2008年825日号

常用自家発はほぼ全量がコージェネに 市場縮小に歯止めかからず
 07年度の常用自家発電設備の国内導入状況を日本内燃力発電設備協会(竹野正二会長)が調査結果をまとめた。ディーゼル発電、ガスエンジン発電、小型ガスタービン発電を対象として、国内メーカーを対象に納入実績をアンケート調査した結果をまとめたもので、燃料の高騰問題を背景にディーゼル発電の新規導入がが前年度に引き続きほぼストップ状態となる中でガスコージェネも20%以上の大幅な減少となるなど、常用自家発電市場は減少傾向に歯止めがかからない状態が続いていることが明らかになった。
 ディーゼル、ガスエンジン、ガスタービンを加えた常用自家発市場は前年度比で39.3%減(設備容量ベース)と、さらに厳しい市場環境に陥っている。石油、天然ガスなどの燃料費の高騰や天然ガスなどの燃料の供給力の不安など、主要には燃料問題が原因で、コージェネレーションなど常用自家発市場は市場の縮小現象が続いている。地球温暖化問題を背景に優位性のあるガスコージェネも輸入天然ガスの供給力不安や石油価格に連動する形での燃料費の上昇などがあり、ガスコージェネレーション市場も頭を抑えられた格好で、活発な営業活動ができない状態が続いている。
 07年度の導入量は、29万4223.5kWで、常用自家発を導入した施設数は510施設、設備台数は676台だった。施設数は43.9%減、台数は43.5%減少した。
 特にディーゼル発電は新規導入量が1万4602kWと、ほぼ壊滅状態で、市場回復が困難なものと思われる。
 ガスエンジン発電も、大幅な減少となった。前年度の33万758.8kWから17万6698.5kWへと46.6%減とはぼ半減状態。ガスエンジンの減少は、一部地域でのガスの供給不足問題に加えて、原油価格の上昇に伴う天然ガス価格の上昇などが要因となっている。
 ガスエンジンが大幅に導入量を減らす中で、ガスタービンは比較的に減少幅が小幅に伴っている。ガスタービンは前年度比22.6%減の10万2923.0kWで、90%近くが工場などの産業用向け。
 特に減少が目立っているの店舗類や工場等などで、病院や旅館・ホテルなどは比較的に減少幅が少ない。事務所や、テナントビルなども、まだ導入件数は少ないものの、前年度に比べて増加している。


CO2削減を排出権に シーバランスが省エネ装置を無償で貸与
 環境保全機器の開発・販売などを手がけるシーバランス(青森県むつ市)は、ボイラーなどの燃焼装置を持つ中小企業に省エネ装置を無償で貸与し、装置によって削減されたCO2排出量を排出権として同社が取得する「省エネ支援サービス」を立ち上げ、8月から10月までの期間で貸与先の募集を開始した。
 省エネ装置は「エコサポーター」と呼ばれるもので、既存の燃焼装置の空気吸入口に取り付けて燃焼空気を改善する仕組み。すでに、LPガスを燃料とするビニール製品を製造するための燃焼炉に装着した実証試験では、LPガスの使用量が7〜8%削減できたことを確認している。
 貸与された企業は@設備投資がゼロA燃料コストとCO2排出量が削減BCO2削減によるCSR(企業の社会的責任)の実現−といったメリットを享受できる。省エネ装置の貸与期間は7年間。
 政府では排出量取引を導入するにあたって、企業への排出枠の割り当てを検討したほか、東京都でも10年度から排出量取引が導入されることになっているが、企業によっては最近の原油高で経営が悪化し、装置の導入などによる省エネに取り組めない状況もあるという。
 シーバランスの支援サービスは政府補助金を活用せず、民間主導で排出権を創出する国内初のプロジェクトとなる。


環境配慮契約法、基本方針を見直しへ
 環境省は、今年度から実施されている環境配慮契約法に基づく基本方針の見直し作業を開始した。見直しは、法規程に基づく定例的なもの。
 グリーン契約法による物品購入の範囲外の電力や建築発注などの国の契約行為にともなう温室効果ガスの削減などを目的とした環境配慮契約法の施行に伴い環境省では、昨年度、契約に当たっての基本的な考え方を基本方針にまとめた。基本方針の基準をまとめたのは電力購入、自動車購入、ESCO事業、建築の4分野で、電力購入については、契約に当たって電力事業者が供給する電力のCO2の排出係数や再生可能エネルギーの導入率、グリーン電力証書の活用などの項目をポイント化した裾切り値を入札参加資格とするなどの契約方式とすることを決めている。
 見直しに先立って環境省では提案募集を行い、提案のあったPFI事業、OA機器、公共工事契約への環境マネジメント(ISOなど)の活用、プラグインハイブリッド車の対象化の4項目についても検討対象に加えることにした。
 このうち、OA機器については、WGを設置して新たに基本方針を策定することやISO14000などの環境マネジメントシステムについては入札参加資格の加点項目に加えるなどの措置をとる。プラグインハイブリッド車については、対象のなる自動車がまだ市販されていないことから来年度以降に検討を先送りする。
 電力購入については、CDMなどの京都メカクレジットを排出係数に反映させることについて温対法での取り扱いを待つことやグリーン電力証書、RPS価値等の取り扱いについてあらためて検討課題とする方針などが示された。


NEDOが太陽光の研究成果発表会を9月に開催
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、9月18・19の両日、横浜・みなとみらいの「はまぎんホールヴィアマーレ」で、研究成果報告会を開催する。
 07年度に企業や大学・研究機関が、太陽光発電の技術開発を主として取り組んだ研究概要や、得られた研究成果68件を紹介する。
 報告会では、太陽光発電システム実用化加速技術開発の分野で「微結晶タンデム太陽電池の低コスト化」(三菱重工業)や、「太陽光・蓄電ハイブリッドシステム」(フジプレアム)が、未来技術開発分野では「新構造超薄型多結晶シリコン太陽電池」(京セラ)、「セレン化/硫化法によるCIS系薄膜太陽電池の高効率化」(昭和シェル石油)などの発表が予定されている。会場ロビーでは、研究内容を写真や図などで詳しく紹介したポスターセッションも行われる。
 参加費は無料。問い合わせは新エネルギー技術開発部(TEL044―520―5277)まで。


その他の主な記事
・メタンハイドレート開発、第2フェーズを検討
・カーボンフットプリント、制度化へ指針案
・三菱商事がブルネイで風力事業化へ
・大阪大で革新的水素ガスセンサーを開発
・廃熱を電気に変換、古河機械金属が変換材料を開発
・いわき大王製紙の2基目のバイオボイラーが稼働
・日本風力開発が子会社2社設立
・三菱重工、ノルウェーのCO2回収設備の設計受注
・テストーが赤外線サーモグラフィー発売
・温暖化防止活動環境大臣表彰の募集開始
・風力発電系統連系対策助成事業公募
・バイオ燃料モデル実証、8件決まる
・地熱と中小水力2次募集
・9月のJPIセミナー  etc.

シリーズ連載
・環境・エネルギービジネスとSRI<第1回>
 寄稿:後藤敏彦(社会的責任投資フォーラム運営委員代表理事)
・原油価格高騰の真相B
 寄稿:岩間剛一(和光大学経営学部教授)

コラム
・発電論評<コージェネ市場の再活性化を>
・プリズム<電力業界もCO2削減効果は火力代替に>
・ちょっと一休<浅野 元宮城県知事の司会で盛り上がる>
・青空<建設業に明日はあるのか>


コージェネ市場の再活性化を【発電論評】

 07年度の常用自家発統計がまとまった。
 コージェネ・自家発の市場は、石油価格の高騰による燃料費の上昇で、石油系の自家発市場が数年前から急速に縮減、ほぼ壊滅状態となっていたが、これまでは比較的堅調に推移していたガスコージェネの市場も市場性が失われてきている様子が浮かび上がってきた。
 まさに危機的な状況といわざるを得ない状況だ。
 コージェネレーション技術は、熱と電気を同時に生み出し、エネルギーを高効率に使い尽くす技術であり、低炭素社会を実現する上では、まさに欠かせない最重要に位置づけられるべき技術だといえる。
 その市場が、まさに今失われようとしている。特に石油系のコージェネシステムは、日本の国内市場から撤退を余儀なくされかねない様相だ。
 低炭素社会を実現するには、再生可能エネルギーの利用と、さらにエネルギーを高効率で使う省エネルギー技術が不可欠であるが、内燃機関を利用するコージェネシステムはそのどちらの側面からも有用な技術だといえる。再生可能エネルギーの中で量的拡大が期待できるのは、太陽光と、風力、バイオマスといったところになるが、バイオガスやバイオディーゼルなどは需要地立地型のコージェネシステムで電気とともに熱利用も行うことが望ましい。
 さらに、太陽光や、風力などとコラボレーションすれば、高効率で低炭素なエネルギー供給システムを構築する上で、自然エネルギー特有の出力の不安定さを補う調整能力のある中核的なエネルギーシステムとして機能させることができる。また、施設単独で、あるいは複数施設で、あるいは周辺地域にまで範囲を広げたシステムなど、規模に応じた供給ネットワークの構築がたやすくできる。
 現在ある大規模火力の一部をコージェネシステムを利用した地域ネットワークや自家発として利用するだけでも、かなりの1次エネルギーの削減が可能になる。
 コージェネシステムの市場は、これまで国内では、省エネルギーとエネルギーコストの削減を主たる目的として市場拡大が果たされてきた。それがエネルギー価格の高騰という理由で市場性を失ってしまうことになれば、低炭素社会を迎えるための重要なエネルギー利用技術を失ってしまうことになりかねないことが懸念される。
 あらためて、低炭素社会へ向かうための必要技術としてコージェネレーションの有用性が再認識され、システムの普及を市場任せにせず、低炭素化に向かう不可欠の高効率利用システム技術として、普及促進策が講ぜられることを望みたい。