2009年225日号

三菱大型ガスエンジン「MACH」に新機種を追加
 三菱重工業は、大型ガスエンジンのシリーズに新たに「MACHU−SI」を開発、実証運転を始めた。
 新開発したU−SIは、火花点火方式を採用し、点火時の補助燃料の使用をなくしガス燃料だけの運転を可能にした。また、従来シリーズからさらなる高効率化を目指し、発電時の排熱回収も含めた総合熱効率は66.1%とさらに高効率化を進めた。出力レンジは3650kW〜5750kW。高効率化の対策は排熱利用を中心に進め、排熱を蒸気回収することを可能にしたほか、起動から100%負荷に達するまでの時間を半減させ、負荷追従性も向上させた。また、発電効率を高めるため、NEDOと日本ガス協会との共同開発事業として取り組んだ「超高効率天然ガスエンジン・コンバインドシステム技術開発」の成果を反映させた。
 実証運転は、横浜製作所内で既に始動性能、制御性などの確認試験は終えており、今後は耐久性や信頼性の確立に向けた最終検証を行っていく。
 三菱重工の大型ガスエンジンシリーズである「MACH」は01年の開発以来150台を超える納入実績がある。さらに高効率化を図った新シリーズを加えたことで、CO2削減を目的とした燃料転換によるガスエンジ発電市場を主な販売先として国内外での市場拡大を目指していく。


固定買い取り価格も含め、新エネ拡大加速化をあらためて議論
 総合資源エネルギー調査会・新エネルギー部会(柏木孝夫部会長)が、新エネルギー導入のさらなる加速化へ向けて議論を再開した。
 現在政府部内で検討が進められているポスト京都に向けた日本の中期削減目標の議論が進む中で、CO2削減をさらに網一歩進めるために新エネルギーの利用拡大を求める声が高まってきている。新エネ部会での議論はこうしたことを背景にさらにもう一段の新エネの導入拡大に向けて議論を深める。
 具体的には、現在の新エネ拡大の主要政策の一つであるRPS法についても、固定価格買い取り制度との比較などもおこないながら、導入拡大策について新たに検討を進めることや、新エネ拡大の最大の阻害要因とされている導入コストの負担のあり方、仕組み作りなどの具体策について踏み込んだ検討が行われる。
 また、世界同時不況の進展が危惧される中で、太陽光やバイオマスなどの新エネルギー産業を育成し、日本の先端的な新エネルギー技術を次世代の主要産業に育てていくための方策などについても検討課題として取り上げる。
 13日に開いた会合では、今後の論点として、@RPS制度を中心とした現状の再生可能エネ導入促進策の評価ARPS制度や固定価格買い取り制度の国際的な評価B新エネ拡大にあたってのコスト負担の方法C産業・社会システムの観点からの拡大策の4項目をあげ、議論を進めた。


電力の適正取引指針の改定案まとまる
 電力取引の指針の改定案がまとまった。2月16日に開かれた適正取引ワーキンググループで改定案の取りまとめを行い、卸電力取引の活性化、市場監視機能の強化、取引所に拠らない電力会社間の全国融通の価格の公表、託送に伴う余剰電力の買い取り、電力種別ごとの託送料金の公平性の担保などについて一部見直し改定を行った。
 託送に伴う余剰電力の問題は、PPSなどが30分同時同量を達成するために、不可避的に発生してしまう余剰電力が現在系統に吸収される形となっているものを、買い取りの対象とし、料金設定を行うことを電力会社に促すことや、高圧や特別高圧などの電力種別ごとに設定されている託送料金についても、より具体的な算定根拠などの説明資料の公表を促すことなどの手直しを行うことにした。


低温作動のSOFC、産総研が開発に成功
 産総研は、450度C〜550度Cの低温領域で動作する、高効率の固体酸化物型(SOFC)のマイクロ燃料電池の開発に成功したと発表した。
 小型チューブ型の1立方cmクラスのSOFCモジュールで、2W/立法cmの電力密度で発電できることを確認した。スタックの重量は僅か2g程度で、モジュールを積層することで数十Wクラスまでシステム構築が可能になり、ポータブル電源への応用が期待できる。
 開発したのは、産総研の先進製造プロセス研究部門で、日本特殊陶業の協力を受けた。
 SOFCは燃料電池の中でも発電効率が高く固体材料で構成できることや炭化水素系燃料の使用もできるなど優れた特徴があるが、動作温度が800度C〜900度Cと高いことから小型化や耐熱構造・材料などが実用化への課題とされている。
 500度C前後の低温域で動作するSOFCが可能となれば、小型化や軽量化が可能になり、実用化で先行しているPEFCの欠点をカバーする次世代型の燃料電池として期待が集まる。


その他の主な記事
・太陽光補助申請1カ月で8千件超える
・産業用大口電力が大幅減
・CCS実証へ2WGで安全基準を検討
・RPS電力量とRPS取引価格を公表
・東京スカイツリー地区の地冷が事業認可
・東ガス、次世代FC向け燃料処理装置開発
・エアウォーターがキャパシタ用部材で合弁
・日新電機が大規模太陽光向けパワコン
・三洋電機が太陽光事業を拡大
・京セラが中国で太陽電池を増産へ
・産総研がバイオマス製造ベンチプラントを稼働
・三菱電機が家庭の電力消費を見える化
・三菱電機が多結晶シリコン太陽電池で18.9%の変換効率
・シーバランスが木質チップで削減枠を回収
・IGESが排出枠で講演会
・エネルギー講演会2月27日に
・ヒートアイランド対策と持続可能社会シンポ開催
・PEFC実用化とポリマー電解質膜委託先決まる
・J−VER制度モデル事業で報告会
・循環型地域支援事業を公募
・1人1日1kgCO2削減にサイサンが協賛
・国内排出量取引5期の公募説明会を開催
・Gエネルギー利用拡大セミナーin大阪
・京都議定書発効4周年記念イベントを開催  etc.
・インタビュー
 「太陽光中心に新エネビジネスを展開する」=明電舎 松崎庸一電力・産業営業部長
 国策として2020年に10倍、30年には40倍にまで拡大することが目指される太陽光発電。電力会社も20年までに全国の約30カ所で、約14万kWに上る大型太陽光発電所(メガソーラー)の建設構想を打ち出している。こうした需要を狙い、大手重電メーカーが次々とメガソーラー市場へ参入を表明する中、いち早く市場開拓に着手していた明電舎の太陽光発電を中心とした新エネルギー市場でのビジネス展開を聞いた。

シリーズ連載
・<新>カーボン・マネジメント入門G
 「日本の太陽光は世界一を奪還できるのか」
 大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長
・エネルギーと世界経済の潮流C
 =温暖化防止に天然ガスの重要性=
 寄稿:岩間剛一和光大学経済経営学部教授
・新刊紹介:「よくわかる電力取引入門」<エネルギーフォーラム社>


コラム
・発電論評<太陽光でもオンサイト発電サービスを>
・プリズム<脱化石の流れの中のガスコージェネ>
・ちょっと一休<定年オヤジの海外武者修行>
・青空<追い風が吹きつつある公共投資だが>


太陽光でもオンサイト発電サービスを【発電論評】

 復活した住宅用太陽光発電設備の補助申請が募集から1ヶ月間で8千件を超えたという。09年度分と合わせて12万件分の予算措置が講ぜられているということなので、まずまず、計画通りともいうべき滑り出しのようだ。
 太陽光発電設備の大量導入の目的は、いうまでもなく地球温暖化対策だ。その一つの有力な手段として太陽光などの再生可能エネルギーの利用拡大が位置づけられているという訳だが、その導入拡大の壁となっているのが導入コストの問題である。このコスト問題を解決するために、コストを見える化し電気料金に上乗せする方法が検討され始めている。これは、電気料金の引き上げを受け入れざるを得ないという点で需要家版のRPS制度といえなくもない。一方的に電気料金だけが引き上げられたという印象を持たれない工夫が必要だ。
 現在、家庭用の太陽光発電は、電力会社が供給している電力料金と同額で余剰電力を購入している。電力会社にとっては管理コストや系統使用コストの回収もできない訳で、住宅用太陽光が増えれば増えるほど、現状の余剰電力買い取り制度が重荷になってくるという構造になっている。
 さらに、住宅用の太陽光は自家発として設置されているというのも電力会社にとっては歓迎できないことの一つだろう。自家発電が増えれば増えるほど電力の販売量は減ることになるからだ。かつて、ディーゼル発電が自家発として拡大していたのと同じ図式が家庭用の分野で補助金付きで起きつつあるといえる図式だ。
 現在、家庭用は自由化の対象外で、電力会社にとっては総括原価主義に守られた貴重な収益分野だといえるのだが、ここが自家発の拡大によって販売量が減少することは大きな痛手だろう。逆に、自家発側にとっては、これから拡大が期待できる貴重な市場だということがいえる。燃料電池やガスコージェネなど、もっと積極的な自家発手段も充実してきており、エネルギー間競争の活発な市場としても注目される。
 非自由化の貴重な市場を守るには、電力会社も積極的に自家発市場を取り込んでいく姿勢を見せることが必要なのではないか。
 例えば、余剰電力を買い取るのではなくて、ディーゼルオンサイトサービスの方式を踏襲して、設備を売るのではなく電力会社側が設置して、その使用量や電気料金としてコストを回収する。その場合の料金は従前の電気料金より割安な料金とすれば、太陽光発電の設置は拡大できるし、電力会社にとっても市場を失うことを阻止できる。新エネ設備を、厄介者扱いするのではなくて、新たな供給システムとして電力会社側も積極的に活用策を考えていくという発想の転換が求められているのではないか。