2009年625日号

スクールニューディールで学校に太陽光発電を集中整備 政府が方針
 文部科学省、経済産業省、環境省の3省は16日、全国の小中学校に太陽光発電を集中的に導入することなどを目指した「スクール・ニューディール構想」の具体策を発表した。補正予算による緊急経済対策の一環として、公立の小中学校約3万2千校を対象に耐震補強やエコ改修などを緊急・集中的に進める。
 学校エコ改修の中心は太陽光発電システムの導入支援で、全国の約1万2千校の小中学校をちゅうしんに早期に1校平均20kW程度の太陽光発電設備を整備し、エネルギー教育の教材などとしても役立てる。
 スクールニューディール構想は、@校舎の耐震化Aエコ改修B電子黒板などICT(情報通信技術)環境の整備を一体的に進めるというもので、3省は同日、地方自治体の担当者らを集めた推進会議で支援策の活用を呼びかけた。
 エコ改修の中心となるのは太陽光発電設備の導入支援。低炭素化社会づくりの重要性を教える環境教育の一環として、太陽光発電システムの浸透を目指す。導入に必要な事業費の97.5%を実質的に国が負担する仕組みで、2000万円の事業費の場合、実質的な地方負担は50万円程度。自治体の導入意欲を喚起、早急に、現状の約10倍となる1万2千校程度に導入することを目指し、将来的にはすべての学校に普及させる。


国内クレジットで初認証、代替電力の排出係数基準化へ
 政府は6月19日、第5回国内クレジット認証委員会を開き、認証申請が行われていたローソン、静岡ガス・三井住友銀行、東京電力の3プロジェクトを認証した。また、クレジット創出の対象となる電力の排出係数について、専門のWGを設置して検討を進めることにした。
 大企業が中小企業のCO2削減対策を資金面で支援する代わりに、削減できるCO2量を自社の目標削減量に組み込むことができる。昨年10月の制度発足以来、認証は初めてとなる。
 認証されたのは@ローソンが東京大学の4キャンパスで3万8千台の蛍光灯をインバーター化するとともに医学部付属病院でターボ冷凍機への更新A静岡ガスなどが同県の缶詰工場での重油ボイラーをガスボイラーに変更B東京電力が山梨県の温浴施設でのヒートポンプ導入による熱源機器の更新−の3プロジェクト。
 同日の認証委員会では、クレジット創出のため小規模電源を導入する場合の排出係数について、全電源平均の排出係数ではなく、代替される系統電力の具体的な排出係数を「限界電源」としてある程度特定する方向で検討することを決めた。
 国内クレジット制度によるCO2の削減量を算出する場合、電力の場合は一定のデフォルト値や電力会社が示している全電源平均の排出係数が使用されているが、「限界電源」の排出係数については時間的推移の視点を加味しながら算定基準を考慮する。クレジット創出事業開始後の一定期間適用し、一定期間経過後は全電源平均に移行する方向で検討される。


発電効率63%のSOFC、日本ガイシが開発に成功
 日本ガイシは、独自に開発している固体酸化物燃料電池(SOFC)で、世界最高レベルとなる63%の発電効率を達成したと発表した。出力700W、作動温度800度Cの動作環境で達成した。
 日本ガイシは、平板型の円筒型としては世界で最も薄い1.5mmの厚さのセル内部に燃料ガスの流路を作り、燃料ガスをセル全体に均一に行き渡るようにするとともに、セル支持体の燃料極の全面にジルコニア(電解質)の薄膜を形成して抵抗を下げ、さらに、セルの両面に空気極を形成し、大きな発電面積を確保することで高出力を実現した。発電効率63%とともに、燃料利用率も90%以上を達成するなど、高性能なSOFCとして開発に成功した。
 現在、国内の大手石油会社にSOFCスタックを提供して発電性能評価試験を行っている。今後は、他社との技術提携や共同発電なども視野に入れて早期の実用化を目指して開発を進めていくとしている。


09年度のRPS事業者別義務量を発表
 資源エネルギー庁は、09年度の事業者別のRPS電力の使用義務量(調整後)を発表した。09年度の義務量は事業者全体で、前年度より26.5%多い94億4122万7千kWh。10電力会社のほか、特定電気事業者(限定地域で電力供給を行う事業者)5社と特定規模電気事業者(PPS)15社の合計30社に義務量が配分された。
 義務量の内訳は、電力会社10社が98.3%を占め、特定電気事業者は0.03%、PPSが1.7%。RPS電力のほとんどは電力会社が占める。
 最も義務量の多い東京電力は28.7%増の29億9358万7千kW。次に義務量が多い関西電力は25.3%増の15億3452万5千kW。
 PPSの中で最も義務量が多いのはエネットの9641万7千kW。PPS全体の義務量は1億5846万7千kWで、前年度より23.0%増となったが、販売電力量シェアの減少を受けて対前年度の伸び率は平均を下回っている。
 RPS義務量は、現在、2014年度までの目標量が決められているが、固定価格買い取り制度の導入による太陽光発電の大量導入が予想されることから、緊急的に義務量の見直し作業が開始されており、新たな目標量の設定が目指されるている。


その他の主な記事
・都市熱部会が報告書 自由化拡大議論再開へ
・クリーンコール部会
・東京ガスがソーラー空調システムを公開
・3月末のRPS認定設備
・独ボンのポスト京都作業部会が閉幕
・三菱商事らが薄膜太陽電池を高集積化
・三菱2社が豪でCCS付IGCC
・大日本印刷が薄膜太陽電池
・三菱重工が英国からCCSの基本設計を受注
・富士経済が電動自動車の市場を予測
・コープ事業連合会がCO2オフセットの取り組み
・環境政策課題を公募
・地熱開発補助9件決まる
・バイオエタ(E10)実証3次は京都高度技研で
・NEDOがバイオマス要素技術委託先を募集
・09年度地方公共団体対策導入補助46件決まる
・リンリサイクル協議会がシンポ  etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・民主党 次の内閣・経済産業大臣 参議院議員 増子輝彦氏
 =中期目標とグリーンニューディール=
 民主党で次の内閣の経済産業大臣である増子輝彦氏は、CO2削減の「中期目標」を低いものにすることに否定的だ。日本の産業全体が、変革できなかった米国自動車産業のようになってしまうことを懸念し、そうなってしまう日本を「化石国家」だと表現する。低炭素社会にいち早くキャッチアップした国家を目指すために、野心的な目標が必要だということだ。

シリーズ連載
・「今、なぜスマートグリッドなのか」D
 山藤 泰/YSエネルギーリサーチ代表(関西学院大学大学院客員教授)
・エネルギーと世界経済の潮流G
 =経済回復の兆しがエネルギー価格の上昇に=
 (寄稿:岩間剛一和光大学経済経営学部教授)


コラム
・発電論評<太陽光がもたらす自家発電の時代>
・プリズム<電気かガスか、エコ給湯器対決>
・ちょっと一休<三重県津市の赤塚グループ>
・青空<脳みそが腐ってきた?あぁ〜>


太陽光がもたらす自家発電の時代【発電論評】

 太陽光発電の市場が活況を見せている。今年から復活した国の導入補助制度や、各地の自治体でも独自の支援制度が拡大していることなども追い風になっている。そのほか、低炭素社会を目指す一環として公共施設への導入原則化など、官公需による需要創出策も市場形成の後押しとなっている。
 何よりもインパクトのある支援策となっているのは固定価格買い取り制度であろう。構想されている買い取り価格は家庭向けの販売料金のほぼ2倍にあたる50円程度。これは、現在の太陽光発電による1kWh当たりの発電コストがカバーできるという意味と、導入コストが10年程度で回収できるという意味だと説明されている。
 先日発表されたスクールニューディール構想でも全国の小中学校に太陽光発電を集中的に導入することが目指されている。こうした取り組みが学校以外の公共施設にもさらに拡大していくことで太陽光発電大量導入時代の姿が次第に明らかになっている。
 そんな太陽光発電であるが、導入の中心は住宅用のもので、いまのところ、住宅用は全部が自家発電設備として導入されている。仮に、10年後、目標量である3千万kWの太陽光発電設備が全て自家発になると、それだけでも年間の想定発電量300億kWhの需要を系統電力は失うことになる。現在の総需要電力量に対しては3%程度にすぎず、量的な影響は軽いといえるが、系統電力に頼らない自家発が当たり前のように使われるようになるという影響は、相当大きいといえるのではないか。
 太陽光発電の導入コストがさらに低下すると、住宅用にとどまらずビルや工場などでも爆発的に導入が加速していくことになる。太陽光発電は、コストが高いことが導入が進まない原因といわれるが、自家発電という手段に馴染みがなく敷居が高いということも大きな要因となっているはず。それが当たり前の風景となることで市場が爆発的に拡大するということは、これまで他分野で数多く経験してきていることでもある。電気は電力会社から買うものだという常識が覆される時代が、もう間もなくやってくるということではないかと予感できる。
 かつて自家用車を持つことが当たり前ではなかった時代には、移動手段はバスや鉄道が担っていた。やがてモータリゼーションが訪れ、高速道路など道路整備が進むにつれ移動手段は自動車が主流になり、自動車を持つことも当たり前になった。それと同様のことがエネルギーの世界でも起こるのではないかということだ。
 自家発電が常識化することを前提にした、エネルギー供給のあり方が検討される必要が出てきているといえるのではないか。