2009年725日号

海流発電実用化へエン振協のプロジェクトが加速化
 エンジニアリング振興協会が独自のプロジェクトとして進めている海流発電の実証研究が実用化に向けて加速している。
 海流発電は、黒潮などの潮流のエネルギーを海中に沈めた水車で受け止め発電するというもので、日本近海に存在する膨大な海洋エネルギーを電気に変えることができれば、日本のエネルギー自給率の向上に大いに貢献できることになる。
 エン振協では、3年前から海流発電の実用化に向けて準備を進め、昨年度は2千kW級の海流発電装置の50分の1の実験モデルを使って水槽実験などを行い、実証モデルの製造に必要なデータなどを集めた。水槽内で実際に水流を起こして380Wの発電試験に成功するなど、ほぼシナリオ通りに計画が進行している。今年度は発電装置の挙動や海中での繋留方法などについて解析実験を行い、次のステージである2千kW級の実証試験につなげていく考えだ。
 海流発電は水車の製造コストが高いことや大型化が困難なこととなど、まだ多くの課題が残されているが、海外では英国などを中心に、大型のプロジェクトが動き出しており、韓国でも1千kW級の海流発電機を300台設置する計画などが発表されるなど、国際的な開発競争も激しさを増しつつある。
 2年後の計画している実証試験では、2千kW級の実証機を製造し、黒潮などの実際の海流を使って発電することを目指しているが、装置の開発・製造や実証試験に必要な資金の獲得など、ステップアップに向けた新たなプロジェクトの枠組みをどう作っていくのかが大きな課題となっている。


W発電の買取価格は39円に 小委が結論、非住宅は24円
 太陽光発電の電力買取制度について検討している小委員会が、7月23日に2回目の会合を開き買取費用の負担の考え方や負担の仕組みについて検討した。買取コストを電気料金に上乗せして回収することにしているが、この上乗せ分については「太陽光サーチャージ」とネーミングして、広く制度の仕組みや趣旨について理解と周知を図っていくことにした。
 また、前回からの積み残しの議論となっていたW発電からの買い取り価格については39円とすること、業務用などの非住宅施設からの買取価格は24円とすることが提案され、特に議論もなく了承された。
 買取費用の負担については、@買取単価は導入コストの低減具合を毎年度調査して見直すA買取コストは暦年(1月〜12月)で集計して翌年度(4月〜3月)に回収するBサーチャージの単価は買取価格から回避可能原価(約6円/kWh)を差し引いた価格を想定電力量で割り戻して算出するC想定量と実電力量の差分は翌年度分で調整する−ことを基本的な仕組みとすることにした。


新エネ拡大へ部会が中間報告
 総合資源エネルギー調査会・新エネルギー部会(部会長・柏木孝夫東京工業大学統合研究院教授)が7月22日に会合を開き、今後の新エネルギーの拡大策についてほぼ1年間にわたって検討してきた検討結果を中間報告案としてとりまとめた。
 昨年6月に新エネ部会が行った新エネ拡大に向けての緊急提言をきっかけに、その後の国内の新エネルギーを巡る諸情勢の急変や、非化石エネルギーとしての新エネルギーの役割がさらに重要さを増してきたという総括の下で、太陽光発電の固定価格買取制度の導入方針など太陽光発電の大量導入など再生可能エネルギーの拡大に向けた政策方針の展開などを受け止めて、風力、バイオマス太陽光といった各エネルギー源ごとに必要な対策や目指すべき方向性について基本的な考え方を報告書にまとめた。


昭和電工が白金代替触媒の開発にメド
 昭和電工は固体高分子形燃料電池用触媒の白金代替触媒の開発に成功し、白金代替触媒として世界最高水準を達成したと発表した。
 横浜国立大学の太田健一郎教授がプロジェクトリーダーを務めるNEDOの酸化物系非貴金属触媒プロジェクトに参加し、固体高分子形燃料電池用触媒として白金に替わる、ニオブ(Nb)系あるいはチタン(Ti)系酸化物のそれぞれに炭素および窒素を配合した代替触媒の開発に成功した。
 現時点の白金代替触媒として世界最高水準を確認済みで、開放電圧100V以上(白金触媒の場合、開放電圧は103Vから105V)、耐久性では500時間以上を達成した。さらに、製造コストも1kW当たり500円以下と、現状の白金触媒に比べて20分の1程度の低コストで製造できる。


三菱重工グループが太陽光と太陽熱のハイブリッドシステムを開発
 三菱重工業グループの菱重エステートなど菱重興産グループ7社は、OMソーラー(浜松市)と共同で、太陽光発電と太陽熱回収を複合した住宅屋根置きユニットを開発した。
 太陽光発電などを単独で設置した場合よりも高効率かつ省スペースで、家庭の消費エネルギーの約65%を太陽エネルギーで賄える製品として販売する。10月中旬からの販売開始を目指しており、新築住宅を中心に10年度中に500戸への販売を目指す。


その他の主な記事
・都市熱部会が低炭素ガス事業へ政策提言
・目標達成計画の進捗状況を点検
・ソーラー価値買取で環境省が2次募集
・第6回国内クレジットで5件を認証
・サスティナブル都市開発モデル2次公募
・低炭素地域づくり対策推進5地域決まる
・日産が欧州にリチウム電池工場を建設へ
・東電がガス給湯器と一体型HPを開発
・カネカが国内向け薄膜太陽光の販売を強化
・三菱重工がタイでターボを生産、新工場が完成
・三菱商事がスペイン企業と新エネ開発で提携
・日産とNECの合弁会社がリチウム電池の試作を開始
・自然エネローカルフォーラムが設立イベント
・省エネ革新技術、NEDOが2次募集
・エコイノベーション推進事業決まる
・次世代省エネシステム実証事業の募集開始
・09年第2回住宅・建築物省CO2推進モデル事業も公募  etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・経済産業省 上田隆之/大臣官房審議官
 =エネ関連2法の成立とその狙い=
 エネルギー供給構造高度化法と非化石エネルギー促進法が、7月1日に成立した。エネルギー政策上における2法の狙いと、高度化法を根拠法とする「太陽光発電余剰電力買い取り制度」の検討状況などについて、経済産業省の上田隆之・大臣官房審議官(エネルギー・環境担当)に聞いた。

シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流H
 =地球環境問題と分散型発電の未来=
 (寄稿:岩間剛一/和光大学経済経営学部教授)
・カーボン・マネジメント入門L
 「各国で進む温暖化対策の法整備」
 (大串卓矢/日本スマートエナジー代表取締役社長)
・新刊紹介:「グリーンニューディール パーフェクトレビュー」<環境新聞社>


コラム
・発電論評<太陽光買取で残る不透明さ>
・プリズム<政治力は無用のヒートポンプ技術>
・ちょっと一休<鷲尾・前連合会長の叙勲祝い>
・青空<政権選択選挙ってか?>


太陽光買取で残る不透明さ【発電論評】

 太陽光発電からの固定価格買取制度の骨格がようやく固まった。2月に二階経産相が制度の導入方針を示してから約半年かかったことになる。法成立が7月にずれ込んだこともあり、その後の制度設計はわずか2回の小委員会の検討作業であわただしく決められてしまったという感がある。
 制度の詳細設計を行っている小委員会では、議論が先送りされていたW発電からの買い取り価格について、特に議論もないままに39円という買取単価が決まったが、算出根拠も特に示されないままに、あっけなく決まったことには違和感があった。同様の手法で、非住宅からの買い取り価格も24円、2年目の住宅からの買い取り価格も6円下げて42円とすることも決まった。
 買い取った太陽光電力のコスト負担については、電気料金とは切り離して、「太陽光発電サーチャージ」として電気料金に上乗せして回収される付加金となる。自由化部門の契約者には、託送料金に上乗せされて回収される仕組み。
 電気料金と切り離されたことで、太陽光発電の買取コストが可視化されるという透明性は確保できたといえるが、一方で、不透明さがぬぐえないままに新制度に移行されるものも目につく。例えば、自主制度として取り組まれてきた、従来の太陽光発電余剰電力買取制度は廃止されることになる。この自主制度による買取費用は電力コストの中に組み込まれて、電気料金の中で回収されてきた。制度の廃止に伴って電気料金の値下げが行われるのかどうかは明らかにされていない。それとも、電気料金で還元するのではなく、風力発電など他の新エネの振興資金として流用されることになるのだろうか。自主制度とはいえ、需要家にコスト負担を求めてきたことには違いがないのだから、負担軽減分の使途は少なくとも需要家に対して明らかにすべきではないのだろうか。
 また、太陽光電力の買取によって不要となる「回避可能電力」も全電源平均とすることが当然のように決められたのだが、これはどうなのだろうか。太陽光発電は夜間には発電しない。電力需要は昼間にピークがあり、火力発電でそれを補うため昼間のピーク電力料金は高めに設定されている。昼間に発電する太陽光発電は明らかにそれを補完し、ピーク緩和に貢献できるのだから「回避可能電力」は、せめて昼間の電源平均とでもするのが、正しい判断といえるのではないか。
 全国民に、幅広くコストの負担をお願いして、太陽光発電の急速な普及を目指すという制度の趣旨に照らして、透明でわかりやすい制度設計を望みたい。