2009年315日号

グリーン熱証書制度が発足、東京都が太陽熱補助で活用
 日本エネルギー経済研究所は、グリーン熱証書制度の運用を4月1日から開始する。一般家庭などに設置される太陽熱利用設備で発生する熱量をグリーン熱として認証し、グリーン電力証書と同様に譲渡・販売できる仕組みを作る。
 4月1日から運用を開始するグリーン熱証書制度では、とりあえず、太陽熱の利用設備に限定して運用する。熱証書は、太陽熱エネルギーの利用拡大を目指す東京都の働きかけによって創設された。東京都は、太陽光発電に比べて利用設備や制度が整っていない太陽熱エネルギー利用システムの普及拡大を目指して09年度から太陽光と併せて太陽熱についても補助制度の導入を決めており、それに併せて、グリーン電力の認証制度の運用機関となっているエネ研側に熱証書制度の創設を働きかけていた。
 エネ研が創設したグリーン熱証書制度は、そうした背景から当面太陽熱に限定した熱証書制度として運用し、東京都以外の地域にも順次拡大していきたい考え。
 認証の対象となる太陽熱は、集熱器から貯湯槽までの間を強制循環によって熱を輸送する「強制循環式給湯用ソーラーシステム」と、回収した太陽熱を熱源プラントから温水供給し各利用先で給湯や暖房を行う「太陽熱利用セントラルシステム」に限定し、太陽熱エネルギーの発生と消費が確実に計測できることを条件とする。また、熱の利用先としては、自家用設備に加えて熱供給事業などの事業用の熱も含めて認証の対象とする。
 東京都では、09年度から太陽光発電システムと太陽熱温水器・ソーラーシステムの普及を目指してグリーン電力やグリーン熱などの「環境価値」を買い取るという方法で補助制度を開始することにしている。太陽熱に対する東京都の補助は、太陽熱温水器によるものが平方m当たり9千円。グリーン熱証書が発行できるソーラーシステムには3万3千円。グリーン熱証書が発行できないソーラーシステムには1万6500円の補助を行う。


清水建設らがメタンハイドレートの回収に成功、バイカル湖で実験
 清水建設は、メタンハイドレートのガス回収実験に成功したと発表した。
ロシア・バイカル湖の水深400mの湖底表層部に閉じこめられたメタンハイドレートから、独自に開発した技術でメタンガスを解離・回収した。科学技術振興機構の委託事業としてロシア化学アカデミー陸水研究所と、北見工業大学、北海道大学と共同で実施した。
 日本近海に大量に賦存していることが確認されているメタンハイドレートは、石油に変わる次世代の国産エネルギーとして関心が高まっている。現在、国のプロジェクトも別途進行中で、10年計画で熊野灘沖などの深海底のメタンハイドレートの回収技術を確立し、商業化を目指している。
 今回の清水建設らの実証試験はそれとは異なるもので、湖底や海底の表層に閉じこめられているメタンハイドレートを対象にした。日本近海でもオホーツク海や日本海の表層部で存在が確認されている。
 国のプロジェクトで取り組まれている海底などの深層部からの回収技術は、加熱や減圧などの方法によって、温度や圧力条件を僅かに変化させ、ガスを解離・回収する方法で開発が進められている。しかし、表層にあるメタンハイドレートは、深層メタンハイドレートよりも解離・ガス化することが困難とされていた。
 清水建設らが開発した方法は、湖底に存在するメタンハイドレートを、チャンバーと呼ばれる鋼鉄製の茶筒状の反応容器内でメタンハイドレートと水を撹拌し、水に溶かした状態でポンプで湖上まで運搬する過程で、海水圧の低下によって水とガスが自然に分離し、ガスとして回収できるというシンプルな方法。
 メタンハイドレートの温度や圧力を変化させることなくガスを分離・回収できるのが特徴で、ガスの解離はチャンバー内でのみ行われるので、外部ではメタンガスは発生しない。
 清水建設では、表層メタンハイドレートからガスの解離・回収に成功したのは世界で初めてで、今後は表層資源の調査やプラント機器の改良などを進めて行くことにしている。熊野灘沖などの膨大なメタンハイドレートに加え、海底表層部のメタンハイドレートの開発が並行して進められれば、開発可能なメタンハイドレートの資源量が増すことになり、回収技術の実用化開発が期待されるところ。
 実験は、国際共同研究として05年から開始、バイカル湖底のメタンハイドレートの物性調査や有人潜水艇による潜水調査などの事前調査の後、ロシア科学アカデミー所有の調査船で10日間の実験を実施。約100分間撹拌し、ガスの解離・回収を行った。回収ガスは、メタンハイドレートの解離ガスとほぼ同一のメタンやエタンなどの炭化水素ガスが約90%の組成であることを確認した。


ホンダが家庭用ガスコージェネをドイツで販売へ
 ホンダは、ドイツの暖房・給湯器メーカーであるバイランド社と共同で、欧州市場向けに家庭用の小型ガスエンジンコージェネレーションシステムの開発を行うことで基本合意したと発表した。
 ホンダがコージェネレーションユニットを、バイランド社が暖房・給湯ユニットをそれぞれ開発し、両者のユニットを組みあわせる形でコージェネシステムを構成する。
 ホンダは、日本国内でガス事業者などが販売しているエコウィル用のコージェネユニットを製造し03年の販売開始以来既に8万台以上の納入実績がある。07年からは米国でも共同開発の形で販売を開始している。バイランド社との共同開発では、まずドイツ国内で販売を開始する。
 現在ドイツでは、今年1月から新コージェネ法を施行し、コージェネシステムの普及に向けた取組を強めており、コージェネによる発電量を現状の12%から20年までに25%にまで高める目標を掲げている。
 コージェネ導入に際しては国の補助制度があるほか、導入後は電気税の免税やエネルギー会社による電力の買い取り制度などの支援措置、さらに、燃料となるガスはエネルギー税の対象外になるなど、様々な優遇措置が設けられている。ホンダでは、こうした手厚い政策を背景に、今後、急激に家庭用のコージェネシステムの普及が期待されるところから、ドイツを始め、欧州市場向けに家庭用コージェネの共同開発に踏み切った。


「高度利用法案」今国会へ、代エネ法も「非化石法」に
 経済産業省は、再生可能エネルギーの利用拡大と化石エネルギーの高度利用を目的にした新法と代エネ法の改正案を取りまとめ公表した。今国会へ提出し成立を目指す。
 高度利用新法は「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用に関する法律案」で、電力会社や熱供給会社、石油・ガス会社などのエネルギー供給事業者に再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーの利用拡大と化石燃料の有効利用を義務づける。エネルギー事業者が講ずるべき措置について国が基本方針を策定し、事業者側に利用計画の作成を義務づける。取り組みの状況が不十分な場合は必要な措置をとるよう勧告または命令する。電気事業者に対する太陽光発電の余剰電力の固定価格での買い取り義務も盛り込む。
 また、同時に石油代替エネルギー法も改正し、「非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」に改め、法に基づく支援対象を再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーに限定するとともに、NEDOの業務範囲についても石油代替エネルギーから非化石エネルギーへと変更する。


日石が「創エネハウス」を建設、カーボンフリー生活を実証
 新日本石油は、住宅用総合エネルギーシステムの実証試験を行う拠点として「創エネハウス」を横浜市に建設した。
 高断熱・高気密な性能の住宅に、太陽光熱利用や空気循環などによる空調負荷の低減や、家庭用燃料電池の「エネファーム」、太陽光発電、蓄電池などの最新のエネルギーシステムを全て設置している。モデル住宅として使用し、一般住宅において実質的なカーボンフリー生活が達成可能かどうか実証する。
 実証試験のデータをもとに、2010年度の商品化を目指している。


その他の主な記事
・新エネ部会で太陽光の買い取り価格を議論
・NEFがSOFCとPEFCで成果報告会
・新エネ部会で太陽光の買い取り価格を議論
・日本とEUでエネルギーワークショップを開催
・地熱拡大へ温泉発電などの課題を整理
・つくばで次世代エネルギーツアーを実施
・東京ガスが天然ガス自動車向けを値下げ
・NTTファらがIT機器のバックアップ用に大型リチウム電池を開発
・シャープがフレキシブルな太陽光システムを発売
・三菱商事がスペインで太陽光事業に参画
・富士経済が2次電池市場を調査
・ネクストエナジー、再利用トナー製造用にG電力証書を販売
・コクヨ、企業のエコ対策支援ソリューション事業を開始
・地域新エネ支援は新年度から新エネ協議会で実施
・12月のRPS認定設備状況
・クリーンディーゼルで報告会を開催
・エコライフ・フェア09、出展社の募集を開始
・JVETS(自主参加型国内排出量取引制度)でシンポ
・循環型地域社会づくりで3月17日にシンポ
・エコ・アクション・ポイントシンポは3月26日
・コージェネセンターが第7回優良コージェネ表彰式    etc.

<インタビュー>地方ガス会社・トップの戦略
・筑波学園ガス 島 修 社長
 =地域密着の都市ガス会社=
 つくばエクスプレス(TX)の開通によって沿線開発が活発に進められている。「つくば市」と「つくばみらい市」を供給エリアに抱える筑波学園ガスにとって、新しい沿線住民を需要家に獲得していくことが重要な経営課題となっている。つくば市は昨年、「環境モデル都市」に応募するなど、低炭素社会に向けた環境都市づくりの姿勢を明確にしている。低炭素社会実現に貢献する地域に密着した都市ガス会社として、筑波学園ガスのへの期待も高まる一方だ。


燃料電池新聞の主な記事
・カナダの燃料電池開発メーカーの現状
 第5回国際水素・燃料電池展」に合わせて来日したカナダのバラード・パワー・システムズ社の技術担当役員クリス・ガジー氏と、ダイムラーとフォードが共同出資して燃料電池車の開発を進めているオートモーティブフュエルセルコーポーレション(AFCC)社(バンクーバー市)のCEO(最高経営責任者)アンドレアス・トラケンブロート氏に、燃料電池開発で世界の最先端を競う、カナダの燃料電池開発の現状を聞いた。
・FCEXPO2009レポート
 燃料電池車に関するメーカーの開発状況(トヨタ自動車・フォード・フォルクスワーゲン)
・海外ニュース
 -独ダイムラーが09年夏に燃料電池車の限定リース販売を開始
 -英セレスパワー社がLPガス燃料電池を開発、12年には2万台
 -英エーカル・エナジーが高出力のPEFCを開発
 -米デイトン大がカーボンナノチューブを白金代替触媒に
 -米ノースウエスタン大が水素を高効率で取り出す分離膜を開発
 -中国財務省が燃料電池車などの環境対応車に助成金
 -豪セラミック社がSOFCコージェネ、発電効率60%達成
 -中国の奇端汽車が自社開発の電気自動車を1年以内に商品化
 -英ノッティンガム大らが最大10重量%の水素を吸蔵できるMOFを開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -東京ガスがグループ中期計画(09〜13年度)策定  -日清紡が白金代替触媒のサンプル出荷を開始
 -東京農工大で燃料電池向け非白金系触媒を開発
 -フジクラが出力密度5倍のDMFCを開発
 -北九州市で水素タウン実証を開始
 -大日本印刷が水素選択透過膜を新開発
 -産総研が高効率SOFCマイクロ燃料電池モジュール
 -VW社が電気自動車のシステム開発で提携
 -東工大でバイオ燃料電池、電流値を6倍に高めることに成功
 -東京理科大がマンガン・チタン酸化物でナノシート
 -JAEAらが微生物による白金族ナノ粒子触媒を開発
 -東京ガスがエネファームを小型化、コスト半減に成功
 -オルガノが家庭用燃料電池システム用の水処理装置を開発
 -高砂熱学と産総研がリバーシブル燃料電池を開発
 -日立製作所が英国CPIとDMFC事業化に向け協業
 -JSRが炭化水素系電解質膜の量産設備稼働
 -東洋製罐とバイオ技研が水酸化マグネシウム利用の水素発生装置を開発
 -出光興産がバイオ燃料から水素を取りだす改質装置を開発
 -日産自動車が新スタック車で走行実験を開始  etc.

シリーズ連載
・世界を読む(8)<EUの原子力回帰とエネルギーの脱ロシア化>
・<新>カーボン・マネジメント入門H
 「「環境価値」の会計・税務処理の問題点」
 大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長
・インサイト<分散型実務の話題>(省エネルギー技術開発戦略A)

コラム
・発電論評<「環境電力」流通に託送補助制度を>
・プリズム<大阪ガスを追う東京ガスの家庭用戦略>
・ちょっと一休<ユーモアのあるノーベル賞学者>
・青空<中国の積極インフラ投資>


「環境電力」流通に託送補助制度を【発電論評】

 太陽光発電による電力の固定価格買い取り制度の導入されることになった。50円程度で電力会社が約10年間余剰電力を買い取ることによって他の支援措置と合わせて、15年程度でコスト回収が行えるようにするという。
 目玉政策として話題を集めているが、一方で、太陽光と同様の手厚い支援を他の新エネルギーにも拡げるべきという声も聞かれる。
 また、買い取り制度は、従来型の支援措置がもっぱら導入時のイニシャルコストの緩和に重点が置かれていたのに対して、10年間という長期間のランニングに対して支援するということに注目したい。
 例えば、太陽光や風力、地熱などは燃料費がかからないが、再生可能エネルギーの中でもバイオマスの場合は、火力発電と同様に、ライフサイクルの中で占める燃料コストの割合が極めて大きい。また、今後、水素社会を見据えて普及が目指される燃料電池にしても、システム価格とともに燃料となる水素のコストも問題となる。
 今回の、太陽光に対する固定価格買い取り制度が、こうした観点から、ランニングコストに対する補助制度の先駆けとして他のエネルギーシステムへの拡大につながることは期待できないだろうか。
 ランニングコストに対して効果がある支援措置として、余剰電力の買い取り義務ではなくて、託送料金の一部補助ということも考えられる。電力の託送料金の、例えば半額を補助できれば、バイオマス発電などの余剰電力を託送し販売しやすくなる。バイオマス発電の電力が、都市の「環境電力」として受け入れられれば、地方でのバイオマス開発を活性化させる拠り所ともなろう。燃料費の高騰で、競争力にかげりが見られるPPS対策にもなりそうだ。
 さらに、託送補助の対象にエネルギーの利用効率の高いものという条件を付ければ、コージェネレーション普及の後押しもできる。コージェネが増えれば、国全体でのエネルギー利用効率が向上し、併せてCO2削減効果も期待できることになる。
 再生可能エネルギーやコージェネレーションなどの環境負荷の低い電源設備は、風力など一部の発電事業用の設備を除けばその大半が自家発として設置されている。しかしながら自家発余剰電力を有効に流通させる仕組みが整っていないために、自家発の多くは余剰電力を発生させないように設計されている。
 この際、「環境電力」を流通させるという観点から、自家発の余剰電力を流通させる有効な手段として託送コストに注目し、料金補助制度を導入し、電力会社にコスト的な負担を生じさせることなく、PPSなどが「環境電力」を利用しやすく道を拡げるという方向も、検討してみるに値するといえるのではないか。