2009年45日号

家庭用SOFCを共同開発 大阪ガス、京セラ、トヨタ、アイシンの4社で
 大阪ガス、京セラ、トヨタ自動車、アイシン精機の4社は、家庭用の固体酸化物型燃料電池(SOFC)を共同開発することで合意した。大ガスが排熱利用給湯暖房ユニットの開発を担当、京セラのセル及びスタックを使った発電ユニットを、同社とトヨタ・アイシンで実用化していく。10年代前半の商品化を目指す。
 SOFCは他の燃料電池に比べ発電効率が高く、熱需要の少ない住宅での利用に適している。また発電ユニットが小型のため、設置スペースに制約のある戸建て住宅や集合住宅向けとされている。
 大ガスと京セラは04年から、先行して家庭用SOFCの共同開発に乗り出しており、すでに大ガスエリア内の実居住住宅で45台の実証運転を開始している。一方、トヨタとアイシンは、01年から家庭用固体高分子型燃料電池(PEFC)の開発を進める中、76台の実機を「大規模実証事業」に提供するなど信頼性の検証を進めてきている。
 今後4社は、大ガスの排熱利用などのコージェネ技術、京セラのファインセラミック技術、トヨタ・アイシンのシステム化技術を統合・活用し、都市ガス燃料の700W機で、発電効率45%(LHV)、排熱回収効率40%(同)を目標仕様に開発を進める。


中期目標に6つの試案 政府案は6月に決定
 政府はポスト京都の中期目標について検討している地球温暖化問題に関する懇談会の中期目標検討委員会が3月27日に第6回の会合を開催し、6通りの試案を選択肢として示し、パブリックコメントで国民の意見を聞いた上で、6月に最終的に日本政府としての中期目標を採択することにした。
 6つの選択肢は、@長期需給見通しの努力継続ケースをベースとしたもので、90年比では4%増。米国やEUが示している目標レベル並のものA先進国全体で90年比マイナス25%で各国の削減費用を均等レベルとするもの(日本は0〜マイナス3%)B長期需給見通しの最大導入ケースをベースとするもので、日本の削減率は90年比マイナス7%C先進国全体でマイナス25%。GDPあたりの各国の対策費用を均等D更新時期前の設備も最新機器への入れ替えを求める対策や義務づけを求める。日本の削減率は90年比でマイナス15%〜16%E先進国全体で一律25%の削減を目指すというもの。
 日本の削減率はプラス4%〜マイナス25%の範囲となる。
 @以外のいずれのケースを選択しても経済へのマイナス影響は避けることは困難で、GDPへの影響は0.5%から最大6.0%までマイナスの影響を与える。民間設備投資や失業率、世帯の可処分所得、光熱費支出のいずれにもマイナスの影響があると分析している。


東京都が大企業の削減義務化で緩和基準など公表
 東京都は、今年度から大企業などを対象に温室効果ガスの削減義務と排出量取引制度の導入などを柱とする環境確保条例の改正制度をスタートさせたが、それに合わせてトップレベル事業者に対する義務率の軽減やグリーンエネルギー証書による削減措置などの追加措置を公表した。
 新たに講ぜられたのは準トップレベルの事業所などに対する削減義務率の減免(4分の3)や、省エネ改修を行った場合の基準排出量算定の特例を設けた。また、削減に利用できる再生可能エネのうち、バイオマスと化石燃料を混焼するものについては制限を設けることや、年間電力使用量が600万kWh以上などのテナントにも削減義務が生じることなどを明確にした。
 利用できる再生可能電力はグリーン電力証書のほか託送による実電力の利用も含まれることにした。
 都は併せて、中小企業者向けの省エネ促進税制の対象設備の用件も決め公表した。減免の対象となるのは、都が指定する省エネ設備や再生可能エネ設備で削減義務の対象外の設備。エアコンやGHPなどの空調設備や小型ボイラー、照明設備、太陽光発電システムなどが対象となる。


電力取引指針を改定 経産省と公取委
 経済産業省と公正取引委員会は電力取引指針を改定し、3月31日付で公表した。
 適正取引WGでの検討結果に沿って改定を行ったもので、託送時に不可避的に発生する余剰電力の買い取りや卸電力取引市場の積極的な活用、変動範囲内インバランス料金の廃止などを盛り込んだ。


洋上プラットフォームにガスタービン電源
 川崎重工業は、海洋の石油・ガス掘削の洋上プラットフォームの電源として設置されるガスタービン発電設備を受注したと発表した。
 日本海洋石油資源開発が新潟市沖合で行っている岩舟沖油ガス田開発の洋上プラットフォームに設置され、ガス昇圧設備の電源として使用される。
 岩舟沖油ガス田は、国内では唯一の海洋油ガス田で、採用されるガスタービン発電設備はガスタービン2基を搭載した2990kWの出力の軽量・コンパクトな発電設備。洋上のプラットフォームという過酷な環境で使用されるため、軽量・小型で高信頼性などのガスタービン発電設備の特長や、9千台以上の豊富なガスタービンの納入実績が評価された。
 運転開始の予定は、11年3月。燃料は天然ガスを使用する。


その他の主な記事
・低炭素電力システム研が論点整理
・省エネ産業拡大へ経産省が報告書
・排出量取引国内統合市場の参加状況
・チェコから排出枠4千万トンを購入
・EV・PHVの普及モデル地区を選定
・CFGが温暖化ガス削減を支援
・日本飛行機が極地研に風力を納入
・羽田空港ビルンにも太陽光
・アルテックがオランダ製太陽電池セルの製造装置を販売
・日清紡がカーボンアロイで白金代替触媒
・日本風力と出光興産が自然エネで協業
・京セラが太陽光を京都府庁舎などに設置
・サッポロビールがブラジルでバイオ水素を製造
・新潟原動機が舶用NOX規制対応エンジンを開発
・積水ハウスが環境対策住宅
・日立がインク工場でESCO
・北海道電力が新エネ事業を強化
・環境省が小水力支援で外郭団体に事業委託
・太陽光補助09年度分の受付を開始
・東邦ガスが中期経営計画、伊勢湾温暖ライン着工など
・東ガス、発電用のLNG調達をニジオに承継
・4月1日、LPガス流通3団体が統合
・NEDO、PEFC技術開発課題でシンポ
・JHFCプロジェクトはガス協会らに
・5月にGT技術フォーラム
・太陽光発電4事業で公募(モジュール標準化、包括太陽電池、雑音、開発動向)
・NEDOの09年度SOFC実証9件決まる
・次世代自動車用蓄電池システムと革新型蓄電池で募集
・地域新エネ・省エネビジョン公募
・バイオマス製品推進協議会4月に総会  etc.

<インタビュー> LPガス会社・トップの戦略
・サイサン 川本社長
 =目指すのはホームエネルギーパートナー=
 LPガス事業を始め、産業用ガス、医療用ガス事業など多彩なガス関連事業を展開するサイサン。傘下には都市ガス事業もおさめている。川本社長は「ホームエネルギーパートナー」を目指しているというが、それは、「お客様第一主義」の視点の先で、顧客が必要とするエネルギーを提供するということを意味している。LPガスを主軸としつつも、多様なソリューションを提供していく、そんな柔軟性を持ったサイサンがさらに目指しているものとは。

<インタビュー・この人に聞きたい>
・足利工業大学学長 牛山 泉 氏
 =CO2削減の中期目標=
 風力発電など再生可能エネルギー研究の第一人者として多くの人が認める牛山泉足利工業大学学長に、低炭素社会に向かう再生可能エネルギーの現状や利用拡大に向けた課題について聞いた。開発ポテンシャルはまだまだあるのに、あまりにも目標が低いため導入が遅れがちな現状や、グリーン・ニューディール政策が世界的に取り組まれ始めようという中で、日本が今後進むべき方向や、迫られている削減中期目標などについて話してもらった。

シリーズ連載
・<新>公共施設の新エネ・省エネモデルプラン 
 高仲日出男/市町村情報ネットワークセンター事務局長
 =第1回 風力発電事業=
 公共施設などを対象に新エネルギーや省エネルギーシステムを導入した場合の経済性やCO2削減効果などを定量的に明らかにしたモデルプランを紹介する。市町村情報ネットワークセンターが刊行したモデルプラン集の中から、病院や自治体庁舎、学校などに様々な新エネ・省エネ設備の導入例を具体的に例示して、実際のプランづくりに役立ててもらう。新連載。


コラム
発電論評<家庭用自家発とエネルギー間競争>
・プリズム<固定価格買い取りとW発電>
・ちょっと一休<3年ぶりの農政クラブOB会>
・青空<メディアの矜持とは>


家庭用自家発とエネルギー間競争【発電論評】

 100年に一度といわれるほどの未曾有の経済危機のまっただ中にいる。こうした中でも、太陽光発電の周辺は新規の市場参加者が相次ぐなどにぎやかさを増している。
 固定価格買い取り制度の導入も決まり、急速に需要が盛り上がろうとしている。新築住宅の70%以上は太陽光発電付の住宅になる見通しだ。
 太陽光発電付の住宅も標準仕様として開発されている。これに燃料電池などの発電設備をつけて「発電する住宅」というのも珍しくなくなっている。
 住宅メーカーとタイアップする形でガス会社や石油会社なども力を入れ始めている。燃料電池やコージェネシステムと組みあわせる「W発電」という用語もずいぶんとなじみ深くなってきた。
 発電機能付き住宅はすなわち自家発電を拡大することにつながる。かつての自家発は、工場などに設置されるというのが一般的なイメージだったが、ディーゼルやガスコージェネなど中小規模のコージェネシステムの開発で、ビルや病院などの業務用施設など、ずいぶんと市場が広がっている。
 発電機能付き住宅の出現は、こうした自家発電を家庭用部門にまで拡大するという意味で、コージェネ産業にとっては新たな市場が獲得できるということにつながる。
 かつてのコージェネレーションの普及にあたっては、電力会社が市場を奪われる存在として、コージェネや自家発の普及を迷惑がり、「エネルギー間競争」という言葉ができたりもした。
 その図式が、家庭用部門にも持ち込まれそうになっている。発電機能付き住宅によって自家発が増えれば家庭部門の電力の販売量は確実に減る。固定価格買い取り制度で導入が増えれば増えるほど、「電力需要量」は減少することになる。電力会社にとっては嬉しいことではないということだ。
 しかし、見方を変えれば一概にそうとも言えない。自家発を導入しても、家庭での電力使用量が減るわけではない。電力会社からの購入電力が減るだけで、どこで誰が発電しているかという発電手段と発電者が変わっているだけだ。
 ガス会社や、石油会社、エネルギーサービス会社などのオンサイト事業者は、「自家発」を「事業用」に転化して事業化する道を探っている。家庭部門は非自由化部門なので電気ではなく発電設備を売っている。
 電力会社はどこで発電した電気でも販売できるので、太陽光や燃料電池で発電した電気をオンサイトエネルギーサービスとして堂々と販売できる。発電機を売るのか、発電した電気を売るのか。「エネルギー間競争」のスタイルで、家庭部門の「自家発」を巡る知恵の出し比べが始まってもいいのではないか。