2009.07.15


2009年715日号

ヤンマーが太陽光発電を販売 ガスコージェネと組み合わせ
 ヤンマーエネルギーシステムは、太陽光発電システム事業に参入する。ガスエンジンコージェネやガスヒートポンプエアコン(GHP)と太陽光発電システムを組み合わせ、工場や商業施設、オフィスビルのエネルギーコストの低減とCO2削減を図る。太陽光発電システムは京セラから調達する。
 コージェネによる発電提案やGHPによる小電力提案との組み合わせで、付加価値の高いシステムを提供するのが狙い。
 第1弾として、主力製品の一つであるガスマイクロコージェネ(出力5、9.9、25、35kWの4機種)と、太陽光発電を組み合わせたシステムを市場投入することにしており、すでに営業活動を開始した。
 同社では標準的なシステムとして、25kWのマイクロコージェネと、10kWの太陽光発電を組み合わせたものを想定。この場合、システム価格はガスコージェネ、太陽光発電を合わせた価格(工事費込み)は約2千万円となるが、例えば100kW受電している工場などに設置する場合には、電気料金が年間、約150万円抑えることが可能で、国の補助制度を利用することで約10年でイニシャルコストの回収ができる。
 家庭用分野では、ガス会社などが手がけるエコウィルと太陽光発電を組み合わせた「W発電」システムが急速に普及している。ヤンマーでは独自商品のガスマイクロコージェネを使って、業務用分野での需要を開拓する。
 国内10支社店、10営業所、30特約店という全国規模の強力なネットワークを活用することで、12年度には約30億円の売上高を見込んでいる。
 今後は大型ガスエンジンコージェネや、バイオガス燃料のコージェネなどとのシステム化も急ぐ。


太陽光発電の買い取り価格は48円に
 太陽光発電からの余剰電力の固定価格買取制度について検討する「買取制度小委員会」(委員長・山地憲治東京大学大学院教授)が7月9日に第1回の会合を開き、制度の詳細設計に向けて議論を開始した。会合では、買い取り価格は家庭用の場合1kWh当たり48円とすること、500kW以上の大規模な太陽光発電については「発電事業目的」の設備と判断し、買取制度の対象としないなどの基準案が提案された。
 買取制度は、2月に二階経産相が制度創設を表明、家庭用などの電気料金の2倍の価格で余剰電力を電力会社に買い取らせることで導入インセンティブを高め、太陽光発電の早期の大量普及を目指すことを打ち出していた。具体的な制度は、エネルギー供給構造高度化法案で規定することとされ、法の成立を待って具体的な制度設計を行う小委員会が設けられたもの。小委員会は総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会と電気事業分科会の合同委員会として設置された。
 この日の初会合では、@買い取り義務の対象は住宅用に加え非住宅用についても、工場、事業場、学校などの公共建築物、公的施設についても加えるA制度創設前に設置済みの太陽光発電についても買取制度の対象とするB対象は自家消費を超える「余剰電力」に限定し、系統側に逆潮する電力量を基本とするC対象に含まれない「事業目的」の太陽光発電は、規模の目安を設ける−などの基本的な考え方が事務局案として示された。
 コージェネレーションや燃料電池などの自家発電設備を併設するいわゆるW発電の取り扱いについては、自家発の稼働によって「押し上げ」られる余剰電力の算定など、買い取り対象とする余剰電力の範囲や、価格などについては、次回以降の議論に引き継がれることになった。


エネルギー基本計画改定へ 総合部会を再開
 総合資源エネルギー調査会の総合部会(部会長・三村明夫新日本製鐵会長)が再開され、7月8日に第1回の会合を開いた。3年ごとに見直しされるエネルギー基本計画の次期計画や先頃成立した「エネルギー供給構造高度化法」に基づく制度設計について検討し、報告書にまとめる。
 エネルギー基本計画の見直しについては、「基本計画委員会」を部会の下に設けて、年内を目途に見直し案を取りまとめる。現行の基本計画策定時から、エネルギー情勢を取り巻く環境がより低炭素の方向へと大きく変化してきており、エネルギーの安定供給の確保と低炭素化という2つの課題の解決に向けた対策が盛り込まれる。
 エネルギー供給構造の高度化の制度設計については、電力やガスなどのエネルギー供給事業者に対する規制や誘導目標など、詳細な制度設計を行う。具体的な検討は部会の下に「供給構造高度化小委員会」を設置して、規制対象となる事業者の位置づけや対象範囲、規制基準などの詳細について検討を行う。
 導入が決まっている太陽光発電の買取制度については、高度化法の制度設計議論とは切り離して、新エネルギー部会と電気事業分科会の合同の「買取制度小委員会」を設けて、年内の制度開始を目標に具体的な制度設計を検討することが報告された。


NEDOが風力発電の導入状況をまとめ
 NEDOは、風力発電の国内導入状況をまとめ発表した。08年度末の単機容量10kW以上の風力発電設備を対象に導入状況をまとめた。NEDOは毎年度3月末の導入状況を定期的に調査している。
 08年度末の風力発電の導入状況は、前年度から17万8720kW増加して185万3624kWになった。設置基数は102基増加して1517基となった。1基当たりの平均設備容量は1千kWを超えており、風車の大型化傾向が進んでいる。
 08年度1年間の新規導入設備は117基、18万3340kWで、前年度より2422kW少なかった。国内の新規導入量がピークだった06年度に比べると導入量は容量ベースでは45%程度の水準となっている。
 一方、世界の風力発電の導入量は08年度1年間の新規導入量が2千700万kWを超え、また、年間の設備増加率も過去最高の37%を超えるなど、米国や中国、インドなどを中心に大幅に導入量が増えている。世界の風力発電の総導入量は、1億2079万8千kWで、日本の導入量は約1.6%のシェアにとどまり、オランダに次ぐ13位となっている。


その他の主な記事
・メタンハイドレート開発は第2フェーズに
・太陽光買取制度案の主な内容
・国内排出量取引参加企業は715社に
・矢野経済がキャパシタ市場の予測調査
・コクヨが太陽光発電を販売
・三井物産がカナダのリチウムの販売権を独占
・三菱電機が太陽光発電の施工スクールを開設
・積水化学が賃貸住宅でも太陽光
・ソニー、本社で約半分をG電力に
・日本郵便がEVを40台導入
・三菱電機エンジ、工場丸ごと監視システム発売
・NEDOがバイオマス情報交換フォーラム
・セルロース系エタノール開発8月に募集
・省エネ革新技術2時公募説明会に仙台を追加
・バイオマス先導技術決まる
・低炭素地域づくり対策推進決まる
・J−VER制度に森林管理プロ3件を登録
・環境省の国内排出量取引第5期タイプBの参加企業決まる
・エコプロダクツ大賞募集始まる   etc.


燃料電池新聞の主な記事
・ファインセラミックスセンターによる「2009年度研究成果発表会」レポート
・EV、PHEV開発の最新事情
・その他の記事
 -日本ガイシ、発電効率・燃料利用率に優れたSOFCを開発
 -物質・材料研究機構が微細構造を持つ白金ナノ粒子を開発
・海外ニュース
 -英リバーシンプル社など、二人乗り燃料電池自動車を開発
 -米燃料電池関連団体、政府の燃料電池予算カット案に反対を表明
 -英インテリジェントエナジー社、2012年までに燃料電池二輪車を市場投入
 -米調査会社、ポータブル燃料電池市場が急拡大すると予測
 -サンディア国立研究所、低加湿作動の炭化水素系電解質膜を開発
 -現代起亜の燃料電池自動車、水素ロードツアー2009を完走
 -仏MHS エナジーズ社、白金使用量を10 μg/cm2まで抑えた電極を開発
 -米AC トランジット社、2010年以降も燃料電池バスプロジェクトを継続
 -韓国GSヒューエルセル社、ソウルの集合住宅に家庭用燃料電池を設置
 -IBM、充電可能なリチウム空気電池の開発プロジェクトを発表
 -フォード、ダイムラーとの燃料電池開発合弁会社から資金を引き上げ
 -米ビークルプロジェクツ社とBNSFレールウェイ社、燃料電池ハイブリッド機関車を発表
 -モトローラ、デンマークで基地局のバックアップ電源に燃料電池を採用
 -米フェデラルモーグル社、エラストマーガスケットを開発
 -米UTCパワー社、コカコーラに400kW燃料電池コージェネシステムを納入
・燃料電池フラッシュニュース
 -ENEOSセルテック、横浜開発センターを設置、燃料電池の開発業務を集約
 -富士経済、燃料電池の市場予測を発表。PEFCは2017年度で1,690億円
 -東邦ガス、70MPa水素ステーションを建設
 -パナソニック、家庭用燃料電池で撤退した荏原バラードの代替供給を受諾
 -総務省、燃料電池車の政策評価を発表
 -山陽特殊製鋼、新開発の焼結セパレータをサンプル出荷
 -新日本石油、家庭用燃料電池の出荷開始。500台を受注
 -アストモスエネルギー、「エネファーム」の販売開始
 -栗本鐵工所と龍谷大、マグネシウム系水素吸蔵合金で水素放出温度を220℃に低減
 -アキュラホーム、家庭用燃料電池「エネファーム」搭載住宅を1,460万円から販売
・燃料電池インフォメーション
 ■触媒学会「第2回燃料電池関連触媒の評価・解析法検討会プログラム」
  6月24日(水)13時〜17時30分 東京理科大学森戸記念館(東京都新宿区)
 ■日本エネルギー学会「第18回日本エネルギー学会大会」
  7月30日(木)、31日(金) 札幌コンベンションセンター
 ■燃料電池開発情報センター「第23回燃料電池セミナー 商業化元年を迎えた家庭用燃料電池のこれから」
  8月28日(金)10:00〜16:30 タワーホール船堀5階小ホール(東京都江戸川区船堀4-1-1) 

シリーズ連載
・<新>「今、なぜスマートグリッドなのか」F
 山藤 泰/YSエネルギーリサーチ代表(関西学院大学大学院客員教授)
・世界を読む(11)<80%削減が新しいゲームルールに>
・インサイト(風力発電の現状と将来展望@)
・新刊紹介:「グリーンニューディール 環境投資は世界経済を救えるか」<NHK出版>


コラム
・発電論評<エンジンメーカーが売る太陽光発電>
・プリズム<太陽光発電ブームに電力会社の危機感>
・ちょっと一休<大石さんの誘いでポップスを聞く>
・青空<生活インフラに感謝!>


エンジンメーカーが売る太陽光発電【発電論評】

 ヤンマーが太陽光発電システムを販売することにした。ヤンマーといえば、ディーゼルエンジンの国内有数のメーカーで、ディーゼル発電のトップ企業だ。そのヤンマーが、京セラからシステムを調達して、太陽光発電を販売するという。自社の主力商品であるコージェネシステムとの組み合わせで、高効率で低炭素な分散型エネルギーシステムとしての販売戦略を描いている。
 組み合わせるコージェネも、ガスコージェネやバイオガスコージェネなど、より低炭素型のシステムで、低炭素エネルギーを求める社会の要望に沿った決断だといえる。
 発電設備の時代も複合型の時代になってきた。太陽光発電のCO2メリットと天候に左右されてしまうという出力の不安定さと、ちょうど補完関係にあるコージェネシステムを組み合わせることで、より低炭素な電力を安定的に供給できるステムが組みあがる。
 マイクロコージェネや燃料電池システムと太陽光発電を組み合わせたダブル発電を提唱したのはガス会社であるが、今では、石油元売りでも、太陽光発電の製造販売に乗り出す時代になっている。それに加えて、今回、エンジンメーカーもその隊列に加わってきたということだ。ダブル発電もとうとうここまできたのかという感がある。低炭素化に向かう流れは止めようもなく、低炭素なエネルギーシステムを持たないシステムメーカーは淘汰される時代になってしまったといえるのではないか。
 ダブル発電は、都市ガスだけではなく、LPガスでも石油でも発電用の燃料の種類は問われない。さらに、バイオディーゼルやバイオガスと組み合わせることで、より低炭素なシステムへと進化できる道も見えている。系統電力に頼らなくても、再生可能エネルギーを無駄なく高効率で安定的なエネルギーとして生まれ変わらせ、新たな可能性を見いだすことに成功したといえる。
 さらに、複数の建物間、あるいは地域の中で、余剰電力や熱を相互に融通し合うマイクログリッドやスマートグリッドへとも発展する可能性を秘めている。
 最近の家庭用燃料電池のCMのように、エネルギーをただ使うだけ時代から、自ら創り出す時代へと、流れ始めたということではないか。
 ダブル発電が普及し、「発電する」ということが「非日常」から「日常」化することで、家庭や地域で「創エネルギー」がより身近になれば、さらに未利用エネルギーが「新エネルギー」として利用できることになるかも知れない。
 エネルギーを使わないで我慢する「省エネ」の時代から「創エネ」の時代へと、確実に進化を遂げる入り口に我々はまさに立っているといえるようだ。