乏しく、開発が遅れがちだったその他の新エネルギーの開発強化も盛り込んで、削減効果を3%上積みし、エネルギー起源のCO2排出量は20年時点で16%削減できるとした。さらにそれをそのまま延長すると30年には27%削減できるというシナリオを描いている。
 「再計算」の中で色濃くにじみ出しているのは、「規制強化」ということ。ベースとなっている「最大導入ケース」は、最先端の省エネ設備などを可能な限り導入することを前提に導き出された「試算」にすぎないものだったわけで、それを現実的な施策として展開するには、市場任せではとても達成できそうもない。というわけでか、7月に成立した非化石法とエネ供給高度化法では、誘導規制の名の下で非化石エネルギーの利用計画や化石エネルギーの「高度利用」方針の作成が事業者側に義務づけられる。事業者は「中期目標」や「再計算」後の見通しのシナリオに沿って、目標達成に向けたエネルギー政策の範囲内で事業展開を図らなければならない。つい数年前までの自由化議論は一体どこに行ってしまったのかといえるような様変わりぶりだ。
 ともあれ、化石燃料は価格の高止まりから更に上昇し続けるとの見通しが一般的。その中で、低炭素と安定供給の両立を追求するには新エネルギー開発が欠かせない。太陽光にばかり注目が集まる昨今の風潮だが、目を転ずれば、未開発の海洋エネルギーもある。海洋エネルギーには海流や波力、潮力など様々な形のエネルギーが未利用のまま眠っている。陸上でも、ようやく中小水力開発にも目が向けられるようになってきた。更なる低炭素エネルギー資源開発の視点として、陸・海の「水力」にもっと注目が集まってもよいのではないか。