2009年35日号

太陽光電力の固定価格買い取り制度を導入
 二階俊博経済産業大臣は、2月24日の記者会見で、太陽光発電設備からの固定価格買い取り制度を導入することを表明した。太陽光発電の自家消費分を除いた余剰電力を現行のほぼ2倍の1kWh当たり50円程度の価格で買い取ることを電力会社に義務づける。
 現状の買い取り制度は、電力会社が自主制度として実施しているもので、販売している電力料金と同額の平均24円程度で余剰電力を買い取っている。これを、法的措置を伴う買い取り制度として電力会社に義務づける。買い取り価格は太陽光発電による現状の発電コストといわれている40円〜50円を目安として50円程度とする。今国会に提出を予定している「エネルギー供給構造高度化法案」の中で規定を整備する。
 今後3年から5年の間に導入される太陽光発電に対して約10年間程度の買い取りを義務づけ、太陽光発電システムの販売価格の引き下げ状況を見て、毎年度の買い取り価格を見直していく。
 余剰電力の買い取りによって生じる電力会社のコスト上昇分については電気料金に上乗せして回収できるようにする。これによって増える電気料金は月額で数十円から100円以内となるように買い取り価格を調整する考えで、買い取りの対象は、家庭用や公共施設などの余剰電力で、業務用や産業用、事業用などの設備は対象外とする。
 この買い取り制度とは別に現行のRPS制度も維持していくことにしているが、こうした助成制度の充実によって太陽光発電の大量導入が想定されることから、RPS法の導入義務量については見直しを行っていく。


FCEXPO、PVEXPOに6万人超える入場者
 国内で開催される燃料電池の総合展示会である第5回国際水素・燃料電池展が、2月25日から27日までの3日間、東京・ビッグサイトを会場に開催された。昨年度と同様に太陽電池展も併催され燃料電池展を上回る入場者があった。
 5回目を迎えた燃料電池展には、国内外15カ国から新規出展100社を含む473社が出展、システムから部材まで幅広い分野で最新技術や製品が一堂に集まった。展示のほかにも出展各社による技術セミナーや国内外のマーケットの最新動向や技術開発動向、政策などをテーマにした講演や招待講演などが連日行われ多くの入場者を集めた。主催者のまとめによると、燃料電池展への入場者は2万6千人を超え、5年連続で入場者が前年度を上回った。会場では、燃料電池自動車の試乗会も行われ、来場者の人気を集めていた。
燃料電池展との併催となった国際太陽電池展も来場者が燃料電池展を大幅に上回る3万7千人となるなど、世界22カ国から452社が出展し、太陽光発電に関するあらゆる技術や部品・材料・装置が一堂に集まる国際展示会となった。
 また、別会場で2次電池フェアも開催され、自動車用やモバイル用などとして急速に市場を獲得しているリチウムイオン電池などの多彩な展示が行われた。


産総研が金属リチウムと空気で「新型燃料電池」開発と発表
 産総研は、エネルギー密度が高く大容量でコンパクト化が図れる新しい構造の「リチウム空気電池」の開発に成功したと発表した。
 有機電解液と水性電解液を組みあわせることで金属リチウムと空気によって発電や放電が行える。金属リチウムをカセットなどで補給すれば新型のリチウム燃料電池としても使える。
 リチウムイオン電池よりエネルギー密度が高く、大容量化が必要とされる自動車用などの電源として利用が期待できる。
 開発した電池は、負極(金属リチウム)側に有機電解液を正極(空気)側に水性電解液を使用し、両者をリチウムイオンだけが通れる固体電解質で仕切り、両方の電解液の混合を防ぐことで電池反応(発電)を起こす。正極側で固体生成物が発生しないため、リチウム空気電池の欠点とされていた固体生成物の蓄積による電解液と空気の接触が遮断されるという欠陥が克服できた。
 正極側で生成される水酸化リチウムは充電することで負極側で金属リチウムに戻り、繰り返しの充放電が可能となる。
 正極側では空気中の酸素を活物質として利用するため理論的には正極の容量が無限となり大容量の電池が実現できる。
 自動車専用のスタンドなどで、正極側の水性電解液を入れ替え、負極側の金属リチウムをカセット方式などで補給すれば、充電の待ち時間無く、発電しながら走行する燃料電池自動車として利用できる。使用済みの水性電解液は電気的に金属リチウムの再生ができるため繰り返しの利用が可能となる。


季時別排出係数の導入には否定的な見解
 新エネの導入拡大など電力供給システムの低炭素化の課題などについて検討を行っている低炭素電力供給システムに関する研究会(山地憲治座長)が、先月開いた第5回の会合で季時別の電力のCO2排出係数の導入について否定的な見解をまとめた。
 季時別の排出係数の導入については昨年度の規制改革に対する3カ年計画などで導入の可否について検討することが求められていた。同日の研究会では、昼間と夜間の排出係数は年間を通じて平均すると余り差がないこと、需要家からも要望が少ないこと、季時別の導入によって予想される夜間シフトの量は限定的であること、導入によって需要把握のためのコストが発生することなどの理由を挙げ、「当面導入することは困難」との見解をまとめた。


その他の主な記事
・新エネ部会を開催説明
・温室ガス算定方法を改定
・中国・サンテックパワーが日本で太陽電池を販売
・東北電力もメガソーラーを建設
・OKIパワーテックが太陽光向けパワコンを開発
・東京エレクトロンが太陽電池製造装置を販売
・SSKセミナー、2月27日にグリーン電力で開催
・燃料電池市場調査レポートをまとめ 富士経済
・LPG国際セミナー2009開く
・再生可能エネ世界フェア2009、6月に開催
・アジア・バイオマス事業で報告会
・市民出資・市民金融でシンポ
・中心市街地活性化シンポを開催
・電設工業会のJECAMECが300万アクセス突破
・バイオマスタウン構想、新たに9市町村決まる
・次世代自動車促進でシンポ
・日立と英CPI、DMFC事業化へ提携
・排出権シンポを開催  etc.

<インタビュー>地方ガス会社・トップの戦略
・千葉ガス 松永一郎社長
 =新時代を開く経営=
 事業規模が決して大きくはない地方都市ガス会社には、それゆえに地域に密着した経営ができる強みがある。また社員がビジョンを共有し、一体感を持った経営も行いやすい。千葉ガスの供給区域は、千葉県の成田市、佐倉市、八千代市、千葉市、四街道市などの一部。成田国際空港にも都市ガスを供給している。地方都市ガス会社の強みを活かした経営戦略を通じて、この地域にガスの温もりを供給している千葉ガスの新時代を目指した経営戦略とは。

シリーズ連載
・コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 最終回 コージェネレーションシステムの普及啓発
・プラントメンテナンスの現在<シリーズ企画その4>
 現場・保全業務の見える化の効用


コラム
発電論評<固定価格買い取り制度と料金メニューの考え方>
・プリズム<身近になった「電池3兄弟」>
・ちょっと一休<原子力を使う高温ガス炉を見学>
・青空<春3月、企業の前進>


固定価格買い取り制度と料金メニューの考え方【発電論評】

 太陽光発電電力の固定価格買い取り制度の導入があっさりと決まった。審議会などでの通常の検討手続きも省かれ、大臣発表というトップダウンで決められた。今国会に提出される「高度利用法案」に必要な規定が盛り込まれることになる。
 家庭用や学校などの公共施設に設置された太陽光発電の自家消費分を除いた余剰電力を、発電コストとほぼ見合う1kWあたり50円程度で買い取ることを連系する電力会社に義務づけるというものだ。電力会社はそれによるコストアップ分は料金に上乗せして回収することになる。
 義務づけというと電力会社にとっては負担が増すように思えるが、料金に上乗せする回収手段まで法令で規定されるので実質的な負担はなくなるばかりか、これまで自主制度だった余剰電力の買い取り制度が公的制度になることによるメリットも期待できることになる。
 さて、高額の固定価格買い取り制度の導入の意味は、太陽光発電の普及の追い風になるという要素の他にも、新エネ導入のコストを外出しにして、新エネ料金という別のコスト負担の仕組みを作り出したという意味がある。今回は太陽光に限定された措置であるが、早速、風力やバイオマスなど他の再生可能エネルギーや燃料電池など、CO2削減効果が期待できるもののコストの壁で導入が今一歩進まないものにも適用を期待する声が高まってくるのは必定だろう。さらに、余剰電力だけでなく発電電力の全量買い取りを求める声も既に一部で出始めている。
 こうした声に応えていくためには、コスト負担の仕組みをさらに進化させる必要がある。太陽光で月額100円、風力でさらに100円と際限なく電気料金を積み上げていくことは相当大きな抵抗が考えられるからである。
 コスト負担を一律の料金で回収するという現在の方式ではなく、発電種別ごとに太陽光の料金、風力の料金といったように個別の料金設定を行い、高くても再生可能エネルギーを使いたいという需要家の選択肢を拡大するという方向で検討してみるのも一考に値するのではないか。
 単独ではなく、太陽光と風力のミックスや、太陽光と原子力、風力と火力、あるいは全電源ミックスなど多様な電源ミックス電力を用意して、それぞれに料金の付けて需要家が選択できるようにし、結果的に需要家の選択によって環境負荷の少ない電源構成が実現していくという方向を探っていくということも考えてみるのもよさそうだ。
 太陽光からの購入電力を特定して、料金設定ができるのであるから他の電源でも同様の措置がとれるはずなので、料金も含めて需要家が購入する電源を選べるというメニュー設定も考えられてもいいのではないか。