2009年25日号

エネファーム販売開始で普及に向けセレモニー
 東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス、新日本石油、アストモスエネルギーの6社は1月28日、5月以降、本格販売が開始される1kW級家庭用燃料電池「エネファーム」の普及に向けた共同宣言セレモニーを開催した。
 エネファームは家庭からのCO2排出量を大幅に削減できることから、民生部門における温暖化対策の切り札として期待されている。6社を代表してあいさつした鳥原光憲・東京ガス社長は「家庭で『1日1人1kg』のCO2削減につながるシステムがエネファームだ。エネファームが全国で認知され、多くの方に利用されるよう一致団結して全力で普及に取り組んでいく」と語った。
 また『エネファームで環境立国ニッポンへ』を共同メッセージとして掲げ各社長が共同宣言に署名。共同メッセージには「エネファームが低炭素社会を実現する柱として普及し、日本が環境立国として世界をリードする存在となることへの思いを込めた」。
 東ガスと東邦ガスはパナソニック製と荏原バラード製、大ガスは東芝燃料電池システム製とENEOSセルテック製のそれぞれ2機種、西部ガスはパナソニック製1機種という都市ガス13Aを燃料とする燃料電池を、新日石はセルテック製、アストモスは東芝燃料電池製のLPガス燃料のものを投入する。
 各社が発表した価格は、新日石の320万円(税込み)から東ガスや東邦ガスなどの346万5千円(同)までの間。「現状価格では家庭での負担が大きいので導入費用の2分の1(上限140万円)を補助していく。そのため総額61億円の予算措置」が講じられているほか、都市ガス各社は、従来と比べてガス料金と電気料金の合計額が、年間で5万〜6万円程度割安になるエネファーム向け料金メニューを設ける。
 販売開始初年度にあたる09年度は、新日石の2千台、東ガスの1500台など6社合わせて4千〜5千台の普及を見込んでおり「15年度に累計で75万台、30年には250万台規模に拡大する」ことを想定している。
 エネファームは自宅で発電し、その際に発生する熱をお湯として利用することで1次エネルギー利用効率は70〜80%。また、1世帯あたり年間1.2トンのCO2削減が可能となり、250万世帯に普及した場合、年間で300万トンのCO2が削減できる。


川崎重工の大型ガスエンジンシステムの実証試験を終了
 川崎重工業が上越市で行っていた、大型ガスエンジン発電設備の実証運転が完了した。
 07年12月末から1年間、上越エネルギーサービスの事業場内に、川崎重工が開発した高効率ガスエンジンを搭載した7800kWの発電設備を設置し、毎日起動停止を行うDSS運転で実証運転を行ってきた。燃料には天然ガスを使い、年間の累計運転時間は4千時間。搭載したガスエンジンは、世界最高の発電効率48.5%を誇るグリーンガスエンジンで、160ppm(02=0%換算)という低NOXも実現している経済性・環境性に優れた画期的なガスエンジン。
 1年間の実証運転の結果、安定した運転ができることや発電効率、環境性能、整備間隔などの想定していたメンテナンス性、信頼性などが確認できたとしている。実証運転では、系統連系を行うとともに、季節や毎日の負荷変動の中でも世界最高の発電効率や低NOX運転が安定して実現できることも確認。従来のガスエンジンとの比較でも、燃料費が5%以上削減できること、また、国内のほとんどの地区で排ガス対策のための脱硝装置が不用な水準であるなどのデータが得られた。
 実証設備は試験終了後も現地で系統連系運転を続け、デモプラントとして、今後も活用されることになっている。
 川崎重工では、「グリーンガスエンジンシリーズ」として同機を始め、シリンダ数12〜16までの4機種を開発済みで、発電出力5千kW級から7800kW級までのグリーン発電設備として、低炭素化が求められるエネルギー供給システムとして国内外での販売活動を展開していく。


メタンハイドレートなど海洋資源開発で基本計画案
 経産省は、1月29日、海洋資源開発の基本計画案を検討している石油分科会で、基本計画案のとりまとめを行った。海洋基本法に基づいて20年度中の策定を目指しているもので、石油分科会では、日本経済水域内のメタンハイドレートと石油・天然ガスの開発計画案を検討した。
 開発計画では、現在未整備の海洋資源開発について、賦存状況の調査・確認や技術開発計画などをまとめ、現在国が進めている開発プロジェクトを開発に向けて強化する形で見直した。
 メタンハイドレートについては、今後約10年程度で開発計画を確立することを目標に、先頃まとめた国のプロジェクトに沿って技術開発を行う。
 また、石油・天然ガス開発については、日本近海の賦存量調査など基礎的な調査が未整備であり、調査データの蓄積から始める。
 メタンハイドレートの開発計画は、第2フェーズに入る国の開発プロジェクトを継続し、09年度から15年度までの7年間で米国などと共同して陸上産出試験や海洋産出試験を実施、その後の3年間で残された技術課題や、経済性評価、環境影響評価など、商業化に向けた技術の整備を進める。10年間で見込まれる予算総額は約800億円で、米国など諸外国との共同開発とすることで、技術交流やコストの分担などを図りながら開発計画を進める方針とした。
 石油・天然ガスの開発計画は、日本の経済水域内の埋蔵量調査などの基礎物理探査やボーリング調査を行い資源量の調査を進めることなどが主な内容。
 基本計画案は、2月にパブコメを実施、年度内に政府の正式な開発計画として取りまとめる。


太陽光付き住宅普及へ報告書、非常用電源としても活用
 経済産業省は、太陽光発電付住宅の普及に向けた「報告書」をまとめ公表した。太陽電池メーカーや住宅メーカーと経済産業省、国土交通省の関連部門で構成する懇談会を設置して、普及に向けた課題や対策について整理した。
 普及について必要な事項としては、ユーザーニーズにマッチしたシステム開発、コストやメンテナンス対策としての標準化の推進や施工ガイドラインの策定。集合住宅や低層賃貸住宅への設置拡大への取り組み、自立運転による非常用電源としての活用、リユースやリサイクルの拡大・活用、グリーン電力証書の活用を可能にするビジネスモデルの検討など幅広い観点から課題を5項目に整理した。
 普及の遅れている集合住宅向けの対策としては、開発を行う中小のディベロッパー向けに補助要件を緩和した事業者支援対策費補助制度の活用をあげた。また、リユース・リサイクルの拡大に向け、効率的なリサイクル・リユースを可能にするモジュール開発やレンタルやリースなどの仕組み作りの必要性などを指摘している。電力会社による「余剰電力の買い取り」については、中長期的に継続が補償されるような検討を電力会社に求めることなども盛り込んだ。


東京電力が甲府に1万kWのメガソーラー
 東京電力は出力1万kWの太陽光発電所を甲府市に建設すると発表した。山梨県と共同で、甲府市の米倉山の県所有地に、10年度から建設を進め、11年度の運転開始を目指す。山梨県が土地の提供と普及啓発のためのPR施設を建設、太陽光発電所の建設と運転を東京電力が行う。
 建設する1万kWの発電所の年間発電量は1200万kW、CO2の削減効果は5100トンを見込んでいる。
 電力業界が取り組んでいる14万kWの太陽光発電所建設計画の一環。


その他の主な記事
・東京ガス、中期経営計画を発表
・川重、M7が生産100台を達成
・川重ギガセルが定電圧フロート充電に成功
・NTTデータが高電圧直流給電を実証
・低炭素システム研が火力の低炭素化を検討
・08年度優秀省エネ機器表彰式
・高効率エネ導入08年追加公募決まる
・地熱開発利用講演会3月に
・自然エネルギー市民の会が声明
・国内クレジットで商談会を計画
・日冷学会が大阪と九州でガス空調・メンテ講習会
・セルロース系エタノール革新的生産システム開発事業を公募
・09年省エネ革新技術開発募集
・省エネ大賞23件決まる
・新エネ百選追加公募
・排出権取引でシンポを開催
・太陽光でSSKセミナー  etc.

<インタビュー>
・三浦工業 露口常務取締役
 =工場廃熱を回生利用する「かつエネルギービジネス=
 排熱回収ボイラーの供給を通じて、1980年代のコージェネビジネスの草創期から携わってきた三浦工業。「システム内の排熱回収部品の一メーカーでも、国家の省エネルギー政策の最先端を走っているという自負があった」。その思いは今でも「コージェネシステムは日本にとって、地球にとって有益なシステムであるという思いに揺らぎはない」。現在のコージェネ市場をどう見ているのか。事業展開の方向などを聞いた。

シリーズ連載
・コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 第8回 コージェネレーションシステムの普及啓発
・プラントメンテナンスの現在<シリーズ企画その3>
 IT化とアセットマネジメントという発想で変わる設備保全
・新刊紹介:「オイル&マネー 石油と金融の新たな構図」<藤澤治/吉田健一郎著 エネルギーフォーラム社>


コラム
発電論評<エネファーム普及へ望まれる支援策>
・プリズム<課題も残しつつエネファーム出陣式>
・ちょっと一休<寂しい財界担当記者の急死>
・青空<貸し渋り、貸しはがし>


エネファーム普及へ望まれる支援策【発電論評】

 家庭用燃料電池システム「エネファーム」が5月から販売開始される。当初の販売価格は300万円を超えているが政府の導入支援が140万円を上限に2分の一補助される。それにしても高価であることは否めない。
 しかし、エネファームの価格は高いが、志も高い。まず、自分で発電すること。必要な時に必要なだけ発電できるのは無駄がない。燃料電池は負荷追従性も抜群で、部分負荷運転でも発電効率はほとんど変わらない。発電時に発生するお湯や排熱を回収して貯湯し、給湯に使える。熱も電気も両方使うので、都市ガスやLPガス、灯油といった1次エネルギーを80%程度の高率でまさに使い尽くせる。環境負荷も少ない。まさに次代を担うエネルギー供給システムだ。
 もう一つの家庭用の発電設備である太陽光発電との相性もよい。太陽光で発電できない夜間や雨天時などのバックアップ電源としても使用できる。組みあわせることで、系統電力に頼らない完全自立型の独立電源として使用することも可能だ。
 唯一の欠点といえるのが、未だ高価であることだ。燃料電池は都市ガスや灯油などを燃料に使うので太陽光発電とは違って運転時にも燃料費がかかるので、導入コストを経済的に取り返すのは現状では難しい。ランニングコストを低減するための仕組みを考える必要がある。
 システム導入時の補助に加えて、導入後の補助支援策は考えられないか。例えば、太陽光や風力などの再生可能エネルギーには、グリーン電力証書の仕組みがある。自らが再生可能エネルギーを利用できない電力ユーザーが証書を購入することで、CO2ゼロという環境価値を移転する仕組みだ。グリーン電力証書も、現在、家庭用などの小規模のものは、余剰電力を電力会社が購入してくれる仕組みはあるが、自家消費分については何のインセンティブも与えられていない。しかし、こうした小規模電源についても一定量を一括することで、証書の対象にしようという検討が進められている。
 こうした仕組みを参考にして、エネファームにも、CO2削減効果を数値的に評価してクレジット化する仕組みが導入できないだろうか。国内クレジットやカーボンオフセットの仕組みの中で、エネファームを販売するガス事業者などが一括してクレジット化して、その販売益を還元できるようになれば、ユーザーの「マイホーム発電」するメリットやCO2削減に貢献したいという「志」をさらに鼓舞できることにならないか。
 難しいといわれる家庭などでの低炭素化生活の取り組みを積極的に後押しする仕組みをさらに充実させ、システムの普及拡大にさらに弾みがつくことを期待したい。