2009年65日号

太陽光買い取りで小委を設置 W発電の扱いなど詳細設計
 太陽光発電の固定価格買取制度の導入について資源エネルギー庁では、小委員会を設けて詳細な制度設計の検討を行うことにした。
 小委員会は、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会と電気事業分科会の合同委員会として設置、エネファームなどW発電導入住宅などから発生する余剰電力の取り扱いの考え方(定義)や買い取り価格の具体的な水準、買い取り期間、買取費用の転化方法など制度の詳細設計について検討する。
 家庭用のコージェネや燃料電池システムなどと併用される太陽光発電については太陽光の余剰電力が底上げされ、結果的にコージェネや燃料電池の余剰電力も買い取ることになるのは太陽光買取制度の趣旨に反するという電力側の懸念が示されており、余剰電力の合理的な算定方法などについて判断基準を作る。これについてエネ庁では、買い取りを行うことを前提とする考えであり、その際、分離が困難な余剰電力の配分基準をどう作っていくのかが検討課題となる。
 また、買い取り価格については、低圧の家庭用と高圧の業務用や産業用など、契約電気料金の異なっているユーザーに対して買い取り価格を変えるのかどうか。その場合の買い取り価格や上乗せコストの負担方法など。買取費用の転嫁については、料金への上乗せ方法や、PPSユーザーへの転嫁方法などについても検討される。


荏原が燃料電池事業から撤退 荏原バラードの解散決める
 荏原製作所は、燃料電池事業を展開している連結子会社の荏原バラードを解散し、燃料電池事業から撤退すると発表した。
 荏原バラードは、カナダの燃料電池の開発会社であるバラード社との合弁会社として98年に設立、日本国内で固体高分子型の家庭用燃料電池などの開発・製造を行っていた。
 家庭用燃料電池については各社共通のエネファームという統一名称を決めるなど、今年から本格販売が始まっているが、本格販売開始のこの時期に事業撤退を決めたことについては、昨年秋以来の世界同時不況の影響で半導体事業を中心に業績が悪化、今後、量産化やコストダウンなどで多額の投資が必要となる燃料電池事業については継続することがが困難だと判断して撤退を決めた。荏原バラード社の解散時期や解散後の事業の継承などの詳細については未定だとしている。
 荏原バラードのエネファームを販売していた東京ガスと東邦ガスでは、同社製品の販売中止を決め、併行して販売しているパナソニック製エネファームに絞って販売すると発表した。両社ともに販売目標の変更はなく、既に販売済みのものについては引き続きメンテナンスは継続していく。


ヤンマーが瞬低装置付非常用発電装置を開発 UPS不要で省コスト
 ヤンマーエネルギーシステムは、非常用ディーゼル発電装置に瞬時電圧低下補償装置を搭載したハイブリッド型の発電装置を開発、10月から販売を開始する。
 瞬時の電圧低下や停電の発生時に無瞬断で電源を切り替え、ディーゼル発電装置との連携で最長72時間まで電力を供給する。電気2重層コンデンサーを蓄電部に採用し、停電発生時から10秒間電力を供給、その後はディーゼル発電に切り替える。商用電力が復電すれば無瞬断で自動的に切り替える。
 また、オプションサービスとしてヤンマーが提供する遠隔監視サービスで装置の状態監視や設備管理の支援を受けることができる。開発したハイブリッド型発電装置は、出力15kWのディーゼル発電装置。瞬低補償電力は10kW。
 無停電電源装置と非常用発電装置を使用する従来の電源対策では、メンテナンスの煩雑さや蓄電池の定期的な交換、電力消費量の増加などの問題があるが、ハイブリッド型では、個別のUPSが不要になるほか、長時間停電への対応、省スペース化、高効率運転による省エネ・省コスト化などのメリットがある。大量のOA機器などを導入しているスーパーやコンビニ、銀行などの非常用電源向けの市場に積極的に売り込み、23年度までに300〜400台程度の販売台数を見込んでいる。


蓄電池の産業戦略構築へ研究会が始動
 資源エネルギー庁は、系統安定化対策や電気自動車用などで最近、特に注目度が高まっている蓄電池について、産業戦略を構築する観点から庁内に設置した研究会の初会合をを5月28日に開いた。
 エネ庁では、日本の電池技術は国際競争力が十分にありリチウムイオン電池では約60%、ニッケル水素電池でも約70%の世界シェアがあるものの近年欧州や中国など途上国での技術・製品開発が活発化しており、かつての太陽電池のように国際シェアが奪われる懸念が強まっているとして蓄電池技術のイノベーションや用途拡大、コスト削減などの課題を掲げ産業戦略を検討することにした。
 検討課題としているのは@市場の将来展望A技術力の強化B生産・物流・販売の高度化C事業者間の連携D国の政策のあり方の5項目。今後、自動車用蓄電池の課題、系統用、家庭用、海外の動向、社会システムの中での利用や効用などを個別のテーマとして検討を行い、10月を目途に検討結果を報告書にまとめる。


その他の主な記事
・太陽光以外の新エネ政策で議論(新エネ部会)
・電気事業分科会で電気料金制度見直しなど承認
・産業部門の低炭素化に向けた取組など紹介(低炭素ガス事業研が第4回)
・2009エネルギー白書を発表
・中期目標で世論調査結果を発表
・新エネ百選で記念シンポを開催
・グリーンエネパートナーシップが総会
・関東経済産業局が環境ビジネスフォーラム
・バイオマスタウン構想、屋久島など4市町公表
・6月と7月にバイオマスサロンを計画
・英国の気候変動法などでシンポ(メイク・ザ・ルール)
・伊藤忠がカーボンオフセットサービスを開始
・NTTファが低コストの太陽電池架台を開発
・昭和シェルが太陽電池など低炭素エネルギー事業を拡大
・日立が新エネ関連拡大で事業方針
・ウエストとフォーバル社が提携、太陽光・オール電化を拡販
・ユーラス、島根の国内最大規模の風力既知が竣工
・荏原が燃料電池事業から撤退
・新日石が韓国にキャパシタ用素材工場
・三洋電機が太陽光発電の変換効率の向上に成功した。
・富士電機と古河電工が総合設備工事で新会社
・環境省が業務用太陽光補助の募集開始 環境価値を買取
・環境学会が温暖化防止でシンポを計画
・海洋エネ開発で調査委託先を募集 NEDO
・国内クレジット事例紹介セミナー 環境省
・2009電設工業展 エコテーマで盛況
・J−VER説明会 6月に追加開催
・cc謝辞世代自動車など SSKセミナー  etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・自由民主党 衆議院議員 河野太郎氏
 =CO2削減の中期目標について=
 6月中にも決まる、CO2排出削減の政府の「中期目標」について、自由民主党・河野太郎衆議院議員に聞いた。河野議員からは「ポスト京都の議論の前に、まず京都議定書の目標達成をどう解決するのかという議論が欠けているのではないか」と問いかけがあった。確かに90年比では大幅に排出量が増えているのが現状だが、マイナス6%の達成に向けての議論や行動が置き去りにされている感があることは否めない。日本にも豊富にある自然エネルギー資源をいかに開発していくのか、政治の責任で本音の政策議論が今こそ必要なのではないかと問題提起された。

シリーズ連載
・「今、なぜスマートグリッドなのか」B
 山藤 泰/YSエネルギーリサーチ代表(関西学院大学大学院客員教授)

・公共施設の新エネ・省エネモデルプラン
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長
 =第3回 太陽熱事業=

コラム
発電論評<新エネ拡大の効用について>
・プリズム<エコカー時代のメーカー戦略>
・ちょっと一休<20年ぶりの木曽駒高原でのゴルフ>
・青空<クール・ビズへの賛否>


新エネ拡大の効用について【発電論評】

 太陽光発電の導入拡大が加速している。政府の大量導入方針が背景にあることは間違いない。
 2020年までに、エネルギー消費の20%程度を再生可能エネルギーとするという最新の政策目標も掲げられている。最近話題の太陽光発電からの余剰電力の固定価格買い取り制度も、こうした政策の流れの中で打ち出されたものだ。
 固定価格買い取り制度は、日本のこれまでの新エネルギー政策の流れを一変させつつある。それほどインパクトのある政策であったといえる。
 ひとつの大きな流れとしては、RPS法の運用に大きな影響があった。RPS法は、電力会社に新エネルギー起源の電力の買い取り義務を課したものだが、その目標量があまりにも低い水準にとどめられているため、まるで新エネ導入抑制法ではないかと揶揄されてしまう側面もあった。
 買い取り制度によって、太陽光だけでRPS目標量をあっさりと超えてしまうおそれが出ており、風力やバイオマスなどを加えた新エネ全体のRPS目標量のあり方について見直さざるを得ない事態となったのだ。全ての新エネに太陽光と同様の買い取り制度を適用すべしというRPS不要論ともいえる意見さえ出てきているが、いずれにしても有名無実化しつつある目標量をどのように決め直すのか、新エネ関係者の関心は高まっている。
 数値目標を持つことの効用は、検証が可能になるということだ。目標が達成できてもできなくても、その原因を皆で検証し分析することで次の対策につなげられる。
 そういう意味で、2020年にエネルギー消費の20%程度を再生可能エネルギーとするという目標は大きな意味がある。今後10年間で20%を達成するために、RPS法を含めたエネルギー政策の抜本的な再構築に向けて大きな課題を突きつけたといってもよい。
 再生可能エネルギーの効用として、真っ先に取り上げられるのはCO2フリーの省CO2効果ということであるが、もう一つ、純国産のエネルギーだということも忘れてはならない。しかも無尽蔵の資源であり、さらに無料で利用できるエネルギーでもある。
 新エネ導入にはコストがかかるというのが、導入拡大の最大の障害となっているが、ランニングコストが極端に安いということに、もっと目が向けられてもいい。天気や風任せで、不安定な電源だと欠点ばかりあげつらわれることが多いが、1年間を平均してみれば、ほぼ毎年同じ量の電力を供給してくれる安定電源だともいえる。ランニングコストの極端に安い、供給量の計算できる電源として、上手な活用法を考えてみたい。