2009年515日号

太陽光買い取りでRPS義務量など見直し 小委での検討始まる
 太陽光発電からの固定価格買取制度導入に伴うRPS制度への影響について検討することを目的に、RPS法小委員会が2年ぶりに再開された。買取制度によって大量導入が予想される太陽光を別枠で扱うのか、また、太陽光を含めた利用義務量をどのように見直すのかなどが主な検討課題。
 RPS制度は、太陽光、風力、中小水力、バイオマス、地熱の5種類の新エネ電力について販売電力の一定割合とすることを義務づけているが、買い取り制度の対象は、太陽光発電だけであるため、太陽光以外の新エネ電力の導入目標量に影響を及ぼさないための方策などが検討される。
 同日の会合で論点として示されたのは、利用目標量の見直しと太陽光発電の2倍カウントの取り扱い、RPS電力の義務対象者間の公平性の確保の3点。2011年から導入されることになっている太陽光発電については発電電力量を実際の2倍で義務量に参入できるという「2倍カウント制度」は、固定買い取り制度でRPSとは別枠の支援措置の導入により必要なくなったのではないかという想定で、廃止の是非について検討される。また、義務対象者間の公平性については、全需要家によるコスト負担の原則から買い取り義務のないPPS電力の利用者にも太陽光コストが上乗せされることを前提に、PPS側へのRPS価値や省CO2価値の配分方法なども検討課題とされる。


07年度排出量確定 90年度比約9.0%増に
 環境省は、07年度の温室効果ガス排出量(確定値)をまとめ発表した。
 国内の総排出量はCO2換算で13億7400万トンで、前年度に比べ約2.4%の増加。90年度比では約9.0%の増加となった。業務部門や家庭部門、運輸部門などの増加が目立っている。柏崎・刈羽など原子力発電の稼働率の低下や、渇水などの影響で火力発電が増加したことも排出量増加の一因となった。
 政府の目標達成計画で見込んでいる森林吸収量は、07年は4070万トンと算定、基準年総排出量の3.2%相当分が吸収されたことになるが、計画の3.8%に比べると0.6ポイント不足していることになる。
 議定書の目標達成には一段と厳しい数字となったが、約束期間初年度である08年度の排出量は、エネルギー価格の高騰や年度後半の世界同時不況の影響でエネルギー使用量も急減し、排出量も低下が見込まれている。


07年度のエネルギー需要は1.1%減 3年連続でマイナス
 資源エネルギー庁は07年度のエネルギー需給実績(確報)をまとめた。
 最終エネルギー消費は、前年度に比べ1.1%のマイナスとなり3年連続で減少した。一方で、エネルギー起源CO2排出量は、原子力発電利用率の低下などもあって2.8%の増加となった。最終エネルギー消費の減少は、各部門で省エネやエネルギー利用効率の向上が進んだことによるものと分析されている。
 産業部門では生産活動が活発化したにもかかわらず、エネルギー効率が6年連続で改善傾向にあり、前年度比0.1%増とほぼ横ばいで推移。民生部門でも業務部門のエネルギー効率の改善傾向が顕著で、2.3%の減少となった。運輸部門も01年をピークに一貫して減少傾向にあり1.9%の減少となっている。
 原子力を除くエネルギー自給率は6.6%となり、前年度に比べ0.3ポイントの減少となった。


低炭素革命関連に8650億円など 補正予算
 09年度の政府の補正予算案が4月27日取りまとめられた。エネルギー利用の省CO2化などが目指される低炭素革命関連事業として一般会計7474億円、エネルギー特会分1176億円が計上され、住宅用太陽光導入補助やグリーン家電の普及など、省エネ製品や新エネ導入拡大関連事業などが新たに追加される。
 経産省がまとめた低炭素革命関連事業の主な項目は、住宅用太陽光発電補助が270億円、新エネ導入支援補助拡充200億円など合わせて536億円が太陽光発電関連事業として予算化されたほか、グリーン家電(エコポイント制度)に2946億円、蓄電池・太陽電池の開発拠点整備に310億円などが手当てされている。また、電気自動車のインフラ整備やスマートグリッドの研究など低炭素社会システムプロジェクトに205億円を計上。さらに燃料電池補助(42億円)や高効率給湯器補助(36億円)などについても予算の上積みが行われている。
 環境省関連では、グリーン化やCO2削減に関する調査事業を中心に、市民共同の小水力発電の可能性調査、J−VER制度の効率化事業、アジア・太平洋地域での環境モデル都市の構築調査などに、合わせて約13億円。また、地域での温暖化対策事業などの取り組みを強化するための集中的な財政支援策として、「地域グリーンニューディール基金」を創設することとし、550億円が手当てされている。


エネルギーサービス関連で新会社 大阪ガスが7月から組織再編
 大阪ガスは、7月1日付でグループの組織再編を実施する。海外エネルギーバリューチェーン事業、国内電力事業、エネルギーサービス関連事業、LPG事業などの6つの事業領域ごとに関連する事業や組織を集約統合し、事業推進の効率化を目指す。
 国内電力事業では、泉北天然ガス発電所の営業運転開始の時期と重ねて、グループ内の国内電源をガス製造・発電事業部に集約する。エネルギーサービス関連事業については、コージェネテクノサービスやガスアンドパワーなどのグループ会社をエネルギー事業部の傘下におき、グループ会社を統合する新会社を発足させ、エネルギーサービス関連事業を一括して取り組む体制を整える。


その他の主な記事
・新エネ部会で買い取り制度を議論
・電力、ガス料金制度見直し、ヤードスティック簡素化など
・低炭素時代のガス事業について課題を整理
・京セラとイオンが住宅用PV販売で業務提携
・新日石が新エネ販売で組織体制を強化
・新日石がエネファームの新工場を建設
・日本風力開発がグリーンパワーと提携
・エリーパワーに国際石油開発帝石が出資
・積水ハウスが太陽光付き住宅
・大阪ガス泉北天然ガス1号機が運開
・帝国データバンクが太陽電池関連企業を実態調査
・鳥取ガスもエネファームを本格販売
・富士電機が世界初のリチウムイオンキャパシタ瞬低を開発
・都電荒川線をグリーン電力で運行
・グリーン・エネルギー・パートナーシップが第2回総会
・J−VER制度で全国説明会
・エネファームの補助金募集は5月22日から
・国内排出量取引で第2次募集
・環境省が低炭素地域モデル事業を公募
・バイオマスタウン構想、斜里町など9市町を公表
・EVや米エネ政策の現状など SSKセミナー
・09年度高効率給湯器導入の補助募集を開始
・省エネ革新技術開発決まる NEDO
・太陽光発電被害低減対策技術 NEDOが公募
・NEDOがバイオマス先導技術研究の委託先を募集   etc.

<インタビュー・この人に聞きたい> 
・SAPジャパンインダストリー&ソリューション戦略本部 公益産業担当部長 松尾康男 氏
 =スマートグリッドとは何か?=
 日本でも話題になり始めたスマートグリッド。オバマ米国新大統領のグリーンニューディール政策の中でスマートグリッドへの投資が言及され、注目度が高まっている。そもそも、スマートグリッドとは何なのか。SAPジャパンの松尾康男氏に電力・ガスなどのネットワーク事業にパラダイムシフトをもたらすといわれる、スマートグリッドの本質と可能性について聞いた。


燃料電池新聞の主な記事
・NEDOシンポジウムレポート
 4月23日に東京・臨海副都心青海地区にある平成プラザ国際交流会議場で開かれたNEDOのPEFCシンポジウムをレポート。「本格普及のための低コスト化技術開発課題について」をテーマに、今年度で最終年度となる「実用化戦略的技術開発」プロジェクトの評価や10年度以降の後継事業の進め方について、技術開発の問題点の抽出や残された課題などが整理された。
・米DOEが燃料電池車の開発予算を削減
・JASRIとNECが原子レベルの劣化メカニズムを解明
・岩谷が純水素駆動の燃料電池移動電源車を開発
・NTT、東邦ガスらが高効率のSOFCモジュールを開発
・海外ニュース
 -英ロイヤルメール社、水素郵便集配車を配備
 -カナダの国立科学研究機構が白金触媒に匹敵する鉄系触媒を開発
 -GMとセグウェイが二人乗り電動自動車を共同開発
 -CARB、水素ステーション建設に680万ドルを助成
 -米メディステクノロジー社が軍用機器向け燃料電池を開発
 -米ネスレ・ウォータズ社が飲料工場に燃料電池リフトトラックを導入
 -コペンハーゲン市とデンマークが電気自動車と水素自動車の普及計画を発表
 -英調査会社が2008年ポータブル燃料電池市場を発表
 -米DOE、燃料電池技術開発に4190万ドルを助成
 -ルノー・日産アライアンス、中国とパートナーシップを締結
 -主要自動車メーカーと独エネルギー大手、電気自動車用充電プラグの共通化について合意
 -独ハンブルグ市がダイムラー、シェルなどと燃料電池車実証走行プロジェクトを開始
 -上海汽車、新しい燃料電池自動車を発表
 -独フラウンホッファー研究所がポータブル改質方式の燃料電池を開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -三菱化学など、光触媒と太陽光発電による高効率水素製造技術を開発
 -東京ガスなど、燃料電池ターレット車を試作
 -GSユアサとホンダ、HEV向けLiBを2011年から量産開始
 -北海道ガス、2009年度の家庭用燃料電池の販売目標は10台
 -ホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」、「2009 年ワールドグリーンカー賞」を受賞
 -東北大と東工大、ニッケル系金属ガラスによる水素分離膜を開発
 -JR東日本、環境技術研究所を設立、燃料電池車両の開発などを進める
 -日立製作所、リチウムイオン電池事業推進で計画概要を発表
 -日本郵船、燃料電池駆動コンテナ船を2030年に実用化
 -富士重工業、電気自動車の実証実験を地方自治体などで実施
 -鳥取ガス、2009年5月から家庭用燃料電池の販売開始
 -日本ユニシス、青森県のEV導入モデル事業で「充電インフラシステム」を提供
 -トヨタ自動車とトヨタホーム、家庭用蓄電システム「HEMS」開発に着手
 -ENEOSセルテック、新工場を稼動
 -マツダ、ノルウェー仕様の水素自動車の第1号車を完成
 -福岡県、燃料電池自動車を公用車に導入  etc.
・燃料電池インフォメーション
 ■電気化学会 第69回新電池構想部会(平成21年5月21日(木)13時〜17時 東京国際フォーラム/東京都千代田区)

シリーズ連載
・<新>「今、なぜスマートグリッドなのか」@
 山藤 泰/YSエネルギーリサーチ代表(関西学院大学大学院客員教授)
・公共施設の新エネ・省エネモデルプラン
 =第2回 太陽光発電事業=
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長


コラム
・発電論評<太陽光発電の新たな可能性>
・プリズム<温暖化対策に逆行する「高速千円」>
・ちょっと一休<旧知の人にあった講演会>
・青空<豚インフルエンザ騒ぎ>


太陽光発電の新たな可能性【発電論評】

 電気は太陽光、車は電気自動車。低炭素社会を支えるアイテムとして今話題のものだ。どちらも決して目新しさはないが、コスト的にも普及を目指せる段階になってきた。
 太陽光発電システムの市場価格は現在1kW当たりで60万円前後といわれるが、政府の見通しでは3年から5年程度で半減できるという。現在40〜50円程度の発電コストも、そうなれば家庭用の電気料金と肩を並べるところまで下がることになる。
 太陽光発電のコストが想定通りに下がっていけば、新たな発電ビジネスのアイテムとして、用途の広がりも期待できそうだ。
 例えば、電気自動車向けの充電用の電力というのはどうか。大規模駐車場が整備されているショッピングセンターの屋上や空地などのスペースに太陽光発電を設置して、駐車場には充電装置を設置する。来客は買い物をする時間中に充電することができる。一定額以上の買い物をすれば無料で充電サービスが受けられるようになるかも知れない。充電する電気は太陽光発電によるものなので、CO2排出量はゼロ。電気自動車と太陽光で運輸部門のCO2問題は劇的な解決が図られる可能性を示すものとなろう。
 そういうことが一般化すれば、当然太陽光電力が不足することが考えられるので、不足するものは外部調達を試みる必要が出てくる。排出量取引やグリーン電力証書のような仕組みを利用してオフセットすることがもっともわかりやすい方法だといえるが、太陽光発電の未設置住宅や事業場などにシステムを提供して、発電を委託するということも新たな発電ビジネスとして成立するかも知れない。
 発電委託には、エネルギーサービスのモデルが既にある。太陽光発電をリースなどの方法で提供してイニシャルコストの負担を無くし、発電電力料に見合う料金をリース料として負担して貰う。電気料金と同様に基本料と使用量に分ければ利用者のコスト負担感をなくして太陽光発電を受け入れて貰える。委託者側は、システムコストを料金で回収するとともに、発電電力分のグリーン価値を証書化して、自社での不足分に充当するという仕組み。
 かつてのオンサイト発電サービスと同様のやり方なのだが、成立するかどうかは、利用者側の負担を、支払っている電気料金と同等かそれ以下にできるかどうかということが判断の分かれ目となる。
 現在、こうしたエネルギーサービスを行っている事業者はガス会社などのエネルギー事業者に限られてしまっているが、グリーン電力価値を全面に押し出すことで、スーパーや住宅販売事業者などが手がけられる環境が整いつつあるといえるのではないか。新たなビジネスモデルとして育つことを期待したい。