2009年42555日合併号

SOFCで発電効率59% NTT、東邦ガス、住友精密が共同開発
 NTTと東邦ガス、住友精密工業の3社は、共同で固体酸化物形の燃料電池(SOFC)を開発、世界最高レベルの発電効率59%を確認したと発表した。
 業務用をターゲットとした出力3kW級のモジュールを試作し、都市ガスを燃料とした発電試験で達成した。小出力のSOFCの実証機では45%程度の発電効率が主流となっており、今後の実用化開発を通じて製品段階での発電効率の向上に期待が高まっている。
 3社が培ってきた技術を持ち寄る形で、@高性能スタックA熱フロー設計B高断熱設計の平板形型セルのスタックを開発し、発電効率56%で数百時間の安定した運転を確認するとともに、短時間では59%の発電効率を達成した。開発したのは外部からの加熱などを一切行わない熱自立型の運転が可能なシステムで、発電時に発生する反応熱などをモジュール内で回収して空気余熱などに有効利用するとともに、スタック温度を均一に保つことでスタックの安定作動に役立てている。
 SOFCは、燃料電池のコスト削減の最大要因とされている白金などの貴金属触媒が不要であることや、発電時の作動温度が600〜1千度C程度と高温で、発電効率が高くシステムの小型化が見込めるなど、業務用や事業用のなどの用途で実用化開発が期待されている。
 NTTがセルの材料とセル・スタック技術、東邦ガスがセル・スタックと運転制御技術、住友精密が発電モジュールの設計・製作を主に担当し、尼崎市内の住友精密の施設で実証試験を実施した。今後は、2〜3年後の実用化を目指してさらに発展させたモジュールを用いて、スタックでは数千時間の連続運転性能など性能検証に取り組むことにしている。


国内クレジット10件を承認 第3回認証委
 経済産業省は、4月15日に開いた第3回の国内クレジット認証委員会で、10件の排出削減事業を承認した。承認した削減事業は第2回委員会までに受け付け済みのもので、ボイラー更新による天然ガスへの燃料転換やヒートポンプの導入による省エネ改修などが含まれている。また、新たに重油から木質バイオマスへの燃料転換や農園へのヒートポンプ導入など11件の削減事業の申請を受け付けた。受け付けた11件のうちの5件は電力会社が共同事業者としてヒートポンプ導入による削減事業を行うもので、電力会社の削減事業に対する積極的な対応が目立っている。現在まで承認された削減事業ではコージェネ等のオンサイト発電事業は含まれていない。11件の内容は次の通り。
▽自治体庁舎の溶雪・暖房用ボイラーの燃料転換(重油から木質バイオマス)▽温泉施設の加温用ボイラーの燃料転換(重油から木質バイオマス)▽病院のボイラー更新・ヒートポンプ導入・空調設備の更新・熱源搬送ポンプのインバーター化▽バラ農園へのヒートポンプの導入▽業務用ビルの空調設備照明設備の更新▽メッキ工場での重油ボイラーの高効率化(更新)▽繊維工場のボイラーの燃料転換(石炭・重油から都市ガス)▽自動車販売店舗の照明設備更新▽温泉施設の加温用ボイラーの燃料転換(重油から都市ガス)▽ホテルの空調設備・照明設備の更新、ヒートポンプの導入


電力排出係数は0.33目指す 電事連が公表
 電力業界は20年度のCO2排出係数(原単位)を0.33kg/1kWhとすることを目指す。4月17日の定例記者会見で電気事業連合会の森会長が発表した。
 20年度までに非化石電源を50%にすることや、メガソーラー、太陽光発電電力の新たな買い取り制度、化石燃料の高効率化などの取り組みを行う。原子力の設備利用率の低減などから08年度には0.45程度にまで悪化した排出原単位を約30%向上させ、0.33程度とする。需要面の対策としては、エコキュートや電気自動車の導入拡大をあげている。


岩谷が燃料電池電源車を開発 純水素燃料で発電
 岩谷産業は、純水素型の燃料電池を搭載した電源車を開発した。搭載する燃料電池は10kW級の固体酸化物型燃料電池(SOFC)。燃料には純水素を使用するため、発電時のCO2排出量をゼロにできる。燃料となる純水素は専用の水素トレーラーで供給する。水素トレーラーには35MPaの充填容器に100N立方m以上の水素を搭載して、16時間以上の定格連続運転ができる。
 イベント用の仮設電源や屋外での電気機器への充電装置としてCO2排出量ゼロのグリーン電源としての利用が期待できる。電源車としての電力供給能力は、家庭用エアコン18台、40インチの液晶テレビなら70台。携帯電話なら3千台分程度の充電ができる。AC100V、200V、DC360Vの同時使用が可能で、発電効率は45%以上(LHV)。
 NEDOの助成事業として開発したもので、今後の試験運用を通じて改良を加え、11年度の商品化を目指している。


その他の主な記事
・斉藤環境相が緑の政策を発表
・環境省がG電力活用へ需要創出モデル事業を推進
・日本版バイオ燃料持続可能性研究会が報告書
・国内排出量取引で農林水産省が森林バイオマス第1号案件
・九州電力が風力連系20万kWを募集
・九州電力が08年度分の風力連系社を決定
・四国電力管内で風力計画が中止、再募集へ
・08年度電力需要は5年ぶりに減少、電事連の集計
・東大と三菱化学が太陽電池開発でコラボ
・GTL実証プラントが竣工、JOGMEC
・ネクスト社がエコ現場事務所をリース
・岩谷が燃料電池電源車を開発
・昭和電工がリチウム電池向け電極材料を増産へ
・川崎重工業が舶用機関の燃費改善技術を開発
・米GMと上海汽車が燃料電池車を共同開発
・アサヒビールがG電力でオフセットビールを販売へ
・日立がリチウム電池事業を拡大
・黒田電気が太陽光関連で新工場
・三菱重工が米の風力契約で提訴
・新エネ百選決まる
・サイサン環境基金が助成金を贈呈
・1月のRPS認定設備状況
・DMEボイラー補助先を募集
・5月のJPIセミナー
・GT学会が教育シンポ
・JHIF第11、12回会議案内
・09年度バイオ燃料モデル実証公募開始
・NEDOの太陽光発電委託先決まる(モジュール標準化、包括太陽電池、開発動向)
・NEDOが燃料電池、水素に関する受容性調査委託先を募集  etc.

・特集
 「対談・新時代に向かうガス体エネルギー」
 =日本ガス体エネルギー普及促進協議会会長 村木茂 氏
 =エルピーガス協会会長 川本宜彦 氏
 低炭素社会の中でも、なお利用拡大が目指されるガス体エネルギー。化石燃料の中ではCO2排出量が少なく、再生可能エネルギーと組みあわせることで、エネルギーの安定供給には欠かせないエネルギーとして期待が高まっている。CO2半減が長期に目指される中で、環境エネルギーを担いうる産業となるために、業界が目指すべき方向性などについて、この春にLPガス関連3団体が合併して新たに発足した川本宜彦エルピーガス協会会長と村木茂日本ガス体エネルギー普及促進協議会会長に話し合ってもらった。

<インタビュー・この人に聞きたい>
・末吉竹二郎・国連環境計画(UNEP)金融イニシアチブ特別顧問
 =CO2削減の中期目標は?=
 「地球温暖化問題に関する懇談会」のメンバーとして、CO2削減の中期目標などの議論にかかわってきた末吉竹二郎氏に、示された6つの選択肢の内容やその評価について伺った。現在、行われている議論は経済への負荷の側面だけに集中しがちで、そもそも何のためにCO2を削減するのかという中期目標の土台となる議論が見えにくいと手厳しい感想が述べられた。

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門K
 「CO2が半分の低炭素社会」
 大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長
・エネルギーと世界経済の潮流E
 =石油ピーク論への大いなる疑問=
 寄稿:岩間剛一和光大学経済経営学部教授
・インサイト<分散型実務の話題>
 太陽光発電の固定価格買取制度



コラム
・発電論評<太陽光と燃料電池で迎える低炭素社会>
・プリズム<電気自動車の時代がやってくる>
・ちょっと一休<GM転落の本当の理由>
・青空<明るい総会シーズンの到来か>


太陽光と燃料電池で迎える低炭素社会【発電論評】

 太陽光発電20倍のかけ声を背景に、この春のエネルギー業界の話題は太陽光発電に集中している。固定価格買い取り制度の導入も決まり、法案も国会で審議中だ。
 太陽光発電付きの住宅も華々しく売り出しが始まっている。さらに、燃料電池付き、燃料電池プラス太陽光発電付きというものまで出現している。
 昨年頃までは、ダブル発電という言葉の浸透もそれほどでもなく、ガス会社や石油会社がなぜ太陽光に取り組むのかという素朴な疑問を示す人もまだまだ多かったほどだ。
 電気は電力会社が売り、ガスを売るのはガス会社という、従来型の常識から脱却するのはなかなか難しい。電気は作られたエネルギーであるということはともすれば忘れられがちになる。都市ガスを燃料にして発電と熱供給が行える燃料電池と太陽光を電気に変える太陽光発電を組み合わせて住宅に導入することで、独立型のエネルギー供給システムが完成する。オール電化ならぬオールガス住宅のできあがりといえるのかも知れない。
 オール電化住宅ではヒートポンプと組み合わせて外気熱をエネルギー源として活用するが、オールガスでは太陽光を利用する。もっとも太陽光を利用したオール電化や燃料をガスから石油に変えればオール石油住宅にも変えられる。
 無駄のない高効率の安定供給を望むのであれば、貯湯や蓄電装置も必要になる。こうすることで完全独立型のエネルギー自給住宅ができあがるのだが、効率を考えれば、周囲とエネルギーを共有し合う半独立型のマイクログリッドを形成するという考え方もある。
 いずれにしても、電気は電力会社から購入するという常識にとらわれない時代が始まろうとしている。
 太陽光の固定価格買い取り制度を巡って、ダブル発電住宅の余剰電力の算定について一部で議論があるという。制度導入の趣旨は、太陽光の導入を時限的に支援するというところにあるのだとすると、太陽光が付けやすくなるという方向で、前向きに解決されることになるのだろう。
 太陽光やダブル発電の次の拡大先は、集合住宅だといわれている。集合住宅に置く場合は、各戸ごとに置くのか、全体に置き電気や熱を分けるにかという二つの考え方がある。場合によっては使い分けも可能だろう。集合住宅への導入モデルは、テナントなどが多く入る業務用ビルへも規模を拡大する形で展開できる。
 こうした場合に、これまで通り、自家発として導入するだけでなく、エネルギーサービスとして展開できる道も探って貰いたい。場合によっては自由化の特例として、低炭素エネルギー供給サービスという事業者に限定して事業展開できる方策も考えられてもいいのではないか。