2008年95日号

燃料電池を消防用電源に 富士電機が消防用型式認定を取得
 富士電機アドバンストテクノロジーは8月25日、同社の100kW級リン酸型燃料電池が、燃料電池としては国内で初めて消防用非常電源の型式認定を取得したと発表した。
 消防法上の非常電源への適用が可能となる「燃料電池設備の基準」が06年3月に制定され、その後、登録認定機関である日本電気協会が「認定基準」を作成、07年10月に発足した認定委員会(委員長・太田健一郎横浜国大大学院教授)が7月18日付けで認定した。
 認定された燃料電池は、通常は都市ガスを燃料にコージェネレーション設備として運転され、火災などの災害時には40秒以内に系統から独立運転に切り替え、スプリンクラーや消火栓といった消防用設備に電気を供給する。さらに都市ガス供給が停止した場合でも、備蓄してあるLPガス(50kgボンベ)によって70kW出力で3時間運転する。
 同社では今回、熱量が大きく異なる都市ガスからLPガスへの燃料切り替え技術を採用し、非常時の運転継続を可能にした。同時に、系統連系運転から独立運転へのスムーズな切り替え制御を独自開発し、適用した。
 07年度、消防用非常電源となる防災用発電機は新規に約6千台、設備容量にして約90万kWが設置され、そのほとんどはディーゼル発電機(5734台、約61万kW)となっている。同社は今後、コージェネレーション運転した場合の高い発電効率(42%)や1台で常用・非常用が兼用できる点などを売りに、「グリーン庁舎計画」を進める庁舎を始め病院、学校といった分野での需要開拓を進める。


太陽エネ利用機器の環境価値を購入 東京都が新型の補助制度
 東京都は、太陽光発電や太陽熱利用など、太陽エネルギーの利用の飛躍的な拡大を目指して、09年度と10年度の2年間で総額90億円を超える支援制度を創設する。
 戸建て住宅や集合住宅などに設置する太陽光発電や給湯器や温水器などの太陽エネルギー利用設備で発生する電気や太陽熱に相当する10年分の環境価値を都に譲渡することを条件に補助金を交付する。東京都が指定する財団法人を通じて、環境価値をグリーン電力証書やグリーン熱証書に変えて、企業などに販売した売却益を、再び補助金資金として環流させる。都は2年分の資金として90億円を支出する。
 想定している補助額は、太陽光発電システムが30万円程度(3kW)、太陽熱ソーラーシステムが20万円程度(6平方m)、太陽熱温水器3万円程度(4平方m)で、それぞれ設備の規模に応じて補助額は変動する。
 また、国や区市町村が別途行う補助制度との併給の可能で、11年目以降も継続してシステムを利用する都民に対しては、その後も経済的メリットを与える仕組みも検討する。都は、支援制度を来年度から開始することとしており、それに合わせて、グリーン電力の認証を行っている日本エネルギー経済研究所のグリーンエネルギー認証センターに認証制度の創設を求めている。
 新たな都の支援制度は、太陽エネルギーの利用拡大を促す取り組みとして、8月29日に開催された「」太陽エネルギー利用拡大プロジェクト・キックオフ大会」の席上で発表された。プロジェクトには関連製品・機器メーカーや住宅販売会社、金融機関、NPO・業界団体などから150を超える企業・団体が参加している。


カーボンオフセット用VER認証でポジティブリストを提案
 カーボンオフセットに用いられるVERの認証基準について検討している環境省の検討会では、8月27日に開いた第5回の会合で国内クレジットに必要な基本的な考え方について検討した。
 検討会では、当初はカーボンオフセットなどに用いることを目的とした国内クレジットの創出について検討を進めていたが、政府が今秋から国内排出量取引制度の試行を開始することにしたことを受けて、京都議定書目標達成計画に基づく自主行動計画の目標達成にも利用可能な国内クレジットとしても利用可能なものとするための条件などについてまとめることにした。
 検討会では、国内クレジットは、目達計画上利用できるクレジット(C−VER)とカーボンオフセットなどの自主的な取り組みに利用することを前提としたクレジット(V−VER)の2種類のクレジットを認定することが提案され、それに基づいて制度化を進める。
 C−VERとV−VERの違いは、基本的には目達計画の削減量に影響があるかどうかで判断され、C−VERは自主行動計画の排出削減目標を持たない事業者が行う追加的な取り組み(森林管理を除く)でV−VERはそれ以外の取り組み。認証に当たっては認証手続きの簡素化や透明化を図るために対象となる取り組みをポジティブリストとして公開し、リストに載っているものについてはルーチン的なチェックポイントの確認だけで済むように工夫する。また、取り組みのモニタリングや検証についてはISO14064S及び14065に準拠することを求めるなどの考え方を提案した。
 ポジティブリストに載せる対象としては、目達計画や低炭素社会づくり行動計画等で掲げられている対策を中心に10種類程度に集約する方針で、産業部門では、高性能ボイラーなどの省エネ設備や設備の運用改善、バイオマスへの燃料転換など、業務部門では、建物の省エネ性能、エネルギー管理システム、高効率給湯器などの省エネ機器など、家庭部門では、太陽光発電、小型風力など。また、エネルギー転換部門では、再生可能エネルギーや天然ガスコージェネ、燃料電池などがリスト化候補に入っている。


太陽光など新エネを大幅増額 09年度の概算要求
 経済産業省は8月27日、09年度予算の概算要求をまとめた。エネルギー対策特別会計は、08年度当初予算に比べ14.3%増の8248億円を要求。
 このうちエネルギー需給勘定では、燃料安定供給対策で同4.7%増の2789億円、エネルギー需給構造高度化対策で同33.2%増の3080億円を計上し、同勘定全体で894億円の増額要求となる中、省エネ・新エネ対策に充てるエネ需給構造高度化対策が768億円を占めるなど、低炭素社会を確実なものにするための予算措置を講じている。
 一方、電源開発促進勘定では、電源立地勘定が同4.7%増の1767億円、電源利用勘定が10.5%増の611億円。
 今回のエネ特会計では@エネルギー安全保障の強化・資源の安定供給確保とA低炭素社会の実現−の2大政策目標に取り組むための施策に重点配分している。
 具体的には、低炭素社会の実現に向けて、今年3月にまとめた「クールアース・エネルギー革新技術計画」を着実に実行するために同418億円増の1047億円を要求。温室効果ガスの削減に寄与する21の革新技術の中では「2酸化炭素回収・貯留(CCS)の実証試験」に40億円、「革新型蓄電池の開発に向けた拠点整備」に30億円をいずれも新規要求した。
 また5年振りに復活した「住宅用太陽光発電補助金」で238億円、09年度から本格販売が始まる家庭用燃料電池の補助金として「民生用燃料電池導入支援」で74億円を盛り込んだ。
 このほか新エネルギー分野では「新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金」として同22億円増の400億円を計上し、このうち65億円の内数をメガワットソーラーの導入補助に充てる。また発電効率40%超の革新型太陽電池の実現や低コストで高効率なバイオ燃料の開発に同24億円増の101億円、燃料電池の研究開発では同46億円増の230億円を要求した。
 一方、省エネルギーの推進では、コージェネレーション設備など省エネ設備の導入促進を補助する「エネルギー使用合理化事業者支援」では、同106億円増の411億円を要求。また、革新的省エネ技術の開発でも同88億円増の504億円を計上している。


環境省概算要求は2621億円
 環境省は8月27日、08年度の概算要求を公表した。要求額は前年度比17%増の2621億円。うち、エネルギー対策特別会計では474億円を計上するなど、全体として地球温暖化対策に手厚い内容となった。
 大幅増となった項目としては、「国内排出権取引推進事業」が前年度の2億5千万円から35億円へ、また「太陽光発電等導入加速化事業」が2億5千万円から19億5千万円へと、それぞれ大幅増となった。特に太陽光発電に関しては、福田内閣のもとで「世界一奪還」を目指すことが示されており、これを実現するための増額となっている。また、排出権取引も制度試行を踏まえた大幅増となった。
 排出権関連では、「京都メカニズムを利用した途上国支援事業」に22億7900万円、「京都メカニズムクレジット取得事業」に160億7800億円などが盛り込まれている。
 同様に、「低炭素地域づくり面的対策推進事業」24億5千万円、「低炭素社会モデル街区形成促進事業」12億5千万円、「ソーラーのまちづくり推進モデル事業」1億円などのモデル事業にも多くの予算が要求されている。
 その他には、「地球温暖化対策技術開発事業」45億4400万円、「カーボンオフセット推進事業」1億5000万円、「洋上風力発電実用化技術開発事業」4億円などが計上されている。


その他の主な記事
・都がグリーン熱証書制度の考え方をとりまとめ
・ジェトロが日中韓露の環境エネテーマにシンポ
・新日石がエネファームを増産、年間1万台体制に
・三菱電機、太陽電池を大幅増産へ、セル第2工場を建設
・富士電機が仏社と制御装置で合弁
・国際航業が太陽光で独社と業務提携
・関西電力がバイオマスの本格混焼を開始
・三井化学がCO2からメタノール合成実証へ
・大阪チタニウム、多結晶シリコン新工場
・兼松が太陽電池用シリコン加工事業に進出
・環境省が地球環境税を検討
・温暖化作業部会でセクター別アプローチを議論
・グリーンエネルギー利用拡大でセミナー
・環境省がCDM/JIでシンポ
・環境省CDM調査23件決まる
・環境技術の海外展開とCDMセミナー開催
・京都クレジットの契約ひな形を公開
・省エネセンターが事例発表会
・地域新エネ・地産地消型社会システム枠決まる
・バイオマス転換要素技術開発4件決まる
・NEFが10月に小水力研修会  etc.

<シリーズ企画>
・メーカーの今を探る─西芝電機
 コージェネ用発電機では国内トップメーカーの西芝電機。原油価格の高騰による燃料高で厳しさを増す市場環境の中で、当面は活況を示す舶用向けに生産をシフトして、陸用の分散型市場の復活に備えるという。事業展開の現状について、増田英三郎取締役発電システム事業統括部長に聞いた。
・キーパーソン ─ 鮎川ゆりか・2008年G8サミットNGOフォーラム副代表

シリーズ連載
・環境・エネルギービジネスとSRI<第2回>
 寄稿:田中秀一郎(社会的責任投資フォーラム運営委員)
・コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 第3回 電気事業法改正とコージェネの進展

コラム
発電論評<福田首相の残したもの>
・プリズム<太陽光世界一を目指す政府の意気込み>
・ちょっと一休<日、中、韓の金メダル論議>
・青空<ピカッ、ゴロゴロ!>


福田首相の残したもの【発電論評】

 来年度政府予算案の概算要求がまとまり、太陽光をはじめとする新エネルギーの拡大支援に向けたエネルギー政策関連は大幅な伸びを示している。中でも太陽光発電は前年度を5倍以上も上回って、まさに大盤振る舞いの情勢だ。
 低炭素の言葉があちこちにちりばめられ、来年度予算はまさに低炭素社会づくりのためといった趣だ。
 予算編成の概略がまとまるのを待っていたかのように、福田首相が突然の辞任表明を行った。政治状況は、全く先の読めない情勢が醸し出されている。
 思えば、福田首相は、前任の阿倍前首相の「クールアース50」を引く継ぐ形で、今年6月に「福田ビジョン」を発表、2050年に日本のCO2排出量を現状から60〜80%削減するという長期目標や太陽光発電の導入量世界一の座をドイツから奪還し、2020年には現状の10倍に、30年には40倍に引き上げるという目標を打ち出し、温暖化対策の切り札として再生可能エネルギーの爆発的な導入拡大を目指す道筋を示した。
 福田政権は、米国のサブプライム問題など世界経済が縮小、混乱に向かう流れの中で、ともすれば埋没しかけている日本経済の効果的な対策を打ち出せないままに、低迷する支持率の中で、終焉を迎えることになったわけだが、エネルギー政策の大転換を図る契機となった内閣として、数十年後の評価は一変していることも考えられる。
 今後の政局がどのように動いていくのか現時点で見通すことは困難であるが、最近の気候変動などに伴って地球温暖化防止対策の重要性が緊急度を増す中で、エネルギーの低炭素化政策は普遍のものとして今後とも、維持されるであろうことは想像に難くない。
 エネルギーの低炭素化は、裏返せば脱石油の道でもある。安価な石油を生活のあらゆる場面でふんだんに利用することによって成り立っている我々の生活を大きく損なうことなく、いかに低炭素な社会生活を実現するのかということが突きつけられているのであり、風力、太陽エネルギー、バイオマス、地熱、潮力などなど再生可能な自然エネルギーの安定利用技術やエネルギーを無駄なく利用し尽くすコージェネレーションなどの高効率利用技術が低炭素社会実現のための重要なアプローチとなるということは、さらに多くの支持を集めていくと思われる。
 需要面でも電気自動車の実用化や燃料電池の実用化もいよいよ始まるなど、今、まさにエネルギー革命の入り口に立っているという実感が日ごとに増している。また、それは、生活や生産の現場で、再生可能な国産エネルギーを技術によって新たなに創出するという意味で、エネルギー自給率の向上へとつながっていく道でもある。