2008年1215日号 ※次号(12月25日、1月5日合併号)は1月1日発行です。

化石燃料高度利用へ誘導的規制、セクター別に非化石導入目標も
 総合資源エネルギー調査会の政策小委員会が12月8日に開いた第5回の会合で、エネルギー供給構造の高度化を目指してと題する中間報告の原案を示して議論した。
 小委員会は代エネ法を見直し、石油だけでなく天然ガスやLPガス、石炭等を加えた化石燃料の高度利用という観点で新法への衣替えを目指している。
 報告書案では、代エネ法は石油依存度を50%程度まで低減するなど一定の成果が上がったとしながら、化石燃料の依存度はなお80%を超えているとして、化石燃料依存度を低下させるため「高度利用」をキーワードに化石燃料の低炭素型利用に向けた供給構造の変革を目指す。
 必要な制度設計として、省エネ法の手法を一つの規制モデルとした「誘導的規制措置」を導入することを提起し、各セクターが導入する非化石エネルギーの導入目標などを国が示して、目標達成のための具体的な計画の提出を事業者に求める。また、国が目標達成に向けて必要な勧告や改善指導などが行えるようにし、目標設定に当たっては、各セクターごとの事業環境などに配慮した制度設計を行うという方向を示した。
 その場合@全体の非化石エネルギーの導入目標や化石エネルギーの高度利用の方向性を示すA供給セクター別の特性を踏まえつつ供給事業者が踏まえるべき具体的な指標や取り組み内容を示すB事業者の計画が進まないことを防ぐ担保措置の導入などを基本的なフレームワークとし、民間の自主的な取り組みを優先しながら化石エネルギーや非化石エネルギーの利用が計画水準の範囲内で推移できるように誘導するとしている。
 取り組みを求める事業者は、電気、石油製品、都市ガス等の供給事業者で、導入目標に基づいて@革新的エネルギー技術や未利用エネルギーの開発A非化石エネルギーの導入拡大B化石燃料の高度・有効利用の分野ごとに対策した計画の策定を求める。
 また、目標やタイムフレームの設定に当たっては、個別事業者ではなくセクター単位での目標を設定し各事業者が取り組む方向を検討する。


太陽光産業戦略、2月に取りまとめ
 経済産業省は、太陽光発電の「産業戦略」を策定することを目的に、12月9日、ソーラーシステム産業戦力研究会を立ち上げた。商務情報政策局と資源エネルギー庁省エネ・新エネ部の共同設置。
 再生可能エネルギーの中でも特に利用可能なポテンシャルが高く、国産エネルギーとしての期待も大きい太陽光発電の産業競争力の維持・強化を図る観点から、戦略を構築し今後の展開を考える。来年2月をメドに報告書をまとめる。
 地球温暖化問題を背景に、各国とも再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取組を強めているが、従来国際的に先行していた日本の太陽電池産業の競争力も欧州や中国などの新興国の追い上げもあって世界シェアが落ちてきているのが現状。こうした現状を打開し、国内での大量導入に向けた市場開発を行うこと等を通じて産業力を強め、日本の優れた環境エネルギー技術として長期間、競争力のある産業に育成するための戦略を検討する。
 研究会では具体的な検討課題として@製品開発や生産技術の高度化、技術基準の国際標準化などの技術力強化A調達・物流力の強化策B販売力や周辺機器とのコラボなどの国内外での展開力の強化C普及促進に向けて必要な規制や制度改革の4項目について、すそ野の広い太陽光発電産業をサプライ側にとどまらず、住宅や電力などの産業間の連携やソリューションサービスの提供などの視点まで含めて幅広い観点で具体的なイメージを必要な施策にまとめる。


産総研が分散型エネルギーでシンポ
 産業技術総合研究所は12月9日、東京の新霞が関ビルで「第5回分散型エネルギーシンポジウム」を開催した。分散型エネルギー機器・システムを組み合わせた場合の協調のための技術や、各システム・機器の研究開発を中心として、事例紹介や課題などの講演が行われた。
 清水建設は、江東区の研究所内で進めているマイクログリッド実証実験を基に、新しい制御方法について説明した。自立運転を実現するために、電源の負荷変動に応じて短期で追従できるニッケル水素電池と、水素電池の負担を軽減するための電気二重層キャパシタを段階的に組み合わせ制御する「カスケード制御」を実証する中、充放電の繰り返しによる機器の耐久性に課題が残るとした。
 また産総研の研究報告では、太陽光発電で発生した電気を、水素にして貯蔵する「水素自立型電力システム」や、太陽光などの自然エネルギーを利用して水電解を行い、発生する酸素を湖などに供給し、副生水素をエネルギー源として活用する「水環境浄化システム」などの研究について紹介した。
 このほか産総研は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)とスターリングエンジンのコンバインドシステムに関する研究・開発で、複合したことで影響を受けるエンジンの基本性能、損失などをシミュレーションし、おおむね問題がなかったことを報告した。今後、性能向上に向け、排ガス再循環技術の開発などの研究を続けていく。


新エネ財団が都内でシンポジウム、新エネ対象表彰式も
 新エネルギー財団は、12月8日、都内で新エネルギーシンポジウムを開催、新エネ大賞の表彰式などを行った。
 シンポジウムは、政策研究大学院の黒川清教授の「グローバル時代、日本の課題」と題する基調講演で開幕。黒川氏は「日本の優れた温暖化対策技術や新エネルギー技術を国内だけにとどめないで世界市場に向けて発信し、普及させていく取り組みが求められている」などと講演した。
 第2部は、新エネ対象の表彰式で、経済産業大臣賞を受賞した北海道の津別単板協同組合の「木質バイオマスで4工場に熱・電供給」の取り組みなど、13件の受賞プロジェクトの関係者の表彰を行った。
 第3部は、「太陽光発電システムの将来展望」をテーマとしたパネルディスカッション。神保重紀日経エコロジー編集長の司会で、黒川浩助東京工業大学統合研究院特任教授、伊賀達男シャープソーラーシステム事業本部副本部長、秋庭悦子日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事、渡邊昇治資源エネルギー庁新エネルギー対策課長の4人が太陽光発電の普及拡大に向けてそれぞれの立場から太陽光発電の普及の現状や政策的、技術的課題や方向性などについて話し合った。


電力9社が国内排出量取引に参加を申請
 電力9社は、政府が参加者の集中募集を行っている国内排出量取引制度への参加申請を12月9日までに終えた。
 電力事業者は、業界としての自主行動計画を設けて、供給する電力のCO2排出原単位を90年比で20%削減することを約束し、排出量の削減に取り組んでいるが、目標未達成業種の一つになっている。電力業界では、未達成分については京都メカニズムに基づくCDMクレジット等の購入で賄うことにしていた。国内CDM制度の創設など、CO2排出量取引制度が試行され、国内で排出権の取引市場が整備されることになったため参加を決めた。当初、業界として制度の参加を求めたが、企業単位が参加の減速とされたため各社ごとに参加することにした。
 20%の原単位削減のため各社ごとに以下の目標値を公表している。
▽北海道0.424kg CO2/kWh=以下同じ▽東北0.322▽東京0.304▽中部0.371▽北陸0.320▽関西0.282▽中国0.491▽四国0.326▽九州0.348


その他の主な記事
・NEDOが太陽光事業で成果報告会
・LP3団体が統合の細部決定、4月から新団体
・三菱化学がリチウムイオン電池材料事業を強化
・OKI英国工場がグリーン電力に切り替え
・環境省が次世代自動車を実証
・みずほとトヨタがバイオ燃料のCO2を調査
・日立アプライアンスが高効率冷温水器
・コンチネンタル航空がバイオ燃料をテスト
・インドへの太陽光発電導入可能性調査募集
・東ガスSUMIKAプロが竣工
・森林バイオマスプロジェクトの参加募集
・冷凍空調・熱源設備のデータ管理で講習会
・自然エネルギー市民の会がアンケート調査
・国内カーボンオフセット第1号は高知県
・温暖化防止活動大臣表彰36件決まる
・PEFC実用化技術開発等で報告会
・南信州おひさま進歩、起業講座開催
・グリーンエネルギー利用拡大セミナーin福岡    etc.


燃料電池新聞の主な記事
・DMFCの出力を3倍にする多孔質セパレーター(山陽特殊鋼)
・ベタープレイス社のEVインフラ計画、カリフォルニアとハワイで
・ホンダが燃料電池スポーツ車を発表
・スズキが燃料デンチセニアカーを静岡県にリース
・海外ニュース
 -インド、燃料電池の副生水を飲料に利用
 -ハイドロジェニックス社、ドイツのバス会社に燃料電池スタック供給
 -オランダ、高い水素吸蔵特性を有する合金組成を見出す方法を開発
 -ソルベイ社、カソード電極開発会社に資本参加
 -南中国大学、酸素透過膜リアクター開発
 -イートン社が上海汽車にカソードブロアーを供給
 -英国の調査会社が2015年のFC車市場を予測
 -インド宇宙研が宇宙技術を燃料電池に応用
 -英フューエルセルトゥデイがインドの燃料電池市場を予測
 -英国が温室効果ガス80%削減の長期目標
 -上海VW社がFC車を開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -三菱自動車、2009年7月から電気自動車の生産開始
 -ジャパンエコセンサー、燃料電池向けに直流センサーを開発
 -東京電力、2009年度に電気自動車300台を三菱自動車から導入
 -「エコキュート」、累計出荷150万台を達成
 -田辺三菱製薬、2009年夏から営業車輌に順次電気自動車「i MiEV」を導入
 -新日本石油、2015年度をめどに水素運搬量が5倍となる高圧容器を開発
 -Honda新型燃料電池車「FCXクラリティ」国内でのリース販売を開始
 -コスモ石油、横浜・大黒水素ステーションで70MPaの水素充填開始
 -昭和シェル石油、神奈川県内のガソリンスタンドに電気自動車向けの急速充電器を設置
 -パナソニック、ノートパソコン向け燃料電池を開発
 -日産自動車、燃料電池車を日光市に納車
 -GM、新型環境対応車を日本で2車種初公開
 -太陽光発電の拡大には蓄電池整備で6兆円が必要
 -東京農工大、低濃度バイオエタノールから水素を高効率発生させる反応器を開発
 -東京大学、下水・生ごみを利用した微生物燃料電池の高性能化を達成。酸化鉄で菌の力強化
 -郵政事業、電気自動車の試行配備と実証実験を開始
 -東大・群馬大、白金代替のPEFC電極向けカーボンアロイ触媒を開発
 -九州大学など、燃料電池用電極触媒の薄膜材料(結晶性有機無機ナノハイブリッド膜)の合成に成功  etc.
・燃料電池インフォメーション
 ■電気化学会 第67回新電池構想部会 12月19日(金) 東京国際フォーラム(東京都千代田区)
 ■電気化学会 SOFC研究会 第17回SOFC研究発表会 12月18日(木)、19日(金) 科学技術館サイエンスホール(東京都千代田区)
 ■電気化学会 電気化学セミナー1(2009)「最先端電池技術2009」 1月21日(水)〜22日(木) タワーホール船堀(東京都江戸川区)  etc.

シリーズ連載
・<新>カーボン・マネジメント入門D
 「温暖化防止策の方向性」
 (大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長)
・インサイト・分散型実務の話題(温室効果ガス排出量取引制度@)
・エネルギーと世界経済の潮流A
 「景気後退の下での温暖化対策」
 (岩間剛一和光大学経済経営学部教授)
・<トップクラスに聞く>
 低炭素時代の経営戦略
 =新日鉄エンジニアリング執行役員 山田良介環境ソリューション事業部長=
環境・エネルギー事業を多岐にわたって展開する新日鉄エンジニアリング。石油・天然ガス開発関連からエネルギープラント、パイプライン、オンサイトエネルギーシステムや電力小売り事業、風力発電事業など、数え上げればきりがないほど。そうした事業の中から、今回は環境ソリューション事業の展開をテーマに、循環型社会に合致した廃棄物の資源化システム、その中心にあるガス化溶融炉など製鉄技術を活かした環境・エネルギー事業の取り組みについて聞いた。
・キーパーソン
 「グリーンニューディール政策と日本の環境・エネルギー政策」
 民主党参議院議員 福山哲朗氏

コラム
・発電論評<激変の年から維新の年へ>
・プリズム<激動の2008年を振り返る>
・ちょっと一休<高校時代の友と「お魚を食べる会」>
・青空<365歩のマーチ>


激変の年から維新の年へ【発電論評】

 2008年も押し詰まり、本紙もこれが今年最後の発行となる。次号は新年特集号。
 振り返ってみると、今年はまさに激変の年だったといえる。
 原油価格の高騰に世界中が翻弄され、その後の急落は世界同時不況と一体となって世界経済を混乱の中においている。
 供給量と低価格の両面で20世紀の社会と経済の発展を支え続けた石油は、その役割を終えようとしているようだ。石油に変わるエネルギーとしての役割が期待できそうなのは、原子力と再生可能エネルギーという方向で衆目が一致し始めている。
 6月の洞爺湖サミットでは2050年までに世界のCO2排出量を半減するという日本の提案による合意が得られた。7月には昨年のクールアース50から始まる一連の流れの中で低炭素社会へ向かう行動計画が発表され、2050年にまでに国内のCO2排出量を60〜80%削減するという長期目標が示された。まさにエネルギー供給構造の革新的転換が余儀なくされる方針が示されたといえる。21世紀を支えるエネルギーは環境負荷の少ないものでなければならないという方向が明確になった1年であったと総括してもいいだろう。
 さて、国内のエネルギー供給構造を巡る環境もこうした中で様変わりした。低炭素社会へ向かう取り組みの具体化へ向けて、政府の政策論議も夏以降に活発化してきている。議論の方向は、新エネルギーの利用拡大と化石燃料の高度利用へ向かうという図式が明確になってきている。こうした図式を需要側の視点で見ると、エネルギーは電気に転換して使うことがますます広がりつつあるように見える。化石エネルギーも非化石エネルギーも電気に変えて、空調などの熱エネルギーとしても使用する。さらに自動車までも電気自動車に変わるという流れができてきた。電気を貯めて走るのか発電しながら走るのか、いずれにしても走るエネルギーは電気だ。
 再生可能エネルギーとして利用拡大が打ち出されているのは太陽光発電とバイオマス、風力などだが、中でも特に太陽光発電の利用拡大で、2030年までに現状の40倍の導入を実現するという目標に向けたシナリオづくりも始まっている。
 一方では、太陽光の大量導入を受け入れる電力系統側の対策検討も開始され、大量導入によるコストを社会的にどう負担し合うのかという議論も始まっている。系統側が受け入れ困難だというのであれば、系統に負担をかけないマイクログリッドなどの新たな供給構造も必要になる。
 エネルギー供給構造の根本的な転換の必要性が明らかになった今年につながる来年は、まさにエネルギー維新の年として迎えることになりそうだ。