2008年105日号

国産海洋エネ資源開発へ、石油分科会で計画策定
 日本の排他的経済水域内で石油や天然ガスなどの海洋資源開発の道筋を付けるための検討作業が、総合エネ調の石油分科会(分科会長・秋草直之富士通取締役相談役)で始まった。
 日本の海洋資源開発については、今年3月に閣議決定された海洋基本計画の中で「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を策定し、「排他的経済水域内等に賦存する石油・天然ガス、メタンハイドレート、海底熱水鉱床」の探査や開発をおこなうことや、メタンハイドレートと海底熱水鉱床については、「今後10年程度を目途に商業化を目指す」とされている。石油分科会では、検討課題として、今年度中を目標に石油・天然ガス及びメタンハイドレートの開発計画を策定する。
 同日の分科会では、最近の世界的なエネルギー・鉱物資源の需給逼迫や価格の高騰を背景に、国産の海洋資源として開発計画を策定することとし、石油・天然ガス開発については充分な基礎データの蓄積がない未探鉱地域に対して探査活動を行うことや、政府が進めているメタンハイドレートの開発プロジェクトを通じて、10年後の商業化を目指すことで合意した。
 メタンハイドレートは日本近海だけでも、日本の天然ガス消費量の100年分にも相当する7.4兆立法mの資源量があるという試算報告もあるなど、近未来の国産エネルギー資源としてその開発に各方面からの期待が高まっているが、メタンの漏出など環境保全に配慮した開発システムや安全で低コストの産出技術の開発など困難な課題が多いことなどの指摘もある。年度内を目標に開発計画のとりまとめを終える。


新日石が三洋と薄膜太陽電池で合弁
 新日本石油と三洋電機は9月30日、薄膜シリコン太陽電池の事業化に向けた共同出資会社を設立することで合意した。
 最も安価な製造コストが見込まれる薄膜シリコン太陽電池の開発は、既存の太陽電池メーカーのほか異業種からの参入も相次いでいる。さらなる開発資金の負担が重荷になっている三洋と、総合エネルギープロバイダーとして、太陽電池事業を次期事業の柱の一つと位置付ける新日石が協業することにした。
 新日石は三洋の燃料電池事業を買収し設立した新会社「ENEOSセルテック」で、10年度から年1万台規模で家庭用燃料電池の生産に入る計画だ。また、この家庭用燃料電池と太陽電池をセットした、環境負荷の少ないホームエネルギー機器を販売するビジネスモデルの構築も目指している。
 こうした戦略の下、共同出資会社を来年4月に設立し、10年度中の事業化を目指す。共同出資会社の資本金や出資比率は今後詰めていく。
 新日石はガソリンなど石油製品の国内需要が減少する中、太陽電池や燃料電池、蓄電池といった新エネルギー事業を次期事業の柱と位置付けており、東大先端科学技術研究センターとも、光電変換効率が40%を超える次世代型太陽電池の共同開発を開始している。
 一方、三洋のHIT太陽電池は同社単独で事業拡大を図る。


東電が太陽光発電でオンサイトエネルギーサービス
 東京電力と三井物産は、羽田空港国際線地区貨物ターミナル向けに太陽光発電を活用したエネルギーサービスを行う新会社「羽田太陽光発電株式会社」を共同で設立した。
 新会社は、羽田空港国際線地区貨物ターミナルの屋上に2千kWの太陽光発電設備を設置し、太陽光発電による発電電力と電力会社の系統電力を組み合わせた電力を提供するエネルギーサービスを行う。
 この太陽光発電設備の電力で、同ターミナルで使用する電力の約1割(約200万kWh/年)をまかなう計画で、年間約850トンのCO2排出量の削減を見込んでいる。同ターミナルが開業する10年10月から事業を開始する。
 東京電力では、太陽光発電について、これまでも自社設備として支店・支社をはじめとした事業所などの自家消費電源として合計53地点、572.3kWを設置しているが、事業用電源として利用するのは初めての試みとなる。
 東京電力では、今回の羽田でのメガソーラー発電を活用したエネルギーサービスを先駆けとして、メガソーラー発電の自社導入の拡大や自治体との共同事業など、様々な形態での太陽光発電の利用拡大に積極的に取り組んでいく方針を打ち出している。羽田空港国際線地区貨物ターミナルは、国土交通省のPFI事業として10年10月に開業を予定している。


電力や鉄鋼の省エネベンチマーク基準案を提案
 省エネ法に基づく工場等に対するベンチマーク基準等を検討している総合エネ調の省エネ基準部会・工場等判断基準小委員会(委員長・高村淑彦東京電機大学教授)が、9月25日に第3回の会合を開き、セクター別ベンチマークの基本的な考え方や、電気事業、鉄鋼、化学工業、セメント、製紙の各業界団体から具体的なベンチマークの考え方について試案の提案を受けた。
 ベンチマークの基本的な考え方については、@事業者単位で評価し平均値や標準偏差を公表、事業者がセクター内で省エネレベルのどこに位置しているのか判断できるようにする(特に省エネが進んでいる企業については了解を得て公表)A省エネ度合いを的確かつ定量的に評価することが可能となる指標とし、毎年の変化率(省エネ率)を指標にすることは避けるB事業者が中長期的に目指すべき水準となる「高い水準」とするC対象業種はエネルギー多消費産業等とし、順次対象業種を拡大するなどとされている。また、業務部門については、産業部門とは別の考え方で別途ベンチマークの可能性をあらためて検討する。
 エネルギー多消費産業として例示されているのは電気事業、鉄鋼、化学工業、石油、電気電子機器、製紙、セメント、自動車部品、自動車、建設、鉱業など。
 電気事業のベンチマークの考え方については電気事業連合会から試案が提案された。それによると、対象を火力発電に絞り、効率改善努力などが評価できる仕組みとして定格出力での性能試験による熱効率と設計効率を比較する「熱効率標準化指標」を指標とすることや設備の更新・新設時にはトップランナー方式による高効率設備の導入を促すことが提案された。


その他の主な記事
・カーボンフットプリント制度指針案を提案
・環境税検討会が既存エネ諸税との関係を整理
・仙台市ガス事業買収で東ガスらが名乗り
・大ガスと西部ガスが料金引き下げ
・川崎天然ガス火力2号機が運転開始
・日本電産が富士電機の小型モーター事業を買収
・京セラが高出力の新型太陽電池
・三洋電機が米に太陽電池工場
・ブリジストンが太陽光用フィルム増産へ
・シャープが太陽電池増産へ
・三菱商事が独でバイオペレット事業に進出
・NTTグリーンLLP、太陽光導入を本格推進
・Nファが無瞬断切替サービスを提供
・リンナイの給湯器が米国でエネ効率大賞を受賞
・荏原、東ガスに家庭用燃料電池の納入開始
・排ガス対策原動機と低騒音建機、追加指定
・省エネセンターが第4回優良ESCO事業募集開始
・「新エネ百選」を募集
・電力負荷平準化機器表彰、募集開始
・大阪で、冷凍空調学会 
・四国で国内バイオマス視察研修会
・新エネ導入支援交付先9件決まる
・HOSPEX11月12日に開幕  etc.

<シリーズ企画>
・キーパーソン ─ カーボンフリーコンサルティング代表取締役 中西武志さん

シリーズ連載
・コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 第4回 海外ミッションで得られたもの(その1)
・書評:「経営から生産現場までの 実践リスクマネジメント」
 松本俊次・若槻茂編著 日本プラントメンテナンス協会

コラム
発電論評<新エネ拡大に向かう電力、ガス、石油業界>
・プリズム<仙台市ガス局民営化に3社連合>
・ちょっと一休<おもしろかったウズベキスタンの旅>
・青空<久しぶりに痛飲した>


新エネ拡大に向かう電力、ガス、石油業界【発電論評】

 電力業界が太陽光発電の導入に積極姿勢を示している。先日の業界全体で14万kWのメガソーラーを建設するという報告に引き続いて、東京電力が三井物産とメガソーラーを使ったオンサイト型の発電サービスを始める計画を発表した。
 一方、石油業界では、石油元売りの最大手である新日石は、先頃、三洋電機の燃料電池事業を買収したのに続いて、薄膜太陽電池の開発でも三洋電機との共同事業化を進めることを発表するなど、新エネルギーを取り込んだエネルギーサービス事業への参入姿勢を明確にしている。どちらにも共通しているのは、電気や石油を販売するという事業から、エネルギーサービス事業へと転換を図るという方向だ。
 こうしたオンサイト型のエネルギーサービスでは、ガス業界が先行している。ガス業界のエネルギーサービスへの取り組みは古く、業務用コージェネレーションシステムの普及に向けた取組はすでに20年をこえる実績がある。近年は、家庭用などの小規模なガスコージェネや燃料電池、また、太陽光発電とのコラボシステムなど新エネルギーを取り込んだ環境型オンサイト発電の事業化でも常に先頭を走っている。さらに、ガス導管へのバイオガスの受け入れも表明するなど、オンサイト型の環境エネルギーサービスへの転換にも先頭を切って取り組んでいる。
 低炭素エネルギーシステムの普及拡大が目指される中で、電力、ガス、石油のエネルギー産業がそれぞれ独自のアプローチで、新エネルギーシステムをそれぞれの専門事業分野に取り込みながら、結果的にオンサイト型のエネルギーサービス事業を拡大するという方向に向かっている。1次エネルギーの供給という事業形態から、資源を電気や熱の形に変えて供給する「総合エネルギーサービス」を市場が求め始めているということなのであろう。
 新エネルギーなどの分散型システムをより効率的に利用するのは需要場所に近ければ近いほど有利になる。出力の不安定な新エネシステムをコージェネレーションなどで補いながら、いかに効率よく安価で低炭素なエネルギーとして供給していけるのか。
 供給するエネルギーの中には、電気と熱に加えて燃料電池の燃料となる水素も加わろうとしている。水素も電気と同じで2次加工して作られるエネルギー資源となるが、水の電気分解でも製造できるので、余剰電力を活用したり、原子力起源の水素の製造も可能となる。
 電気や水素を、何からどこで作り、供給するのかという形態を競い合うこと。今後のエネルギー産業の向かうべき方向が、どうやら見えてきたといえるのではないか。