2009年 新年特集号
2008年12月25日 2009年1月5日 合併号


国内排出量取引制度は501社が参加、クレジット創出へ無料コンサル制度も
 国内排出量取引制度の試行が開始され、参加企業の募集が行われていたが、第1回の集中募集期間が12月12日に終了し、501社が参加申請した。参加企業の内訳は、自主的な削減目標を設定して削減事業に取り組む「目標設定参加者」が446社、国内クレジットなど排出量取引を行うことを目的とした「取引参加者が」50社、その他として、国内クレジット制度による排出削減事業を行うことで参加するのが5社。エネルギー転換部門では、電力会社9社、大手都市ガス4社、石油精製8社なども参加した。
 また、コンビニ3社や商社10社など流通・業務部門や銀行3社、学校1校など幅広い業種から参加している。
 制度の普及や情報交換などを目的に、政府と日本経団連、日本商工会議所が共同で立ち上げた「排出量取引試行共議会」には、1052社の参加があった。
 制度の正式なスタートを受けて、経済産業省では、取引市場に国内クレジットを供給するため、中小企業等でのクレジット事業を活発化させるためソフト支援制度を発足させ、12月22日から受付を開始した。また、削減事業に取り組む中小企業の相談窓口となる専門機関として8社を指定し、公表した。
 ソフト支援制度は、削減事業の実施主体者であるが知識や資金に乏しい中小企業を対象に設けられたもので、クレジット創出に必要な「排出削減計画書」の作成や申請また申請費用などを補助する。具体的な支援内容は@申請手続きなどを指導・代行する専門支援機関によって、削減事業の実施を希望する中小企業に、申請に必要な削減事業計画を無料で作成支援したり、計画の作成に当たっては省エネの無料診断等を行う。また、削減量をクレジット化するために必要な審査費用について50万円を上限に半額を補助する。ソフト支援は、中小企業のほか、削減目標を持たない大企業も受けられる。
 指定を受けた専門支援機関は次のとおり。
【中小企業支援団体】 ▽日本商工会議所 全国中小企業団体中央会
【民間企業】 ▽あらたサステナビリティ認証機構 日本環境取引機構 日本テピア 北電総合設計 みずほ情報総研 山武


07年度電気事業者の排出係数を公表
 環境省は、温対法に基づく温室効果ガスの排出量の算定に使用する電気事業者が供給する電力の07年度の排出係数を発表した。
 排出係数を公表したのは、電力会社8社とPPS9社の合わせて17社分。電力会社で最も排出係数が低いのは関西電力の0.366(kgCO2/kWh=以下同じ)で、PPSでは、GTFグリーンパワーの0.289。
 排出係数の公表は、全国共通の標準値として用意されているデフォルト値(0.555)があり、電力事業者ごとの排出係数はデフォルト値を下回った事業者だけが公表される仕組みとなっている。
 温対法では、省エネ法と同様に一定規模以上の工場や事業所に対して毎年度のCO2などの温室効果ガスの排出量を国に報告することを求めており、届け出に当たって電力会社から購入している電力によって排出する温室効果ガスの排出量の算定を行うために、各電力事業者ごとの年度ごとの排出係数を取りまとめ公表している。
 公表された排出係数は次の通り。
【電力会社】▽北海道電力0.517▽東北電力0.473▽東京電力0.425▽中部電力0.470▽関西電力0.366▽四国電力0.392▽九州電力0.387
【PPS】▽イーレックス0.414▽エネサーブ0.411▽エネット0.427▽サミットエナジー0.538▽GTFグリーンパワー0.289▽新日本石油0.550▽ダイヤモンドパワー0.468▽ファーストエスコ0.353▽丸紅0.492

新年企画特集〈石油、天然ガス、LPガスの高度利用〉
・昨年の原油価格は高騰でスタートし、金融危機による暴落で幕を閉じた。しかし、原油価格がこのまま低価格で推移するとは誰も考えていない。再び経済が活性化すれば、原油価格は上昇すると見るのが常識的な判断だ。一方、地球温暖化の問題はますます深刻度を深め、これまで以上に厳しいCO2削減を迫られることになる。こうした状況下、日本国内では、化石燃料の効率的な利用と非化石燃料の開発によって、CO2削減とエネルギー安全保障を確保することを目的に、脱石油から化石燃料の高度利用へと政策の転換が目指されている。総合資源エネルギー調査会・総合部会では昨年末に集中して審議され、すでに中間報告の原案もまとまっている。これからの日本のエネルギーサービスの将来像を示すため、石油・天然ガス・LPG業界の高度利用に向けた今後の取り組みの方向について話を聞いた。
・記事構成
 -都市ガス業界の取り組み(東京ガス・村木茂 取締役常務執行役員・エネルギーソリューション本部長)
 -石油業界の取り組み(石油連盟・山浦紘一 専務理事)
 -LPガス業界の取り組み(日本LPガス協会・葉梨益弘 専務理事)

新年特集
・新年のエネルギー市場の課題について(柏木孝夫東京工業大学統合研究院教授)
・関係官公庁・団体・企業の新年の取組<年頭所感>
 資源エネルギー庁 NEDO 省エネルギーセンター LPガス振興センター 日本ガス協会 日本コージェネレーションセンター 日本風力発電協会 太陽光発電協会 都市環境エネルギー協会 日本電設工業協会 エネルギーアドバンス 東邦ガス ヤンマーエネルギーシステム 川崎重工業 ハタノシステム etc. 順不同

その他の記事
省エネ判断基準部会取りまとめ
・都が太陽光補助制度の要綱を策定
・エコプロダクツ2008開く
・環境省が温暖化防止一村一品
・低調だったCOP14の報告
・蓄電池の市場ニーズ調査はみずほ総研へ委託
・PEFC用ポリマー電解質に関する調査募集
・中小水力研修会を開催へ
・環境省が温暖化対策技術成果で発表会
・バイオ燃料モデル実証2次は厚木バイオに
・産業分野における革新的エネ使用合理化技術の補助申請者を募集
・エネ合理化の追加公募決まる  etc.

コラム
・プリズム<09年のエネルギー業界の明るい話題>
・ちょっと一休み<ビックなお年玉>
・青空<丑年をどう生きるか


新年の分散型、新エネルギー市場を展望する
〈自家発新時代へ−新エネ、分散型エネ市場の新たな展開−〉


 2009年の新エネ分散型市場は、自家発電の新たな市場の出現によって革新的な変化の年を迎えることになりそうだ。
 昨年は、エネルギー産業にとって大転換の時代だった。乱高下した原油価格は世界的な経済の混乱と同時進行となり、エネルギー市場の急激な脱CO2化の流れの加速化につながった。京都議定書の第1約束期間が始まり、90年比マイナス6%の削減義務の達成に向けての取り組みがスタートしたが、達成の困難さが、あらためて実感されている。
 こうした市場環境が6月の福田ビジョン、洞爺湖サミットをへて、7月の国の低炭素社会へ向かう行動計画へと結びついたといえる。その内容は、日本は2050年に現状から60〜80%のCO2削減を目指すというもので、エネルギー政策の大転換へ向かう大きな政策の流れにつながった。
 秋以降、エネルギー関連の国の審議会はフル稼働した。特に新エネルギーの拡大に向けた取り組みが本格化する。
 福田ビジョンで示された、太陽光発電を2020年までに現状の10倍、30年までに40倍に拡大するという方針を実現するために、関係セクターに対策を求めることになり、電力側には、事業用太陽光の拡大と系統への受け入れが求められた。 また、化石燃料の高度利用に向けた政策作りも始まっている。
 新エネルギーの拡大は、意外なことに、ここ数年影の薄かった自家発電の見直し拡大に結びつくことになりそうだ。自家発電といっても、かつての業務用中心の中小規模のコージェネではなく、もっと小型の家庭用などの市場が爆発的に拡大するということで、その主役を担うのは、燃料電池と太陽光発電になりそうだ。
 これらのの大半は、家庭用や店舗、工場などを中心とした自家発電として設置されるもので、その他の、発電手段も含めて家庭用などの小規模な自家発を中心とした分散型電源の市場が国の強力な政策の下で拡大し続けることが期待できる。
 家庭用燃料電池もいよいよ本格的な市場投入が始まる。ヒートポンプやマイクロコージェネなども加わって小型の自家発市場の牽引役をとなることが期待される。
 新年の分散型発電の市場は、こうした家庭用など発電システムの普及が始まることで、「電気を買う」時代から「発電して使う」というあらたな価値創造につながる「自家発新時代」の幕開けの年として、エポックメーキングな年となるといえるのではないか。


【自家発新市場】
 新たな自家発はディーゼルやガスエンジンによる単独のオンサイト型のものから風力やバイオマス、太陽光発電、太陽熱利用などを取り込む形で複合的な発電・エネルギーシステムとして市場形成することが考えられる。
 単独の自家発から地域社会をも巻き込んだマイクログリッドや共同利用の形で熱と電気の共同利用という形が見えてきている。
 その取り組みとしては試験的に始められている、バイオマス発電モデル事業や実証事業などが候補として考えられる。
 特にバイオマスの資源開発が重要で、それに太陽光や風力などの地域の自然エネルギー開発を組み込み、安定的なエネルギー供給を補完するためガスコージェネなどの補完システムを組み合わせて、地域のエネルギー供給システムとしてつくりあげる。インターネットが系統電力だとすれば、会社内や家庭内のローカルなネットワークがマイクログリッドだと考えればよい。余剰電力は別のマイクログリッド同士で相互融通することを考えればよく、それは系統を利用した託送によって可能となる。

【コージェネ】
 コージェネは、石油や天然ガスを燃料として、オンサイト発電し、排熱を回収して熱と電気を供給するというものが主なスタイル。しかしながら数年間にわたった原油価格の高騰で、国内のコージェネ市場は縮小してしまっている。
 従来型のコージェネは、80%を超える高効率によって省エネと省コストを同時に実現する画期的なシステムとして市場に受け入れられてきたもので、燃料価格の高騰によって、その市場を失っていた。燃料価格の下落によって競争力は回復に向かいつつあるとはいえ、排ガス対策や省CO2対策が新たな課題として出現してきており、市場回復には、こうした環境対策が不可欠になる。省エネ法の規制強化や化石燃料の高度利用なども追い風となり、コージェネを求める環境は再び整いつつあるといえる。
 また、新たな市場として、太陽光や風力発電など出力が不安定な新エネ設備の補完・調整電源としての市場も展望できる。こうした市場向けに、エネルギーサービスの視点で、自治体などへの提案型の事業スタイルが育成されることが望まれる。

【新エネルギー】
 低炭素社会へ向かうエネルギーの中心となることが期待されている新エネルギー。新エネルギーは風力や太陽光、中小水力、地熱などの自然エネルギーやバイオマス、都市排熱などの未利用エネルギーまで広範なものが含まれる。
 中心となるのは、風力、太陽光、バイオマスだが、なかでも太陽光発電に期待が集まっている。太陽光発電は、日本のメーカーのシェアが大きいこと、世界的な市場の広がりが期待できること、住宅や建築など関連産業の裾野が広いことなど、今後の国内産業の牽引役となることへの期待が高まっており、現在、産業化への戦略の策定が進められている。目標通りに導入が進めば、2020年代には国内の発電設備の20〜30%%程度を太陽光発電が占めることになる。
 風力発電は、系統連系問題がネックとなって導入量の拡大が困難になっている。出力の安定化対策として蓄電池併設などの対策が採られているが、立地や騒音対策など乗り越えなければならない複数の課題も指摘され始めている。
 しかしながら、洋上への展開など新たな市場開発の試みも開始されつつあり、日本の風況など国情にあった風車の開発など技術開発の進展が待たれるといえる。また、低風速でも稼働でき、低騒音で都市内にも建設可能な小型風車の開発が実現すれば、新たな自家用の風力発電の市場開発につなげることもできる。
 バイオマスについては、地域興しの一環として、地方での取り組みが活発化し始めている。間伐材の活用や廃油の再利用なども含めて、バイオマス資源のエネルギー転換は、地域との結びつきの中で開発が進められる流れができはじめているといえる。その中心となり計画をまとめる上で自治体の役割が大きく、自治体の中に地域のエネルギー開発を担うセクションや人材の確保が求められているといえる。

【省エネ、省CO2】
 エネルギー需給の省CO2対策が本格化してきている。
 省エネ法が改正され、省エネルギーの規制も強化され、コンビニなどの小規模店舗も規制対象に加えられた。規制対象外の中小企業などに対しても共同省エネ事業が提案され、省エネの成果を必要な大企業に有料で譲渡できる制度もできた。
 一方で、国内排出量取引制度が昨年末に始まり、共同省エネ事業などの成果がCO2クレジットとして流通・販売できる仕組みが整備され、今年から取り組みが本格化する。国内で生み出されるクレジットは、コージェネや新エネなどを利用した省エネ・省CO2プロジェクトが中心になる。
 例えば、大企業が更なる省エネや省CO2を目指しても、自社内への投資ではコストや効果に限界がある場合、省エネ投資があまり行われておらず、省エネ余地が充分にある中小企業に対して資金とノウハウを提供し、共同で省エネ・省CO2事業を実施して、その成果を持ち帰るという仕組みだが、こうした事業を行う手段としてコージェネの導入効果が極めて大きいといわれている。
 また、こうした取り組みには、大企業と中小企業を仲介する仲介事業者の必要性も指摘されており、エネルギーサービスやESCO事業者の果たすべき役割が大きい、新たな市場として注目されるといえそうだ 。