2008年115日号

NEDOが中国でマイクログリッドを実証研究
 NEDOが中国浙江省で中国政府と進めているマイクログリッドの実証研究の設備が完成した。杭州市内にある杭州電子科技大学の構内に太陽光発電120kW、ディーゼル発電120kW、電気二重層キャパシタ、2次電池などで構成する小規模な電力ネットワークを構築して系統連系し、大学構内に電力を供給する。
 系統連系時と単独運転時の電力供給の安定性や2時電池と電気2重層キャパシタによる負荷変動に対する負荷追従性の評価などを行う。また、マイクログリッド内でより安定的な電力供給が行えることを実証するために、電力品質保証装置と瞬低補償装置の効果の評価も行う。
 太陽光発電設備の大量導入時の系統安定化に対するコスト負担のあり方などが問題視されてきているが、NEDOでは、太陽光発電設備などの出力変動が激しい電源を主体にしたマイクログリッドを安定的に運転できるシステムを構築するために、システムの構成や運転方法の確立を図ることを実証運転のテーマとして掲げている。杭州市での実証設備では、全電源に対する太陽光発電設備などの割合を50%以上に高めた実証運転を予定しており、最終的には日本の基準に適合した電圧や周波数等を実現するためのシステム構成や運転方法を確立することが目指されている。
 実証試験の受託先は清水建設で、明電舎と中国電力が再委託を受けて実施する。


化石燃料高度利用へ検討始まる
 脱石油から脱化石燃料へ、低炭素化社会へ向けたエネルギー政策への見直しを図るため、代エネ法の廃止と安定供給の確保を前提に、その後の政策の方向づけの検討を開始した総合資源エネルギー調査会の政策小委員会(委員長・石谷久慶應義塾大学大学院教授)が、10月27日と29日に会合を開き、各エネルギーセクターからのヒアリングなどを行った。
 27日には都市ガスとLPガス、29日には電力と石油業界からヒアリングが行われ、化石燃料の高度利用に向けた取り組みの現状や方向などについて報告を聞いた。
 都市ガス業界の高度利用に向けた取り組みでは、低炭素社会を支えるエネルギーの安定供給を考える上で、輸入地域の分散、多様化や化石燃料の中でもCO2排出量が少ないことなどから、今後とも不可欠なエネルギーとして位置づけられることが必要で、バイオガスの生産や導管への受け入れ、太陽光、太陽熱利用設備などとの利用拡大の観点からも、天然ガスを中心とする化石燃料の安定確保の視点がエネルギー政策上も重要であるとの観点を示した。
 LPガス業界からもほぼ同様の観点からの現状の取り組みが紹介され、中小事業者が多い都市ガス、LPガス業界の産業強化の視点からの政策転換の必要性などが要望された。
 29日の会合では、電力、石油業界からのヒアリングがおこなわれ、新エネルギーとの協調や次世代燃料である水素化など高度利用技術の方向などが示された。


東京ガスが家庭用燃料電池対象に新料金メニュー
 東京ガスは10月31日、来年4月から設定する新たな家庭用燃料電池向け新料金メニューを経済産業大臣に届け出た。
 新料金メニューは「エネファームで発電エコプラン(選択約款)」。すでに現行の「家庭用燃料電池契約」を契約していて今後、3年間の契約期間が満了する顧客と、来年4月以降、新たに家庭用燃料電池を設置する顧客が対象となる。
 既存の家庭用選択約款の中でも最も安価な料金水準となり、ガス温水浴室暖房乾燥機やガス温水床暖房を合わせて導入すれば、標準的な家庭で年間5万〜6万円程度割安になるという。
 従来、国の「定置用燃料電池大規模実証事業」の開始に対応して、一般料金から3%の割り引きを行うとともに、毎月の請求上限額を9500円とする契約を設定していたが、来年3月31日をもって新規申し込みの受け付けを終了する時限契約となっていたため、新料金メニューを設定した。。


CCS研究会が再開 実証試験に向け法的枠組みを整理
 経済産業省は、石炭火力発電所などからのCO2の分離・回収技術の実用化に向けて、二酸化炭素回収貯留研究会(CCS研究会 座長・茅陽一地球環境産業技術研究機構副理事長)を再開し、10月30日に再開後第1回の会合を開いた。
 CCS技術が、地球温暖化対策の主要技術として世界的に注目度が高まる中で、回収技術の実用化を急ぐとともに、貯留地点の調査や制度整備上の問題点などの課題整理を行う。また、法的な枠組みについても検討し、実証試験に向けた方針をまとめる。来年3月をメドに指針をとりまとめる。
 具体的な検討作業を行うために、回収したCO2を海底下などへ注入・貯留するまでの段階と貯留後の安全性の確認や監視などの2段階に分け、安全基準検討と長期的な安全性確保を検討する2つのWGを設置して検討を進める。検討課題は@候補地の地質などの選定条件ACCS施設の安全性確保B事業実施時の安全性、環境面の検討事項C諸外国の規制実態D国内関連法規との関連整理、の5項目。


その他の主な記事
・新エネ部会、太陽光大量導入をロードマップ化
・料金制度小委で燃料費調整制度の見直しで議論開始
・都市ガス3社が中間決算
・伊藤忠、ジャパンエナジーら5社がLPGの事業統合で新会社
・大阪ガスと丸紅が豪州の電力ガス事業に参画
・三井化学が太陽電池事業を拡大
・三菱電機が米国の果樹園にメガソーラーを納入
・三菱重工がみなとみらい地冷向けターボ冷凍機を受注
・ブリジストンらがリチウム電池用電解液を共同開発
・NEDOが中国のヒートポンプ(HP)普及状況調査募集
・第30回風力エネシンポ、参加者を募集
・有機資源協がグリーンフォーラム
・12月に早稲田大でGTシンポ
・G電力証書活用でエネルギー・コムがセミナー
・気候変動と生物多様性セミナー(環境エネルギー政策研究所)
・阪急電鉄がカーボンニュートラル駅を建設
・横浜ゴムがWTCCレースでG電力使用
・低炭素社会へ向け結束、ガスの記念日式典
・NEDOが12月5日に太陽光成果報告会
・IGESが日印低炭素ビジネスシンポ
・08年度太陽光2次FT委託先は39件
・地熱開発補助2次、電源開発らを選定
・排出権取引と集合住宅コージェネでセミナーを開催(SSK)
・新エネ・省エネのガイド本 モデルプラン集50を発刊  etc.

<特集>
・第15回都市環境エネルギーシンポジウム
 =カーボンニュートラル都市の可能性を探る=
 都市環境エネルギー協会(尾島俊雄理事長)が主催する第15回都市環境エネルギーシンポジウムが10月16日に開催された。今年のテーマは「カーボンニュートラル都市の可能性を探る」。地域冷暖房事業の新たな方向性を探るキーワードが、カーボンニュートラル。効率化や省エネの未来に、省CO2を加え、未来型の産業システムが目指される。マイクログリッドに熱の相互融通システムを重ね、地域社会に根ざした地産地消型の低炭素な自立型のエネルギー供給システムを提唱。また、太陽光発電などの再生可能エネルギーも組み込んだ先進的な都市型のエネルギーシステムが目指される。
 シンポジウムは、伊藤滋早稲田大学特命教授と三浦秀一東北芸術工科大学准教授の2つの基調講演に続き、尾島理事長のコーディネートによるパネルディスカッションで、カーボンニュートラルな都市計画の方向性などが語られた。未来のエネルギー供給システムのあり方が具体的に語られたシンポジウムの模様を取材した。
 ●基調講演
  省CO2型の都市づくり(伊東滋早稲田大学特命教授)
  バイオマスの先進事例 (三浦秀一東北芸術工科大学准教授)
 ●パネルディスカッション
  コーディネーター 尾島俊雄理事長
  パネラー 小澤一郎日本都市計画学会副会長 見城美枝子青森大学教授 西田裕子東京都環境局政策部 松田秀夫国土交通省市街地整備課長 松縄堅日建設計総合研究所所長 三浦秀一東北芸術工科大学准教授
<シリーズ企画>
・プラントメンテナンスの現在 その1
 =設備保全サービスに重点を置くGEの取り組み=
 近年、設備保全が経営課題として重要なものになってきている。コスト削減という要請がある一方、重要な安全性の確保やリスクマネジメントが求められている。また、設備更新ということになれば、経営判断が不可欠だが、適切なタイミングで実施することは難しい。こうした設備保全の新しい流れを、数回にわたって紹介する。初回は、設備保全を支援するGE社の多様なサービス。

シリーズ連載
・コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 第5回 海外ミッションで得られたもの(その2)
・<新>この人に聞きたい
 =「見える化」で既存設備を省エネ化する=
 ヴェリア・ラボラトリーズ社長 筒見憲三氏
・書評:「排出権取引の基本と仕組みがよ〜くわかる本」
 本スマートエナジー著 秀和システム

コラム
発電論評<新エネの拡大支えるマイクログリッド>
・プリズム<追加経済対策に電気・ガス料金>
・ちょっと一休<人なつこいウズベキスタンの学生>
・青空<真剣な景気対策を望む>


新エネの拡大支えるマイクログリッド【発電論評】

 エネルギー政策の抜本的な見直しを掲げて、議論が始まっている。低炭素社会へ向かうための方向付けが課題だというが、提示されている論点は、化石燃料の高度利用と太陽光発電の大量導入だ。
 化石燃料の高度利用は、石油代替エネルギーの多様化と、エネルギー起源のCO2削減の方向を目指した脱化石燃料の方向を目指した取り組みだと説明されている。
 1970年代のオイルショック時に80%を越えていた石油依存度は、現在50%程度まで低減しているとはいえ、第3次オイルショックとなった今回は、やはり石油に頼りがちなわが国の経済構造が図らずもあぶり出されてしまった感がある。石油に限らず、天然ガスなどエネルギー資源を海外に依存する構造には変わりなく、低炭素エネルギー供給構造を模索する観点から、化石燃料全体として依存度を下げる方向を目指したいということである。
 代替エネルギーは、原子力と再生可能エネルギーだけでは充分ではなく、不足分は、CO2排出量を可能な限り抑制しながら化石燃料を利用することを考えるという図式だ。排出されるCO2を減らすには、省エネ=エネルギー利用効率の向上と、より低炭素な燃料を使用すること。また、排出されたCO2を回収貯留するCCSも裏技として考える。
 エネルギー密度を考えた時、化石燃料は優秀だ。翻って太陽光などの新エネルギーは密度が極めて低いのが難点だ。太陽光発電の発電効率は現状では20%程度。さらに、年間の運転(発電)時間は1千時間程度でしかなく、設備利用率は10%そこそこということになる。風力発電の設備効率もせいぜい20〜30%といったところだから、大量のエネルギー源として期待しづらい。だがしかし、なにしろ「燃料費」が無料なので、ランニングコストは極めてローコストだ。
 こうした新エネ設備を補完し、安定的なエネルギー源とするためには、コージェネレーションなどの高効率設備と組み合わせることが、現実的な対策だといえる。コージェネの燃料には、バイオマスを可能な限り利用すると低炭素化には更に効果がある。
 目指すべき、方向は明らかになってきているというのに、なかなか方向が定まらないのは、電力系統の使い方が曖昧で中途半端なせいではないか。
 系統を強化して、必要なエネルギーを大量に流通させることを可能にするのか、系統の負担を軽くして、マイクログリッドなど低コストな小規模ネットワークを充実させ、地産地消の拡大を考えるのか、基本的な方向付けをまず行った上で、設備や制度の充実化を図ることが必要なのではないか。2050年は遠いようで、そんなに時間があるわけではないのだから。