2009年115日号

09年度エネ特会予算は1.9%減 新エネ、省エネに手厚い配分
 09年度の政府予算案で、経済産業省、文部科学省、環境省が所管するエネルギー対策特別会計(エネ特会)は、政府の「歳入と税収水準のかい離幅圧縮」方針もあって、08年度当初予算比1.9%減の8919億円となった。この内、経産省分のエネ特会は同2.5%減(182億円)の7034億円。
 ただ、1次補正予算では特会としては異例の544億円が計上されており、同省ではこれらを一体運用することで、住宅用太陽光発電を始めとする新エネルギーの導入支援、CCS(CO2の回収・貯留)など温暖化対策に向けた革新的技術開発のための十分な予算規模を確保できたとしている。
 新エネの推進では、住宅用太陽光発電の補助金として新規に291億円(内1次補正分90億円)が認められ、1月13日から3月末まで1次補正分約3万5千件の募集を開始する。また、09年度からスタートする家庭用燃料電池の商用化を前提とした補助制度では、補助金として61億円を確保。同制度では費用の約2分の1を補助(予算上は1台300万円程度)する。
 このほか革新型蓄電池開発の拠点整備が、同省としては総合科学技術会議の最高評価となる「S評価」を唯一受け、要求が満額(30億円)で認められたことから、プラグインハイブリッド自動車や電気自動車向け同電池の研究拠点を今後、選定していく。
 一方、温暖化対策技術として有力視されるCCS実用化では、CO2を地下1千b程度に貯留する実証試験に33億円(同10億円)が新規に認められたのを始め、技術開発全体で08年度比約2倍の85億円(同25億円)が計上された。また政府による排出権クレジット購入費用も約1.5倍の218億円が認められている。
 省エネの推進では、エネルギー使用合理化事業者支援に前年度並みの357億円(同60億円)が計上されたが全体では減額予算。特に住宅・建築物関連で省エネが進展したことから、今後は支援措置を税制に切り替える。
 環境省のエネ特会は、08年度当初予算比4.5%増の420億円(剰余金54億円含む)となった。同省の一般会計も合わせた温暖化対策関連予算は総額約455億円で、エネ特会分は全額をCO2排出抑制対策にあてる。
 国内排出量取引推進事業に25億円、カーボンオフセット推進事業に1.5億円を計上し、排出量取引などによる市場メカニズムの活用を進めていく。また温暖化対策の技術開発(競争的資金)としては38億円を確保した。
 このほか太陽光発電世界一奪還やバイオ燃料の開発・普及に向けた取り組みとして、地域におけるグリーン電力証書の需要創出モデル事業に1億円、高濃度バイオ燃料実証に1.5億円がそれぞれ新規に認められたほか、太陽光発電等再生可能エネ活用推進に10億円、廃棄物処理施設の温暖化対策に21億円が盛り込まれた。また低炭素地域づくり面的対策でも9億円が計上されている。
 ただ財務省の「ムダの削減査定」により額に見合った効果が上がっていないとして、温暖化対策国民運動事業(30億円)とメガワットソーラー共同利用事業(4億円)は廃止された。


エネ庁が「新エネ社会システム推進室」を設置
 資源エネルギー庁は、1月13日付で、新エネルギー社会システム推進室を設置した。製造業や農林水産業などの産業用や公共施設や住宅、生活インフラ、運輸・流通などの社会システム全般へ新エネルギーを活用したシステムを導入・拡大していく政策を立案し、政策資源の投入分野の具体化や雇用機会の創出などへの取り組みの活発化を目指す。

ネクストエナジーが太陽光で可搬型電源を開発
 ネクストエナジー(長野県駒ヶ根市・伊東敦社長)は、太陽光パネルとバッテリーなどを組み込んだ独立電源用太陽光発電システムを開発、イベントなどの電源用としてレンタルを開始した。必要機材一式をパッケージ化し、最大350Wの出力で100Wの機器を3時間使用できる。バッテリー残量が不足する場合は、自動で商用電力に切り替えるバックアップ機能も有り、停電の心配もなく使用できる。
 レンタルを開始したシステムは、60Wの太陽光発電パネル2枚とバッテリー、インバーター、設置スタンドなどをパッケージ化し、専門知識が無くてもその場でマニュアルを見ながら誰でも簡単に組み立てができる。太陽光発電による電源が手軽に確保できるため、グリーン電力によるイベント開催が実現できる。
 レンタルの基本プランは、4日間で4万9800円。イベントの規模などに応じてプランをアレンジできる。


東芝が太陽光発電事業を拡大、目標は2千億円規模の事業
 東芝は、電力・産業用の太陽光発電システムの事業拡大を目指し、15年度に約2千億円の売り上げを目標に事業強化を図る。国の太陽光発電産業拡大の政策の後押しを受け、国内の太陽エネルギー市場を始め、世界的に市場拡大が予想されるところから、特にメガソーラーなどの電力・産業用システム市場でのシェア拡大を目指す。
 社内体制として、電力流通・産業システム社に太陽光発電システム事業推進統括部を1月1日付で新設し、事業戦略の策定に着手するとともに、同社が既に手がけている太陽光発電の関連事業を組織横断的に統括し、太陽光発電システムや高効率モーター、新型2次電池、また、マイクログリッドなどのシステム技術を組みあわせることで、環境に配慮した新エネ・省エネの総合エネルギーシステムとして温暖化防止の観点から事業展開を積極的に展開する。海外事業拠点の積極的な活用も図りグローバル事業として展開していく。


東京ガスが、エレベータで搬入可能なGHP
 東京ガスは、エレベーターに搬入可能なGHPを開発した。冷房能力45kWのビルの空調に適した大能力タイプで、現行モデルより排気量が半分以下の小型エンジンを高速回転させ、コンパクトで高出力化を図った。
 ビルの各階にある狭いベランダスペースへの設置を想定し、室外機の専用排気ダクトを設けて周辺の外気温の上昇を抑え空調能力の落ち込みを回避するなど、従来のトップランナー機に比べCO2排出量を1.4%低減するとともに、電気ヒートポンプ(EHP)のトップランナー機よりCO2排出量を16%低減した。
 アイシン精機との共同開発で、6月から両社で販売を開始する。


新年特集第2集
<年頭所感>
・経済産業大臣・環境大臣・石油連盟会長。

その他の主な記事
・燃調制度を改定で電力ガス料金小委が報告書
・太陽光大量導入でコスト負担小委が報告書
・電力適正取引指針改定へ
・コスモ石油が充電スタンドを試験設置
・ホンダとGSユアサがリチウムイオン電池で合弁
・住友化学がリチウムイオン電池用セパレータ事業を事業部化
・JSRが工場に100kWの太陽光
・パナソニックが太陽電池、2次電池で三洋を買収
・カネカが太陽光生産能力を拡大
・復活した太陽光の補助申請受付開始
・バイオマスエネ関連事業で報告会
・高効率エネ導入(住宅)追加公募開始
・LPG国際セミナー2009
・地域の環境技術開発でシンポ 福岡版
・NEFがSOFC実証の運転結果
・コージェネセンターが中部地区でセミナー
・中国環境ビジネスなどでSSKがセミナー    etc.


燃料電池新聞の主な記事
・FCEXPO大阪レポート
・日産の電気自動車戦略
・海外ニュース
 -韓国で再生可能エネ分野の指定参加企業決まる
 -リフトトラック用に燃料電池ユニットを出荷、米プラグパワー社
 -ニューオランダ社が燃料電池トラクターを開発
 -ダイムラーとエポニックがリチウムイオン電池を共同開発
 -加バラード社、燃料電池バス20台出荷を開始
 -家庭用CHPの出荷開始、豪CFCL社
 -米プラグパワー社が家庭用燃料電池コージェネを実用化
 -韓国・起亜が新型燃料電池車を発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -小金井テックス、家庭用燃料電池の改質器用バーナーを開発
 -昭和シェル石油、神奈川県内のガソリンスタンドに電気自動車向けの急速充電器を設置
 -日本エコカーボン、畜産廃棄物からCNTと水素を生産する装置の販売開始
 -三菱化学、リチウムイオン電池材料の生産設備を増設
 -電力中央研究所、住宅用電力貯蔵電池の実用化研究を開始
 -環境省、地方自治体と電気自動車、燃料電池車計52台による実証試験開始
 -金型工業会西部支部、燃料電池用ステンレス用セパレーターを試作
 -関西電力、2009年度から電気自動車を1,500台導入へ
 -住友化学、電池部材事業部を新設
 -東芝、新潟県柏崎市にリチウムイオン電池の新工場を建設
 -フェニックス燃料電池、可搬型SOFC発電機を開発。出力100W
 -中部電力、2020年までに業務車両を1,500台、電気自動車に切り替え
 -荏原バラード、新型家庭用燃料電池ユニットの供給を開始
 -東北大学、太陽光発電を直接蓄電した電力を直接利用するシステムを実証
 -水力発電と直流送電で世界の電力需要をまかなうことが可能とする西澤潤一氏の論文を米学会誌が正式承認
 -ソニーのバイオ電池、出力が5mW/平方cmと従来の3倍以上に向上
 -FDK、2009年春からリチウムイオンキャパシターの量産を開始
 -ローソン、2009年夏から店舗巡回用営業車輌として電気自動車を導入
 -日本ガイシ、アラブ首長国連邦に50MWのNAS電池を納入  etc.
・燃料電池インフォメーション
 ■エネルギー・資源学会「平成20年度第2回講習会 『電動車両と2次電池』」2月24日(火)9時30分〜16時50分 大阪科学技術センター(大阪市西区)  etc.

シリーズ連載
・世界を読む(6)<ガス版OPEC誕生で、天然ガスゲームは新たな展開へ>
・インタビュー
 <排出量取引や環境政策など・・自由民主党衆議院議員 水野賢一氏>

コラム
・発電論評<発電する住宅で変わる自家発>
・プリズム<自動車不況を克服する起爆剤>
・ちょっと一休<内向きな経団連の民僚たち>
・青空<世界恐慌なんだってサ>


発電する住宅で変わる自家発【発電論評】

 発電する住宅が増えている。太陽光発電や小型燃料電池の普及が始まり、電気を作るということが特別なことではなくなってくる。今まで電気は、電力会社が発電して、産業用、業務用、家庭用など全ての需要家に向かって供給し、需要家が購入するというものであった。日本だけでなく、世界中のほとんどがそうだ。それ以外は、自家発電ということになるのだが、発電する住宅はまさに、自家発電なのである。そうした自家発電が広がると、電気は電力会社から購入するという概念を根本的に覆すことになる。それはまさに自家発新時代の入り口だと考えてもいいのではないか。
 太陽光発電は、屋根に乗せるだけで、勝手に発電してくれる。自家発といっても、電力系統とつながれ、電気が行ったり来たりするので、設置者側はなかなか発電したという実感はわきにくい。余剰電力が買い取られる制度が普及しているので、電気料金が安くなったという実感はわく。
 太陽光発電は、設置してしまえば、晴れた日の太陽光の下で文字通り勝手に発電してくれる。太陽光なので燃料費は無料だ。ランニングコストが極小なので、極めて経済的なエネルギー供給システムだといえる。また、発電時の騒音問題などもない。
 太陽光発電の最大の欠点は、晴れた昼間しか発電しないということだ。そのため、系統電力のバックアップが不可欠で、あくまでも補助電源的な地位に甘んじるしかなかった。電力系統からも大量に連系されると出力変動の影響が大きいと敬遠されてきた。しかしながら、いつでもどこでも使う時に必要なだけ発電できる家庭用コージェネや燃料電池と組み合わせることで、安定的な電源として利用することが可能になり、一部のガス会社などからW発電として商品化されてもいる。
 さらに、蓄電池技術の飛躍的な発展により、電気自動車なども実用化され、安価な蓄電池システムが大量に市場投入される時代が訪れようとしている。発電した電気を低コストで貯めることができるようになれば、コージェネなどの運転パターンもより効率的に改善できるようになる。経済的で、環境負荷が少ない発電機能を持った自家発が大量に導入されるという時代の到来が期待できる。
 家庭内で、エネルギーの自給自足も可能になる日もそう遠くないということなのだが、心配なのは、従来のエネルギー間競争の延長で、電力会社側に新エネ設備に対するアレルギーが強いということである。家庭用の自家発だからといって、電力会社が競合商品として敵対視するのではなく新たな形でのエネルギーサービスとして既存の事業者たちが健全な形で事業化していけるような、政策配慮が望まれるところだ。