2008年1015日号

「脱石油」から「脱化石」へ、エネルギー政策を転換
 「脱石油」から「脱化石燃料」へ、日本のエネルギー政策を抜本的に見直す検討が、総合資源エネルギー調査会の総合部会で始まった。
 地球環境問題の高まりや長引く石油価格の高騰など、エネルギーを取り巻く情勢が急激に変化し、エネルギー起源のCO2排出量の大幅削減が課題となる中で、70年代の石油ショック以来、エネルギー政策の一つの柱として掲げられてきた「脱石油」の方針を変更し、化石燃料全体の「省エネ」化を図る方向で、石油、石炭、天然ガスについては「高度利用」を追求する。また、太陽光発電やバイオマスなどの再生可能エネルギーの拡大に向けての課題の整理も行われる。
 10月10日に開かれた第1回の総合部会では、代エネ法に変わる化石燃料の高度利用を目指す新法を制定などを視野に「代エネ施策の評価と今後の対応、化石エネルギーの評価と課題、(新エネや原子力など)促進すべき措置とその実施主体、エネルギー供給構造高度化に際して留意すべき事項の4項目を主な検討課題として掲げ、代エネ法に変わる化石燃料の高度利用を目指す新たな枠組みや非化石エネルギーの促進策について、安定供給とセキュリティーの確保を前提にエネルギー種別ごとの役割や位置づけについてあらためて検討することにした。
 また、一方で必要となる新エネルギーの導入拡大については、現在の新エネルギー政策の延長線上で、太陽光やバイオマスなどの飛躍的な拡大を目指し、その場合の目安としては20年にゼロエミッション電源を50%以上とするなどのわかりやすい目標を掲げる。


ブラジルからバイオ燃料購入で長期契約 石油業界
 石油元売り各社などがバイオ燃料の輸入を共同で行うことを目的に設立したバイオマス燃料供給有限責任事業組合(JSBE)は、ブラジルの大手バイオエタノール製造販売組合のコペルスーカル(本社・サンパウロ)とバイオエタノールの長期購入契約を10月7日付で締結したと発表した。
 契約数量は年間約20万kLで、JSBEが今年7月に締結した長期契約した米国のライオンケミカルカンパニーの米国工場でバイオETBEに加工して、日本に輸入する。購入するバイオエタノールは食料と競合しないサトウキビを原料とするものに限定し、購入契約では、さらに、自然環境や人権に配慮する努力義務などの条件にしたという。
 米国でETBEに加工後は、ケミカルタンカーで日本に搬送し、東日本は出光興産の千葉精油所、西日本は和歌山石油精製の南海工場を輸入1次基地として受け入れる。
 石油業界では、10年度に業界全体でバイオETBEを84万kLガソリンに配合して販売する計画であるが、これによって10年度以降に石油各社が販売に必要なバイオETBEの確保の見通しが立ったとしている。


燃料費調整制度など、電気料金制度、見直しへ
 経済産業省は、非自由化部門の電気料金制度の見直しに向けて、検討作業を開始する。10月17日に電気事業分科会を再開し、燃料費調整制度の改定や太陽光発電など新エネルギーのコスト負担のあり方などを中心に料金制度を抜本的に見直す。
 具体的な検討は小委員会を設置して検討する。来年4月を目途に、新料金制度の導入を目指す。
 また、同様の料金制度の仕組みを持つガス料金についても見直しを行う方向で、電気事業分科会の開催に引き続いて21日には都市熱エネルギー部会を開催し、見直し作業を並行して進める。
 燃料費調整制度は、電力の小売り自由化の部分導入を契機として、非自由化部門での電気料金の安定化を目的に、主に、石油や天然ガスなどの輸入燃料費の変動に対応するため、電気料金の認可を不要とし、届け出だけの簡便な手続きで料金の変更を可能とするように導入したものであるが、当時は大きな変動が想定されていなかった石油価格の高騰により、燃料費調整制度による価格変更が継続していることから、現状に合わせて、価格調整力を持たせる方向で見直しを行う。ガス料金制度についても同様の内容で見直しを行う。


環境税の既存エネ税制との調整など検討
 環境税の導入について検討しているグリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会が、10月14日に第4回の会合を開き、既存税制との調整の方法や排出両取引制度とのポリシーミックスの考え方など、税制の具体的な制度設計について議論した。
 既存エネルギー税制との調整については、石油石炭税との関係を中心として、炭素含有量に応じた税率の修正や税制中立とした場合の還付や負担軽減の考え方について、また、排出量取引制度の導入を前提として環境税を上流課税方式として導入する場合の負担や還付、また補助制度との関係などについて検討した。
 環境税を最終消費の段階で課税する場合に、現在揮発油税などの道路関連諸税が課されていない灯油や石炭天然ガスの負担をどう考えるのかなども検討項目として取り上げられている。


その他の主な記事
・カーボンオフセットで英国と協力
・低炭素電力システム研で原子力計画などを確認
・8月の産業機械受注は減少、外需が不振
・富士経済が住宅のエネルギー調査
・セイコーインスツが2次電池の生産を拡大
・東ガスがエコジョーズや太陽熱で団地再生事業に協力
・デンソーがディーゼル噴射実験棟
・三菱重工がターボチャージャーを増産へ
・三菱商事がオフセット用クレジットを販売
・京セラ、国内初のG電力ゴルフツアー
・新日石が11月に「21世紀のエネルギーを考えるシンポ」
・エコテクノ2008、G電力
・CDM案件を承認
・環境省がコベネフィット案件を募集
・さいたまでバイオ燃料セミナー
・省エネ推進2講演開催、11月と12月に
・地域新エネ導入支援決まる
・エコまちづくり2次19都市決まる
・新エネの系統連系に関わる国内外の技術調査 
・7月末のRPS認定設備    etc.


燃料電池新聞の主な記事
・本格的な市場形成に向かう家庭用燃料電池の需要予測
・「シーテックジャパン2008」に見るのモバイル燃料電池
・海外ニュース
 -ダイムラー、ベルリンで電気自動車の普及強化
 -コンチネンタル社、リチウムイオン電池の量産を開始
 -クアンタムスフェア社、リチウムイオン電池の容量を5倍にする技術開発
 -現代・起亜自動車、2012年に燃料電池自動車1,000台を生産
 -北京オリンピックで中国の燃料電池自動車などが活躍
 -MTIマイクロ社、DMFCチップを開発
 -スマートフュールセル、遠隔監視カメラ用電源としての燃料電池を開発
 -バイヤングループ、家庭用SOFCコージェネを開発
 -ドイツ、家庭用燃料電池の実証試験開始
 -セラミックフューエルセルズ社、家庭用燃料電池の量産を2009年6月から開始
 -アキュメントリクス社、家庭用燃料電池の実証試験を開始
・燃料電池フラッシュニュース
 -日産自動車、SiC素子を使用した車両用インバーターを開発
 -住友金属、2012年を目標に燃料電池用金属セパレータを事業化
 -東京電力、都内の地下駐車場で電気自動車用充電設備の実証試験開始
 -上智大学、中温作動の無加湿型電解質膜を開発
 -日産自動車、2008年パリ自動車ショーに電気自動車「NUVU(ニューヴ)」出展
 -三菱自動車、ニュージーランドの電力会社と電気自動車普及活動を開始
 -神奈川県、電気自動車用充電設備を2009年度から18箇所に設置
 -GSユアサ、電気自動車に関する共同研究を開始
 -産総研、腐食しにくい触媒担体材料を開発
 -日本原子力研究開発機構、80度で作動する家庭用燃料電池用電解質膜を開発
 -立命館大、ガス透過性のある多孔質固体電解質を開発
 -古河電池、米イーストペン社にハイブリッド鉛電池のライセンス供与
 -東京工業大学、ドライ炭化水素を直接燃料とするSOFC開発
 -東芝、カナダの自転車メーカーからリチウムイオン電池を受注
 -豊田自動織機、カナダのハイドロジェニックス社の燃料電池スタック採用
 -日清紡、燃料電池用カーボンセパレーターを増産。当面は2万台分、2014年度には30万台分
 -三菱ガス化学、出力300Wの燃料電池可般型電源装置を開発
 -アクアフェアリー、出力が1.5Wの携帯電話向け燃料電池を試作
 -荏原が東ガス向けにエネファームを出荷  etc.
・燃料電池インフォメーション
 ■東京大学「第2回CEEシンポジウム『資源・環境エネルギー問題に貢献する水素戦略と水素エネルギー導入シナリオ』」 10月17日(金) 東京大学生産技術研究所コンベンションホール(東京都目黒区)
 ■水素エネルギー協会「第126回定例研究会」 10月30日(木) 九州大学伊都キャンパス(福岡市西区))
 ■電気化学会「第49回電池討論会」 11月5日(水)〜7日(金) リーガロイヤルホテル堺(大阪市堺区))
 ■日本エネルギー学会「新エネルギー部会セミナー・CO2フリー水素製造技術の動向」 11月27日(木) 工学院大学大会議室(東京都新宿区))  etc.

シリーズ連載
・<新>カーボン・マネジメント入門@
「企業経営者に必要な温暖化問題への正しい理解と決意」
(大串卓矢・日本スマートエナジー代表取締役社長)
・インサイト・分散型実務の話題(温室効果ガス削減戦略@)
・世界を読む(4)<エネルギーの多様化がもたらす持続可能な社会>
・<メーカーの今を探る>
=環境計測器で大きなシェア・テストー=
 ボイラーなどの固定発生源から排出される排ガスの性状を1台で計測できるのが燃焼排ガス分析計。テストーはこうした工業分野におけるハンディータイプの電子計測器全般の製造販売を手がける世界で唯一の総合メーカー。独・テストーAGの日本法人で、このほど、ボイラーやコージェネ、発電機、エンジンなどから放射される赤外線を関知して熱画像に転換できる低価格の赤外線サーモグラフィーの販売を開始した。原油高にあえぐ市場をむしろビジネスチャンスと捉え新たなメンテナンス市場の拡大を模索している。

コラム
・発電論評<創エネルギーの時代に向かう>
・プリズム<経産相が唱えた電気料金制度の見直し>
・ちょっと一休<ウズベキスタンは中央アジアの中心>
・青空<世の中捨てたものではない?>


創エネルギーの時代に向かう【発電論評】

 家庭や職場で、工場やビルで、発電しながら電気を使うという時代が、再び幕を開けそうだ。
 太陽光発電が、エネルギー供給の姿を根本的に変えてしまうかもしれない。太陽光発電は、受光できればほぼ自動的に発電するが、夜間は発電しないし雨天や曇天下では発電量が極端に減少する。必要な電力を賄うには補完電力が必要になる。
 発電設備が高価であることも欠点だが、設置してしまえば、手がかからず勝手に発電してくれるというのは大きな魅力だ。
 足りない電力は系統電力で補完するのが最もポピュラーな方法で、太陽光の発電量が不足する場合は系統から補完し、発電量に余剰が出る場合は系統に電気を自動的に引き取ってもらう。日本の電力会社はこの制度を取り入れている。余剰電力の引取価格は販売価格と同じ。太陽光で発電した電気は余剰が出ても電力会社が預かってくれていて、不足する場合にはそれを取り崩して使うという銀行口座のような仕組みだ。「残高不足」になっても電力を購入できるので電力不足で停電してしまうことはない。
 系統電力のほかにも蓄電池を使うという方法もある。蓄電池を使うとコスト面で大変になると思うが、ここへきて電気自動車を蓄電池として使うというウルトラ級の方法が注目を集めている。最近の蓄電池の技術開発は目覚ましいものがあり、つい最近までの電気自動車は航続距離の短さと充電時間の長さが最大の欠点だったが、それがリチウムイオン電池などの実用化で、急速充電が可能担ってきた。今話題のプラグインハイブリッド車であれば、家庭用のコンセントからでも一晩で充電できるほどになっている。自家用車が電気自動車になれば、これを家庭用の蓄電池として電気の貯蔵庫として使うというアイデアが出ているというわけだ。
 太陽光だけで電力が不足する場合は、家庭用のガスコージェネなどの小規模発電システムが商品化されている。灯油タイプのものもある。こうした家庭用のコージェネシステムと組み合わせることで、家庭内のエネルギー自給システムがほぼ完璧になる。
 家庭用のコージェネシステムはエンジン式のものと燃料電池式のものがある。いまのところどちらも燃料にはガスや灯油などの化石燃料を使う。この燃料に、バイオマスが使えればCO2削減には有効であるし、さらに直接水素が使えるようになれば、その時点でCO2問題とは無縁になることができる。
 太陽光発電や、燃料電池、またコージェネシステムなど身近な発電システムの登場は、需要家にエネルギー選択の自由を与えるという、新たなエネルギー利用社会の到来を予感させている。