2009年525日号

新エネコストを「見える化」 電気料金小委が報告書
 電気料金制度の見直しを行っている料金制度小委員会(委員長・金本良嗣東京大学大学院教授)は、5月15日に開いた第7回の会合で第2次報告書案を取りまとめた。
 2次報告には、新エネルギーコストを電気料金へ反映させる仕組みについての考え方や原子力発電の廃炉費用、第2処理費用などの算定基準の考え方などをまとめたほか、電気料金の認可手続きに関する期間短縮や行政による定期評価の導入などが盛り込まれた。5月29日に開催される電気事業分科会に報告される。
 新エネ料金については、固定価格買い取り制度などによる太陽光発電の大量導入を受け入れるため、系統安定化費用や買い取りコストなどを電気料金に円滑に反映できるようにするために、コストの透明化を図るため、新エネコストを別項目として抽出して「見える化」することを提言した。
 また、太陽光の固定価格買い取りコストをPPS需要家に対しても求めるために、コスト回収の代行業務をPPSに求め、PPS側にも環境価値の移転などのインセンティブを与える仕組みを導入することも盛り込んだ。PPSが回収代行した太陽の買い取りコストは、託送料金として電力会社側に移管される。
 新エネコストの透明化については、電気事業法で新エネと定義されている太陽光、風力、バイオマス、廃棄物、地熱について、発電費用、送電・高圧配電費用などに含まれているコストを新エネ関係費用として抽出し、新エネコストが電気料金に反映される過程を「見える化」する。このため、現在、水力、火力、原子力、送電費、変電費、配電費、販売費、一般管理費の8部門に集約されている電力の総括原価を、新エネを加えた9項目として整理する。


地熱発電、113万kWが追加可能
 資源エネルギー庁は、庁内に設置した研究会で地熱発電の追加導入が2020年までに最大113万kWまで可能だとする試算結果を報告書にまとめた。
 試算の前提としたのは、発電原価が1kWh当たり20円以下で、地熱蒸気を直接利用するフラッシュ型や高温の温泉熱の利用、既設の地熱発電所の増設分も含めた。発電原価を15円までに限定すると、93万kW、12円だと67万kWの可能量となる。
 地熱発電の現状の導入量は、国内18地点、合計53万kWで、年間の発電量は約31億kWh。国内の総発電量の約0.3%にとどまっており、世界第3位のポテンシャルがあるといわれる地熱資源量に比べると著しく開発が遅れていると分析。その原因としては、RPS電源として認められるのものがバイナリー発電に限られており、地熱蒸気を直接利用するフラッシュ型は認められないことや、地熱資源の大部分が賦存する自然公園内の開発が制限されていること、また、火力や水力に比べて、小規模なものでも環境影響評価の対象になるなど制度的な制約が多いこと。また、地熱資源の多くは温泉地に近接しており、温泉業者などとの調整が煩雑になることなども開発が進まない要因の一つにあげている。
 地熱発電は、設備利用率が70%程度と高いことや新エネルギーの中では比較的低コストで発電できることなどの優位性も指摘し、太陽光や風力並みの支援措置の拡充を今後の課題とした。


日本の大気中のCO2濃度が過去最高に
 気象庁は、08年度の日本国内の大気中のCO2濃度が過去最高になったと発表した。
 今年3月〜4月に小笠原村の南鳥島、沖縄県の与那国島、岩手県の大船渡市の国内3地点で観測した結果、大気中のCO2濃度が390.8ppm(南鳥島)、393.2ppm(与那国島)、395.3ppm(大船渡市)と3地点とも観測以来の最高値を記録した。
 気象庁では1987年以来3地点で大気中のCO2濃度の観測を行っているが、地球温暖化の原因とされるCO2濃度は日本国内で一貫して増加している。08年度の平均値でも3地点とも過去最高値を記録、最近の10年間では年平均1.9ppmの割合で増加しており、大船渡市では観測開始の87年に比べて37.3ppmの増加が見られる。


岩谷も7月からエネファームの販売を開始
 岩谷産業は、7月からエネファームの販売を開始すると発表した。販売するのはLPガス仕様のもの。東芝燃料電池システムのエネファームを中心に、積水ハウスと提携して、初年度に200台程度の販売を目指す。
 積水ハウスの住宅購入予定者に、岩谷のLPガス販売子会社20社を通じて導入提案を行い、システムの販売から施工・メンテナンスまでを岩谷が行う。また、積水ハウスユーザー向けの燃料電池専用に全国一律のLPガス価格メニューを用意するなど、積水ハウスと設置ユーザーが取り組みやすい環境を整備していく。
 エネファームについて岩谷は、新エネルギー財団を通じて実施された国の大規模実証に延べ83台の実証機で参加し本格販売に備えてきた。全国に310万世帯以上の岩谷のLPガスユーザーに対して、独自の販売組織を活用してエネファームの販売を行っていく。


その他の主な記事
・中期目標で経済同友会が7%削減案を支持
・低炭素ガス事業研でスマートネットなど紹介
・ガス料金小委が第2次報告まとめ
・岩谷が木質系バイオマスからDMEを製造
・三菱商事がESCOで業務提携
・北海道でバイオエタ製造プラントが竣工
・三洋電機がリチウム電池で新工場
・京セラ、新型プリウスに太陽電池を供給
・東ガスら5社で集合住宅用給湯システム開発
・アイシン精機が省エネ型GHP
・三菱重工が高効率の排熱回収型温水ヒートポンプ
・丸紅がロシアからJIクレジット供給へ
・新エネ百選シンポを6月1日に開催
・中小水力で実務研修会 NEF
・太陽熱設計施工ガイドラインの委託先を募集 NEDO
・国交省の住宅・建築物省CO2モデル事業決まる
・風力発電システムの国際標準化決まる
・カーボン・オフセット認証募集開始
・JHIFが第11回会議  etc.

<インタビュー・この人に聞きたい>
・トランスバリュー信託 代表取締役社長 杉谷孝治氏
 =市民風力を対象にした投資ファンドを募集=
 今年4月から石川県輪島市に建設される10基の市民風力発電に投資を呼びかける「アースウィンド2009」の募集を開始した。地球環境対策への直接投資を可能とするこのファンドは事業内容が見えるエコファンドとして関心が高まっているという。

シリーズ連載
・「今、なぜスマートグリッドなのか」A
 山藤 泰/YSエネルギーリサーチ代表(関西学院大学大学院客員教授)
・エネルギーと世界経済の潮流F
 =世界恐慌を最初に脱出する中国=
 (寄稿:岩間剛一和光大学経済経営学部教授)
・インサイト(ソーラーシステムの普及に向けて@)
・新刊紹介:「過剰管理の処方箋」<かんき出版>



コラム
・発電論評<低炭素時代へ向かうネットワークの視点>
・プリズム<マスコミは冷静さとは無縁の機関なのか>
・ちょっと一休<新緑の軽井沢で友人に会う>
・青空<慎み深く愛情あふれる人でありたい>


低炭素時代へ向かうネットワークの視点【発電論評】

 2020年までに日本国内の温室効果ガスの排出量を削減する目標値を定める中期目標。6月中旬には6つの選択肢の中から麻生首相が発表する。ポスト京都議定書の枠組みの本格的な議論が始まる12月のCOP15での日本の基本的な立場になるとともに、2050年に60〜80%の削減を目指すという日本の長期目標を達成するための中間の指標となる。
 CO2排出量の削減のための選択肢はそんなには多くない。再生可能エネルギーなどのCO2を排出しない1次エネルギーの利用拡大や高効率のエネルギー転換技術の普及拡大、需要側での高効率利用設備やシステムの拡大など。太陽光や風力などの自然エネルギーの原子力や水力発電、コージェネレーション技術、省エネ設備などがそれらに当たっている。また、排熱や未利用エネルギーなどの利用を可能にする電気や熱のネットワークの構築、エネルギーの相互融通や面的利用などの技術・ソフト開発。そうしたネットワークや面的利用を可能にする都市設計の視点なども重要になってくる。
 並べてみても、既に多くの人から指摘され続けていることばかりで、技術的にも特に目新しさはないものばかり。逆に言うと、既にある技術やノウハウを組み合わせることで今すぐにでも始められることばかりだと言える。
 再生可能エネルギーを最大導入するための予備電源や調整電源。それらを含めたネットワークの展開。その最適な規模。街や地域全体で低炭素エネルギーの利用が可能となるネットワーク。低炭素エネルギー供給システムの配置と無駄のない利用設備の導入。やるべきことはかなり限られていて、やれることもそう多くないのだとすると、なぜやらないのか、やれないのかという問題点を抽出し、その解決策を探っていく必要がある。
 例えば電力ネットワーク。全国的に行き渡っているはずの電力系統は、風力発電一つとってみても思うように導入できないということも、その多くの場合が電力系統の制約によるといわれる。もっとも、系統を保有する電力会社に、自社が必要としない送電線の整備やコスト負担を求めるというのは、やはり無理があると思われる。
 太陽光の固定価格買い取り制度が導入されるが、そのためのコストについては広く国民全体が負担するという考えが示され、初年度は月額30円程度の負担となると試算されている。そのような考え方ができるのであれば、電力ネットワークについても、その公共的性格を考慮すれば、電力会社では整備しきれない部分を国が公共インフラとして整備し、低炭素社会にふさわしい、電力・エネルギーネットワークを社会全体で構築するという視点も必要なのではないか。