2008年1125日号

未利用廃熱から電気と蒸気 熱電発電をガス給湯器に適用
 NEDOは、産業技術研究助成事業の助成先である産総研の船橋良次主任研究員が、熱交換可能な酸化物熱電モジュールの開発に成功し、ガス給湯器に組み込むことで、新たに蒸気回収と発電機能が付加できる高効率の熱電発電技術の開発に成功したと発表した。
 従来の熱電発電モジュールで課題とされていた熱交換性の悪さや電力低下などの問題を、熱交換性と耐久性に優れる六角形のパイプ型モジュールとし、高温側に窒化アルミニウムを材料とするフィンを取り付け、効率よく熱回収できるようにした。30回以上のガス燃焼実験によっても発電性能は劣化せず、耐久性にも優れていることを確認した。
 従来の給湯器は、高温で燃焼する天然ガスの熱エネルギーを100度C以下の給湯にしか活用していないものを、800度Cの高温下でも繰り返し使用を可能にすることで、従来捨てられていた未利用の廃熱を利用して発電と200度Cの加熱蒸気の発生させることができた。また、システムのエネルギー利用効率を高めるとともに、排ガス中のCOの低減にも役立つ。発電機能を持つことで、ガス給湯器内部の使用電力もまかなえるため自立型のシステムが構築できる効果もある。
 基本的な素子材料の選択やモジュール設計・製造はクリアしており、事業化へ向けた研究開発が目指されている。
 熱電発電は、棒状の導体の両端に温度差を付けると、温度差に比例した電位差が生じるゼーベック効果を利用して熱エネルギーを直接電気エネルギに変換するもので、利用されずに大量に廃棄されている発電所や工業炉などの廃熱の回収利用などを実現する技術として注目されている。また、比較的低温域でも温度差があれば発電でき、国内でも温泉とわき水の温度差を利用した発電システムの導入例もある。
 発電能力は現在開発中のシステムを小型の給湯器に組み込む場合は8W程度。給湯器の効率が3%程向上できる。また、モジュールのコストは現在でも1Wあたり200円程度で、特に低コストの材料が期待できるため、商品化の段階では100円を切ることを目標に開発を進めていく方針。


CO2から高性能プラスチック 産総研が技術開発
 産総研は、CO2を原料とするプラスチックの弾性率や強度などを大幅に高めることに成功したと発表した。
 CO2由来のプラスチックに他のプラスチックを複合化することで、PPC(ポリプロピレンカーボネート)の強度を高め、高性能プラスチックとすることができた。開発した複合化PPCは耐熱性も向上しており、、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどの石油資源から製造されている汎用プラスチックの代替品となることが期待できるという。
 CO2を原料としてPPCを製造すると、重量の43%はCO2が置き換わったことになるが、開発した複合PPCでも30%はCO2が固定化できる。産総研では、火力発電所などから大量に排出されるCO2が今後、地球温暖化対策の一環として回収・貯留する方向で技術開発が進められている社会的背景もあり、CO2の隔離・固定化技術として位置づけられることを期待している。
 産総研では、今後、複合化PPCのさらなる性能改善を進めるとともに、実用化材料としての評価を進めることにしており、関心のある企業には積極的に技術移転を行っていくとしている。


国内クレジット制度の連続説明会始まる
 国内クレジット制度の募集を始めている政府は、参加企業の拡大や制度の周知の拡大を目的に全国8地区での説明会をスタートさせた。
 初回となった東京会場の説明会は、11月17日に、東京・港区のホテルを会場に開催され、制度の事務局を構成する内閣府、経産省、環境省の担当官らが、自主行動計画の目標達成を目的に国内での排出削減に貢献できる制度として運営することや、特に、自社単独では省エネ投資や削減対策が実施できにくい中小企業での削減対策を進めるために、国内クレジットを発生・取得できる手段として制度が機能していくことを期待するなど、制度の趣旨について説明した。
 東京会場での説明会では、自治体などが、商店街や家庭などで、グリーン電力などの導入を行い、それをクレジットとして自治体が買い取り、企業などへ販売することも可能なのかなどの質疑も行われ、関心の高さが窺われた。


川重が秋田でバイオエタノールを製造へ
 川崎重工業は、グループ会社の川崎プラントシステムズが、秋田県でバイオエタノールの製造実証事業を実施すると発表した。農水省が公募した実証事業を受託したもので、八郎潟干拓地の大潟村で採取した稲ワラを使ってバイオエタノールを製造する。発酵過程では従来用いられてきた硫酸を使用せず、NEDOと共同開発を行っている熱水を利用した技術を採用し、低コストでのバイオエタノールの製造を目指す。稲わらの収集運搬は秋田県の支援を受け、秋田県農業公社が実施する。実証事業期間は24年度までの5年間。
 バイオエタノールの製造は、潟上市の工業団地内に実証プラントを建設し、純度99.5%、1日当たり200L(年間112日稼働)のバイオエタノールを製造する。


丸紅が独MTU社製Dエンジンで合弁
 丸紅は独大手ディーゼルエンジンメーカーのMTUグループと、日本国内の合弁販売事業を行う。MTUの日本での販売事業を行っているMTUジャパンに丸紅が出資し、株式の49%を取得し、社名を「MTU−Marubeni」とする。
 MTUは独ダイムラー社が25%の筆頭株主で、世界的なディーゼルエンジンメーカー。舶用や建設機械、車両用、発電用、軍用など幅広い分野の世界市場で事業展開を図っている。これまで、丸紅はMTU社製の軍用エンジンの国内総代理店となっていたが、合弁化することで両社の販売チャンネルを活用して営業活動を強める。


エコプロダクツ大賞にシャープの薄膜太陽電池など
 エコプロダクツ大賞推進協議会(会長・森島昭夫名古屋大学名誉教授)はこのほど、「第5回エコプロダクツ大賞」を決めた。
 大賞は、環境負荷低減に優れた製品・サービス(エコプロダクツ)を表彰することによって、エコプロダクツのさらなる普及を図ることを目的に、04年度からスタートした。経済産業省、環境省など6省が後援している。
 大賞はエコプロダクツ部門、エコサービス部門で構成されており、この内、エコプロダクツ部門では、経済産業大臣賞にシャープの「薄膜太陽電池モジュール」が、国土交通大臣賞に日産自動車の「クリーンディーゼル自動車『X―TRAIL20GT』」が輝いたのを始め、環境大臣賞、農林水産大臣賞の合わせて4件の大賞が、エコサービス部門では経産大臣賞に三洋電機の「エコストアシステム」が選ばれるなど、3件の大賞が決まった。
 また、大賞のほかに優秀賞や奨励賞など、2部門合わせて17件の表彰も決まった。表彰式は12月11日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催される「エコプロダクツ2008」で行われる。同日は、大賞受賞者の事例発表も併せて行われる。


その他の主な記事
・電気燃調制度を見直し、価格反映期間を短縮
・環境税は見送り、既存税制の炭素税化求める(環境省)
・J−VERクレジット受付開始
・大王製紙工場でバイオマスガス化
・京セラが太陽電池で新工場
・日豪7社でCCSの実証試験
・産総研が高性能次世代型太陽電池を開発
・カーボンフットプリント統一マーク決まる
・8月末のRPS認定設備の状況
・JTBと京急がカーボンオフセット付き羽得きっぷ発売
・SSKセミナー、排出量取引とCO2削減の実務
・海外の排出量取引で地球環境戦略研究機関がセミナー
・第4回ホロニックシンポは1月に
・国際標準化セミナー1月に開催
・住宅・建築物省CO2推進モデル事業決まる
・高効率エネ導入追加公募開始
・次世代自動車用蓄電池ロードマップ作成はテクノバに
・有機ハイドライド利用研が特別講演会  etc.

シリーズ連載
・<新>カーボン・マネジメント入門C
 「意志決定の指標にCO2価値」
 (大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長)
・エネルギーと世界経済の潮流@
 =米国のエネルギー政策はどう変わるのか=
 (寄稿:岩間剛一和光大学経済経営学部教授)


コラム
・発電論評<グリーン電力取引と系統対策>
・プリズム<太陽電池産業を直撃するユーロ安>
・ちょっと一休<会津赤べこ会で会った歌手>
・青空<安心な政治を求める>


グリーン電力取引と系統対策【発電論評】

 「発電過程ではCO2を排出しない」グリーン電力の市場取引が始まった。取引の制度はできたが、果たして実際にグリーン電力が市場で取引されるのかが次の注目点だ。
 取引が始まって、市場取引によってグリーン電力の価格指標ができるかどうかということなのだが、あまり期待できそうもない。
 一般電力の場合でも市場取引されている電力量はあまりにも少なくて、電力の価格形成に影響力がないというのが現状だし、グリーン電力の場合も、果たして電力の売り手がいるのだろうかという素朴な疑問がある。
 今回、取引の対象とされている「グリーン電力」とは、原子力と水力と再生可能エネルギー起源の電力だが、原子力や水力は、電気事業用の電源として電源開発の段階から供給先が決まっていて、そもそも市場取引にはなじまないもので、電力会社も原子力などの切り売りはしないという姿勢を崩してはいない。
 それでは、再生可能電源はどうかというと、こちらも通常は、電力会社に「買い取って貰う」ことを前提に「電源開発」が行われており、また、既設の再生可能電源は、ほぼ全量が「RPS」電力として囲い込まれているという現状を見ても、市場取引に回る「余剰電力」を探すことは困難であるといえよう。
 そうなると、取引制度はできたが、取引される「商品」がないという状態が続き、結局は、CDMクレジットやCCS技術などでCO2をオフセットした火力電源が市場で取引されるまで待つということになってしまうのではないか。
 さらに、市場取引を行う場合は、電力会社に売却する場合とは違って、託送料金も必要になるという問題もある。ただでさえ発電コストの高い新エネ電力に、さらに託送料金が上乗せされると相当高額な販売価格となり、普通の商取引の対象とはなりにくいということになりかねない。
 2050年までに現状から60〜80%のCO2を削減するという長期目標を達成するためには、大幅な新エネ電力の拡大が不可欠だというのは衆目の一致するところだが、そのために、市場取引の対象とすることで、新エネ電力を円滑に流通できるような仕組みを作るという考え方は評価できるといえる。ただ、それを実現するためには、制度を作ったままで運用は市場任せにするというのではなく、政策的なサポートを考える必要もあるのではないか。例えば、託送料金の一部または全部を公的に補助するということはどうか。公的サポートがあることで託送コストが確実に回収できることになれば、電力会社も安心して系統強化の対策を講ずることができる。
 制度を作った以上、それを育成していくための視点が欠かせないということではないか。