2008年125日号

オフィス系ゴミからバイオガス 東ガスらが実証試験
 東京ガスは、オフィスビルなどのゴミからバイオガスを回収する実証試験に国内で始めて乗り出す。欧州などで実用化が進んでいる「乾式メタン発酵法」を用いて、紙ゴミや厨芥から排水を出さずにゴミを発酵させ、バイオガスを取り出す。
 乾式メタン発酵法は、水分の少ない状態でバイオマスからメタンを生成する技術。事業系一般廃棄物として多量に排出される紙ゴミと厨芥を併せて処理することができるほか、排水が発生しないことから排水処理のための設備や動力を必要とせず、システム全体としてのエネルギー利用効率に優れている。
 実証試験は、環境省の「地球温暖化対策技術開発事業」の採択を受け江東区、東京都環境整備公社と共同で実施する。12月初旬から、同区清掃事務所・環境学習館「えこっくる江東」の敷地内に実証施設を建設し、完成後の来年2月以降、11年2月までの約2年間行う。
 回収したバイオガスと都市ガスの最適な混焼技術を開発し、バイオガス貯留タンク(ガスホルダー)を最小、あるいは不要とするコンパクトなシステムの実用化につなげていく。
 試験では、区内のオフィスビルから発生する紙ゴミと厨芥(1日あたり計300kg)を乾式メタン発酵槽から引き抜いた汚泥と投入装置内で混合した後、乾式メタン発酵槽に投入。発生したバイオガスは脱硫してガスホルダーに貯め、バイオガスボイラーで都市ガスと混焼する。発生蒸気の一部は投入装置の加熱用に使う。
 併せて、発酵残さの簡易な乾燥や固形燃料化などの処理技術についても、エネルギー収支も含めて検討していく。バイオガスの回収量は、環境省の補助金の交付基準である1トンあたり150N立方mを目標としている。
 事業系一般廃棄物は現在、多くは焼却処理されているが、多量に発生し収集が容易であることから都市型バイオマス資源として期待されている。


共同省エネ事業に国内クレジット事業 新エネは除外
 資源エネルギー庁は11月27日に、第5回の工場判断基準小委員会を開催し、改正省エネ法で柱の一つとなっている「共同省エネルギー事業」の基準について検討を行った。
 国内CDMクレジット創出事業を「共同省エネルギー事業」として、省エネ法に取り込むのが目的で、省エネ法の規制対象となる企業などが中小企業などと共同で省エネ事業に取り組んだ成果を自社の省エネ評価に反映できる取り組み。
 同日の小委員会で示された案では、自社の省エネ実績にはカウントしないものの、共同省エネ事業の実績を届け出ることによって定期報告時の内容評価に反映できるようにする。また、共同省エネ事業の実績については第3者認証を必要とすることや、国内クレジット制度で認証された事業については、再生可能エネルギーによるものを除いて、そのまま認めることなどが示され。
 この場合、再生可能エネルギーを利用した国内クレジット事業については、使用エネルギーの削減という観点からは、必ずしも省エネとはいえない場合があるとして除外する。また、国内クレジット事業については、事業者が独自に行う共同省エネ事業より簡素な報告様式を用いることも提案された。
 共同省エネルギー事業としては扱われないクレジットは@グリーン電力証書ACER(京都議定書に基づくクレジット)B省エネルギーに寄与しない新エネなどの国内クレジットC排出量取引制度の余剰排出枠。


太陽光自家消費分を自動検針でグリーン証書化
 グリーンエネルギー認証センターの運営を行っている日本エネルギー経済研究所は、家庭用の太陽光発電設備の自家消費電力分を自動的に検針する遠隔検針システムの採用を認めることにしたと発表した。
 グリーン電力証書は、発電した電力のうち、電力会社に販売した分を差し引いた自家消費分の「グリーン価値」を証書化して、カーボンオフセットなどに取り組む企業などに証書を販売する仕組みだが、家庭用の自家消費分の電力を計測するには電力計の設置や検針作業などが必要なため、グリーン電力証書の対象とはなりにくかった。
 このほど、認証センターと資源エネルギー庁が協議して、検定証印付きの電力量計のデータを遠隔監視によって収集しグリーン電力化することを認めることにした。
 これによって、プロバイダーなどが複数の家庭に電力計を設置して自家消費分の太陽光発電電力を取りまとめた「太陽光発電ファーム」の電力を一括してグリーン証書化できるようになる。自家消費分の「グリーン価値」がプロバイダーによって証書化され経済的価値が付くことで、太陽光発電の普及をさらに後押しできることかを期待している。
 面開発した複数の住宅団地等で太陽光発電付きの住宅を販売し、その自家消費分を取りまとめるプロバイダー事業や、コンビニなどの各地に散らばるチェーン店舗などを一括して「太陽光発電ファーム」とすることなども考えられる。
 ファーム化する事業者(証書申請者)側と認証センターがそれぞれ個々の電力計のデータを読み取れるようにすることで検針データの信頼性を確保する仕組みを整える。


太陽光コスト負担は7兆円 託送料金にも上乗せ
 太陽光発電の大量導入に伴って必要となる系統安定化コストの負担のあり方について検討している資源エネルギー庁のコスト負担検討小委員会(横山明彦東京大学大学院教授)が第3回の会合を開き、これまでの議論を踏まえてコスト負担の方向性について大枠の考え方をまとめた。
 太陽光発電の導入量を20年度で1400万kW(原油換算350万KL)、30年度で5300万kW(同1300万KL)と想定、20年度の国内の電力総需要量1兆575億kWh、30年度1兆1258億kWhの試算値を置き、出力安定化のための蓄電池を@需要側に置くケースA系統側に置くケースB揚水発電などを調整電源として活用するケースの3点を主な例として示し、それに事業用のメガソーラーの導入費用や余剰電力の買い取りコストなどを加えたものを「総コスト」とした試算結果を示した。その結果、@からBのケースでは約5.9兆円から6.8兆円の幅で回収が必要なコストが発生し、その負担を託送料金と電気料金に按分して回収するシナリオを示した。示されたシナリオによるコストを電気料金に反映した場合、1kWh当たり10銭から29銭、託送料金で10銭から21銭を上乗せすることになる。
 同日の会合では、委員側からは蓄電池設備の需要増によるコスト低減が大幅に実現できる試算も示され、家庭用の電力料金よりも蓄電池併設の発電コストの方が安価になると系統対策は必要がなくなるのではないかという疑問も示された。
 小委員会は、1月9日に次回の会合を開き、議論のとりまとめを行う。


太陽光産業戦略策定へ研究会を立ち上げ
 総合エネ調の第29回新エネルギー部会の会合が11月25日に開かれ、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの拡大に向けた取組や、RPS制度の見直しに向けた方向性などについて議論した。
 2030年までに現状の40倍の導入量が目指される太陽光発電については、導入目標量を年度ごとに展開するロードマップデータに基づいて次世代型太陽光発電システムの低コスト化や施工方法の標準化などの課題整理を行った。また、太陽光発電や風力発電などを国内の有力な産業として育成していくことなどが提案され、特に太陽光発電については、先日公表された「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」に基づいて、すそ野の広い太陽光関連産業を将来国内の中核的な産業に育てていくための「太陽光発電産業戦略」を検討する研究会を年内に立ち上げ、来年2月をメドにとりまとめを行うこととした。


その他の主な記事
・熱利用拡大へ研究会が初会合
・都市熱料金、原調費見直し案示す
・総合政策小委が論点整理
・ループウィング11kW機が竣工
・シャープがイタリアで電力会社と太陽光発電事業を協業
・住友林業らが卸売り用バイオマス発電事業で合弁
・エコノスが排出量取引のコンサル事業を開始
・大日本スクリーンと岐阜大学が太陽光で共同研究
・日産が燃料電池車を日光市に納車
・燃料電池車をリース販売
・スズキが燃料電池車を静岡県にリース
・太陽光発電を遠隔監視、家庭用電力をグリーン証書に
・JR東日本が東京駅で発電床テストを再開
・新エネ大賞決まる、バイオマスで熱電併給など
・バイオディーゼル油などテーマにSSKがセミナー
・経産省、国交省のCDM28案件を承認
・バイオマスタウン構想、新たに2市町村決まる
・08年度業務部門別導入補助2次4件決まる
・エネ合理化戦略2次、エネアドなど決まる
・NEDO省エネフォーラムで事業成果報告など
・地域の環境技術開発でシンポ
・対インドのエネルギービジネスでシンポ  etc.

<シリーズ企画>
・プラントメンテナンスの現在 その2
 =日本発の保全マネジメントシステム=
・メーカーの今を探る
 =エンジン燃焼の制御機器・システムの世界的企業 日本ウッドワードガバナー=

シリーズ連載
・コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 第6回 海外ミッションで得られたもの(その3)

コラム
発電論評<省エネから除かれる再生可能エネ>
・プリズム<危険と隣り合わせのエネルギービジネス>
・ちょっと一休<産経新聞の経済記者が書いた小説>
・青空<手に職をつけよう>


省エネ法で再生可能エネ利用が排除される理由【発電論評】

 改正省エネ法の省エネ判断基準の検討が進められている。
 今回の主な改正要点は、事業所別の規制から事業者単位の規制への転換、共同省エネ事業の導入、セクター別ベンチマークの導入の3点で、省エネの取り組みの拡大をねらって、中小店舗の集まりであるコンビニなども事業者単位ということで規制対象に加えられた。温暖化問題も加わって、規制対象の拡大が図られたのである。
 省エネの取り組みはそもそも自らがエネルギーの使用を合理化し、エネルギー使用量を削減することが基本になるが、今回の改正では、自らが削減できない分を他社に資金や技術を投資してその成果を自社の成果に反映できるという仕組みとして共同省エネルギー事業が加えられたはずであった。まさに、京都メカニズムのCDMの考え方をまねたものといえる。CDMをまねた国内限定の制度としては、今秋から国内クレジット制度も開始されている。この国内クレジットも、省エネ法の共同省エネルギー事業として認められることになる。
 ところが、国内クレジットであっても、再生可能エネルギーの利用は認められないという方向で省エネ判断基準の議論が進められているのだ。理由は、省CO2であっても省エネとは限らないということ。省エネ法では、使用したエネルギー量を最終的には石油換算して、年度ごとに削減することが求められる。再生可能エネルギーを利用してもエネルギー使用量が減っていなければ省エネとはいえないということだ。
 この考えに従えば、自社工場などに太陽光発電を導入しても、使用する総電力量が削減できなければ、省エネしたとは認められないことになる。
 確かに、CO2削減と省エネルギーは目的が違う。しかし、省エネルギーの概念そのものは石油ショックを契機として石油使用量の低減を目的に、需要側の対策として始められたものではなかったのか。再生可能エネルギーが拡大すれば、エネルギー起源のCO2が削減されるということは、それに見合った化石燃料の使用量が削減されるということを考えれば、省エネ法の目的に充分に合致するといえるのではないか。
 一方では、政府の施策として太陽光発電の大量導入を目指して、様々な対策が講ぜられようとしている。日本の次代を担う産業に育成しようという政府の方針も示されている。
 再生可能エネルギーを導入しようとしている需要家に、省エネ投資は別の手段によることが求められるのでは、再生可能エネルギー拡大に棹さすことになるといえるのではないか。
 木を見て森を見なかったり、角を矯めて牛を殺すことにならないために、今一度基準案の見直しを考える余地はないのだろうか。