2008年915日号

新エネを成長戦略の柱に 経産省が戦略を改訂
 経産省は、06年6月に発表した「新経済成長戦略」を改訂し9月9日に発表した。戦略策定後の資源価格の高騰や新興国・資源国の台頭による世界経済の多極化などで、わが国経済が想定しなかった課題に直面しているとして、@資源生産性競争時代における経済産業構造の構築A世界市場獲得と持続的発展のためのグローバル戦略の再構築B地域・中小企業・農業・サービスの未来志向の活性化を3つの柱として掲げ、太陽光発電や原子力発電などのわが国が先行する環境エネルギー技術の活用、世界展開や低炭素・資源循環型の先駆的地域社会システム作りなどを成長戦略の中心として、「官民が一体となって次なる成長へのステップを踏み出すための道標」と位置づけた。
 3つの柱の中で「資源生産性競争」では、集中投資対象として家庭用太陽光発電の設置支援を行うことや、資源エネルギーの供給革命として、太陽光など新エネルギーの抜本的拡大やメタンハイドレート等の近海資源の開発強化、また革新的エネルギー技術開発、安全で平和的な原子力の利用拡大などを盛り込み、「資源大国日本」を目指した資源エネルギーの供給革命を起こす必要があると指摘している。
 資源大国を目指す具体的な事例としても、@メガソーラー等太陽光発電の家庭・企業・公共施設への普及支援や化石燃料の新エネルギー転換を促す新制度などの新エネルギー等の抜本的導入拡大策A原子力の設備利用率の向上や国際展開・国際協力BCO2回収貯留や革新的太陽電池などの資源イノベーションCメタンハイドレートの開発促進・技術開発の加速化等の近海資源開発D国内に大量に蓄積しているレアメタルのリサイクルや使用量低減技術の開発E資源外交の積極展開の6項目をあげ、近海資源の開発や新エネルギーの利用拡大策が中心にエネルギー自給率の向上を目指す方向性を打ち出している。


国内CDM制度の骨格まとまる
 経済産業省が今秋からの実施を計画している、国内CDM制度の骨格がまとまった。9月8日に開催された中小企業等CO2排出削減検討会で具体的な国内クレジット(CDM)制度について提案された。
 国内CDM制度は、自主行動計画などでCO2の排出削減を行っている国内企業が、自社で削減しきれない分についてはCDMなどの海外クレジットを利用して削減目標を達成する手段しかないことを受けて、海外に流出するクレジットの購入費用の一部を国内に環流させ、資金不足から省エネ投資が思うように進められない中小企業を支援し、実現した省エネ投資によって発生させたCO2削減量を、国内クレジットとして自主行動計画に基づく削減目標に利用できるようにすることが目的。
 クレジットの認証機関を設けて、削減のための事業計画の認証や発生したクレジットの検証・管理などを行うとともに、試行が決まっている国内排出量取引市場の中でも流通できるようにし、自主行動計画以外にも、温対法や省エネ法での活用やカーボン・オフセットなどにも利用できるようにする。
 中小企業等が利用することを前提に、認証手続き等についても京メカクレジットのような厳密な手続きは求めず、小規模CDMを念頭に置いて、事業の標準モデル(方法論)を複数事前に公開して認証手続きの簡素化を図ることを提案している。
 当初準備されている標準モデルは、ボイラーの更新、ヒートポンプの導入による熱源機器の更新、工業炉の更新、空調設備の更新、ポンプ・ファン類可変能力制御機器の導入、照明設備の更新、コージェネレーションの導入の7種類で、この7種類については、標準モデルとして検証手続きなどを簡素化し認証を受けやすくする。7種類以外のものについても順次対象モデルを追加していく。


川崎重工、竹を燃料とする農業用バイオマスガス化発電・熱供給設備を受注
 川崎重工業は、竹廃材を燃料として使用するバイオマスガス化コージェネ設備を、福岡県のタケノコ加工企業から受注したと発表した。
 タケノコの加工事業を営む福岡県立花町のキタジマ食品が、放置竹林の整備により発生する竹廃材を利用して、バイオマスガスコージェネとして電気と熱を発生させ、隣接する農業ハウスとパッケージセンターへ供給する。さらに夏季は吸収冷凍機で製造した冷水を農業ハウスへ供給してハウス内の温度を下げ、作物の生産性向上を目指す。事業は北島食品がNEDOとの共同事業として実施する。竹だけを燃料として使用するバイオマスガス化発電・熱供給事業は世界で初めての試みだという。
 コージェネシステムの発電出力は70kWで、09年2月までに竣工する。
 国内では放置されている竹林が森林全体の面積の10%に及び、さらに年々増加しているという。また、竹は生長速度が速く、隣接する森林を侵食するなど環境問題となることもあり、竹林整備の観点からも有効な取り組みとして注目される。
 竹をバイオマスガスとして取り出す川崎重工のガス化炉は、タール発生量の少ない独自方式の固定床ガス化炉により、メンテナンスコストを低減できることや、設備の起動時間が約30分と短く、出力を容易に変えることができるため、季節、時間帯により負荷を変えた運転が行えるなどの特長がある。また、ガス化炉から副生成物として出る竹炭、竹酢液は全て、農業ハウスで農業用資材として利用し、環境負荷の少ない設備として運用される。
 川崎重工業は、バイオマスガス化発電システムは、発電出力70KWと175KWの設備をパッケージ化しており、今回受注したものは70KWクラス。


ネクストエナジー、セブン−イレブンへ「グリーン電力供給サービス」を開始
 自然エネルギー関連の事業を展開しているネクストエナジー・アンド・リソース(本社・長野県駒ヶ根市、伊藤敦社長)では、セブンイレブン・ジャパンの店舗向けに『グリーン電力供給サービス』を開始した。
 今回サービスを導入した店舗は愛知・山梨・長野の計5店舗で、ネクスト社がセブン−イレブン店舗の屋根に発電装置を設置し、装置の所有権を保有したまま、発電サービス事業として店舗側に電力を供給する。店舗側は電力を使用し、電気代をネクスト社に支払う。ネクスト社は、この電気代に加え電力に付随する環境価値をグリーン電力証書化して、市場を通じて一般企業等へ販売、その収益を充当することで黒字化する。
 事業者が初期コストをかけずにグリーン電力を導入したい場合、通常のリース契約の場合には、補助金が適用されない等の問題があるが、発電設備を販売せず自社保有のままで電力供給サービスとすることや、グリーン電力証書の売却益を含めることでこの問題を乗り越えた。また、設置する設備はネクスト社が展開する太陽光発電装置リユース事業の商品品を使用し、コストの大幅な低減が可能となった。
 このモデルでは、補助金の適用はされないが、ネクスト社では、補助金の適用を受けなくても採算が取れる国内初の事業モデルが構築できたとしている。


三菱重工など、カセット式水素供給ユニット採用の燃料電池式フォークリフトを開発
 三菱重工業は、日本輸送機、JFEコンテイナーと共同で、汎用タイプの燃料電池式フォークリフトを開発、2010年代初頭の市場投入を目指して詰めの実証試験を開始する。
 開発したフォークリフトは燃料電池への水素供給に、JFEコンテイナーが世界で初めて開発した、持ち運び可能なカセット式供給ユニットを採用。水素ステーションなどの大規模なインフラがなくても使用できるため、小規模ユーザーでも導入しやすい。
 三菱重工業は汎用タイプの燃料電池搭載に適した車両システム、また、JFEコンテイナーは安価なカセット式水素供給ユニットの開発をそれぞれ担当し、これらの電池ユニットを日本輸送機のバッテリーフォークリフトに搭載。共同で車体の制御システムや安全性の検証、フォークリフト特有の使用環境への最適化に取り組んだ。
 すでに冷蔵倉庫や屋外など使用環境の異なる3箇所での実証試験を行って実用化の目途をつけた。今後は、製品コストの削減や信頼性・耐用性の更なる向上など、市場導入に向けた仕上げの検証に入る。環境省の「カセット式FCフォークリフトの市場導入に向けた実証試験及び技術開発」の補助事業。


その他の主な記事
・新エネ導入のコスト負担を小委で検討
・環境税導入へ検討会で議論再開
・新エネ部会で今後の政策展開など検証
・環境省が自主参加型取引の結果を公表
・NEDOがエネ合理化交付先389件を採択
・丸紅らがシンガポールの電力会社を買収
・富士経済が燃料電池市場動向をレポート
・東陽テクニカがSOFC評価装置を発売
・中国の環境ビジネスなどでSSKがセミナー
・11月5、6日にコージェネシンポ2008
・太陽光集中連系委託先に関電工ら
・GT学会が定期講演会、日立で
・10月16日に都市環境エネ協会がシンポ
・炭素循環型社会などテーマでJHIFが第10回会議    etc.


燃料電池新聞の主な記事
・家庭用燃料電池の補助に74億円、概算要求で
・トヨタが新型燃料電池車のリース販売を開始
・トヨタがプラグインHVと電気自動車の量産化を加速
・三菱電機が太陽電池を増産へ
・イオンがショッピングセンターに充電装置を設置へ
・伊藤忠が電気自動車対応の分譲住宅
・三菱自動車が米国で電気自動車の実証試験
・日産がHVと電気自動車の実験車両を公開
・燃料電池車で4000マイルの米国横断ロードツアー
・海外ニュース
 -DOE、水素貯蔵材料開発に1,530万ドルを助成
 -中国企業、燃料電池モペットを開発
 -現代自動車、サムスンSDI、LG化学などリチウムイオン電池の共同開発で業務提携
 -現代自動車、2010年から燃料電池車の500台で走行試験を開始
 -プロトンモーター社、燃料電池旅客船に燃料電池を供給
 -台湾の燃料電池市場、2016年に450億円
 -H2ロジック社とバラード社、燃料電池スタックの供給契約を締結
 -SFCの燃料電池、キャンピングカー電源のスタンダードに
 -ボッシュ、2011年からリチウムイオン電池の量産開始
・燃料電池フラッシュニュース
 -大阪ガス、家庭用SOFCコジェネで4万時間稼働実現へ
 -鹿島、東大と共同で、微生物燃料電池の基礎技術を開発
 -九州大、燃料電池で白金使わず電子検出−低価格触媒にメド
 -日光市、公用車に燃料電池車を12月に導入
 -千代田化工建設、水素ガスを液体に蓄え、効率よく抽出する長寿命の触媒開発
 -セコム、家庭用燃料電池のレンタルを2009年春から開始、富裕層に照準。
 -大阪大学、金属ナノ構造制御技術による革新的ハイブリッドナノ水素ガスセンサー開発
 -ハイドロジェンエナジー、パソコン用燃料電池を開発
 -第一稀元素化学工業、発電効率を2割向上させるSOFC材料を開発
 -岐阜大と小島プレス、燃料電池の余分なガスを高電圧で処理、白金使用量を1割削減
 -三菱ガス化学、DMFC開発
 -マツダ、「RX-9」に水素ロータリーエンジンを搭載
 -新日本石油、家庭用燃料電池の量産工業を建設、2010年度に年産1万台
 -東京ガス、家庭用燃料電池システムの専門メンテチーム設立
 -東京大学など、ジメチルエーテルから安価に水素を製造する触媒を開発
 -富士電機アドバンストテクノロジー、PAFC型燃料電池を非常用電源として活用
 -環境省、すべての公用車を次世代自動車に切り替え促す。大臣車は2012年までに代替
 -大学発ベンチャーのハイドロクラフト、ICタグ向け超小型燃料電池開発会社として起業
 -産総研、大出力長寿命のリチウムイオン電池正極材料を開発
 -日清紡、燃料電池事業で新工場を設立
 -東工大、半導体装置で「イオン液体」の蒸着膜を形成する技術を開発
 -東洋紡、DMFC電解質膜の生産能力の拡大を計画  etc.
・燃料電池インフォメーション
 ■触媒学会:「第102回触媒討論会」 平成20年9月23日(火)〜26日(金)名古屋大学東山キャンパス(札幌市白石区)
 ■電気化学会:燃料電池研究会第101回セミナー 9月17日(水)電気化学会会議室(東京都千代田区)
 ■電気化学会:第74回SOFC研究会 9月26日(金) 笹川記念会館
 ■日本機械学会:燃料電池の有効活用・開発状況最前線 2008年9月24日(水)千住テクノステーション(東京都荒川区)  etc.

シリーズ連載
・環境・エネルギービジネスとSRI<第3回>
 寄稿:相馬宏充(社会的責任投資フォーラム運営委員・イノベスト)
・インサイト・分散型実務の話題(カーボンオフセット)
・書評:「オール電化の『不都合な真実』」<中川順一/長澤耕一編著・ノラ・コミュニケーションズ>
・キーパーソン(CSRビジネス誌「オルタナ」森摂・編集長)
・<新>:世界を読む(3)<マケイン米国共和党大統領候補のエネルギー政策>
・<インタビュー>低炭素時代の経営戦略=ピンチをチャンスに変える事業展開・Jパワー=
 「ピンチをチャンスに変える」という、まさに言葉通りの事業展開をしているJパワー。同社は卸電力会社として、主に石炭火力と水力の開発を行ってきた。CO2を多量に排出する石炭火力は地球温暖化問題の逆風を受けているが、CO2の分離回収も可能にする高効率でクリーンコールを目指すjパワーの発電ノウハウは、温暖化対策の観点から逆にその価値が高め、注目されている。民営化後、環境事業、海外展開、原子力開発という新しい分野への展開を背景とした低炭素社会への戦略を、藤冨正晴常務取締役にうかがった。

コラム
・発電論評<新エネ拡大とコスト負担の考え方>
・プリズム<「エコ度」に期待するマンション販売事情>
・ちょっと一休<中江朝日新聞元社長の写真展>
・青空<独の見本市に見る中国企業の活力>


新エネ拡大とコスト負担の考え方【発電論評】

 福田ビジョン、低炭素社会づくりに向けた行動計画と新エネ拡大に向けた政策提言が相次いでいる。来年度予算の概算要求でも新エネ関連予算は花盛りといった格好で、中でも太陽光発電については、一度途絶えた住宅用に対する補助が復活することになり、話題を集めている。太陽光については、ドイツから導入量世界一の座を奪い返すという「目標」が掲げられたことを受け、経産省と環境省がそれぞれに太陽光拡大施策を打ち出し、省庁間の縦割り補助ぶりにあきれる声も聞かれる今日この頃ではある。
 そんな中で、大量の新エネ導入の系統への受け入れが求められる電力業界では、出力の不安定な新エネの受け入れにはそれなりの対策が必要で、そのコスト負担を電力会社だけが強いられることになることに対して疑問が示されている。このため「コスト負担のあり方」をテーマに委員会が設けられ検討が始まっている。結局は電気料金としてコスト回収を図るしかないのだが、系統対策費用として支出する安定化のコストであるので、系統を利用するPPSなどの新規参入者にも「公平」にコスト負担してもらうために、その分を託送料金に上乗せするということのようである。
 しかしながら、太陽光発電の余剰電力は契約料金と同額で系統保有者である電力会社購入するという「サービスメニュー」が用意されていて、特に住宅用として導入される太陽光発電のほとんど全てから電力会社に余剰電力が販売されているのが現状であり、今後ともその傾向が続くとするのであれば、電力会社が自ら購入する電力に対するコスト負担を、太陽光発電の電力を利用できないPPSなどに結果的に強いてしまうことになるのではないかという疑問もある。
 新エネ拡大には反対者はほとんどいない。誰も導入拡大に否定的ではないし、火力発電や原子力発電の電気と太陽光や風力などの新エネルギーで発電された電気のどちらを使いたいかと聞けば、新エネルギーに集まる人気の方が多いのではないか。だとするならば、産地直送の生産者の顔の見える農産物が高価格でも売れるのと同様に、新エネルギー起源の電力は別料金で販売するといのもコスト負担の有効な対策の一つとして検討対象に加えられてもよいのではないか。また、太陽光発電の電気だけを販売するPPSの出現を促すような政策も考えられてもよい。
 コストの高い新エネ電力は「高級電力」として販売するという考え方である。現に、通常の電力を購入しながらグリーン電力証書で購入電力のカーボンオフセットを行うという対策も広がってきている。需要家は高コストでも環境によい電力を求め始めていることの証だといえるのではないか。