2009年125日号

「高度利用法」制定へ 国がエネルギー種別に利用目標
 資源エネルギー庁は、エネルギーの高度利用を目的に、新法の制定を行う。石油依存度の低減を目的にした代エネ法を全面的に見直して、1次エネルギー全体の「供給構造の高度化」を図る方向で法整備を行うことにする。
 1月19日に開いた、総合資源エネルギー調査会・総合部会で、小委員会が検討結果をまとめた報告書を承認。電力、石油、ガスといったエネルギー供給事業についてセクター別に「高度利用目標」を国が示し、安定供給確保と低炭素化を推し進める方向で新たに「高度利用法」の制定を目指す。法案は今通常国会に提出される方向。
 規制の対象を供給事業者とするのは、需用者側の取り組みには限界があるためとし、電力、石油、ガスの各セクターごとに「誘導的規制」が行えるようにする。規制基準の制定に当たっては、各セクターごとの経営力や資金力、技術力などの実情に見合った内容とする。
 代エネ法の見直しを契機とした今回の報告書は、当初は、エネルギーの低炭素化の進展と安定供給の確保の視点から化石燃料の高度利用の方向が目指されたが、最終的には、エネルギー供給構造を国がコントロールしながら、エネルギー種別ごとに高度利用や低炭素化を目指すため国の関与を強化するという形で、新たな規制法の制定が目指されることになった。
 エネルギー種別ごとの役割・評価は次のようなもの。
【石油】・石油は1次エネルギーの5割を占める引き続き重要。石油火力は電力需要変動への対応も容易。【石炭】・石炭は1次エネルギーの2割を占めており、調達先も政情の安定している地域が多く可採年数も比較的長い。【天然ガス】・天然ガスは化石燃料の中で最もクリーンで、1次エネルギーに占める割合は14%程度で利用拡大の余地がある。中東への依存度も2割程度と低く、供給安定性にも優れている。【LPガス】・LPガスは天然ガスとともにクリーンなガス体エネルギーで、一定の役割が期待されている。拠点供給型であり、災害時の初期対応に適するなど国民生活に密着したエネルギー。【原子力】・原子力は供給安定性に優れ、発電時にCO2を排出しない基幹電源。安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用を図る切り札。【新エネルギー】・新エネルギーは、コストや供給安定性、食料競合問題などが顕在化しているが、再生可能エネルギーとして優れた特性があり、利用拡大が期待されている。【水力・地熱】・水力・地熱はCO2を排出しない純国産のクリーンエネルギーで、供給安定性や発電コストに置いても優れている。既に実用化された技術であり、今後とも重要な役割を担う。


環境省が再生エネの固定価格買い取り制度を検討
 環境省は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及拡大策として、ドイツなどの効果を上げた固定買い取り価格制度の導入について重要な政策課題として取り組んでいくことを明らかにした。
 1月15日に開かれた中央環境審議会の席上、委員の質問に答える形で事務局側の環境省が、今後の取り組み課題として進めていく考えを示した。取り組みの具体化については、現在政府の懇談会で検討が行われている「中期目標」を受けて、目標達成の具体策として有力な選択肢として検討を進めることや、また、米国新政権のグリーンニューディール政策に対抗するような日本版グリーンニューディール政策を取りまとめる方針で、政策立案に当たっては、一般からのアイデア公募なども行うことなども報告した。


川崎重工業が画期的な小水力発電システム
 川崎重工業は、小水力発電システムを開発、グループ会社の川崎プラントシステムズで、製造販売を行う。開発したシステムは20kWから500kWまでのラインアップの水力発電システムで口径200mm、300mm、450mm、650mmの4タイプをそろえた。落差5〜30m、流量0.14〜2.8立方m/秒に対応する。永久磁石を水車に埋め込んで水車と発電機を一体構造とした「リング水車」で、従来のシステムに比べて半分以下の超コンパクトサイズを実現した。騒音や振動がほとんど発生しない構造なので、住宅地など騒音対策が必要な場所でも特別の対策を行わないで設置できる。また、発電用水流の圧力だけで水車の回転を支える水潤滑軸受を採用し、潤滑油による水質の汚染の心配もないという画期的な製品。オイルの補充やベルト交換などの日常的なメンテナンスの必要もない。
 小水力発電はRPS法の対象となっており、電力事業者への発電電力やRPS価値の販売が可能であることや、CO2フリー電力としてCO2排出権の創出も可能となる。
 同社では、浄水場や河川維持放流・利水放流を行っているダム、工場・プラント向けに、未利用エネルギー開発や省CO2システムとして販売していく考え。


3社グループが仙台市ガス買収を辞退
 東京ガス、東北電力および石油資源開発の3社によるグループは1月20日、昨年9月に公募が開始された仙台市ガス事業の事業継承者から辞退したと発表した。他に事業継承者はなく、仙台市ガス事業の民営化は白紙に戻ったことになる。
 辞退の理由について東京ガスでは、経済情勢の変化などにより、現時点では譲渡価格の提示が困難と判断したとしている。仙台市ガス局は約620億円の企業債を抱えているが、この完済可能な売却価格を3社は提示できなかったものと見られる。
 買収を辞退した3社は、いったん白紙に戻した上で、今後は情勢の変化を見て各社ごとで判断することになる。


その他の主な記事
・国内クレジット第2弾、新たに7件を受け付け
・ホロニックシンポ第4回、システム実現へパネル討論
・環境省が日本版ニューディール策定へ、アイデアを公募
・環境省のエコ燃料会議が報告書
・08年度上期のRPS設備は25万kW増
・10月末のRPS認定設備状況
・三菱重工がカナダからGTCC受注
・富士経済が海外の新エネ市場を予測
・大日本印刷が太陽電池部材製造を強化
・三井造船子会社がキプロスのディーゼル発電を受注
・新日石が韓国でキャパシタ用電極材事業で合弁
・大口電力需要が大幅減
・国内排出量取引4期公募、10社決まる
・J−VER制度モデル事業9件決まる
・日機連の優秀省エネ機器決まる
・2月に省エネ優秀事例発表会・省エネセンター
・2月のJPIセミナーは太陽光や水素戦略など
・省エネ革新技術公募説明会、NEDOが全国7地区で
・東工大がエネルギー・医療で国際シンポ開催
・排ガス対策原動機と建機、低騒音建機を追加指定  etc.
・インタビュー
 「オール電化に対抗する 東京ガスライフバルの事業展開」=東京ガス・協力企業サポート部 堀江マネージャー
 東京ガスが地域密着型営業の拠点として設立した地域エネルギー新社の「東京ガスライフバル」。これまでに28ブロックで計23社が営業を開始。09年度中に広域地区を除いた首都圏の約60ブロックすべてでライフバルの設立を終える。ライフバルはガス機器販売の「エネスタ」、安全点検・検針などを手がける「東京ガス・カスタマーサービス」を一体化し、そこに「東京ガス」のガスエネルギー営業の機能を付加した『三位一体』の体制によって、お客さまとの関係性を強化し、オール電化に対抗する商品やサービスをワンストップで提供していく。ライフバルを構想したリビングエネルギー本部協力企業サポート部の堀江整マネージャーは「ガス機器販売やサービスまでを自前で行っていた『昔の東京ガス』を60個つくること」という。ライフバル設立の狙いを聞いた。

シリーズ連載
・<新>カーボン・マネジメント入門E
 「排出量取引と国内クレジット」
 (大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長)
・エネルギーと世界経済の潮流B
 =オバマ新政策でエネルギー価格回復も=
 (寄稿:岩間剛一和光大学経済経営学部教授)
・インサイト<分散型実務の話題>(温室効果ガスの排出量取引制度A)
・新刊紹介:「バイオマス読本2008〜2009」<週間「エネルギーと環境」編集部編 エネルギージャーナル社>


コラム
・発電論評<高度利用規制に欠落しているもの>
・プリズム<エネファーム元年、補助は140万円>
・ちょっと一休<加藤名誉教授に脱帽>
・青空<オバマ新大統領の就任演説を聴く>


高度利用規制に欠落しているもの【発電論評】

 =自由化の時代の終わりの始まり=
 代エネ法が見直され高度利用法に生まれ変わることになった。総合エネ調の総合部会がこのほどまとめた報告書によると、エネルギー供給構造の安定化と低炭素化を目的に、電力、ガス、石油といったエネルギー供給産業をセクター別に国が供給目標を定め業界に供給計画の策定を促す形で、エネルギー供給全体を国がコントロールする仕組みとするという方向になる。ここ10年間のエネルギー市場での自由化拡大の方向とは180度異なる、エネルギー政策の大転換だ。
 一時は石油200ドル時代の到来も本気で語られるなかで、当初目指された天然ガスや石炭にまで対象を広げた化石エネルギー全体の安定供給の確保とその代替エネルギーとしての新エネルギーへのシフトという2つのテーマは、その後の原油価格の急落という局面の大転換を背景に、稼働率の上がらない原子力への公的関与の引き上げやコストの高い新エネルギーを政策主導で普及を図る観点から、国の関与の度合いをより強化する方向で新たな規制法が用意されることになった。
 新法では、1次エネルギーの安定供給の確保や低炭素化への取り組みを市場任せにするのではなく国が利用目標を定め、電力ガス、石油といったエネルギー供給事業者ごとに、それぞれの実情に配慮しながら、計画的に実現を促す「誘導的規制」が導入される。例えば、新エネの利用が義務づけられているのは、現在は電力を対象としたRPS法だけであるが、ガスや石油にもバイオマス由来の熱エネルギーの導入を促すことが新たに付け加えられることになる。
 一方で、盛り込まれなかったこともある。新法での規制対象はあくまでも従来からのエネルギー供給セクターであり、1次エネルギーの供給側をコントロールすることで、国の温暖化対策目標やエネルギー需給目標を達成していくということなのだが、置き去りにされたのは自由化拡大の視点であり、また、新エネルギーや高効率利用システムを使って低炭素で経済的なエネルギー供給事業を目指すESCO事業やエネルギーサービス事業を育成するという視点だ。
 これについて報告書では、エネルギー使用者とエネルギー供給者を対比し、使用者側の対策は効果が薄いとするだけで、使用者と供給者の間に立ってエネルギーを熱や電気に転換して供給する事業者という視点が全く考慮されていない。
 最終需要家に、どのようなエネルギーをどのような形で届けるのか。旧来型の電力、ガス、石油といった視点に加え、1次エネルギーを加工し、販売サービスを行うエネルギーサービス事業などをどう評価し、育成していくのか。低炭素社会の実現には不可欠な視点なのではないかと思われるのだが。